TaЫ
e10障
害および学歴の各水準におけるそれぞれの単純主効果効 果
障害(大学 以上 における) 障害(一般高 校・専 門学校 における)
障害(中学・夜 間・通 信 制 における)
誤 差
学歴(一般就 労者 における) 学歴
(HFPDD者
における)誤 差
1.19 1 1 19 0.06
33.49 1 33.49 1.66 77 66 1 77.66 3 84 * 6293 21 311 20.24
44 78 2 22 39 1 11 101.81 2 50.90 2.52 5353.94 273 19.61
*ρ<.05,**ρ <.01,***ρ <.001
恵七
30
TaЫ
e12
障害および在職期間の各水準におけるそれぞれの単純主効果 効 果障害(3年未満における)
障害 (3年 以上5年未満における)
障害(5年以上における)
誤差
在職期間(一般就労者 における)
在職期間
(HFPDD者
における)誤 差
4 35 1 166.89 1
0.91 1
5353.94 273 23.15 2 236 33 2 5353.94 273
4.35 0.22 166.89 8.51 **
0.91 0.05
19.61
11.57 0.59 118 16 6.03 **
19.61
*ρ <.05,**ρ <.01,***ρ <.001
一 一般就労者
一
HFPDD
3年未 満 3年以 上
5年未 満
5年以上
Fig.9
障害の有無 と在職期間による就労版 EROSの 得 点)就
労状況 と勤務条件,満
足度 および抑 うつが就労版Environmental Reward Observation Scale に与える影響の検討就 労版 EROSに 対 して、就 労状況
,勤
務条件,満
足度,抑
うつが与 える影響 を検討す るために 重回帰分析 を行 つた。Adjusted R2は 一般就 労者.46,HFPDD.62で 有意 であった。標準編回帰係 数 の値 か ら,両
群 ともに仕事 内容満足度 で、それぞれ有意 な正の影響 が見 られ、CES―Dで
は有意 な負の影響が見 られ た。 また,一
般就 労者 において は勤務 時間 において有意 な負 の影響 が、勤 務条件満 足度 においては有意 な正 の影響が見 られ た。 なお,VIFは
一般就労者では 1.34〜1.97の値 を示 し
,HFPDDで
1.34〜3.10の値 を示 してお り,い
ずれ において も多重共線性 は見 られ な0 9 8 7
6 5 4 3
2 1 0
9 8
7 6 5 3
2 2 2
2 2 2
2 2 2 2
1 1
1 1 1
就 労 版 E R O S の 得 点
い
Tabに
13‑般
就労者 口HFPDD別
の重回帰分析結果一般就労者
VIF VIF θ
β
θ
独立変数 年齢 在職期間 勤務時間 残 業時間 年収
仕事 内容満足度 役職満 足度 勤務条件満足度
休 日満足度 C tt S―D
0̲04 0 02 0 00 0 00
‑0.34 0̲16 0.00 0 01 0 00 0̲00 2.57 0.39
‑0 61 0 39 0 70 0̲33
‑0.06 0̲38
‑0 19 0.03
11
‑.10
‑.13 .00
‑.02 .43
‑.10 .13
‑01
‑.34
1.60 1 97 1̲36
116
1 87 1̲58 1̲55 1 35 1.21 1.34
03
‑17
‑̲01 20
‑ 02 .41
14 00 .11
‑ 46
1̲34 1 95 2 29 1.09 3.10 2̲06 2.90 2.73 1 59 1.86 0.02 0̲09
‑0 02 0.02
‑0̲05 0 72 0.04 0.02 0.00 0̲01 2 58 0 97 0.74 0̲97
‑0 02 1̲14 0 86 1 06
‑0.19 0 06
Adujusted R2 46 .62 Ⅲ*
従属変数
:
就労版 EROS*ρ <.05,**ρ <01,***ρ<̲001
3.考
察1)就
労版 EROSと CES―Dの分布 につ いて研 究2の 目的 は得 られ たデー タを扱 って
,HFPDD者
と一般就労者の就労版 EROSに ついて比較 す ることであつた。就 労版EROSの度数分布表 (Fig.2,Fig.3)を 概観す る と,HFPDD者
お よび一般就労者 ともに
,正
規分布 に近い形 を とつてお り,や
