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J N C T e c h n i c a l R e v i e w JNC Technical Review

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No.

11 2001.6

JNC Technical Review

(2)

サイクル機構技報

JNC Technical Review

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技術概説

法令改正に対応した外部被ばくによる線量の測定・評価

1

辻村 憲雄   小嶋  昇   林  直美 ●●●

技術報告      

「もんじゅ」のしゃへい性能試験結果について

7

宇佐美 晋   鈴置 善郎   弟子丸剛英   中島 文明

高速炉サイクルの研究開発を支える解析システム

19

Ⅰ. 高速炉安全解析コード SIMMER-Ⅲ

飛田 吉春   近藤  悟   山野 秀将   藤田 哲史   神山 健司

計算科学的手法のナトリウム伝熱流動現象への適用研究

31

山口  彰   大島 宏之   村松 壽晴

「常陽」温度制御型材料照射装置の性能評価

39

片岡  一   揃  政敏   三次 岳志

プルトニウム燃料第三開発室における

非立会い NDA システム用遠隔監視技術の開発

51

丸山  創   藤原 茂雄   浅野  隆   高田  映   高橋 三郎   今野 廣一

高分解能高エネルギー光子スペクトロメータの開発

59

古高 和禎   原田 秀郎

ガラス固化体非破壊測定装置の開発

65

中谷 隆良   吉岡 正弘   小坂 哲生   早川  剛   D. H. Beddingfield

東海再処理工場における溶液測定モニタリングシステムの開発・設置

75

佐藤 武彦   山中 淳至   鹿志村卓男   山本 徳洋

「ふげん」におけるトリチウム管理

81

松嶌 聡  北端 琢也  川越 慎司  北村 高一  鈴木 和也  羽田 孝博  林 省一 ●●●

研究報告

ナトリウム燃焼解析コード ASSCOPS の開発と検証

93

大野 修司   松木 卓夫

「常陽」燃料溶融限界線出力試験の照射後試験による評価

105

山本 一也   櫛田 尚也

結晶質岩を対象とした放射性核種の移行・遅延モデルの構築と妥当性評価

119

― Nagra/JNC 原位置試験研究の概要―

太田久仁雄   W. R. Alexander

地球規模の海洋環境における放射性物質移行モデル

129

中野 政尚   渡辺  均   圓尾 好宏

JNC T

echnical Re

vie

w

表紙の画像 「ナトリウム温度及び流速ベクトルの瞬時分布」

温度の異なるナトリウム噴流の混合挙動を,乱流モデルなどの工学的近似手法を一切使用しない直接シミュ レーションコード DINUS-3 により評価した一例。 高低温ナトリウム噴流が左右に振動しながら上昇・混合し, この下流側の上部衝突板に,サーマルストライピング(構造物の温度変動が有意な振幅となった場合に材料が 高サイクル疲労を起こす現象)の原因となる流体温度ゆらぎが到達する様子を見ることができる。 詳細は掲載技術報告「計算科学的手法の伝熱流動現象への適用研究」を参照。

訂正のお知らせ

サイクル機構技報 No.10 別冊( 2001 年 3 月発行 )グラビア中の写真「我が国初の遠心分離機1号遠心分離機械」 ( p.2左上 )は,「小型機 」の誤りでした。関係者各位にご迷惑をおかけましたこと深くお詫びし訂正申し上げます。

(3)

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本誌の全部又は一部を複写・複製・転載する場合は,編集発行元へお問い合わせください。 核燃料サイクル開発機構 技術展開部 技術協力課

〒 319-1184 茨城県那珂郡東海村村松 4-49

©核燃料サイクル開発機構 2001

Inquiries about copyright and reproduction should be addressed to:

Technical Cooperation Section, Technology Management Division, Japan Nuclear Cycle Development Institute 4-49 Muramatsu, Tokai-mura, Naka-gun, Ibaraki 319-1184, Japan

