• 検索結果がありません。

家庭や地域社会との連携

ドキュメント内 小学校学習指導要領解説道徳編 (ページ 115-123)

(「第3章 道徳」の「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」再掲部分を含む)

4 道徳教育を進めるに当たっては,(中略)学校の道徳教育の指導内容が児童の 日常生活に生かされるようにする必要がある。また,道徳の時間の授業を公開し たり,授業の実施や地域教材の開発や活用などに,保護者や地域の人々の積極的 な参加や協力を得たりするなど,家庭や地域社会との共通理解を深め,相互の連 携を図るよう配慮する必要がある。

道徳教育は,学校,家庭,地域社会の三者がそれぞれの役割を果たすことによって,

その充実を一層図ることができる。社会における価値観の多様化が一層進んでいると いわれる現在,道徳教育における三者の連携はますますその重要性を増している。

学校は,まず,家庭や地域社会が道徳教育において果たす役割を十分に認識する必 要がある。そして,そのことを踏まえ,家庭や地域社会との交流を密にし,協力体制 を整えるとともに,具体的な連携の在り方について多様な方法を工夫していくことが 必要である。

第1節 家庭や地域社会における道徳教育とその役割

児童の道徳性は家庭や地域社会を含めたすべての環境の影響によってはぐくまれる ものであり,とりわけ,基本的な生活習慣の確立や規範意識などの基本的な倫理観の 育成,道徳的実践の指導の面では家庭や地域社会の果たす役割は大きい。

1 家庭における道徳教育

家庭は,人格の基礎を形成する場として重要である。子どもは,乳幼児期からの具 体的な体験を通して,保護者に愛着をもつとともに,基本的信頼感をはぐくむみそれ に基づいて心が発達する。家庭で身に付ける基本的な生活習慣や価値観は,その後の 学校生活や社会への適応などにも大きな影響を与える。

(1) 人間らしい生き方の基本の学習

家庭は子どもの人格形成の源となる場であり,主体性をはぐくむ上で心の支えとな る場所である。子どもたちは,礼儀,感謝,思いやりなど人間としての生活に必要な

基本的な道徳的価値を身に付ける。また,家の仕事の分担など子ども自身が担うべき 役割を責任をもって行うことにより,家族の役に立つ喜びや満足感を得ることができ る。そして,主として学校生活の中で,社会性や協調性,社会生活上のきまりや基本 的モラルなどのより幅広い道徳的価値を身に付けていく。学校におけるそうした学習 などを定着させ,より積極的に取り組もうとする姿勢を温かく支えるのは,家庭であ る。

しかし,子どもを取り巻く環境の急激な変化と価値観の多様化が家庭生活にも及び,

子どもの心は不安定になっている。学校が家庭と共に補い合い連携しながら,一貫し た道徳教育を進めることが,特に重要である。

(2) 基本的なしつけ

家庭における道徳教育の基本は,しつけである。しつけの基盤には,保護者の愛情 が不可欠である。子どもをかけがえのない人格として尊重し,温かな愛情で包み込む とともに,保護者自身が信念をもち,毅然とした態度で,善悪や正邪の区別などを正 し,生命を尊重する心,他者への思いやりや社会性,倫理観や正義感などが身に付け られるよう自ら実践しつつ,保護者として求められるやさしさと厳しさをもって,し つけに当たることが望まれる。

そのためにも,保護者が平素からコミュニケーションを密にして,信頼の絆をはぐ くみながら,一貫した態度と信念をもち,おおらかな態度で子どもに接していくこと が重要になる。

また,家庭における道徳教育は,親と子など家族間の心の交流が実体験を通して深 められることが重要である。したがって,家族が一緒に過ごす時間を工夫し,食卓を 囲み食事を楽しんだり,読み聞かせをして共に想像の世界を広げたりするなど,家庭 内で豊かな会話がなされるように,学校からも直接的,間接的に働き掛けていくこと が望まれる。

2 地域社会における道徳教育

地域社会は,様々な人々や集団,多様な文化に触れ,活動しながら,人格を形成し ていく場として重要である。また,急激な社会の変化の中で行動範囲を広げ,多様な 情報に接しながら生きている児童の現実を考えるとき,地域社会が担っている道徳教 育の役割は大きい。

(1) 豊かな体験の機会の拡大

子どもの体験不足が様々な問題を招いている現状から,地域社会において豊かな体 験の機会を増やしていくことが求められている。例えば,近隣の高齢者との触れ合い

を通して,高齢者への尊敬や慈しみの心を育てる。近所の子どもたちとの遊びを通し て,集団生活の在り方を学ぶ。公園で花を育てたり掃除をしたりすることから,自然 愛や公徳心を育てる。このような異年齢集団や異世代の人々との交流など,地域社会 における体験の場は数多く考えられる。

