○ ○! ○ △
「Oi △○
△ ◎1 △ ◎ 1△ Ol O △
空三論満
○:出現率44%〜
◎:出現率75%以上
① 異配置課題
両群ともに加齢にしたがって、数詞使用から対応比較への推移が見られた。
この課題で特徴的な数行動は、ペルテス小1段階にのみ対応比較の出現が皆無 であったことである。数詞使用と対応比較の出現について両群を比べると、両 群ともに数詞使用方略を主軸とするが、対応比較の安定した出現はペルテス群
では小2段階、健常児群では小1段階であった。
数詞使用と対応比較の発達性については、数詞使用が対応比較に先行する。
なぜなら本検査において精神遅滞を伴った被検断の多くが計数による数詞使用 によって集合の比較をしたことと、前述の伊藤の実験においては自主的に事物 の1対1対応を比較判断の方略として用いた者が見られなかったこと、また野 呂(1961)も伊藤と同じ結果を報告していること、さらには、Russac(1978)の
5歳児から7歳児までを対象に多少等判断をさせた結果、幼児は1対1対応よ
りもむしろ数詞使用で判断したという報告、前田ら(1986)および前田(1988)が
1対1対応は計数よりも使用されにくい方略であると指摘したことにより、数 詞使用と対応比較の発達の順序性が示唆されているからである。したがって、
対応比較方略が可能となる時期においてペルテス群は健常児群より1年遅いこ とが明らかとなった。
ところで、対応比較方略については、前述のように多少判断検査でも数行動 のひとつとして観察されたが、そこでは本検査結果とは対照的にペルテス小1 段階での対応比較が多数出現した。これにより、ペルテス小1段階ではすでに 多少判断の方略として対応比較を持っているということが明白である。なのに 何故に本検査ではペルテス小1段階に対応比較が皆無であったのだろうか。そ れは、対象となる集合の配置の達いによる。つまり、多少判断検査でのおはじ きは同配置であり、本検査でのおはじきは異配置に設定された。同配置のおは じきは対応が容易であり、これに比べると異配置での対応は、対象を短時間に まとめて見る操作が特に必要とされるので、より高度の技能となる。したがっ て、本検査においてペルテス小1段階で対応比較が出現しなかったことは、対 象をまとめてみることの稚拙さを示唆するものである。また、対応比較の機能 について考えてみると、対応比較は計数よりも操作手順が少ないという点で効 率的な比較方略である。したがって、対応比較方略出現時期の両群のずれの背 景には、効率性の原則に応じることや対象をまとめて見てとる力の相違が存在 すると考えられる。
② 同配置から一方を動かして異配置にした途中変形課題
本課題における数行動として、異配置課題には見られなかった論理的思考比 較が丁丁で同様に多く出現したが、その論理的思考比較の内容において両下間
の相違が観察された。すなわち、表9が示すとおり、論理的思考比較の主な数 行動として「変形同一性」と「同一性」が観察されたわけであるが、「増やし も減らしもしなかった」という数の本質に着目した「同一性」が健常児群にの み出現し、ペルテス群では1例も観察されなかった点である。したがって、論 理的思考のメカニズムとしては、ペルテス群は数の属性である集合の形態に着
目した「変形同一性」が主たる方略であるのに対して、健常児群では「変形同 一性」とともに「同一性」の2つの思考過程を持っていることが示唆される。
なお「同一性」による判断をした者は、健常児群では33名のうち9名、延べ12 名にのぼった。
表9.論理的思考比較の数行動
量
Tと513と3 1 」 闘開量 ●騨変 同1変 同 1形 一1形 一
同 性}同 性一 }一
性 権
ぺ 幼
2 h
ル 小1
e 小2
4 13 i44
ス 小3
3 14…・一………一…・…・一…1一・一………
健 幼
?小1
3 112 1
R 213 1 1
兜 小2
5 214 3
小3 3 212 1
変換率 sa
40
3g
20
10
e
三
一ペルテス
一弓衷寛
% 幼 !j、 ノ」、 ノ」、 韓
Fig.3,数の保存の比較方略の変換率
(4)比較方略の変換
Fig.3は異配置の2課題で数行動を変換した者と、同配置から異配置への途 中変形の2課題で数行動を変換した者の総出現率を示したものである。
これにより、方略変換の数行動は各学年において常にペルテス群より健常児 群に多いことが明らかである。これは何を意味するのだろうか。数行動を変換
させるということは、つまり、対象に応じて比較方略を自在に操る能力の存在 を意味するものである。はじめの課題で適応させた方略をそのまま次の課題に 移行させて使用するケースが多いのがペルテス群で、対象に応じて方略を使い 分けるのが健常児群であるといえる。場に応じた柔軟な方略使用の相違がここ に現われている。
B t量の保存性検査
(1)液量の保存性の獲得について
①正答率について
物質量の保存の獲得時期についてPiagetら(1966)は7〜8歳の具体的操作期 であるとし、天岩(1973)は液量、数、長さ、粘土の保存完成時期は、7歳6か 月から8歳5か月の年齢段階であり、なかでも数と液量はほぼ同時期に完成す るとしている。ところで、表10は本検査での液量の保存課題正答率と数の保存 課題正答率を並記したものである。これにより、数の保存は両群ともに、幼稚 園段階からすでに確立していることが結果として得られたので、前述のPiaget らの研究と異なり、数の保存性は液量の保存性に先行することが明らかになっ た。このことは、軽度知的発達遅滞児10名と教室における学力遅進児3名の、
計13名を対象にした両保存検査結果で、同様の傾向が観察されたことからも支 持されるものである。
表10。数および液量の保存検査正答率
学年
数 液量