導入検討理由
・ 賦存量・利用可能量が多い:太陽光・林産系バイオマス・雪氷熱
・ 技術が確立されていること:太陽光
・ 産業振興効果への期待:林産系バイオマス・農産系バイオマス・雪氷熱
⇒新エネルギービジョンでの導入可能性評価に基づいて導入検討が行われている。
⇒導入に一定の条件が必要であっても、技術の確立や産業振興効果があれば導入で きる可能性がある。
太陽光
・ 新エネルギービジョンでの導入可能性評価が最も高い。
・ 導入可能と評価した市町村のうち、約 70%で導入及び導入の検討を実施。
・ 最も多くの市町村で事業化に向けた具体的な取組が行われている。
⇒新エネルギービジョン策定後、導入に向けた取組が順調に進んでいると言える。
バイオマス(林産系・農畜産系)・雪氷熱
・ 太陽光に続いて導入可能性評価が高い。
・ 比較的多くの市町村で導入または導入の検討が進んでいる。
⇒北海道の地域特性を生かしたエネルギーの利用が期待できる。
太陽熱・風力
・ 技術面や設置場所などに制約があり、導入は困難との評価が多い。
⇒現時点での導入はあまり進んでいない。
再生可能エネルギーの導入を検討する際には、技術開発の最新動向や社会情勢の変化な どを踏まえた上で、どの再生可能エネルギーが適しているか見直す必要がある。
(5) フィージビリティ・スタディの追跡調査による事業化状況の整理
① 目的と方法
フィージビリティ・スタディ(実現可能性調査:以下、「FS」とする)は新エネルギーの 導入に向けて事業化可能性の検証を行うもので、道内では平成 23 年 3 月末までに 20 事業者に よって実施されている。
本項では、道内で行われたFSの実施状況、その後の事業化状況及び事業化に係る課題につ いて把握するため、FS実施事業者を対象にアンケート調査を行った。また、必要に応じて電 話による補足的なヒアリング調査を行った。なお、アンケートに未回答の場合は、FS報告書 及び事業者のホームページや新聞報道などから進捗状況などを判断した。
アンケート調査の概要は下記のとおりである。
FSアンケート調査概要
調査期間 平成 23 年 12 月 12 日〜平成 23 年 12 月 22 日 調査方法 FAXによる質問表の送付
回収 FAXまたは電子メールにより回収
対象 FS実施事業者
(自治体及び企業)
発送部数 19
回答数 13
回収率 68.4%
主な設問内容
・ FSの実施内容
・ FS策定後の事業化状況
・ 利用した補助金の種類
・ 事業化に係る課題 など
② FS事業化状況追跡調査の結果
道内で行われた新エネルギー技術に関するFSの実施状況及び事業化状況は次のとおり である。
○FS実施内容と事業化状況
平成 23 年 3 月までに 20 事業が実施され、そのうち新エネルギー技術に関するFSが 13 事例、省エネルギー技術に関するFSが 7 事例である。
■新エネルギー技術のFS実施内容及び事業化状況
技術要素 事業名・事業内容
事業者 分類
FS策定 年度 太陽光発電
地中熱
新エネルギー住宅モデル事業(各戸に太陽光発電地中熱ヒートポンプ設備 を備えた住宅団地の検討)
【札幌市】
民間 2004 (H16) 太陽光発電
地熱発電 排熱利用
町保有施設への太陽光エネルギー及び温泉熱エネルギー導入の実現可能 性の検討
【標津町】
自治体 2009 (H21) 風力発電 洋上風車建設事業化調査(港内への洋上風車設置の検討)
【旧瀬棚町(現せたな町)】
自治体 2000 (H12) 雪氷冷熱 雪氷冷熱利用事業安定化をめざし冬の冷気を利用した低コスト人工雪製雪
とその利用事業調査
【千歳市】
民間 2010 (H22)
雪氷冷熱 雪氷冷熱施設事業化基本調査
【旧風連町(現名寄市)】
自治体 2002 (H14) 雪氷冷熱
地中熱
工業団地オフィスへの雪冷房と地中熱ヒートポンプの導入検討
【札幌市】
自治体 2010 (H22) 雪氷冷熱 牧場豚舎雪冷房事業化調査
【上富良野町】
民間 2010 (H22) 畜産バイオマス バイオガス利用事業化可能性調査
【興部町】
自治体 2010 (H22) 畜産バイオマス
コージェネ
バイオガス施設事業化調査
【浜中町】
自治体 2001 (H13) 木質バイオマス 温泉ホテルにおける木質バイオマスボイラー転換によるエネルギー有効活
用事業
【東川町】
民間 2006 (H18) 木質バイオマス 木質バイオマス利用のハウス栽培事業化調査
【南富良野町】
民間 2008 (H20) 木質バイオマス 木質バイオマスの燃料化森林由来の未利用残材(林地残材土場残材等)と
製材残材等の加工残材やチップ用の原木及び建設発生木材を原料とした BTL 燃料の製造
【釧路市】
民間 2010 (H22)
廃食油(BDF) 公共車両へのBDF導入
【弟子屈町】
自治体 2009 (H21)
