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ISO Consensus Principle

3.1 実用化の見通し

Muse

細胞は、現在、国内外

50

以上の研究機関が様々な疾患や応用を念頭に置きつつ研究開発 を行っており、近い将来、具体的な実用化が見込まれる。当チームは、再生医療と細胞アッセイ 系の

2

つを

Muse

細胞実用化の大きな柱と位置づけて、事業展開を検討している。

再生医療は、

Muse

細胞を用いた細胞治療、さらには他家未分化

Muse

細胞製剤を最終的なタ ーゲットとして検討している。現在、複数の疾患のモデル動物で

Muse

細胞投与の有効性が確認 されてきており、早ければ

2

年後にもある特定の疾患について、自家未分化

Muse

細胞の投与に よる臨床試験を開始すべく準備を進めている。特に、

Muse

細胞は、あらゆる細胞に分化するこ とができる多能性幹細胞であることから適応となる疾患が幅広く考えられることに加え、造腫瘍 性を有しないことから安全に、かつ未分化なままの状態で簡便に投与できるというメリットを持 ち、再生医療のための有力な細胞ソースとして期待されているところである。

また、近年、動物実験に代わり細胞アッセイに対する期待が高まっているが、細胞ソースをど のようにするかという点が問題となっている。特に入手が難しい細胞については、幹細胞から分 化させたものを活用するという流れが出てきており、

iPS

細胞を用いた細胞アッセイ系の構築は、

国内外でビジネスとして成立しつつある。当チームは、より人体に存在する細胞に近いアッセイ 系の構築に

Muse

細胞が適しているものと考えて、

Clio

を中心にプレマーケティングを行なって いるが、潜在的なニーズの強い

hepatocyte

に加え、当チームが別の

NEDO

プロジェクトにより

確立した

Muse

細胞由来

melanocyte

を用いた

3

次元培養皮膚について非常に高い関心を得てお

り、

1

2

年後のビジネスインを想定しつつ、ある国内企業との提携につき具体化している。

このように、

Muse

細胞は、数年後には、様々な場面で用いられることが想定されているが、

そのためには、

Muse

細胞を大量に供給できることが基盤となる。本サブプロジェクトのテーマ

は、まさにその課題の解決を目指すものであり、その波及効果は、極めて広範囲に亘るものであ

る。

Ⅲ-4-12

当チームは、

Muse

細胞の発見者である出澤、藤吉らを含んでおり、

Muse

細胞の発表前に出願 をしている

Muse

細胞の基本特許の権利を有している。本特許は、職務発明として、出澤、藤吉 らが所属する大学に発明届を提出したものの、大学が権利を継承しない旨の結論を出したことで、

出澤らが個人で出願したものであり、

Clio

が独占的実施権を取得している。基本特許の中には、

Muse

細胞の物質に関するクレームのほか、ストレスを用いた分離方法、

SSEA-3/CD105

を用い た分離方法、再生医療等への幅広い用途等をクレームしており、

PCT

出願等を経て、各国移行を 行い、個別の審査対応をしている。いち早く早期審査請求を行った日本においては、基本特許の クレームのうち、

Muse

細胞の物質特許及び

SSEA-3/CD105

を用いた分離方法について、

2013

1

月に特許が成立した。このことは、少なくとも日本においては、

Muse

細胞を用いた研究開 発やビジネスは、この特許を活用したことになるため、知財戦略上、極めて有意な立場に立った ことを意味している。当チームは、

Clio

を中心として、引き続き基本特許の残るクレームの権利 化を目指すことに加えて、米国等においても物質特許を含めた特許の成立を目指した対応を行な っているところである。

上記のような強い知財を基盤とする本サブプロジェクトであるが、

Muse

細胞の分離方法につ いては、より簡便・安価な方法が発明されれば、分離方法の改良特許として、他の研究機関等が 特許を取得することが可能となる。その国際的な競争の中で、本サブプロジェクトでの