また,乳幼児との触れ合いや自然の中での動植物との触れ合いなどを通して,生命 の尊さや生命を育てることの苦労を実感する機会をもつ。さらに,異年齢集団の中で 行われる体験活動,スポーツ・文化活動,青少年団体の活動などに積極的に参加する ことによって,思いやりや自主性,忍耐力や社会性,規範やきまりなどを学ぶことが できる。特に,豊かな自然の中で行われる体験活動は,自然への畏敬の念をはぐくみ, ボランティア活動は,国際協力,環境保護,高齢社会への対応といった社会問題への 意識を高めることができる。また,働く人々の様子を実際に見学したり,働く体験を したりすることを通して,人としての真摯な生き方や人間の創意工夫のすばらしさ,

協働して物を生み出す営みや勤労の大切さを感得することもできる。

地域には,そのような体験の機会を提供したり,活動を支えたりする各種団体があ り,そこでは,そのための指導者養成や研修事業の推進,施設の整備充実を図ってい るはずである。学校としても,それらとの連携を保つとともに,情報提供や援助など の働き掛けをしていくことが望まれる。

(2) 保護者が子育てを学ぶ機会の拡大

子どもに伝えるべき価値などに確信をもてない保護者などに対して,同じ地域に住 む人々が共に支え合い,子どもを共に育てるために,望ましい子育ての心構えについ て考え学ぶ機会を提供していくように働き掛け,協力していくことが望まれる。経験 者を交えて保護者同士が学び合ったり,必要に応じて専門家を交えて話し合ったりで きるしくみをつくっていくことも大切である。

地域社会における道徳教育は,地域の人々との生活の中にある。児童の生活圏に暮 らす地域の大人の生活や児童に向けられるまなざしが大きく関与している。学校では,

地域の人々の児童理解を深め,多くの子どもたちとかかわりがもてるように地域住民 に働き掛けることはもちろんのこと,地域の自治会や商店会,青少年委員,各種青少 年団体,企業,NPO法人等の関係諸機関などとの連携が深められるようかかわること も求められる。

第2節 家庭や地域社会との連携による道徳教育

学校と家庭,地域社会との連携による指導の効果を高めるには,保護者や地域の人 々との共通理解が欠かせない。また,地域にある団体や施設,企業や学校等との連携 も重要になる。学校で指導した内容は,家庭や地域の生活の中に反映されなければな らないし,逆に家庭や地域での生活が学校の生活に生かされなければならない。

1 家庭や地域社会との協力体制

今日の学校は,地域の教育・文化の拠点としての役割を担っている。これからの学 校教育は,地域に開かれた教育を積極的に展開し,家庭,地域社会と連携した道徳教 育を推進する必要がある。そのためには,地域の教育や文化を共に創り育てるという 意識の下に,よりよい協力体制をつくっていく必要がある。

(1) 主に学校が中心となる連携の推進

学校と家庭,地域社会との連携を成功させるには,まず,道徳教育の意義について の啓発活動を推進することが大切である。その際,共に子どもを育てているという意 識がもてるように工夫する。子どもの道徳性の育成においては,家庭教育や地域での 教育が大切なことを訴え,学校と連携していくことの重要性を理解してもらうことが 大切である。

協力体制を充実させていくには,日ごろの交流が不可欠である。互いの願いや活動 を理解し合うために,「いつでもどこでも」を合い言葉とした開かれた学校の雰囲気 をつくり,授業公開への取組や,広報活動や相互交流の場を増やし定例化していくこ となどが望まれる。例えば,PTAや地域の人々との協力によって,道徳教育について 共に語る会を定例化し,子どもの道徳性の発達や願いについて話し合う機会をもつ。

そして,それらの話合いから生まれた問題点などに着目した体験活動を企画し,分担 しながら運営していくことも効果的である。共通の課題を生み出していくことによっ て,連携の絆や信頼関係が深まり,真の協力体制がつくられていく。

また,道徳性の育成にかかわる講演会や道徳の時間の授業の公開,地域の人々の参 加や協力,地域の諸行事を生かした学校の教育活動等を具体的に進めていくことが,

このような協力体制の原動力となる。

(2) 主に家庭や地域社会が中心となる連携への支援

教育の専門機関としての学校は,責任をもって指導していく立場にあるが,常にす べてを担うものではない。家庭における四季折々の習慣的な取組,地域社会における 諸行事や活動の機会をとらえて,それと学校の諸活動との関連を図った活動や,学校

ドキュメント内 小学校学習指導要領解説道徳編 (ページ 115-123)

関連したドキュメント