合計 13 事業
FS実施事業者
・ 13 事例のうち、約半数の 6 事例は民間企業
・ 民間企業が行ったFSのうち4事例が平成22年度に策定 実施項目
・ バイオマスと雪氷冷熱の事例が過半数を占めている
・ バイオマスの種類としては木質バイオマスと畜産バイオマスが大多数である
■省エネルギー技術の事業化状況及び課題
技術要素 事業名・事業内容
事業者分
類 実施年
ESCO 道有施設における ESCO 事業導入可能性調査
【北海道】
自治体 2005 (H17)
ESCO 公共施設への ESCO 事業の導入検討
【札幌市】
自治体 2003 (H15)
ESCO 市有施設に対する ESCO 事業の導入検討
【帯広市】
自治体 2006 (H18)
熱電供給 スマートエネルギーネットワークにおける分散型エネルギー最
適化統合制御システムの構築
【札幌市】
民間 2010 (H22)
熱電供給 熱・電供給ネットワークによる分散型発電事業化に向けた実施
形態等の調査・検討
【江別市】
民間 2005 (H17)
熱電供給 コージェネレーションシステムによる公共施設の省エネ及び廃
棄物を利用した熱分解ガス化炉の検討
【稚内市】
自治体 2001 (H13) 省エネ設備(ヒートポンプ、コージ
ェネレーションシステムなどの導 入)
小学校や病院、氷冷凍工場など各施設への省エネ設備の導 入検討
【厚岸町】
自治体 2003 (H15)
合計 7 事業
FS実施事業者
・ 7 事例のうち、民間企業は 2 事例のみ 実施項目
・ ESCO事業は、都市部に集中
・ 熱供給が過半数を占める
○事業化状況
すでに事業化済であることが確認されているのは 30%、進行中と思われるもの は 20%であった。
○補助金の利用
20 事例のうち、17 のFSにおいてNEDOなどによる補助金を利用することを想定してい る。
○事業化に係る課題
事業化に当たっての課題としては、採算性が合わないことと技術的制約があげられた。また、
その他の問題としては、会社の経営状況の変化などがあげられた。
補助率 1/2 が 60%、補助率 1/3 が 全体の 20%。
事業化は 3 割程度しか進んでいない。
コストと技術的制約が大きい。
■事業化進歩状況
■FSで想定されている最大の補助率
■事業化に係る課題 不明
5%
停止 45%
進行中 20%
事業化 済 30%
1/2補助 60%
1/3補助 20%
3/4補助 5%
補助なし
5% 不明
10%
技術 41%
コスト 42%
その他 17%
③ FS事業化状況のまとめ
○事業化進歩状況
■FS事業化進捗状況
事業化進捗状況
○各要素技術についての課題及び問題点
FSの調査報告書や事業者へのアンケート調査及びヒアリング調査より得られた各要 素技術についての個別の課題や問題点について以下に整理した。
■各要素技術の事業化に係る問題点
新エネルギーの技術の事業化に係る問題点
・ 事業化済であるのは7事例のみで、事業化はあまり進んでいない。
・ 事業の主な停止理由は、コストと技術的問題。
・ 補助金の利用を前提としていても、採算が合わない場合が多い。
・ 新エネルギー技術の導入については事業化が難しい。
・ 都市部で自治体が進めるESCO事業は、リスクが少なく事業化に結びついている。
太陽光発電、地熱バイナリー発電
・ 住宅への太陽光発電導入を事業化するのは、ライフサイクルでのコスト回収を考え てもユーザーへの負担が大きい。
・ 地熱バイナリー発電は、地下探査調査に多額の費用負担や専門的な探査ノウハウ・
技術が必要。また、初期費用の回収に時間がかかり、リスクが大きい。
洋上風力発電
・ 国内の台数の少ない自己昇降式作業台(SEP)船に係るコストや手配の面で課題 がある。
・ 風強調査時との風速の違いや売電価格の変動といった状況変化により、採算性の確 保ができなくなる可能性がある。
雪氷冷熱
・ オフィスへの設備の導入費用は高く、導入費用に比べ、新エネルギー活用から得ら れる省エネルギー効果は小さい。
農作物貯蔵施設の冷房用途としては、すでに多数の導入実績があり実用化された技 術であるため、取組のハードルが低いものと思われる。
木質バイオマス
・ 低コストで効率の良い資源の回収・運搬方法の開発。
・ 含水率など品質のばらつきの調整といった、燃料の品質規格の平準化が必要。
・ BTL燃料製造の場合、軽油規格を満たすための精製工程にコストがかかる。
畜産系バイオマス
・ すでに草地還元などに利用されており、原料の安定的な確保が困難。
・ 季節や飼養方式の違いなどによるふん尿成分や水分率の変化への対応が必要。
・ 処理や運搬・収集方法、敷料を使用しないことなどについて農家の同意が必要。
廃食油(BDF)
・ 冬期に固まってしまう、保管方法や使用方法に課題。