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安全管理と安全研究

ドキュメント内 J N C T e c h n i c a l R e v i e w JNC Technical Review (ページ 176-179)

1.個人被ばく線量当量測定・評価技術の開発 1.1 外部被ばく線量測定・評価技術の高度化

中性子による放射化によって体内に生成され るNa 比放射能から線量に換算する係数の算出方 法について,一昨年東海村で発生した臨界事故の 体系をテストケースに,中性子輸送計算コードの 選択による係数の変化並びに利便性の比較検討を 行った。輸送計算には,ANISN,DOT3.5,MCNP 及びそれらコードの接続計算法を用いた。その結 果,いずれの計算コードを適用した場合でも,算 出される係数の値はファクター1.5の範囲内に収ま ることが分かった。なお,本研究成果は日本原子 力学会2001年春の年会(3月;武蔵工大)で発表 した。

1.2 内部被ばく線量測定・評価技術の向上 内部被ばく線量測定・評価技術の向上のため,

車載型全身カウンタの開発を1998年から進め,実 機を1999年12月に東海事業所に配備した。

車載型全身カウンタは,所内での定常モニタリ ング及び防災訓練に利用するとともに,地方自治 体で開催された数多くの原子力防災訓練や行事等

(2000年度は10件)に参加した。次回の保健物理 学会(2001年5月)では,車載型全身カウンタに ついて紹介し,運用実績や訓練等で得られた知見 について発表する予定である。

2.放射線モニタリング技術の開発

2.1 核燃料施設における放射線管理設計の基準 化に関する研究

プルトニウム取扱施設における放射線管理の経 験はサイクル機構特有のものであることから,こ れまでの実績を取りまとめるとともに,更なる放 射線管理技術の向上を目指した技術開発を進め,

その成果を今後のプルトニウム取扱施設の放射線 管理設計に反映させることを目的として研究を進 めている。

今期は,放射線管理設計の基準化に関して,こ れまでの研究内容を踏まえ,今後の核燃料施設の

放射線管理設備設計に反映できる事項をまとめた。

2.2 放射線作業における被ばくの低減化に関す る研究

身体負荷の軽減などの放射線管理技術の高度化 による被ばく低減化を目的として,身体汚染に対 する市販洗浄剤の除染試験などの研究を実施して いる。

今期は,本研究について1996年度から2000年度 までの成果をまとめ,社内報告した。市販洗浄剤 の放射性皮膚汚染に対する除染効果比較試験の成 果については,現場の身体除染手順に反映した。

これらの成果は,2001年5月の保健物理学会に発 表する予定である。なお,5ヵ年計画で実施した 本研究は2000年度をもって終了する。

2.3 再処理施設における放射線監視・管理のシ ステム開発に関する研究

再処理施設の工程運転状況に応じた的確な放射 線管理上の対応を図るため,これまでに蓄積され た熟練放射線管理員の対応経験や過去の放射線モ ニタ変動・放射線作業等の履歴を反映したシステ ムの開発に関する研究を実施している。

今期は,1996年度からこれまでに得られた成果 の取りまとめ作業を継続した。これまでの成果の 概要は,核燃料施設(再処理施設)の放射線管理 上重要な作業環境や排気の放射線監視を高度化し,

軽微な放射線状況の変化に対しても的確に放射線 管理対応を図れることである。また,熟練と知識 を要する放射線状況の変化要因の特定及び特殊放 射線作業時の線量当量推定に対して,初級放管員 を支援し施設工程へ有用な情報・指導を与えるこ とができることである。

今後,構築したシステムを運用することによっ て,これまでに蓄積した熟練放管員の知識・技術 を放射線管理の実務にフィードバックできるよう になる。また,民間再処理や核燃料施設の放射線 管理実務や放射線管理設備設計に反映できる。

1年1月〜3月

概況 報 告

2.4 放射線モニタのシミュレーション応答解析 に関する研究

実験的に感度評価が困難な核種,エネルギー等 に対する放射線モニタ類の感度評価を目的として,

計算機を用い,放射線検出器内での放射線挙動を シミュレーションすることで検出器の応答を解析 する研究を行っている。今期は,β/γ弁別トリプ ルコインシデンス型検出器の応答評価及び中性子 線測定用レムカウンタの応答評価を行った。

また,線量当量率モニタリングシステムの開発 において,測定回路の中心となる「レートメータ 式 MCA」の性能試験を実施した。

3.環境安全技術の開発

3.1 影響評価手法に関する研究

植物の成長段階に応じた移行モデルを構築する ため,モデル水田において収穫した精米,胚,も みがら,わら,水田土中のCs 放射能濃度から,

移行に関するパラメータを算出した。

3.2 移行挙動及び変動要因に関する研究 土壌中での移行のメカニズムを把握するため,

水戸標準土壌における Am 及び Cs の吸着試験につ いて,雨水添加量の算出方法の再検討を行った。

3.3 分析技術の高度化研究

Pu 同 位 体 を 質 量 分 析 法 を 用 い て 定 量 す る た め,Pu 領域へのUH(測定溶液中のU に水溶 液中の水素がプラズマによりイオン化し,結合し たもの)の影響を確認した。その結果,測定溶液 中のU は,10−4Bq/ml 以下の場合,測定に影響が ないことが分かった。