やデー タが中央 に集 まっている様子 が見 て 取 れ る 。 一 方,CES Dに つ い て も 度 数 分 布 表 (Fig.4,Fig.5)を み る と,HFPDD者 と 一 般 就 労者 では
,前
者 の分布 の方が よ り抑 うつ傾 向が高い こ とを表 してい る様子が窺 える.研 究 1に あつた よ うに,就労版 EROSは 抑 うつ と負 の相 関があることか ら,横軸 に就 労版EROS, 縦軸 に CES Dを とり散布図 を描いた ところ
,一
般就 労者 の方 がば らつ きは大 きい ものの,い
ずれ も負 の相 関を とつてい る様子が見て取れ る。それぞれの分布 はややずれてお り
,HFPDD者
の分 布 は一般就労者 のそれ と比べ,抑
うつ傾 向が高 く,就
労版 EROSの 値 は低い傾 向がみ られた。ま た,HFPDD者
のみで就労版 EROSと CES―Dの
単相 関分析 を行 つた ところ,一
般就労者 では中程度 の負の相 関 (Table4)で あつた ことに比べ,HFPDD者
では強い負の相 関 (Table5)が 示 され た。以上 の分布 の形状 か ら,様々な先行研 究にあるよ うにHFPDD者 に抑 うつが伴いやすい ことや, 抑 うつ を伴 うことで環境 中の主観 的報酬知覚 が減 じることが示唆 され た
.こ
れ らの ことを踏 ま える と,就
労版 EROSは HFPDDに おいて も,そ
の特徴 を うま くつかみなが ら,職
場環境 中の主観的報酬知覚 を検 出できていることが示唆 された。
)HFPDD者
と一般就労者の就労版 EROSの 比較についてHFPDD者と一般就労者 の就労版 EROSを 比較す るためにt検定 を行 つた ところ (Table6),HFPDD 者 と一般就労者 の平均値 には有意差 はみ られ なかつた。 これ は就労場面 とい う環境 中か らは HFPDD者 も一般就労者 と同程度主観的な報酬 を感 じられてい ることを意味 していると考えられ
るが
,今
回収集 した HFPDD者 のデー タは多 くは障害者雇用 での就労者 の ものであ り,就
労上 の負荷 が調整 され ていた り
,そ
の特性 に合わせた関わ りがあることが影響 している可能性がある. あるいは,一
般就 労者 において も職場 で主観的 な報酬知覚 を さほ ど感 じていない可能性 も考 え られ る。一方,CES―Dについては有意差があ り,先
行研 究 にある HFPDD者 に気分障害が伴いやす い ことの結果 と一致す る.し
か し就労版 EROSに おいて差がなかつた ことを考慮す る と,抑
うつ は有意に認 め られ るものの,興
味・ 喜びの喪失 の よ うな状態 にあるか ど うかには疑間が残 る。典型的な単極性 うつ病 とい うよ りは
,何
らかの環境 の影響 による反応性 の うつ症状が疑われ, 今後はその鑑別が必要ではないか と考 える。また,HFPDD者
の群内において,手
帳 の有無,職
場 への障害の開示非開示,就
労支援利用 の有無それぞれ の間 に差 があるか確 かめるために t検 定 を行 つた。そ の結果,障
害者 手帳 の有無,就
労支援利用 の有無 において,平
均値 の差に有意な 傾 向が示 され た。 これ は,そ
の背景 として障害者手帳 を活用 して何 らかの就労支援 のサー ビス を利用 してい ることや,就
労支援 を受 けることで環境調整や ジ ョブマ ッチ ングが検討 されてい るこ とが考 え られ る。今後 は,ど
の よ うな職場環境 の影響が どの程度就労版 EROSに 関与す るか の分析が必要である.次に
,就
労版 EROSに 影響 を与 えるい くつかの要因 を検討す るために分散分析 をお こなった (Table9〜12,Fig.8,Fig.9).ま
ず,障
害 と学歴 の二つの要因が就労版 EROSに 与 える影響 を 検討 した ところ,交
互作用 に有意 な傾 向が示 され, さらに単純主効果の検定では,中
学校お よ び夜間,通
信制高校卒業者 において,HFPDD者
と一般就 労者 の就労版 EROSに 有意 な差が示 され た。 これ は,中
学校や夜間,通
信 高校 の卒業者 には何 らかの手厚い関わ りや,卒
業後 のジ ョブマ ッチ ングな ど就労における主観的報酬知覚が高まるよ うな関わ りがあることを示唆 してい る と考 え られ る.
