111 キ ー
4.2.2 実験方法 (a)供 試接着剤
本研 究では、前節 と同様 の
2種
類 の EPVAcを 使用 した。A10は AA tt PVAを 保護 コロイ ドに、N10 は部分ケ ン化 の一般 PVAを それ に使用 した EPVAcで ある。PVAの ケン化度 はAAtt PVAが 96.lmol%、一般PVAが 87.7mol%、 重合度 はそれぞれ 1200、 1570で ある。作製 した EPVAcの 樹脂率は ともに 45%、 フィル ム中のPVA量は ともに
11%で
あった。架橋斉JにはpMDI(東洋 プ ライ ウッ ド(株)製、 商品名U‑1、 ジブチル ア ミン塩酸法30によ り実測 したイ ソシアネー ト基量:6。 71× 10 3m01/g)を 使用 した。(b)接
着剤 の配合お よび接着剤 フィル ムの作製条件A10、 N10に架橋剤 を所定量添加 し、 よく混合 した。配合 した接着剤 を深 さ lmmの テ フロン製 の 型 に流 し込み、20℃・65%Ro H.の 恒温恒湿室で1日放置 して厚 さが約 0.4mmの フィル ムを作製 し た。その後 フィル ムを60℃で 3日 間、100℃で
2時
間、120℃で2時
間‑24時
間、140℃で2時
間 それぞれ力日温 した。 なお、比較 として20℃で1週間放置 した フィル ム も作製 した。(c)接
着剤 フィル ムの各種試験①動 的粘 弾性 の測定
約8 mm× 20111mにカ ッ トした接着剤 フィル ムを20℃の真空乾燥機 に入れ、lmmHg以 下の減圧 下で
約 3日 間乾燥 して水分 を除去 した。動的粘弾性 の測定は レオ ログラフソ リッ ド((株
)東
洋精機製 作所)を
用 いて、周波数 10Hz、 昇温速度 2℃/分
で、‑50℃‑200℃
の温度範 囲で行 つた。測定 中、炉 内の結露 を防 ぐために窒素ガスを流入 した。 なお、86%Ro H.に て調湿 したフィル ムについて も 同様 に測定 を行 ったが、 この場合 は窒素ガスは流入 していない。
②吸湿試験
接着剤 フィル ムを約20111m× 20mmに カ ッ トし、全乾重量 を測定 した。次 に、前節 同様 に各種塩 の 飽和水溶液水蒸気 によ り恒量 に達す るまで約 3ヶ 月間吸湿処理 を行 い、吸湿前後 の重量差か ら吸 湿率 を算 出 した。
なお試験片 は各条件3片とした。
③溶 出試験
接着剤 フィル ムを約2011m× 20mmにカ ッ トし、全乾重量 を測定 した。最初 にフィル ム中の酢酸 ビ ニル樹脂 を溶 出 させ るために、50ml容共栓付 き三角 フラス コに接着剤 フィル ム3片を投入 し、そ
こにアセ トン 30mlを 入れた。40℃ の温浴 中で、120往 復
/分
で8時
間振 と うした。一旦 フィル ム を乾燥 し全乾重量 を測定後、PVAを溶 出 させ るため、同 じフィル ムを80℃の蒸留水 中で8時
間同 様 に振 と うした。最後 に再度全乾重量 を測定 し、各抽 出前後 の重量差 か ら以下の式 を用 いて溶 出 率 を算 出 した。 なお試験片 は各条件 3片とした。溶 出率
= 100
Wb:キ
由出前の全乾重量Wa:キ
由出後の全乾重量(d)木
材接着試験供試材 にマカ ンバ (胸ινん
姥χttθだθzゴ∂″∂ REGEL、 平均気 乾密度 0.70、 含水率
9%)を
用 いた。A10と N10に対 してpMDIを所 定量添加 し接着剤 とした。塗布 量 は約280g/m2、 圧締圧力 はlMPaと
し、20℃で 1日 圧締後解圧 し、シングル ラ ップ引張 りせ ん断型試験片 を作製 した。その 後 、20℃で1週間、60℃で 3日 間、120℃で2時
間‑24時
間それ ぞれ力日温処理 を行 った。接着試 験 は常態お よび室温水 1日 浸せ き処理後 、荷重速度 1011m/minで行 い、接着 強 さと木破 率 を求 めた。なお、試験片数 は各条件
8本
とした。4.2。