3.4 広域拡散影響評価手法に関する研究 核燃料施設からの液体廃棄物による広域海洋に おける放射性核種のリスク評価を行うため,3次 元全球粒子拡散モデルに関する,これまでの研究 成果を取りまとめ,技術資料( 放射性物質広域海 洋拡散モデルの開発とコード化 ,JNC TN840020 00‐031)を作成し,公開した。

3.5 大気中ラドン濃度の測定

サイクル機構はウラン鉱山跡地を有し,ラドン の監視が義務づけられている。しかし,ラドン測 定については JIS などの規格が国内に存在しないた め,国内外の動向を把握しつつ,測定法も開発研 究する必要がある。

今期は,積分型測定器による大気中ラドン濃度

の測定及び地表からのラドン散逸量の測定等の調 査を継続した。

また,ラドン標準校正チェンバを利用した各種 測定器の校正を実施した。

そのほか,長期間の平衡等価ラドン濃度を測定 する積分型ラドン娘核種測定器による,実フィー ルドでの試験測定の第1段階を終了し,データの 取りまとめを行った。

4.安全工学研究

4.1 異常時のエアロゾル挙動等に関する研究 グローブボックス内火災における換気系の流量,

圧力等の応答評価に関して,これまでに実施した 試験結果のまとめを進めた。

4.2 異常事象評価試験研究

先進湿式再処理での使用が検討されている新抽 出剤である CMPO の硝酸系における安全性を確認 することを目的として実施している溶媒等の安全 性確認試験について,加速速度熱量計を用いて,

密封断熱系での劣化溶媒の発熱特性試験を継続し て実施するとともに,溶媒/硝酸の発熱反応につ いての温度・圧力挙動等の解析手法の整備を継続 して実施した。また,劣化溶媒の発熱特性試験結 果について,日本原子力学会2001年春の年会(3 月;武蔵工大)で発表した。

4.3 静的安全機能を有する機器の核燃料施設へ の適用に関する研究

再処理施設の高レベル廃液貯蔵施設等で発生す る放射線分解水素や崩壊熱の除去において動力を 用いない静的除去システムの適用に関する研究を 行っている。

静的水素除去システムの研究では,これまでに 実施した白金・テルル/チタニア触媒の特性試験 結果のまとめを行った。

静的熱除去システムの研究では,これまでに実 施したヒートパイプの除熱特性試験結果のまとめ を行った。

4.4 核燃料施設の安全解析手法の開発・整備 中性子・ガンマ線線量評価コードシステムの合 理的な遮蔽評価を実施するための高度化整備とし て,核定数ライブラリ線量率換算係数等の改良を 実施した。また,MOX 均質系ベンチマーク計算の 入力データの確認を実施した。

概況 報 告

4.5 核燃料施設の確率論的安全評価に関する研

信頼性データの収集・整備として,改良した信 頼性データベースプログラムをベースにした統合 システムについて,公開のための資料作成を行っ た。また,モデルプラントへの PSA 適用検討とし て,ガラス固化処理工程の換気系について動的挙 動評価を行い,放射性物質放出リスクの定量化 検討を引き続き行った。

5.関連施設の設計・建設

5.1 原子力緊急時支援・研修センター

原子力関連施設の緊急時に対応にあたる国,地 方自治体及び原子力事業者へ技術的助言等を行う とともに資機材を提供するため,サイクル機構及 び日本原子力研究所が共同で「原子力緊急時支援

・研修センター」を茨城県ひたちなか市に整備す

る。また,西日本地区への効率的な支援のために 同福井支所を福井県敦賀市に整備する。

今期においては,3月にセンターの建家建設に 着工するとともに,環境中に放出された放射性物 質の状況を把握するための拡散評価システム等の 各種支援システムの整備を進めた。

また,自治体関係者等を対象にした原子力防災 研修として,1月に防災訓練企画立案研修を実施 した。2000年度は,危機管理研修(上級コース,

実務者コース),緊急時広報対応研修,防災訓練企 画立案研修を企画し,茨城県及び福井県で各々1 回ずつ,合計8回実施し,国,地方自治体,消防,

警察等から279人の参加があった。2001年3月22日 には,関西電力高浜原子力発電所を対象に実施さ れた福井県原子力防災訓練に参画した。

(本社:安全推進本部)

概況 報 告

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