6.3 性能評価
6.3.1 定量塗布
定量塗布は、設計塗布精度と繰り返し塗布精度の2つに分けることができ、大量生産時、一 定品質の塗布を行う際に、重要な塗布性能となる。
繰り返し塗布精度
繰り返し塗布精度は、複数回塗布を行った際の塗布量のばらつきの少なさである。測定手 法は、約5×5 cm に切り出した、OHP シートに同じパターンを10回塗布し、塗布前後の OHPシートの重量を測定することによって塗布量を測定した。塗布パターンは、ステンシル 法とディスペンサー法はパターン No.3、スタンプ法はスタンプNo.3 を使用した。塗布は、
Araldite 2011の可使時間である90分のうち、10分から60分以内に完了させた。塗布手法と しては、ステンシル法は、ヘラブロックと、塗布治具を用いて行い、マスクを3回に1回、洗 浄を行った。ディスペンサー法は、シリンジに接着剤を入れた後、遠心脱泡を100秒間行い、
粘度上昇を考え、接着剤混合30分後にディスペンサーの圧力を200 kPaから250 kPaに上昇
させた。スタンプ法では、グループールに混合接着剤を入れた後、真空脱泡を行った後、4 N でグループールから接着剤を取り、4 Nで接着剤を塗布対象に押し付け塗布した。測定結果を 表6.2に示す。
表6.2 塗布量測定まとめ
手法 ステンシル法 [mg] ディスペンサー法[mg] スタンプ法 [mg]
試行回数
1 34 32 46
2 26 30 45
3 27 30 44
4 27 30 43
5 25 30 43
6 27 29 40
7 25 28 39
8 26 28 37
9 28 34 40
10 27 32 37
塗布量平均*3 26.6 30.1 41.4
標準偏差 0.86 1.3 2.6
所用時間 30 30 20
この結果より、Araldite2011相当の粘度の接着剤における、連続塗布精度に関しては、ステ ンシル法が、最も精度が良いことがわかった。
考察
ここでは、塗布手法によって連続塗布精度に差が生まれた原因を考察する。考えられるのは、
塗布量コントロールの違いによる粘度への対応の違いである。塗布量は、ステンシル法は、体 積的にコントロールし、ディスペンサー法は押し出す空気圧と吐出時間でコントロールする。
スタンプでは、塗布面積にどれだけの接着剤が付着するかで塗布量が決まると考えられる。本 研究で用いたAraldite 2011の粘度は時間が経つにつれ、上昇し、ディスペンサー法とスタン プ法では、塗布量の減少が見られた。また、塗布終了時の接着剤の切り方も大きな原因の一 つであると考えられる。ステンシル法では、塗布パターンの面をヘラで擦り切るのに対して、
ディスペンサー法とスタンプ法では、塗布対象とノズルやスタンプが離れる際、接着剤は糸 状になり切断される。この違いにより、ディスペンサー法やスタンプ法では糸引きが図6.35、 6.36に示すように、確認される一方、ステンシルでは発生しない。この糸引きによって、図 6.37、6.38に示すような糸引きによるパターンの崩れが確認された。
図6.35 ディスペンサー法での糸引き 図6.36 スタンプ法での糸引き
図 6.37 ディスペンサー法の糸引きによる
ドットの崩れ 図6.38 スタンプ法の糸引きによるドットの崩れ
設計塗布精度
設計塗布精度は設計されたパターンより想定される塗布量と、実際の塗布量との差の小ささ である。本測定はステンシル法で行った。測定方法は約5×5 cmに切り出した、OHPシート にそれぞれのパターンを3回ずつ塗布を行い、塗布前後のOHPシートの重量を測定すること によって塗布量を測定した。本測定では、樹脂製のヘラを用いて行った。ステンシル手法にお いて、異なるステンシルマスクで塗布を行った結果を、図6.39に示す。100µm厚のステンシ ルマスクであれば、接着剤の重量で設計塗布量から7%以内のズレで、塗布を行うことが可能 であることがわかった。これはスペーサーの調整の際に100µmのマスクを用いて調整したた めで、厚みが異なるステンシルマスクもスペーサーを最適化することによって、設計塗布量を 塗布することが可能であると考えられる。
pattern nummber
1 2 3 4 5 6 7 8
applying error [%]
−10 0 10 20 30 40 50
図6.39 ステンシル法によるパターンごとの塗布量安定性
横軸にパターン番号、縦軸に設計塗布量からのズレ、また設計塗布量から±5%を赤線で 示す。