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第 3 章 実験方法 39

3.3 アルファ線による電離・発光収量の測定

3.3.1 実験装置

本実験は、電離電子とシンチレーション光子の同時観測が可能であるような平 行平板型電離箱を用いて行った。図3.16に、実験に用いたチェンバーの模式図を 示す。チェンバーは、高さ85 mm、外径70 mmで、内容積約55 cm3のステンレ ス(SUS304)製容器である。内部には同じくステンレス製の陽極及び陰極が2.8 mmの間隔で設置されている。これは5.49 MeVのアルファ線の飛程の最大値(本 実験での最低密度における値)より大きく、アルファ線とキセノンとの相互作用 はすべて電極間で起こる。

Ar Ar

20.7 2.8

α-source (241Am)

PMT

View port (MgF2)

Alumina caramics Stainless steel

Xe Negative high voltage

Scintillation signal

Ionization signal

14

図3.16: 電離電子・シンチレーション光子観測用の平行平板型電離箱の模式図。数

値の単位はmmである。

陰極は外径33 mmの円板であり、中央に線源を設置するため、直径25.5 mm、

深さ0.25 mmのくぼみが作られている。使用した線源は、241Amのアルファ線源

であり、5.49 MeVのアルファ線を放出する。また、キセノン中へのアルファ線の 放出率を少なくし、シンチレーション発光の収集時間を長く取れるようにするた め、放射能50 Bqの線源を用いている。陰極は、チェンバー下部に取り付けられ たセラミックスの支柱により支えられ、また上部からセラミックスのカバーで押 さえて固定されている。これは電極に高電圧を印加した場合の放電を防止するた めの処置である。チェンバー下部には電流導入端子が溶接されており、陰極に高 電圧を印加することが可能である。一方、陽極は外径38 mmのリング状であり、

中央の直径15 mmの領域は直径100 µmのステンレスのグリッド線が1 mm間隔 で張ってある。グリッド部分のシンチレーション光の透過率は90%であり、同時

3章 実験方法 59

に電離電子の収集が可能である。チェンバー上部には、直径27 mm、厚さ8 mm のMgF2製のビューポート(OHYO KOKEN KOGYO)がインジウムでシールさ れて取り付けられており、シンチレーション光子をチェンバー外に透過できるよ うになっている。ビューポートの透過率は、図3.17に示すように、波長120-200 nmについてメーカーにより測定されている。さらに、ビューポートの上部には 光電子増倍管(Hamamatsu Photonics R1080)が設置されており、ここでシンチ レーション光の観測を行う。アルファ線源面とPMTの窓との距離は20.7 mmと なるように設置されている。使用したPMTの主な仕様は表3.2に示されている。

また、PMTの利得と量子効率はメーカーにより較正が行われており、表3.3及び 図3.17に示されている。測定の際には、高圧電源(MATSUSADA HSX-3R5)を 用いて光電陰極に-706 Vの電圧を印加した。この印加電圧では、PMTの利得は 3.79×104である。PMTは、外部の光及び電磁波から遮蔽するため、ステンレス のケース内に収められた。また、大気中の酸素や水蒸気は真空紫外光に対して大 きな吸収係数を持つため[19]、PMTとビューポートの間にアルゴンガスを一定速 度で流し、キセノンのシンチレーション光が減衰しないようにして測定を行った。

0 5 10 15 20

120 130 140 150 160 170 180 190 200

60 65 70 75 80 85 90 95 100

q (%) twin (%)

λ (nm)

Quantum efficiency

Transmittance

Scintillation spectral intensity (arb. unit)

図 3.17: 実験に使用した光電子増倍管(Hamamatsu Photonics R1080)の量子効

q(左軸)及びMgF2ビューポートの透過率twin(右軸)の波長依存性。キセノ

ンのシンチレーション発光スペクトル [20]についても同時に示している。

60 3章 実験方法

表3.2:実験に使用した光電子増倍管(HamamatsuPhotonicsR1080)の主な仕様。 ParameterDescriptionorvalueUnit General Spectralresponse115to320nm Wavelengthofmaximumresponse240nm PhotocathodeMaterialCs-Te- Minimumusefulsize6mmdia. WindowmaterialMgF2- DynodeStructureLinearfocused- Numberofstages10- DirectinterelectrodecapacitancesAnodetolastdynode1.0pF Anodetoallotherelectrodes2.0pF Maximumratings(Absolutemaximumvalues) SupplyvoltageBetweenanodeandcathode1250Vdc Betweenanodeandlastdynode250Vdc Averageanodecurrent0.01mA Ambienttemperature-80to+50 C Typicalcharacteristicsat25 C Cathoderadiantsensitivityat254nm28mA/W Anoderadiantsensitivityat254nm1.4×104 A/W Anodedarkcurrent(after30min.storageindarkness)0.3nA

3章 実験方法 61

表 3.3: 実験に使用した光電子増倍管(Hamamatsu Photonics R1080)の印加電 圧と利得の関係。

電圧(V) 利得 500 4.23×103 750 9.24×104 1000 6.93×105 1250 2.96×106