ところがこれはρα(x) ≡0 inR3\ {0}を意味する.つまりミニマイザーρα≡0 となり,Eα =0となる.しかし明らかに Eα <0なので矛盾する.(Eα <0な のは,たとえば∫ Zρ
0(x)e−α|x|
|x| > 0となるρ0(x)に対してEα(λρ0(x))を考えれ ば,λ >0を十分小さくとればEα(λρ0(x))<0となる.)
step2.t ≤1, r ∈ (0, ∞)でrtVα(r), r32tρα(r)は狭義減少関数であることを 示す.
式(47)を代入し計算し,再び式(47)を使いVα(r)に戻せば,
∂
∂r(rVα(r))
= ∂
∂r (
Z e−αr−e−αr
∫ r
0
4πs2ρ(s)sinh(αs)
αs ds
−sinh(αr) α
∫ ∞
r
4πs2ρ(s)e−αs s ds
)
=−αr (Z e−αr
r −e−αr r
∫ r
0
4πs2ρ(s)sinh(αs)
αs ds
)
−cosh(αr)
∫ ∞
r
4πs2ρ(s)e−αs s ds
=−αr (
Vα(r)+sinh(αr) αr
∫ ∞
r
4πs2ρ(s)e−αs s ds
)
−cosh(αr)
∫ ∞
r
4πs2ρ(s)e−αs s ds
<0(0<r<∞).
これよりt ≤1ならrtVαは狭義減少関数.r32tρα(r) =(rtVα)32(r)も狭義減少 関数.
step3.t ≤1,r ∈ (0,∞)でrtVα(r),r32tρα(r)は狭義凸関数であることを示す. 補題4.16と,Vα, ρα∈C∞(R3\{0})から,(∆−α2)Vα(r)=4πρα(r)inR3\{0}. またVαは球対称関数より,∆Vα(r)=(∂r∂22 +r∂r2∂)Vα(r)なので,
∂2
∂r2(rVα(r)) = r∂2Vα(r)
∂r2 +2∂Vα(r)
∂r
= r(−2∂Vα(r)
r∂r +α2Vα+4πρα)+2∂Vα(r)
∂r
= α2rVα+4πrρα>0. (52)
∂2
∂r2(rtVα(r)) = ∂2
∂r2{rt−1(rVα(r))}
= rt−1 ∂2
∂r2(rVα(r))+2(t−1)rt−2 ∂
∂r(rVα(r)) +(t−1)(t−2)rt−3(rVα(r)).
(52)の ∂2
∂r2(rVα(r))>0とstep2の ∂r∂(rVα(r))<0からt ≤1ならば,
∂2
∂r2(rtVα(r))>0.
よってt ≤1ならば,rtVα(r)は狭義凸関数.
∂2
∂r2(rtVα(r))32 =3
4(rtVα(r))−12(∂
∂r(rtVα(r)))2+3
2(rtVα(r))12 ∂2
∂r2(rtVα(r))>0. よって r32tρ(r)=(rtVα)32(r)も狭義凸関数.
step4.α=0でのrtV0(r), r32tρ0(r)が狭義減少狭義凸関数であることを示し ておく.α=0では,
V0(r)= Z r −1
r
∫ r
0
4πs2ρ0(s)ds−
∫ ∞
r
4πs2ρ0(s) s ds. よって,
∂
∂r(rV0(r))= ∂
∂r(Z−
∫ r
0
4πs2ρ0(s)ds−r
∫ ∞
r
4πs2ρ(s) s ds)
=−
∫ ∞
r
4πs2ρ(s)
s ds<0(0<r<∞).
これよりt ≤ 1ならrtV0 は狭義減少関数.r32tρ0(r) = (rtV0)32(r)も狭義減少 関数.
∆Vα(r)=4πρ0(r)inR3\{0}.また∆Vα(r)=(∂r∂22 +r∂r2∂)Vα(r)なので,
∂2
∂r2(rV0(r)) = r∂2V0(r)
∂r2 +2∂V0(r)
∂r =r(−2∂V0(r)
r∂r +4πρ0)+2∂V0(r)
∂r
= 4πrρ0>0.
t≤1でrtV0(r), r32tρ0(r)が狭義凸関数であることを示すのはstep3と同様で ある.
6 定理 2.2(YTF 模型の L
1ノルム制限付き変分問題の
基本定理 ) の証明 .
6.1 定理 2.2(1)(2) の証明 .
3つの補題6.1, 6.2, 6.3を証明し,これらを使い,定理2.2(1),定理2.2(2)を 証明する.補題6.4を証明し,これを使い定理2.2(3)を証明する.