Muse

胞の

characterization

の成果を用いて、いち早く

Muse

細胞の分離方法の改善プロトコルを確立

し、権利化することを目指している。

さらに、このプロトコルを基に、

Muse

細胞供給体制の整備や自動化機器の開発といった、当

初本サブプロジェクト内での実施を検討していた項目を、

Clio

を中心に事業化ベースで実現して

いくことにより、さらなる

Muse

細胞の研究開発さらには実用化を後押ししていくことを想定し

ている。

Ⅲ-4-13

Ⅲ-5-1

【間 葉 系 細 胞 領 域 】

はじめに

多 能 性 を有 する幹 細 胞 は様 々な細 胞 に分 化 する能 力 を有 している。適 切 に誘 導 を行 うこと で神 経 、心 筋 、肝 臓 細 胞 など様 々な細 胞 を得 ることができる。このため、創 薬 における薬 効 評 価 や安 全 性 薬 理 試 験 などの創 薬 スクリーニング、発 生 ・分 化 や疾 患 メカニズムの解 明 、再 生 医 療 への応 用 など生 命 科 学 や医 療 への貢 献 が大 きく期 待 されている。こうした状 況 を踏 まえ、

本 研 究 開 発 は、様 々な細 胞 に分 化 する能 力 を有 するヒト幹 細 胞 の産 業 利 用 促 進 の重 要 な基 盤 となる、品 質 の管 理 されたヒト幹 細 胞 を安 定 的 に大 量 供 給 する技 術 の開 発 を行 う。最 終 的 に、均 質 なヒト幹 細 胞 を大 量 に作 るための基 盤 技 術 に関 する標 準 化 案 を作 成 し、幹 細 胞 によ る臨 床 研 究 の活 発 化 、創 薬 の効 率 化 及 び再 生 医 療 の産 業 化 を目 指 す。その中 で世 界 的 に 高 まっている幹 細 胞 の医 療 及 び産 業 応 用 への期 待 に応 えていくためには、提 供 者 の年 齢 、 由 来 する組 織 の違 いによって異 なる細 胞 を産 業 応 用 、とりわけ再 生 医 療 に利 用 するための品 質 を維 持 ・管 理 しながら大 量 培 養 ・供 給 するシステムの構 築 が課 題 となる。そこで本 研 究 開 発 の中 で、最 も臨 床 に近 い位 置 づけにある幹 細 胞 としての間 葉 系 幹 細 胞 による効 果 的 な治 療 の設 計 や治 療 効 果 の検 証 などに体 系 的 に応 用 可 能 な品 質 カタログデータを構 築 し実 証 研 究 を進 め、間 葉 系 幹 細 胞 を用 いた再 生 医 療 促 進 への貢 献 を目 指 す。

本 研 究 開 発 項 目 は、次 の6種 である。1) 細 胞 増 殖 能 と生 存 率 、 2) 培 養 期 間 の妥 当 性 、 3) 細 胞 の安 定 性 評 価 、4) 細 胞 の純 度 試 験 、5) 細 胞 の造 腫 瘍 性 、6) 間 葉 系 幹 細 胞 培 地 の開 発

研 究 開 発 を遂 行 するに当 たって、6つの小 項 目 を、研 究 開 発 の関 連 性 から2つの中 項 目 に 整 理 することにした。すなわち1)間 葉 系 幹 細 胞 品 質 管 理 マーカーの確 立 (上 記 項 目 1-5)を 包 含 ):1)-5)にあげた各 項 目 の検 証 を目 指 し、「多 検 体 +複 数 機 関 培 養 実 験 」及 びそれらか らのデータ抽 出 を行 う。さらに1)〜5)のポイントを鑑 みて、間 葉 系 幹 細 胞 の品 質 管 理 マーカー を3つ以 上 同 定 する;2)間 葉 系 幹 細 胞 品 質 カタログデータの構 築 (上 記 項 目 1)-5)のデータ 解 析 に基 づき項 目 6) 間 葉 系 幹 細 胞 培 地 の開 発 に繋 げる):1)-5)の検 討 から抽 出 した間 葉 系 幹 細 胞 品 質 管 理 マーカーをもとにした品 質 カタログデータの構 築 を行 う。

