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塗布パターン

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 44-48)

接着剤の塗布パターンに対して、以下の4つの要求が課せられる。

 1つ目に定量塗布が行えることである。手法による部分でもあるが、複雑なパターンのため に塗布量が安定しないものは却下となる。

 2つ目に十分な接着強度を確保できることである。物質量の観点から可能な限り、使用する 接着剤は少量であることが望ましいが、考えられる引き剥がし方向に対する強度は十分である 必要がある。

 3つ目にワイヤーボンディングに影響しないことがあげられる。ワイヤーボンディングで はウルトラソニックを用いて、アルミ線ワイヤーをパッドに合金化するが、このときパッドが 不安定であると、ウルトラソニックが逃げ、うまく結線できないことが考えられる。したがっ て、ワイヤーを打つパッドの下は、ボンディングに影響しない程度に接着されている必要があ る。

 4つ目に気泡が混入しないことがあげられる。空気を閉じ込めるようなパターンの場合、運 用中に閉じ込めた空気が冷却され結露し、金属部分の腐食の原因にもなりうる。また QA試 験において、温度サイクルをかけることで、空気部分の膨張により内圧が変化し、FPCやセ ンサーモジュールに無用な応力をかけることになる。このようなことを避ける為、設計するパ ターンには空気を閉じ込めないような、パターンにする必要がある。

 パターンの評価では、後述するステンシル法を用いて塗布を行った。パターンの比較のため に、ステンシル用マスクを作成し、以下の5つのパターンで比較した。

6.1 No.1 6.2 No.2 6.3 No.3 6.4 No.4 6.5 No.5

6.6 評価用パターン

そ れ ぞ れ の ド ッ ト の サ イ ズ は No.1 : 1 mmNo.2 : 2 mmNo.3 : 3 mmNo.4 : 3 mm No.5 : 1.5 mm2.0 mmである。

6.1.1 比較

ここでは塗布パターンについて定量塗布、強度と接着剤量、ワイヤーボンディングへの影 響、気泡の混入について比較しまとめる。

定量塗布

定量塗布に関しては前述したように手法による部分が大変大きい。したがって定量塗布に関 しては、次節の塗布手法で述べる。

強度と接着剤量

強度に関しては検出器モジュールにかかる力として、90度剥離方向の力が想定される。し たがって、接着幅に比例して強度も増すと想定できるため、接着幅最大に接着剤が広がるパ ターンが良いと考えられる。

ワイヤーボンディングへの影響

本論文では、「ボンディングの成功率」をボンダビリティーと表現する。塗布パターンのボ ンダビリティーへの影響を調べるために図6.8に示すサンプルを製作した。ここで使用したの はFPCのダミーとして、金メッキがされたレーンがあるシール基板と300µmのアルミ板で ある。シール基板を長方形に切りだし、裏面に図6.7に示すように接着剤を塗布する。塗布の パターンとしてはNo2とNo3を行った。その後、第4章で説明した治具を用いてシール基板 とアルミ板を接着し、サンプル完成となる。

 サンプル完成後3 mm、5 mmのワイヤーを1辺54本、ワイヤーボンディングを行った。こ のときのボンディングの成功率を計測する。また、ワイヤー強度を評価するために用いられる プルテストを行い、パッド側とアルミ側のどちら側から切断するか、また切断時にかかった力 について調べた。プルテストとは、プルテスターを用いてワイヤーにフックを引っ掛け鉛直

方向に引き上げ、ワイヤーが切断するまでにかかった力を測定するテストである。 図6.9–図

シール基板 Araldite 2011

接着剤

6.7 ボンダビリティー試験サンプル接着 剤塗布時

シール基板を長方形に切り出し、裏側(金メッ キがない側)に塗布を行う。

6.8 ボンダビリティー試験サンプル 治具を用いて接着を行い、サンプルが完成と なる。

6.12に示すシール基板上に描いた丸部分に、接着剤がある。試験結果として、シール基板側に ボンディングができないことは、なかった。またプルテストした時は、ほとんどアルミ側から 外れた。図6.9-図6.12に示すように、接着剤がない部分箇所でもシール基板側が必ずしも弱 いという傾向は見られなかった。ただし、今回のサンプルではドットの接着剤から接着剤まで の距離は4 mm程度であったので、接着剤同士がそれ以上の距離が離れた場合は保証できない ため、4 mm以内が望ましい。これより必ずしも、ボンディングパッド下に接着剤がある必要 はないということがわかった。ただしどのサンプルも両端部分の片側のみ固定されている領域 は弱く、ボンディングは接着剤間で行う必要があるということが確認できた。

 またアルミ側から切れたものはアルミの表面状態が良くないということに起因するものと考 えられる。今後、ポッティング試験などでボンディングするサンプルの製作が想定されるが、

その際は研磨などで表面状態が良いアルミを使うことが推奨される。

気泡の混入

 気泡の混入は、パターンによるものと手法によるものに大別できる。ここでは、パターン によるものについて考える。ドット状に塗布する場合、接着の際にFPCをセンサーモジュー ルにどれだけ近付けるかで、そのドットの形は変わる。体積が一定であると仮定すると接着後 のドット直径を見積もることができるため、接着後の接着剤の広がりを考えて設計すること で、パターンによる気泡の混入は防ぐことができる。

10 20 30 50

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

0 10 20 30 40 50

Pull Force [g]

Wire Number 40

6.9 ボンダビリティー試験結果1 塗布パターン: No.2、ワイヤー長: 3 mm

10 20 30 40 50

0 2 4 6 8 10 12

0 10 20 30 40 50

Pull Force [g]

Wire Number

6.10 ボンダビリティー試験結果2 塗布パターン: No.2、ワイヤー長: 5 mm

10 20 30 40 50

#3-L3mm

0 2 4 6 8 10 12

0 10 20 30 40 50

Pull Force [g]

Wire Number

6.11 ボンダビリティー試験結果3 塗布パターン: No.3、ワイヤー長: 3 mm

10 20 30 40 50

#3-L5mm

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

0 10 20 30 40 50

Pull Force [g]

Wire Number

6.12 ボンダビリティー試験結果4 塗布パターン: No.3、ワイヤー長: 5 mm

6.1.2 塗布パターンまとめ

塗布パターンについてまとめると、定量塗布性については塗布手法によるところが大きく、

塗布手法によって変化する。強度と接着剤量に関しては、想定される90度剥離に耐えるよう に、接着幅最大に接着剤が広がるパターンとすれば良い。ワイヤーボンディングへの影響で は、接着剤同士の距離が4 mm以下であれば問題はない。しかしFPCの端部分は浮かないよ うに注意する必要がある。気泡の混入に関しては、気泡を閉じ込めないようなパターンを用い れば問題はない。以上のことを、次期FPCであるPigtail型FPC用のパターンに盛り込み、

図6.13 に示すパターンをデザインした。このパターンについての評価は、今後必要になって くる。

6.13 次期FPC用パターン

大きな切れ込みがあるため、それを交わすように塗布パターンをデザインした。高電圧供給 用のワイヤーボンディングパッドの位置もHB型から若干変更してある。

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 44-48)

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