補題6.1 各λ∈ [0, ∞)でEα≤(λ)はただ1つのミニマイザーρ∗α, λを持つ.
(証明)(α=0は[5, Section11. 12]参照)step1.定理2.1(1)よりEα≤(λ) ≥ Eα >−∞から,Eα(ρ1) ≥Eα(ρ2) ≥ · · · →Eα≤(λ)となる最小化列{ρn} ⊂Tλ⊂ T がある.{ρn}は定理2.1(1)の式(38)よりEα(ρ1) ≥Eα(ρn) ≥ 103 ∫
ρn53−CZ
5 2 α12
なので,L53(R3)有界列である.これより部分列(部分列も{ρn}で表記する)
{ρn}とρ0 ∈ L53(R3)が存在しρn ⇀ ρ0とL53(R3)で弱収束する.以上で補題 4.18(1)の仮定を満たすので,ρ0 ∈T かつEα≤(λ)=limn→∞Eα(ρn) ≥Eα(ρ0).
次に∫
ρ0 ≤ λを背理法で示す.∫
ρ0 > λと仮定すると, 有界領域 Aで,
∫ ρ0χA> λとなる χA∈L52 が存在する.一方,λ≥∫ ρn≥∫
χAρn→∫ χAρ0
よりλ≥∫
ρ0となる.この2つが矛盾するので∫
ρ0 ≤λ.これとρ0∈T より ρ0 ∈T≤λ.ρ0 ∈T≤λよりE(ρ0) ≥ Eα≤(λ).
以上ρ0 ∈T≤λとEα≤(λ)=limn→∞Eα(ρn) ≥ Eα(ρ0)とE(ρ0) ≥ Eα≤(λ)か ら ρ0はEα≤(λ)のミニマイザーρ∗α, λ(x)である.
step2.ミニマイザーの一意性とρ∗α, λ(x)が|x|の関数であることをを背理法 で示す.
Eα(ρ)は狭義凸性を持つので,ミニマイザーがρ0とσ0と2つあれば,ρ0+σ2 0 ∈ Tλかつ狭義凸性よりE(ρ0)+E(σ0)
2 >E(ρ0+σ2 0)となり矛盾.
次にρα(x)は|x|の関数である.もしそうでないと,エネルギー汎関数の回 転対称性から,ρα(x)を直交変換したものもミニマイザーとなり,一意性と矛 盾する.
補題6.2 Eα≤(λ)=Eα(λ).
(証明) step1.0< α <∞として証明する(α=0は[5, Section11. 12]参照)
Eα≤(λ) ≤ Eα(λ)は自明なので,Eα≤(λ) ≥ Eα(λ)を示す.∀ϵ >0, ∀ρ∈Tλに対 し,|Eα(ρ) −Eα(ρ′)|< ϵとなるρ′∈T∂λが存在することを示せばよい.∫
ρ=λ の場合はρ′としてρをとればよいので,µ :=∫
ρ < λの場合で示せばよい.
g ≥0かつg ∈ L1(R3) ∩L53(R3)かつ∫
g=λ−µとなるgがとれる.t >0と してρt(x):=ρ(x)+t3g(t x)とおくとρt ∈T∂λとなる.1<r ≤ 53として,
||ρt−ρ||rr =
∫
(t3g(t x))rdx=t3r−3
∫
g(y)dy→0(t→0). (53) step2.
ρt∈T∂λなので,以下で|E(ρt) −E(ρ)| →0(t→0)を示せば証明が終わる.
|E(ρt) −E(ρ)|
≤ |3 5
∫
(ρt53 −ρ53)dx|+|
∫
(ρt−ρ)Z e−α|x|
|x| dx|+|Dα(ρt, ρt) −Dα(ρ, ρ)|.
(54) 右辺各項が0に収束を示す.式(53)より,
|(
∫
ρt53dx)35 − (
∫
ρ53dx)35|=| ||ρt||5
3 − ||ρt||5
3| ≤ ||ρt−ρ||5
3 →0(t →0). (55) ヘルダーの不等式と式(53)より,
|
∫
(ρt−ρ)Z e−α|x|
|x| dx| ≤ ||ρt−ρ||5
3||Z e−α|x|
|x| ||5
2 →0(t→0). (56)
三角不等式,補題4.14,収束列の有界性より,
|Dα(ρt, ρt) −Dα(ρ, ρ)|
≤ |Dα(ρt, ρt−ρ)|+|Dα(ρt−ρ, ρ)|
≤ C′||ρt||5
3||ρt−ρ||5
3 +C′||ρ||5
3||ρt−ρ||5
3
≤ C||ρt−ρ||6
5 →0(t→0). (57)
式(54)(55)(56)(57)より|E(ρt) −E(ρ)| →0(t→0). 補題6.3 Eα(λ)はλ∈ [0, ∞)で広義減少関数,広義凸関数.
