第4章 非同期型 e-learning 特有の学習行動を利用した
4.3 実験
4.3.2 実験の結果
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6 人の被験者のうち,被験者 A~C にはビデオ 1 を,被験者 D~F にはビデオ 2 を用い て実験を行った.非同期型 e-learning コンテンツによる学習を始める前に,被験者た ちにはいくつかの指示を行った.
1. PC の環境は,Windows 標準インストール+Microsoft Office 程度であること.
2. ビデオの総時間(ビデオ A は 26 分 20 秒,ビデオ B は 11 分 26 秒)を伝えるが,あ まり時間を気にせず自分のペースで勉強してもらって良い.また再生が終わった後も必 要で有れば勉強して良いこと.
3. 受講中は一時停止や巻き戻しなど自由にビデオ操作を行って構わない.また,ビデ オを見ている最中や終わった後に,必要であれば他のアプリケーションを用いて学習し ても問題無いこと.
4. 学習終了後には,内容確認の試験を行うこと.
5. 全体として,e-learning 形式の講義を受け,翌日に試験を受けるような想定での学 習を行うこと.
4 項目の内容確認のテストに関しては,客観的難易度の評価になるため,試験自体は 実際には行わないものであるが,学習者が講義ビデオを視聴して学習を行う際に,一定 以上の真剣味を持って臨んでもらえるようにするための指示となる.また,被験者には 受講にあたって,シャープペンシル,ボールペン(黒・赤・青),ルーズリーフ,電卓 を自由に使えるよう用意した.
図 グで ある 示し ライ 側に 4.5 の 停止操 ない
各被 とタ こで 録画
実験者 被験者 たく
4.5 は一本 講義ビデオ
.鎖線の部 た被験者 B ンの 7 分あ 書かれてい の場合,タイ
操作を行っ
.
被験者に対 イムライン 一時停止し しておいた
者:「何故こ 者C:「式の て.でない
本の矢印によ オの「巻き戻 分が巻き戻 の場合,学習 たりで,タ いる数字は,
イムラインの ている.ま
対してはe-le ンの移動を行 したのか」と たPCの画面を
ここで,一時 変形で,こ とわけがわ
図 4.5
より,学習を 戻し」「早送り 戻し操作,破
習を開始し イムライン
そこで何秒 の 7 分あた
た同被験者
earning講義 行った各箇所 いった形で を一緒に振り
時停止したの うなります からないま
被験者 B の
を開始してか り」「一時停 破線の部分が てから最初 ンの 5 分過ぎ 秒間の一時停
りで最初に 者 B の場合,
義受講後に,
所について,
で,その理由 り返りながら
のですか?
す,て言われ ま先に進ん
の操作履歴
から終了する 停止」の操作
が早送り操作 初に巻き戻し
ぎの位置まで 停止操作を
巻き戻し操 学習の後半
図4.5のグ
「何故巻き戻 由を質問した
ら確認を行っ
」
れたところを んでいってし
るまでの間に 作を行ったか
作となる.例 しを行ったポ で巻き戻して 行ったかを 操作を行う直 半は一時停止
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った.次にそ
をきちんと自 しまう気がし
に,どのタイ かを示したも 例えば,図 4 ポイントはタ
ている.また を示している 直前,58 秒の 止操作を行っ
れた一時停止 たのか」「何 際には,実験 その一例を示
自分の手で計 して.あとや
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イミン もので 4.5 で タイム た線の る.図 の一時 ってい
止操作 何故こ 験中に 示す.
計算し やっぱ
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り自分で一度は解かないと身につかないというか,絶対に後から自分一人で解けないん ですよね」
それぞれの被験者からすべての行動についてのインタビューを行い,確認できた理由 を,行動毎にいくつかのパターンに分類し,下記に示す.
○巻き戻し操作
理由1.見たいポイントへ移動する
理由2.別の再生ポイントを探している途中 理由3.聞き逃した分を巻き戻す
理由 1 については,いずれの場合においても,「わからない」「確認したい」「まだ理 解していない」など,主観的難易度に関わると考えられる発話が見られた.行動パター ンとしては,他の理由と比較しタイムラインの移動幅が大きく,また移動後の再生時間 が長かった.
