第2部 PFIの導入手順
Ⅰ 各導入手順における作業内容と留意事項
手順1 導入検討候補事業の抽出、PFI導入可能性調査実施の適否の判断
(1)導入検討候補事業の抽出
・施設の新築、改築等を内容とする事業、かつ、施設整備に要する経費が 10 億円以上の事業
・施設整備に要する経費を含む総事業費が 30 億円以上の事業
(2)事業担当課による導入検討
「PFI導入事前検討シートの作成」
(3)PFI導入可能性調査実施の検討
「最適な事業手法の選択と事業実施条件に関するチェックリスト」に基づくチェック
事業実施のための必要条件 を満たしているか。
Ⅰ 事業実施条件の充足
民間活力の活用によるメリ ットがあるか。
Ⅱ 民活の適切性及びメリット
PFI手法導入に適する 事業内容か。
Ⅲ PFI事業としての適性
(4)事業手法検討関係課長会による評価
「最適な事業手法の選択と事業実施条件に関するチェック リスト」に基づく仮評価の実施(PFI統括担当課)
「定性的評価C」 「定性的評価AorB」 「定性的評価D」
PFI以外の民間活力活用 手法の検討を担当課へ要請
PFI導入を含めた検討を 行うよう、担当課へ要請
調査実施の必要条件を満たす ための調整を行うよう、担当 課へ要請
(1) 導入検討候補事業の抽出
本市においては、まず、次の導入検討基準を設定します。
手 順 1
想定所要期間
- 導 入 検 討 候 補 事 業
の抽出、PFI導入 可 能 性 調 査 実 施 の 適否の判断
(1) 導入検討候補事業の抽出 (2) 事業担当課による導入検討 (3) PFI導入可能性調査実施の検討
(4) 事業手法検討関係課長会による検討・協議 (5) 方針の決定
PFI導入可能性調査を実施するかどうか、必ず検討する事業
原則として、下記の2点を満たす事業を導入検討候補事業とする。
1.施設の新築・改築等を内容とし、かつ、施設整備に要する経費が 10 億円 以上の事業
2.施設整備費に維持管理運営(15 年分)に要する経費を加えた総事業費が 30 億円以上の事業
■ 判定の際使用する施設整備費用及び維持管理・運営費用は、従来手法で市が 実施した場合の金額とする。
■ 維持管理・運営費用は従来手法の年額に 15 年(本市既往事例の最短期間)
を乗じた額とする。
【計算例】
・ 従来手法での施設整備費:15 億円
・ 〃維持管理・運営費(年額):1.5 億円 よって、15 億円+1.5 億円×15 年=37.5 億円
⇒ PFI導入可能性調査を実施するかどうかの検討が必要
■ ただし、次に該当する場合は、検討対象から除外する。
①事業内容や、本市又は他自治体の類似事例を勘案し、民設民営によって行うことが 明らかに可能な事業
②民間事業者が実施することが法的に制限されている事業
③災害復旧事業等、緊急に実施する必要がある事業
この基準に達している事業は、原則として全て「導入検討候補事業」と位置づけられ、
PFI導入可能性調査を実施するかどうか検討を行います。
これまでの導入実績や他の自治体の検討状況などを勘案した結果、本市では、事業者の 創意工夫が十分発揮され高い水準のVFMが実現されるためには、初期投資のみならず、
維持管理・運営費部分を含む総事業費としての基準設定が必要と考えています。「総事業 費 30 億円以上」の根拠は下記のとおりです。
なお、導入検討基準に達していない場合であっても、下記のような場合は例外的に導入 検討候補事業と位置づけることができるものとします。
・ 施設整備費は基準に達していないが、維持管理運営費が大きいため、LCCで30 億円を超える可能性がある。
【事業規模要件設定の理由】
・ 一定の事業規模が必要な理由: 公共サービスの質を確保しつつ財政支出の縮減を 達成し、かつ、民間側の収益確保・投資回収の両立を図るため
・ 施設整備に要する経費を 10 億円以上とする理由: 他自治体の事例を踏まえると、
コスト縮減とサービスの質の確保・向上を図るためには、維持管理運営経費だけで はなく、施設整備費についても少なくとも 10 億円以上の規模が必要
・ 本市既往事例における導入可能性調査結果でのVFMは、
3~8%
程度。・ PFI導入により市側でもサービス提供開始までに少なくとも 1 億円程度の経費(ア ドバイザー経費、人件費等)を要する。
・ サービス購入型の標準的な事業の場合、本市が上記の 1 億円程度の経費を回収する ためには、少なくとも 30 億円以上の事業規模、3%以上のVFM確保が必要と試算 される。これらを勘案し、少なくとも(予定価格と同じであっても)上記経費が回 収できる見込みがあることを、事業実施判断に求められる最低ラインとする。
(なお、民間側でも提案費用や、アドバイザー委託費、金融機関への手数料、法人税、
利子配当などPFI特有の様々な経費が必要になる。)