CONTENTS

●●●

会議報告

日露 FBR サイクルセミナー

137

川妻 伸二  山村  司

東海事業所 処分研究報告会

139

吉川 英樹  石川 博久

高レベル放射性廃棄物の後始末を考える ―地層処分フォーラム―

143

前川 恵輔

第 3 回 JNC 原子力平和利用国際フォーラム

149

―原子力平和利用技術と国際貢献―

三浦  靖

人形峠環境技術センター 「報告と感謝の会」

153

森田  稔 ●●●

概況報告

高速増殖炉サイクルの研究開発 高速増殖原型炉「もんじゅ」の研究開発 155 高速増殖炉サイクル実用化戦略調査研究 157 高速増殖炉の研究開発 159 高速増殖炉燃料の研究開発 163 高速増殖炉燃料再処理技術の研究開発 164 高レベル放射性廃棄物処分技術の研究開発と地層科学研究 166 軽水炉燃料再処理技術の研究開発 171 環境保全対策 173 ウラン探鉱 ウラン濃縮技術の開発 176 新型転換炉の研究開発 177 核物質管理と核不拡散対応 179 安全管理と安全研究 181 ●●●

国際協力

国際会議・海外派遣等 185 ●●●

活動報告

外部発表 187 技術協力・技術移転,研究協力,開発技術の利用・展開等 189 特許・実用新案紹介 191 国際規格 ISO の認証取得活動 192 ●●●

お知らせ

FBR サイクル国際研究開発センター 運用開始 195 瑞浪地科学研究館 運用開始 196 敦賀サイエンスセンター 2001 年 6 月 5 日開館 197 大洗わくわく科学館 2001 年 7 月 11 日開館 198 本誌及びバックナンバーの内容を次の URL に掲載しています。http://www.jnc.go.jp/siryou/gihou/main.html

(4)

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 東海事業所 放射線安全部 東海事業所 保安管理部 辻村 憲雄 小嶋 昇* 直美*

法令改正に対応した外部被ばくによる

線量の測定・評価

資 料 番 号 :11−1

Radiation Protection Division, Tokai Works * Safety Administration Division, Tokai Works

Norio TSUJIMURA Noboru KOJIMA* Naomi HAYASHI*

Measurement and Assessment of Doses from External Radiations Required for Revised Radiation Protection Regulations.

Radiation protection regulations based on the 1990 recommendations of ICRP have been revised and will take effect from Apr., 2001. The major changes concerning on the measurement and assessment of doses from external radiations are as fol-lows.

! Personal dose equivalent and ambient dose equivalent stated in ICRP Publication 74 are introduced as quantities to be

measured with personal dosimeters and survey instruments, respectively.

" For multiple dosimetry for workers, the compartment weighting factors used for a realistic assessment of effective dose

are markedly changed.

In advance of the introduction of the new radiation protection regulations, the impacts on workplace and personal moni-toring for external radiations by these revisions were investigated.

The following results were obtained.

! A new ambient dose equivalent to neutrons is higher with a factor of 1.2 than the old one for moderated fission neutron

spectra. Therefore, neutron dose equivalent monitors for workplace monitoring at MOX fuel facilities should be recali-brated for measurement of the new ambient dose equivalent.

" Annual effective doses of workers were estimated by applying new calibration factors to readings of personal dosimeters,

worn by workers. Differences between effective doses and effective dose equivalents are small for workers engaged in the fabrication process of MOX fuel.

放射線障害防止法令等の改正によって新たに導入される1cm 線量当量(個人線量当量及び周辺線量当 量)について解説するとともに,改正に伴う外部被ばくによる線量の測定・評価上の対応についてまと めた。 作業場所のモニタリングに使用する中性子サーベイメータ(レムカウンタ)については,法令改正に 伴うレスポンスの相対的な変化を実験によって調べた結果,MOX 燃料施設等では校正定数を20%程度変 更することにより実務上の対応が可能であることが分かった。また,個人モニタリングについては,MOX 燃料施設等の作業環境の場合,法令改正前に比べてγ線及び中性子による線量がそれぞれ減少,増加す るが,両者の合計では大きく変化しないことが分かった。 キーワード 実効線量,実用量,周辺線量当量,個人線量当量,部位別荷重(係数),MOX燃料施設,レムカウンタ