理由 2 は,自分が見たい再生ポイントを探している途中で数秒間だけ再生して「見た い場所はもう少し前だったな」という感覚ですぐに移動してしまう行動である.こちら に関しては,再生したことに対する積極的な意志は無く,主観的難易度とは明らかに関 係が無いと考えられる.同理由による巻き戻し後の再生時間は,いずれの場合も 10 秒 以内であった.
理由 3 については,言葉が聞き取れなかったり,ノートを取っていたりして聞き逃し た時間だけ巻き戻すケースである.行動のパターンとしてはタイムラインの移動幅が比 較的短く,長くても十数秒程度であった.主観的難易度との関わりについては,「わか らない単語を後で調べるためにメモしていた」というように関連のある行動と,「試験 に出そうだからメモしただけ」「単純に聞き取れなかった」というように特に関連は無 いと考えられる両者があった.
○早送り操作
理由 1.見たいポイントへ移動する
理由 2.別の再生ポイントを探している途中 理由 3.元の再生ポイントへ戻る
理由 1 と 2 に関しては,巻き戻しの理由や行動パターンと同一のものであった.理由 3 については,今見ている部分でわからない箇所があったときに,前の説明に戻り,確 認を終えたら元の箇所に戻るパターンである.例えば被験者Bについて,
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実験者:「何故ここで,巻き戻してこの部分を見ようとしたのですか?」
被験者 B:「新しい式が出てきて,少し今までのいろいろな変数が出てきて,あれ,こ の変数の内容何だったっけと思って,ここでもう一度ちゃんと確認しておかないとまず いなと思って戻りました」
といった理由により巻き戻しを行った後に,元の再生ポイントへ戻っている.理由 1 と 似ているが,「見たいポイントがあるから移動する」というよりは「元のタイムライン に戻る」という要素が強いことから理由を分けて考えた.
○一時停止操作
理由 1.メモを取る時間の確保 理由 2.講義が早くてついていけない 理由 3.自分で解く/覚える時間の確保
理由 1 に関しては,メモを取るために一時停止を行うケースである.メモを取る理由 に関しては,前述のように主観的難易度に関わる理由もあれば,特に関係が無いと思わ れる理由もあった.行動のパターンとしては,一時停止中のキーボードやマウスの入力 が確認できた.
理由 2 については,講義のペースと学習者のペースが合っていないケースである.下 記の発話は,学習者が講義に対して「そのままではついていけない」と感じているので,
講義の改善点でもあり,主観的難易度に関係する箇所であると考えられる.
被験者 E:「(パワーポイントの)アニメーションでわかりやすいとは思うんですけど,
アニメーションが早いのと,どんどんどんどん先に進んでしまうので全然付いて行けな くて.1 ステップごとに一時停止しながら確認していくとよくわかりました」
行動パターンとしては,比較的短い頻度で一時停止を繰り返していて,また一回毎の 一時停止時間も十数秒から数十秒の間に収まっていた.
理由 3 に関しては,学習者が一時停止を行い,教員の説明を少し離れ,自分でそこま での内容を整理して覚えたり,問題や式を解いたり,言葉や概念を覚えるための時間を 確保するケースである.理由 2 は基本的に,講義を聴くための一時停止であるが,理由 3 は自分の行動に時間を使うための一時停止である.ほかの理由と比較して一時停止時 間が長く,15 分以上停止するようなケースも見られた.
○ビデオをバックグラウンドにする 理由 1.メモを取る
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理由 2.わからないことを調べる 理由 3.メモを見る
理由 1 については前述までの通りである.理由 2 に関しては,ブラウザを起動し,わ からない単語や内容を調べるケースである.いずれの場合も,「講義ビデオだけではわ からなかった」という旨の発話が得られ,学習者の主観的難易度や講義改善の点からも 重要なポイントであると考えられる.理由 3 はほかのアプリケーションで取ったメモを 見返して自身で学習する行動である.こちらについてもまだ理解が十分で無いからビデ オを止めて自分のメモを見ながら確認していたという,主観的難易度に関わる発言が見 られた.各行動パターンは,利用するアプリケーションソフトやキーボード・マウスの 入力の有無によって判断することが可能であった.