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3.2 運転行動のモデル化 .1 PrARX モデル

3.3.1 実験装置

本章で示すデータの取得には,ドライビングシミュレータ(以下DS)を用いた.一般 に,DSとは実際に道路を走行するのではなく,視覚情報,加速度情報および音情報を疑 似的に創り出し,その仮想世界で走行する装置のことをいう.そのため実車では行えない

ような危険,もしくは特殊な条件での走行データの収集を行なうことが可能となるが,一 方で,実際にアシスト系を運用する場合は,シミュレータだけではなく,実車を用いて安 全性の検証などを十分にすべきである.

本研究で使用する Driving Simulator (DS) のシステム構成を図3.3に示す.本システ ムは,3面スクリーンによる前方180の視覚呈示が可能な運転環境シミュレータであり,

以下のような特徴を持つ.

3面,180スクリーンによる広い画像呈示

3面ミラーと後面による広い画像呈示

実車インパネを使用することによる実車の再現

反力呈示可能なステアリング

油圧システムのブレーキを持つペダル操作系

5.1chサラウンドシステムを使用した音響

物理シミュレータを使用することによる実車の挙動の再現 そして,シミュレータに使用しているPCの役割はそれぞれ

PC1:制御系(車両ダイナミクスの計算部)

PC2:スクリーン表示演算用

PC3:最適アシスト量演算用

となっている.また,それぞれのPCはInterface社製Memolinkによってデータの受け 渡しが可能となっている.制御系と表示演算系の構成の詳細を表3.1に示す.制御系に用 いている接続デバイスは,ステアリング,アクセル,ブレーキ,スピーカである.シート は三菱自動車エンジニアリング社から購入した実車のものを運転席内に設置した.ステア リングは市販のものを用いており,左右にそれぞれ450回転する.アクセル, ブレーキ はステアリングとセットになっているものを用いている.インパネ内には速度メータが設 置されており,PC1により制御することでドライバは実際の走行速度を知ることができ る.ただし,本実験では速度メーターを使用していない.

以下に,それぞれのPCの詳細な構成とその働きを述べる.

制御系(PC1)

制御系のPCには,統合制御プログラムが実装されており,車両のダイナミクス計算や スピーカからエンジン音の出力,USBを介してのステアリング,アクセル,ブレーキ操作 情報の収集を行う.自動車への入力装置としてステアリング,アクセル,ブレーキをシー トとともに持ち込みコクピットを形成している(図3.4参照).

3.3 実験条件

SOLVERMILP

Memolink

3.3 DSの構成図

3.1 DSの構成

制御系(PC1) 表示演算用(PC2) 最適化演算用(PC3)

OS Windows XP Windows XP Windows XP

professional professional professional

CPU Core2 DUO E8500 Core i7 950 Pentium 4

3.16GHz 3.07GHz 3.00GHz

メモリ 3.00GB RAM 3.00GB RAM

グラフィック NVIDIA GeForce

ボード GTX 295

接続デバイス ステアリング プロジェクタ ×3 アクセル (前方3画面)

ブレーキ スピーカ 速度メータ

CarSim

車両ダイナミクスはCarSim(ver 5.15)と呼ばれる車両運動ダイナミクス計算ソフト ウェアを用いている.CarSimには様々な入力があり,これを自由に変えることでその条 件を満たす車両の挙動をシミュレーションすることができる.またタイヤを1本ずつ独立 に計算しているため,歩道への乗り上げ等もCarSimを用いることによって忠実に再現し ている.

3.4 DSの運転席

(注:画面ははめ込み合成)

統合制御プログラム

CarSim とその他デバイスのデータの橋渡しのために C++Builderにて作成した.

CarSimとは共有メモリでつながっており,CarSimは統合制御プログラムが共有メモリ

に書き込んだ情報を基に車両ダイナミクスを計算する.その計算結果は共有メモリに書き 込まれ,統合制御プログラムがメモリンクを用いて表示系のPC,および速度メータ制御 用のPCに送信する.またこのプログラムは対向車などの他車の制御もしており,図3.5 に示すコントロール画面により他車の位置・速度等の制御を行なっている.エンジン音は

CarSimの計算結果であるエンジン回転数に応じて統合制御プログラムがDirectXを用い

てエンジン音を生成し,スピーカより出力する.

スクリーン表示演算用PC(PC2)

前方スクリーン映像の計算にPCを1台(PC2)割り当て,表示系プログラムを用意し た.仮想街環境の3次元モデル,車両の3次元モデル,各3次元モデルに描くテクスチャ 画像をあらかじめ用意しておく.表示系プログラムは,Memolinkを通してPC1から受 け取ったシミュレーション結果を基に,現時刻における3次元モデルを組み立てる.組み 立てた3次元モデルを基に,前方スクリーンに投影する映像を作成し,プロジェクターを 通して前方スクリーンに表示する.

3.3 実験条件

3.5 統合制御プログラムのコントロール画面

最適アシスト量計算用PC(PC3)

運転支援量の最適化計算を行う.RS-232Cを用いてPC1から環境情報を取得し,最適

化問題をNU-OPTを用いて解き,PC1へとその解を転送する.ただし本章の実験では運

転支援を行わないため,PC3を用いない.

車内操作機器

今回使用する車内機器としては,ダッシュボードにカーナビ,エアコン,オーディオ

(以下,それぞれNAVI,A/C,AUDIO)の3種類を用意し,図3.2の位置にそれぞれ設 置した.

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