3
結果 と考察(a)動
的粘 弾性N10お
よびA10に
pMDIを5部
添力日し、加 温温度 を変 えて硬化 させ た フィル ムの動 的粘 弾性 を、それぞれFige 4.2。 1およびFig。 4.2。 2に示す。PVAcのガ ラス転移 に由来す る
E"吸
収 ピー クは、全 てのサ ンプル でほぼ同 じ50〜 54℃に出現 した。これ は保護 コロイ ドの種類や加温温度 の違いに かかわ らず共通 した挙動 であった。 また、PVAのガ ラス転移 に由来す る
E"シ
ョル ダー は70℃付 近 に出現 したが、 このシ ョル ダー は20℃お よび60℃加 温 ではN10、 A10と もに大変小 さく、また ほ とん ど同様 の挙動 を示 した。ところが、120℃加 温 フィル ムでは これ らと若干異 な る挙動 が観察 され、特 にFig.4.2.2の
A10では120℃加 温 フィル ムのみE"シ
ョル ダーが120℃付近 までシフ トした。 これ はAA tt PVAと pMDIが反応す るには、60℃で 3日 程度 の加温では温度 または時間が 十分 でな く、120℃程度 の加 温 に よ りAA tt PVAの 反応 が活発 にな るため と考 え られ る。また、A10 では全 ての加 温条件 で高温域 のE'に
ゴム状平坦部が観測 された。N10も 120℃加 温ではPVAのE"
シ ョル ダーが若干高温域 にシフ トし、高温部 の
E'が
比較的高 く保持 され たが、A10ほ
どではな かった。ところで、AA tt PVA中 の
AA基
は、乳化重合 時に酢酸 ビニル樹月旨内に結合す なわちグラフ ト重 合 され る と思 われ るが、 この よ うに保護 コロイ ド (AA tt PVA)と エマル ジ ョン樹月旨である酢酸 ビ一‑74‑―
ニル樹脂 がグラフ トす ることで、エマル ジ ョンの安定性や フィルムの物性が向上す ることが考 え られ る。しか し、乳化重合時に
AA基
が全 て グラフ トされ て しまえば、接着剤 として使用す る際 に、pMDIと の反応 に寄与す る
AA基
が無 くなることになる。そ こで、乳化重合時にAA基が全て消費 さ れ るのか否 かについて以下の よ うに考察 した。Fig.4。 2.1と Fig。4.2.2の
比較 によ り、N10よりもA10の方 が よ り架橋構造 が発達 してい ることは事実であ り、これ には
AA基
の存在 が大 き く関 わつてい るもの と思われ る。AA基
が架橋密度 を向上 させ る理 由 として、AA基
がフィル ム作製 時に 添力目され た pMDIと 反応す ること、お よび残存AA基
が糊液 中でpMDIの分散性 を向上 させ 、pMDI の反応性 を向上 させ ることの2点
が考 え られ る。これ らの ことが起 こるためには、AA基
は乳化重 合 時に全 て消費 され るのではな く残存 してい ることが必要であ り、本実験結果か らもその ことが 示唆 され る。 ただ し、 これ らの ことはグラフ ト率の大小 に大 き く影響 され るものであ り、そのグラフ ト率 については以後 の
(c)溶
出率 にて述べ る。■︵
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Tern酔像Fat饉聡(℃)
1■105 lxl0a
0 50 1oo 150
Temperature(℃)
Fig. 4.2. 1 Dynamic viscoelastic properties of pMDI added N10 films cured atvartous
conditions.
Note : E' : Storage modulus, E":
Loss
modulusFig.
4.2.2
Dynamic viscoelastic properties of pMDI added A10 films cured atvanousconditions.