・ 15 年とする理由: 本市既往事例(事業者選定前を含む)の事業期間(15 年が 3 事 業、20 年が 1 事業、30 年が 1 事業)のうち、最短の 15 年においても、相当程度の 事業規模を確保するためである。
・ 単体では施設整備に要する経費は10億円を下回るものの、他の施設との合築や併設 の選択肢が検討されており、場合によっては10億円を超える可能性がある。
導入検討候補事業の抽出は、以下のように行います。
PFI統括担当課における抽出
次年度予算や実施計画等において、実施計画担当部局等と連携しながら検討対象に なりうる事業をPFI統括担当課が選別し、事業担当課に対して、「PFI導入事前検 討シート」17の作成及び関連資料の提出を依頼します。これらの資料をもとに、PFI 導入可能性調査を実施することが適切な案件かどうか、「最適な事業手法の選択と事業 実施条件に関するチェックリスト」(→49~52 ページ参照)に基づいて検討していきま す。
事業担当課による随時の抽出
上記の基準に該当する事業のうち、実施計画掲載の有無を問わず次年度予算要求を 行う予定がある場合は、PFI導入を含めた事業手法の検討が必要です。事業担当課 は、PFI統括担当課にその旨を連絡し、42 ページの手続きにしたがって検討を進め ていきます。
民間からの事業提案
民間企業からPFI事業の実施そのものを提案されることも考えられます。「PF I基本方針」には、「公共施設等の管理者等は、民間事業者の提案に係る受付、評価、
通知、公表等を行う体制を整える等、適切な対応をとるために必要な措置を積極的に 講ずること。」と示されており、そのような提案があった場合は、適切に対応すること が必要です。
提案があった場合は、まず、PFI統括担当課が窓口となります。その内容を当該提 案の関係部局と協議したうえで、事業手法検討関係課長会に付議し、当該提案の採否を 決定します。
民間からの提案の採用、不採用のいずれの場合も、市は判断の結果及び理由を提案 者に速やかに通知するとともに、提案者の権利・利益等に影響を及ぼさない範囲内で、
提案事業の概要、採否の結果及び理由について公表します。(プロセスガイドライン参 照)なお、提案を採用する場合は、当該提案の関係部署が事業担当課となり、以後の 検討を進めていきます。
17 「PFI導入検討シート」は、チェックリストを踏まえ、事業内容に応じてPFI統括担当課で様式を作 成
(2) 事業担当課による導入検討
PFI導入検討候補事業としてPFI統括担当課又は事業担当課が抽出した事業につ いては、事業担当課が「PFI導入事前検討シート」を作成し、PFI統括担当課に提 出します。PFI統括担当課は検討調書作成に当たって、事業担当課へ助言・支援を行 います。
性能発注を基本とするPFI事業では、施設のおよその規模や機能が固まった段階で 導入を検討します。この時点で詳細な図面を作成することは、実際の募集の段階で提案 者の自由な発想の妨げとなるおそれがあるため、レイアウト図の作成については、仕様 イメージを確認・検証する程度に留めることが必要です。
一般に、一定規模の公共施設の整備は、「基本構想 → 基本計画 → 基本設計 → 実施 設計 → 建設」という段階を経て実施されますが、PFI手法では基本計画策定の前後に 導入について本格的に検討し、設計の段階から事業者が担う形となります。
(3) PFI導入可能性調査実施の検討
次に、PFI統括担当課は事業担当課から提出された「PFI導入検討シート」の内 容を踏まえ、「最適な事業手法の選択と事業実施条件に関するチェックリスト」(49~52 ページ)に従い、当該事業へのPFI導入可能性調査実施の妥当性について検討します。
このチェックリストは、PFI導入可能性調査実施の承認段階、調査結果の評価の段 階(→105~107 ページ参照)、そして特定事業選定の段階(→116~119 ページ参照)に おいて、PFI手法が最適な手法と言えるかどうか、適切な事業実施条件が構築されて いるかを判断する際に活用します。
さらに、このチェックリストは、定性的な評価項目と、定量的な評価項目(VFM)
の組み合わせによって、検討対象事業をA~Dまでの 4 段階で総合的に評価します。各 段階で求められる水準に達していない場合は、次の段階に進むための必要な検討を行う か、他の手法を採用することになります。
4 段階評価の考え方は、下記に示すとおりです。チェックリストの詳細は次ページ以降 をご覧下さい。
A評価:PFI手法が最適な事業手法であると認められる。
B評価:PFI手法にメリットがあると思われるが、一部なお精査を要する条件 があるため、現段階ではPFI手法が最適な事業手法かどうか確定できない。
C評価:直営又は従来型の業務委託等ではなく、さらなる民間活力の活用によっ て効果が期待される事業内容である。
D評価:事業手法の検討を行う段階に達していない。(検討を行う必要性がない)