Effective Dose, Operational Quantity, Ambient Dose Equivalent, Personal Dose Equivalent, Compartment Weighting Fac-tor, MOX Fuel Facility, Rem Counter

辻村 憲雄 小嶋 直美 線量計測課 標準 ・校正チーム所属 チームリーダ,副 主任研究員 放射線測定器等の 校正に用いる放射 線(能)標準の維持, 開発業務に従事 安全対策課 安全 対策チーム所属 チームリーダ,研 究員 昨年まで,放射線 測定器等の校正に 用いる放射線(能) 標準の維持,開発 業務に従事 安全対策課長 昨年まで,個人被 ばく管理,放射線 測定器の校正等の 総括業務に従事 核燃料取扱主任者, 第1種放射線取扱 主任者 技 術 概 説

(5)

表1 実効線量等を評価対象とする実用量と1cm 線量当 量等の名称の関係 評価対象 測定に係る実用量 名 称 場所の モニタ リング 実効線量 周辺線量当量(H*(10)) 1cm 線量当量 眼の水晶体の等価線量 方向性線量当量(H’(3,α)) 3mm 線量当量注 皮膚の等価線量 方向性線量当量(H’(0.07,α)) 70µm 線量当量 個人 モニタ リング 実効線量 個人線量当量(Hp(10)) 1cm 線量当量 眼の水晶体の等価線量 個人線量当量(Hp(3)) 3mm 線量当量注 皮膚の等価線量 個人線量当量(Hp(0.07)) 70µm 線量当量 妊娠中の女子の 腹部表面の等価線量 個人線量当量(Hp(10)) 1cm 線量当量 注 3mm 線量当量の測定は義務付けられていない。 1.はじめに 2000年10月に国際放射線防護委員会(ICRP)19 90年勧告1)を取り入れた放射線障害防止法令等(以 下,法令等)が改正・公布され,2001年4月から 施行される。 この中で,個人の外部被ばくによる線量の測定 ・評価上,大きな変更点と言えるものは,以下の 2点である。 ① 「場のモニタリングのための線量」と「個人モ ニタリングのための線量」とが明確に,数値的 にも別々の量として定義され,またそれらの換 算係数が変更されたこと ② 体幹部が「不均等被ばく」を受ける場合の実 効線量の算出方法の変更 これら2点の変更による,個人及び場のモニタ リングに与える影響を事前に調査するとともに, 管理上の対応について検討した。 2.モニタリングへの影響 2.1 1cm 線量当量等モニタリング量の変更に よる影響 我が国では,ICRP1977年勧告2) の法令取り入れに 際し,線量限度を実効線量当量及び組織線量当量 で規定する防護の体系を導入した。ただし,実効 線量当量は個人線量計等では実測できない量であ るため,その代用として「1センチメートル線量 当量(以下,1cm 線量当量)」等の実用量(opera-tional quantity)を外部被ばくのためのモニタリン グ量として導入した。1cm 線量当量などの実用量 は,直径30cm の組織等価物質で構成されたファン トムの表面からある特定深さ d における線量当量 と定義され,周辺線量当量(H*(d))という特別の 名称で呼ばれる場合もある。これら実用量につい ては,物理量である線束とファントム内部におけ る線量との関係等が数値計算により求められてお り,実効線量当量などの防護量に比べ安全側の値 となるよう設定されている。そのため,実用量を 測定できるよう設計あるいは校正された個人線量 計やサーベイメータの指示値を個人の実効線量当 量(率)や組織線量当量(率)とみなす管理が実 際上行われてきた。 一方,今回の改正法令では,実効線量当量等に 替わって「実効線量」及び「等価線量」が防護量 として新たに導入されている。それらの詳しい定 義についてはここでは省略するが,最新の放射線 影響に関する知見を反映した,基本的には実効線 量当量等と同様の考え方に基づいた量である。た だし,今回改訂された1cm 線量当量などは,実効 線量の代用量たるその位置付けについては従来と 同様の考え方が踏襲されているものの,その意味 合いは大きく異なるものになっている。従来の1 cm 線量当量では,サーベイメータ等を用いた「場 のモニタリング」と個人線量計を用いた「個人の モニタリング」とで評価の対象とする量の定義あ るいは値に相違はなかった。しかし,今回の改正 では,場のモニタリング用の1cm 線量当量と個人 のモニタリング用の1cm 線量当量とは明確に区別 され,総称として1cm 線量当量という名称は継続 して使用されるが,数値的には異なる値になる。 個人モニタリングに使用される1cm 線量当量等は, 球形ファントムではなく,組織等価物質で構成さ れた平板(30×30×15cm)ファントムの表面から 深さ d の位置で定義された線量当量であり,個人 線量当量(Hp(d))と呼ばれている。実効線量等を 評価対象とする実用量と1cm 線量当量等の名称の 関係を表1に示す。 モニタリングに使用する新旧の実用量の数値的 な相互の関係については以下の通りである。まず, 光子については,場のモニタリングに使用する1 cm 線量当量の新旧比較では両者の間で数値的な差 はほとんど無い。したがって,サーベイメータ等 で測定される場所の1cm 線量当量(率)は従来と 変わらない。一方,今回の法令改正によって新た に導入される個人に係る1cm 線量当量は,場のモ ニタリングに使用する1cm 線量当量に比べ,エネ ルギー80keV 近傍で約10%高い値になっている。 これは,線量当量を定義するジオメトリの違いに よってもたらされるものであるが,結果的に,100 keV 以下のエネルギーの光子が支配的な場,例え ば MOX 燃料施設では,従来に比べて個人被ばく線 量が約10%高くなる。一方,中性子についてであ るが,場のモニタリングに用いる1cm 線量当量に ついては,線質係数の見直しを反映した新しい1 技 術 概 説