(証明) step1.Eα(λ)が広義減少関数であることを示す.
λ < µならばEα≤(λ)=inf{Eα(ρ)|ρ∈Tλ} ≥inf{Eα(ρ)|ρ∈Tµ}=Eα≤(µ). ところで補題6.2よりEα≤(λ)=Eα(λ)かつEα≤(µ)=Eα(µ)なので, λ < µならばEα(λ) ≥Eα(µ).
step2.Eα(λ)が広義凸関数であることを示す.
λ < µとする.補題6.1よりEα≤(λ), Eα≤(µ)にはミニマイザーがあり,これ をρ∗α, λ, ρ∗α, µとする.Eα≤(λ)=E(ρ∗α, λ), Eα≤(µ)=E(ρ∗α, µ)であり,∫
ρ∗α, λ≤ λ, ∫
ρ∗α, µ≤µである.補題6.1step4で述べたようにEα(ρ)は狭義凸関数なの で,0<t <1として,
tEα(ρ∗α, λ)+(1−t)Eα(ρ∗α, µ) ≥Eα(tρ∗α, λ+(1−t)ρ∗α, µ).
一方,∫
(tρ∗α, λ+(1−t)ρ∗α, µ)dx≤tλ+(1−t)µなので, Eα≤(tλ+(1−t)µ)) ≤Eα(tρ∗α, λ+(1−t)ρ∗α, µ).
両式から,
Eα≤(tλ+(1−t)µ)) ≤ tEα(ρ∗α, λ)+(1−t)Eα(ρ∗α, µ)
= tEα≤(λ)+(1−t)Eα≤(µ).
補題6.2より,
Eα(tλ+(1−t)µ)) ≤tEα(λ)+(1−t)Eα(µ).
定理2.2(1)の証明.
定理2.1(1)より全体のミニマイザー ρα があり,λα := ∫
ρα としてρα は Eα(λα)のミニマイザーでもある.これよりλα < λではEα(λ)はミニマイザー を持たない.なぜなら持つとするとEα(λ)のλについての広義減少性から,Eα は2つのミニマイザーを持つことになり,Eαのミニマイザーの一意性に矛盾 するからである.
またEα(λ)のλについての広義減少性とEα(λα)が最小値であることから, λ > λαではEα(λ)=Eα(λα)と一定値になる.
定理2.2(2)の証明. step1.λ ≤ λ0で Eα(λ)はミニマイザーを持つことを 示す.
背理法.Eα(λα)はミニマイザーを持ち,Eα(0)もミニマイザーを持つので,も しある0< λ1 < λαで,Eα(λ1)がミニマイザーを持たないとすると,Eα≤(λ1)の ミニマイザーをρ∗α, λ1として,λ2 :=∫
ρ∗α, λ1 < λ1となる.(もし∫
ρ∗α, λ1=λ1
ならEα(λ1)がミニマイザーを持ってしまうから.)ρ∗α, λ1はEα(λ2)のミニマ イザーρα, λ2 である.よってEα(λ2) =Eα≤(λ1) =Eα(λ1) >Eα(λα)となるが, これはEα(λ)の広義凸性に矛盾する.
step2.λ≤λαではEα(λ)はλについて狭義減少であることを示す. 背理法. 0 ≤ λ1 < λ2 ≤ λ0 で, Eα(λ1) = Eα(λ2)とすると. それぞれのミ ニマイザーをρ1, ρ2 とし, Eα(ρ)の狭義凸性からEα(λ1+λ2 2) ≤ Eα(ρ1+ρ2 2) <
Eα(ρ1)+Eα(ρ2)
2 = Eα(λ1)+E2 α(λ2) =Eα(λ2).これはEα(λ)の広義減少性と矛盾する.
step3.λ≤λ0ではEα(λ)は狭義凸であることを示す.
0≤λ1 < λ2 ≤λ0に対し,Eα(λ1), Eα(λ2)のミニマイザーをそれぞれρ1, ρ2
とする.Eα(ρ)の狭凸性とρ1,ρ2から0<t <1で, Eα(tρ1+(1−t)ρ2)<tEα(ρ1)+(1−t)Eα(ρ2). つまりEα(tλ1+(1−t)λ2)<tEα(λ1)+(1−t)Eα(λ2).