次 に
,障
害 と在職期 間の二つの要因が就労版 EROSに 与 える影響 を検討 した ところ,Tablell の結果が得 られた。それぞれ の要因に主効果があることか ら,在
職期 間の間,障
害有無の間それ ぞれ に有意 な差がある と考 え られ るが, この主効果 は有意 な交互作用によつて制限 されてい る
.つ
ま り,HFPDDが
あつて もな くて も在職期間 ご とに幾分 の有意差があるが,交
互作用がある こ とか ら障害の有無によつてその差が幾分異なつてお り,と りわけ在職期間3〜5年
のHFPDD群 では就労版 EROSの 値 が低 くなってい ることがわかる.Fig.9を
見てわか るよ うに,在
職期間3 年未満や5年以上では就労版 EROSに ほ とん ど差がないが,在
職期間が3年
以上5年未満 ではHFPDD者 と一般就労者 との間に大 きな差があることがわか る。この差は単純主効果の検定か らも 有意な差であることが示 され てい る。 この結果か らは
,就
労 してか ら3年
以上5年
未満 の者 は 環境 か らの主観的 な報酬 を感 じられ に くくなってい る と考 え られ ること,5年
以上就労が継続 できてい るHFPDD者の場合や働 き始 めて
3年
未満 のHFPDD者の場合 は,環
境 か らの報酬が知覚 さ れやすい状況 にあることが示唆 され た.本
研 究で得 られ た HFPDD者 のデー タの多 くは,障
害者雇用であるこ とを考慮す る と
,働
き始 めて間 もないほ ど就 労支援 の頻度 が高かつた り,周
囲か らの合理 的配慮 が得やすか つた りす ることか ら,在
職期 間3年未満 のHFPDD者については,一
般就労者 との間 に差がみ られ なか つた ことが推測 され る
.一
方,在
職期 間5年
以上 のHFPDD者については
,5年
以上就労が継続 で きてい ることを考慮す る と,その職場環境 に十分適応 できて い ることや,ジ
ョブマ ッチ ングが成功 し,職
場環境 か ら主観 的 な報酬知覚が得 られやすい状況 にあるこ とが考え られ る.裏
返せ ば,主
観 的な報酬知覚 を感 じられ るよ うな職場環境 にあるか らこそ,5年
以上の就労継続 ができてい る とも考 え られ るのではないだろ うか。また,在
職期 間3年
以上5年
未満 において,HFPDD者
と一般就労者 との間に,就
労版 EROSの 値 に有意 な差がみられ た こ とは
,就
労支援 の フェイデ ィングや職場環境 の変化等 の要因が影響 してい る と推察 さ れ る。ジ ョブ コーチ支援や 障害者就 労移行支援事業所 の行 う定着支援 において,定
着率 をカ ウ ン トす るのは就職後 6ヶ 月 を 目安 としてお り,定
着支援 の段階的なフェイデ ィングもその頃 を 目安 に終 了 してい くこ とが多い。 フェイデ ィングを実施す るのは,職
務や職場環境 に慣れ てい つているか らこそであ り,そ
の慣れ に伴い,支
援者 か らではな く職場 か ら必要 かつ 自然 な合理 的配慮 を得 てい くこと,す
なわちナチ ュラルサポー トの形成 が職場定着支援 にお ける 日標 のひ とつ となつてい る。本研 究 にお ける調査では このナチ ュラルサ ポー トについて,在
職期間3年
以上5年
未満 にある者 はその形成 あるいは維持 が難 しかった こ とが影響 してい るのか も しれ な い。また,入
職 か らの時間経過 とともに,職
場環境 その ものの変化が影響 してい ることも要 因 のひ とつ として考 え られ る。例 えば,配
置転換や職務 の変化 な ど何 らかの変化 があつた ことも 考 え られ るのではないだろ うか。一方 で一般就 労者 の就労版EROSにほ とん ど変化がないのは,職場環境 が変化 しないか らだ とは考 えに くい.一 般就労者 の場合,そ の よ うな変化 があつて も, HFPDD者に比べ,環 境か らの報酬知覚 に影響 しに くい と考 えることが妥 当である。つま り,HFPDD 者 は就労支援や職場環境 の変化 の影響 を受 けやす く
,一
般就労者 は環境 の変化 に適応 しやす い 傾 向にあ り,そ
の結果 として在職期 間3年
以上5年
未満 のHFPDD群において就労版 EROSに 有意な差が示 され た と推察 され る。 しか し
,横
断的調査 では以上 の考察は推察の域 を出に くく,今
後 は在職期 間の経過 に伴 うHFPDD者の就労版 EROSの 変化 を縦断的に調査す るなかで
,ど
の よ う な変化が影響 してい るのかを分析す る必要がある.)就
労状況 と勤務条件,満
足度,お
よび抑 うつが就労版 EROSに 与える影響について最後 に