本 開 発 項 目 では、間 葉 系 幹 細 胞 培 地 の開 発 を目 標 として研 究 開 発 を開 始 し、培 地 の評 価 系 としてのマーカー開 発 に取 り組 んだが、培 地 開 発 の動 向 調 査 の結 果 、既 に数 多 くの培 地 が開 発 されていることから、まず多 様 な間 葉 系 幹 細 胞 の品 質 カタログデータの構 築 を行 い、

それを培 地 開 発 に繋 げていくこととした。さらに間 葉 系 幹 細 胞 の品 質 ・特 性 判 定 キットの開 発 を行 う。

研 究 開 発 の5年 間 のスケジュールを表 に示 す。

Ⅲ-5-2

研 究 開 発 5 年 間 のスケジュール

Ⅲ-5-3

【研 究 開 発 の実 施 体 制 】

事 業 を担 う研 究 開 発 実 施 の体 制 図 、研 究 連 携 図 及 び研 究 開 発 実 施 主 体 の体 制 表 を以 下 に 示 す。

( 分 担 先 )

図 Ⅱ-2.2-1 研 究 実 施 体 制 図

一 般 財 団 法 人 バイオインダスト

リー協 会

・ 研 究 項 目 :

②ヒト幹 細 胞 の 品 質 管 理 ・ 安 定 供 給 技 術 の 開 発

N E D O プ ロ ジ ェ ク ト リ ー ダ ー

・ 所 属 京 都 大 学 iPS細 胞 研 究 所

・ 役 職 名 副 所 長 / 特 定 拠 点 教 授

・ 氏 名 中 畑 龍 俊

サ ブ プ ロ ジ ェ ク ト リ ー ダ ー

・ 所 属 国 立 成 育 医 療 研 究 セ ン タ ー

・ 役 職 名 生 殖 ・ 細 胞 医 療 研 究 部 ・ 室 長

・ 氏 名 阿 久 津 英 憲 指

示 協

川 崎 重 工 業 株 式 会 社

・ 研 究 項 目 :

① ヒ ト 幹 細 胞 の 安 定 な 培 養・保 存 技 術 の 開 発

株 式 会 社 ニ コ ン

・ 研 究 項 目 :

①ヒト幹 細 胞 の 安 定 な 培 養 ・ 保 存 技 術 の 開 発

大 陽 日 酸 株 式 会 社

・ 研 究 項 目 :

①ヒト幹 細 胞 の 安 定 な 培 養 ・ 保 存 技 術 の 開 発

独 立 行 政 法 人 国 立 成 育 医 療 研 究セン

ター

・ 研 究 項 目 :

①ヒト幹 細 胞 の 安 定 な 培 養 ・ 保 存 技 術 の 開 発

独 立 行 政 法 人 産 業 技 術 総 合 研 究 所

・ 研 究 項 目 :

①ヒト幹 細 胞 の 安 定 な 培 養 ・ 保 存 技 術 の 開 発

国 立 大 学 法 人 名 古 屋

大 学

・ 研 究 項 目 :

①ヒト幹 細 胞 の 安 定 な 培 養 ・ 保 存 技 術 開 発 幹 細 胞 評 価 基 盤 技 術 研 究 組 合

・ 研 究 項 目:① ヒ ト 幹 細 胞 の 安 定 な 培 養・保 存 技 術 の 開 発

② ヒ ト 幹 細 胞 の 品 質 管 理 安 定 供 給 技 術

地 方 独 立 行 政 法 人 東 京 都 健 康 長 寿 医 療 センタ

・ 研 究 項 目 :

①ヒト幹 細 胞 の 安 定 な 培 養 ・ 保 存 技 術 の 開 発

( 分 担 先 )

( 共 同 実 施 先 ) 独 立 行 政 法 人

医 薬 基 盤 研 究 所

・ 研 究 項 目 :

①ヒト幹 細 胞 の 安 定 な 培 養 ・ 保 存 技 術 の 開 発

国 立 大 学 法 人 大 阪 大 学

・ 研 究 項 目 :

①ヒト幹 細 胞 の 安 定 な 培 養 ・ 保 存 技 術 の 開 発

( 再 委 託 先 )

研 究 実 施 体 制 図

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