表4.2: 推薦行動の実行時間 行動 実行時間 [分] 起床 15 就寝 240 外出 15 帰宅 15 調理 15 食事 30 片付 15 着替 15 入浴 30 ネット 30 テレビ 30 勉強 60 掃除 30
タの値を示し,表4.4にパラメータの要素番号とその定義の対応を示している.図4.9は 推薦された行動をすべて拒否した場合に対応し,架空人物が事前に定めた行動をとった 結果に等しい.また,表4.3で受入率が高いID12の実験協力者 (図4.21)では,時間経 過に伴いネットサーフィン,掃除,身体的状態に関するパラメータの値が増加している.
一方で,ID4のように全体的に受入率が低い場合は図4.9のように掃除,身体的状態に関 するパラメータの値が下降傾向にあることがわかる.
表4.5は実験協力者別の平日,休日の平均受入率を示す.実験日数の関係から,事前に 設定した架空人物の行動は平日,休日で変化しないようにしている.加えて,表4.5にお いても,受入率の違いはほとんどないといえる.
システム,モジュールごとの行動に関する受入率をそれぞれ図 4.26-4.29 に,アン ケートの設問 4に対する回答を表4.7に示す.図4.26 からわかるように,昼食の片付 (wash lunch)と夕食の調理 (cook dinner)については推薦されなかったが,それ以外は 正しく推薦されており,最も低い就寝や昼食の調理でも0.6程度の受入率が確認できる.
表4.7では良かった行動として掃除,勉強,就寝,入浴,食器の片付などが挙げられてい るが,掃除や勉強,入浴はルールベース,食器の片付はスケジューリングにより推薦され ている.図4.27,4.28からこれらの行動の受入率は比較的高いことが確認でき,システ ム全体の受入率に貢献していると考える.一方で,表4.7中の不要な行動として,ネッ トやテレビなどが挙げられている.図4.27,4.29から,これらはルールベースと行動パ ターンにより推薦されているが,行動パターンによる推薦のほうが受入率が低いことがわ かる.さらに,アンケート中の自由記述にも行動パターンにより推薦されたネットが不 要とあることから,行動パターンによる推薦がシステム全体の受入率低下に繋がっている と考える.このような結果になった原因として,APPMにおけるprefixを文字列string としたことが挙げられる.これにより短期的な行動パターンが考慮されず,比較的長時 間行っていたテレビ視聴とネットサーフィンの推薦が支配的になったと考えられる.こ の改善案として,prefixの調整などが考えられる.
図4.7: 受入率の推移
図4.8: 実験協力者別の受入率(5点移動平均)の推移
実験協力者ごとの累積身体健康度,累積精神的健康度,累積環境快適指数の平均値,提 案システムによる推薦をすべて受入れた場合,すべて拒否した場合,推薦モジュールを行 動パターン,スケジューリング,ルールベースのみにし,推薦をすべて受け入れた場合の 累積値をそれぞれ図4.30-4.32に示す.これらの値は実験期間における各状態の値の和を 全時点で最大値をとったとした場合の最大累積値で正規化したものである.累積身体健 康度,累積精神的健康度,累積環境快適指数の平均値はすべて拒否した場合,つまり,推
表4.3: 実験協力者別の受入率の推移
ID 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 avg
1 0.78 0.62 0.55 0.62 0.60 0.60 0.75 0.62 0.57 0.73 0.50 0.58 0.46 0.71 0.62 2 0.70 0.75 0.73 0.78 0.58 0.83 0.89 0.60 0.88 0.67 0.89 0.56 1.00 0.83 0.76 3 0.80 0.62 0.64 0.50 0.50 0.71 0.50 0.75 0.44 0.75 0.86 0.55 0.64 0.67 0.64 4 0.35 0.47 0.28 0.18 0.44 0.23 0.23 0.28 0.45 0.28 0.30 0.53 0.47 0.11 0.33 5 0.70 0.73 0.70 0.50 0.67 0.50 0.67 0.62 0.50 0.54 0.58 0.67 0.54 0.60 0.61 6 0.55 0.78 0.64 0.88 0.67 0.50 0.88 0.83 0.75 0.80 0.88 0.92 0.83 0.67 0.75 7 0.57 0.60 0.80 0.57 0.53 1.00 0.67 0.27 0.50 0.54 0.75 0.29 0.55 0.55 0.58 8 0.50 0.89 0.67 0.75 0.69 0.62 0.62 0.77 0.70 0.89 0.67 0.62 0.73 0.62 0.70 9 0.75 1.00 0.88 0.89 1.00 1.00 1.00 0.88 0.75 1.00 0.90 0.82 1.00 1.00 0.92 10 0.60 0.36 0.40 0.50 0.58 0.45 0.45 0.58 0.60 0.60 0.70 0.44 0.71 0.67 0.55 11 0.58 0.55 0.50 0.58 0.46 0.56 0.50 0.42 0.40 0.73 0.70 0.62 0.55 0.33 0.53 12 0.89 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 0.83 1.00 1.00 1.00 1.00 0.83 0.97 13 0.82 0.62 0.89 0.78 0.91 1.00 0.89 0.88 0.75 0.92 0.89 0.79 0.70 0.83 0.83 14 0.70 0.75 0.70 0.57 0.73 0.50 0.88 0.62 0.60 1.00 0.73 0.69 0.90 0.62 0.71 15 0.78 0.88 0.67 0.60 0.73 0.40 1.00 0.75 0.67 0.70 0.50 0.31 0.38 0.71 0.65 16 0.70 0.86 0.75 0.78 0.80 1.00 0.78 0.78 0.88 0.85 0.70 0.82 1.00 0.86 0.82 avg 0.67 0.72 0.67 0.66 0.68 0.68 0.73 0.67 0.64 0.75 0.72 0.64 0.72 0.66 std 0.14 0.18 0.18 0.20 0.17 0.26 0.23 0.21 0.16 0.20 0.18 0.20 0.22 0.21
