5.1 電磁石部のパラメータ
5.1.2 定常ギャップ近傍特性
表5.1.1では kx;ki が Kx;Ki の約 1 倍もしくはそれ以上であり, 不確かさとして見た 場合には大きすぎることが分かる. これは次章で詳細を解説するが, 吸引力を平衡点近似 しているため全体的に変化をとらえると, 大きな変動を有してしまうためと思われる. そ こでさらに, 定常ギャップ 5.00mm から60.70mm の範囲で測定を行なったときの各パラ メータを表5.1.2に示す.
表5.1.3: Parameters of (gap= near5mm)
Symb ol Value Unit
X 5:00210 03
m
x
0
02:00210 03
m
I 0.70 A
k 1:37210 04
Nm 2
/A 2
K
x
6:86210 3
N/m
K
i
25.2 N/A
表5.1.4: Parameters of (gap= near5mm)
Symb ol Value Unit
k
x
0:22210 3
N/m
k
i
1.36 N/A
各パラメータの値は全体的な特性を残す意味で表5.1.1の値を公称値とする.
5.1.3
等価回路のパラメータの同定
電磁石の等価回路のパラメータR ;Lは,渦電流がないものとして図5.3の回路を用いて 測定を行なった[12]. このパラメータ Lを測定することは非常に困難とされるため, この 等価パラメータの測定には注意を要する. ここで, L;R: 電磁石の等価回路のパラメータ,
V
in
:入力電圧, Vout:出力電圧, r:測定のための付加小抵抗となっている. この測定では, 定 常ギャップ X =5:00mm 離れた位置に鉄球をおいた状態で行なった. また,この回路の入 力電圧 Vin は, 先程求めた定常電流I =0:789A を中心とした周波数! の正弦波を入力す る. ここでは, アンプへの入力電圧に振幅 2.00V の正弦波を加えた. そして, この正弦波
i R
Amp V
r
in L
V out Electromagnet
図 5.3: Circuit formeasurementof equivarentparameter
の周波数を変化させたときの入出力電圧のゲイン A とその位相差 を測定し, この測定 値より,L;R のパラメータを次式から求める.
L= r
!A
sin; R= r
A
cos0r (5:3)
ここでは, 付加小抵抗は, r = 1:30のものを用いた. また, 入力正弦波の周波数は 1〜
300Hz (23点)まで増やして行き, それを1回として10回の測定を常温で行なった. この 方法により測定した L;R の周波数特性は図5.4, 5.5になる.
この図からもわかるように, この同定法を用いると等価回路のパラメータL;R の特性 は周波数により異なってしまうことがわかる. さらに, 電磁石のコイルは発熱体であるた め, そのパラメータが温度によって変化する. 抵抗 Rの公称値は摂氏 20度で 20.0であ り, 変化率は+0:4%=1°Cである。しかし本稿では,鉄球が浮上している際には,常温で周 波数が 10Hz 以下となると仮定し, その周波数以下で測定したときの L;R の平均値を公 称値 L0;R0 として用いることにする. また, 電磁石部に対して式(5.4)のように不確かさ を見積もることができる.
1
Ls+R
= 1
L
0 s+R
0 +w
i (s)1
i
(s) (5:4)
ここで, L0;R0は, それぞれの公称値, wi(s)は重み関数であり, 1i(s)はj1i(jw )j1で 変動するものとする.
10 0 10 1 10 2 10 3 0.2
0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2
Frequency[Hz]
Inductance[H]
図 5.4: Characteristic of inductance
10 0 10 1 10 2 10 3
0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500
Frequency[Hz]
Resistance[ohm]
図 5.5: Characteristic of resistence
表5.1.5: Parameters of L,R
Symb ol Value Unit
L
0
0:859 H
L
min
0:652 H
L
max
1:09 H
R
0
24.8
R
min
19.9
R
max
32.0
表5.1.3および図5.6より,
w
i (s)=
1:0210 03
0:8520:859 2
(s+80:0)(s+10:0)
(s+23:0=0:85)(s+24:8=0:859)
(5:5)
とおくものとする.
5.1.4
ノミナルモデル
前節までの同定により, ノミナルモデルの伝達関数は次式のようになる.
G
nom (s)=
028:9
(s+77:8)(s077:8)(s+28:8)
(5:6)
この式をみると伝達関数の極がs-平面の右半平面に存在し、不安定となることがわかる.