Note : Refer to Fig. 4.2.I
次 に、pMDI添力日量が フィル ム物性 にお よばす影響 を検討す るため、pMDI添力日量 を変化 させ て作 製 したA10フィル ムの動的粘弾性 をFig.4.2。 3に示す。なお、加 温処理 は120℃で
2時
間 とした。予 め行 つたpMD15部添力日A10の 120℃加温 フィル ムの動的粘弾性 では、加温時間が長 くなるにつ れ て、
PVAの
ガ ラス転移 に基づ くE"ピ
ー クが高温側 にシフ トす る とともに高温域 のE'が
高い 値 を示す こ とが確認 された。前節 のpMDI未添力日系 において も同様 の傾 向が見 られ るので、この現 象 は主剤 中のPVAの 自己架橋 によるもの と考 え られ るが、ここではそれ に pMDIと の反応 が重 なっ た こ とが考 え られ る。Fig。 4.2.3による と、PVAcのガ ラス転移 に由来す るE"吸
収 ピー クは、全 てのサ ンプル で51℃〜55℃に出現 し、pMDIの添加 に伴 ってやや高温側 にシフ トす る傾 向が見 られ た。酢酸 ビニル樹脂 は架橋剤 である pMDIと は反応 しない と思われ るが、pMDI添
力日系 において若干 の温度 シフ トが見 られ るのは、酢酸 ビニル樹月旨にグラフ トしたPVA7のがpMDIの添力日に よ り架橋 したた め と考 え られ る。 なお、酢酸 ビニル樹月旨エマル ジ ョンの乳化重合時に保護 コロイ ドである
PVAが
酢酸 ビニル樹月旨中にグラフ トされ る現象 は本橋 らも認 めてい る7つ。̲方
、PVAの
ガ ラス転移 に由来す る
E"シ
ョル ダー は、pMDI添
力日量が増加す るのに伴 って大 き く高温側 にシフ トした。120℃で加 温 した場合 には 20℃硬化 に比べ て主斉Jのみで も動 的粘 弾性 に変化 が見 られ るこ とは前 節 で報告 したが、pMDIを添力日す る とさらに この変化 は大 き くなった。また、180℃
‑200℃
付近 に 架橋 ポ リマー特有 の ゴム状平坦部 が観察 され 、pMDI添力日量 の増加 に伴 って ゴム状平坦部 の弾性率 が高 くなった。 これ はPVAの水酸基お よびAA基
に架橋 が形成 され ることや、pMDIと 水 とが反応 して皮膜 中に生成 され るユ リア結合 な どのNCO誘導体 の効果 に よるもの2の と推察 され る。pMD15 部添力日系で比較す る と、Fig.4.2。 1に示 したN10よ りもFig.4.2.2に
示 したA10の方 が高温部 でのE'値
が高 く、またPVAに基づ くE"シ
ョル ダーが高温側 に大 き くシフ トしてい ることか ら、A10の方 が N10よ りも架橋密度 が高い こ とが示唆 され る。なお、PVAは結 晶化 に よ リフイル ムの弾 性率や接着性能 が大 き く影響 され ることが考 え られ る。本研究では 120℃の加温処理 を行 ってお り、その際にPVAの結 晶化 が起 こつてい る可能性 を否定で きないが、その結 晶化度 は熱処理温度 に一義的 に支配 され 、熱処理 時間 を長 くして も一定の結 晶化度以上 に上 げ るこ とはで きない 3"
といわれ てい る。また、100℃付近での熱処理 では結 晶化度 の上昇 は極 めて僅 かであ り、結 晶化度 を上昇 させ るには180℃以上 の熱処理 をす る必要 がある7の ともいわれ てい る。本実験での養生処 理温度 は最高120℃であ るこ とや 、
AA基
が導入 され てい ることを考慮す る と、本実験 にお ける加 温処理 では結 晶化度 にはほ とん ど影響 がない もの と思われ る。08 07 06
ヒ︵
\z
︶ ふ回
1x1 0lo
1x10e
1xl04
pMDi dosage 鬱=:3ase reSn 麟■ 1 5phr
△A:1 0ohr
▼ ▽
IPI
0 50 100 150
Temperature
(t)
lx1 011
lx1 01°
lx1 09
lxl。5
瑳︵
\ Z︶ ま回
‑50 200
Fig。 4。 2。3 Dynamic viscoelastic properties ofpMDI added A10 flllns cured at 120CC for 2 hrs.
Note:Refer to Fig。 4。 2。1
pMDIを 5部添力日し、 120℃ で
24時
間加 温 したN10、 A10の全 乾 お よび86%R.H.調
湿 フ ィル ムの動 的粘 弾性 を、 それ ぞれ Fig.4。 2。
4お
よび Fig.4.2。 5に示 す 。 なお調 湿 フ ィル ム は前節 同様 、―‑76‑一