図 推薦を全て受け入れなかった場合 の推移
図4.10: ID1の推移
図4.11: ID2の推移
図4.12: ID3の推移
図4.14: ID5の推移
図4.15: ID6の推移
図4.16: ID7の推移
図4.18: ID9の推移
図4.19: ID10の推移
図4.20: ID11の推移
図4.22: ID13の推移
図4.23: ID14の推移
図4.24: ID15の推移
表4.4: パラメータの要素番号とその定義 要素番号 定義
0 起床の生起確率に関するパラメータ (µa1s) 1 就寝の生起確率に関するパラメータ (µa2s) 2 外出の生起確率に関するパラメータ (µa3s) 3 帰宅の生起確率に関するパラメータ (µa4s) 4 朝食調理の生起確率に関するパラメータ (µa5s) 5 昼食調理の生起確率に関するパラメータ (µa6s) 6 夕食調理の生起確率に関するパラメータ (µa7s) 7 朝食の生起確率に関するパラメータ (µa8s) 8 昼食の生起確率に関するパラメータ (µa9s) 9 夕食の生起確率に関するパラメータ (µa10s) 10 朝食片付の生起確率に関するパラメータ (µa11s) 11 昼食片付の生起確率に関するパラメータ (µa12s) 12 夕食片付の生起確率に関するパラメータ (µa13s) 13 着替の生起確率に関するパラメータ (µa14s) 14 入浴の生起確率に関するパラメータ (µa15s)
15 ネットサーフィンの生起確率に関するパラメータ (µa16s) 16 テレビ視聴の生起確率に関するパラメータ (µa17s) 17 勉強の生起確率に関するパラメータ (µa18s) 18 掃除の生起確率に関するパラメータ (µa19s) 19 身体的状態に関するパラメータ (cp)
20 精神的状態に関するパラメータ (cm) 21 環境的状態に関するパラメータ (ce)
薦システムが無い場合の値より上回っており,提案システムがwellbeing向上に貢献し ていることがわかる.また,累積精神的健康度,累積環境快適指数に関しては提案シス テムによる推薦をすべて受入れた時の累積値が各推薦モジュールを単体で利用した場合 よりも高くなっていることから,推薦モジュールを複数組み合わせることでより大きな
wellbeing向上を実現していると考えられる.
実験協力者ごとの実験終了時 (14日経過後)の累積身体健康度,累積精神的健康度,累 積環境快適指数をそれぞれ図4.33, 4.34, 4.35に示す.図 4.31-4.33の横軸は実験協力者 のID,縦軸は累積値を示す.ID の並びは実験協力者の受入率を昇順にした時と対応し ている.図4.33-4.35のAll no (赤線)は推薦された行動を架空人物が全て拒否した場合
表4.5: 平日,休日の平均受入率
ID 平日 休日
0 0.00 0.00 1 0.62 0.60 2 0.73 0.76 3 0.60 0.68 4 0.34 0.26 5 0.63 0.58 6 0.73 0.78 7 0.52 0.67 8 0.69 0.74 9 0.91 0.91 10 0.54 0.54 11 0.50 0.62 12 0.96 1.00 13 0.81 0.88 14 0.71 0.75 15 0.61 0.61 16 0.84 0.78
図 システムの行動別受入率
図4.27: ルールベースの行動別受入率
図4.28: スケジューリングの行動別受入率
の結果を示す.図4.33-4.35において,14日経過後の累積身体的健康度,精神的健康度,
環境快適指数の全てでAll noを上回っており,提案システムを導入することで,当該架 空人物の3状態を向上させる結果を示している.
表4.6: アンケートの回答
設問 非常にそう思う そう思う どちらとも言えない そう思わない 全くそう思わない
推薦によりwellbeingが改善されたと思うか 5 8 0 1 0
推薦は満足いくものだったか 3 6 7 0 0
推薦説明が意思決定に影響したか 3 10 2 0 1
推薦の頻度は適切だったか 3 8 4 1 0
図4.29: 行動パターンの行動別受入率
表4.8は受入率と身体的,精神的健康度,環境快適指数とのピアソンの積率相関係数r を示す.xi, yi をそれぞれ協力者 i (∈ {1, ...,16})の受入率,累積 wellbeingとし,x,y
表4.7: 推薦されて良かった行動,推薦の必要がないと感じた行動に関する回答
掃除 勉強 就寝 入浴 食器の片付 更衣 食事 料理 ネット テレビ 良かった行動 10 7 7 5 5 2 1 1 1
不要な行動 1 1 2 11 3
間の相関を求めている.
図4.31: 累積精神健康度
図4.32: 累積環境快適指数
表4.8: 受入率との相関係数
身体的健康度 精神的健康度 環境快適指数 相関係数 0.56 0.06 0.58
図4.33: 実験協力者ごとの累積身体的健康度
図4.35: 実験協力者ごとの累積環境快適指数
表4.8から受入率と身体的健康度,環境快適指数との間に正の相関があり,推薦された 行動を実施することにより,これらの状態が改善されることがわかる.一方,受入率と精 神的健康度の間には相関はなく,推薦された行動をとっても当該状態が改善されるわけ ではないことがわかる.架空人物の設定に,早く就寝したい,綺麗な状態を維持したいと あるため,実験協力者は身体的健康度と環境快適指数を意識して推薦行動の取捨選択を していたが,精神的健康度に関する明示的な記述はないため,このような結果になったと 考えられる.