(6)

cm 線量当量の方が,中性子スペクトルによっても 変化するが約20%大きくなると予想されている3) 個人モニタリングに用いる1cm 線量当量について も同様に現在の値に比べて増加し,その程度は場 のモニタリングに用いる1cm 線量当量と同等かそ れ以上である。 光子及び中性子に対する新しい換算係数につい ては,ICRP Publiucation744)のほか,原子力安全技 術センター刊「被ばく線量の測定・評価マニュア ル」5)にその解説と共に整理されている。 2.2 体幹部不均等被ばく時の実効線量の計算方 法の変更による影響 実効線量当量あるいは実効線量は,人体の様々 な組織・臓器の線量を,それぞれの組織・臓器の 放射線感受性を考慮した係数を重みとして荷重平 均をとった値である。したがって,頭・頸部,胸 部,上腕部,腹部及び大腿部からなる体幹部が不 均等な被ばくを受ける場合,単一の個人線量計か ら評価した1cm 線量当量を実効線量当量あるいは 実効線量とは見なしえない状況が生まれる。この ため,こうした被ばく状況のもとでは,体幹部を 頭・頸部,胸部及び上腕部,腹部及び大腿部に3 区分し,それぞれの区分における1cm 線量当量が その区分に含まれる組織・臓器の線量を代表する という前提のもと,組織荷重係数から導出された 部位別荷重を重みとして荷重平均をとった1cm 線量当量が実効線量であるという管理方式が導入 された。 改正法令では,ICRP1990年勧告の組織荷重係数 が全面的に見直された結果,実効線量の算出に至 る考え方は従来と同様であるが,計算に用いる部 位別荷重の値が表2に示すように大きく変更され た。鉛エプロン等の防護衣を着用するケースでは, 表2に示した部位別荷重をさらに頭頸部と胸腹部 に振り分け,それぞれに対して0.35(頭頸部の荷 重係数に最大の被ばくを受ける部位の荷重係数を 加えた)と0.65という数値がこれまで使用されて いた。しかし,改正法令後は,これらに対し,そ れぞれ0.11と0.89という値が使用される5)。鉛エプ ロンの外側部分の線量に対する荷重が小さくなっ ているため,鉛エプロンの内外の1cm 線量当量か ら算出される実効線量の値は,従来の実効線量当 量の値に比べて大きく下がることになる。 3.中性子サーベイメータ(レムカウンタ)の対応 現在,東海事業所の MOX 燃料施設で使用してい る減速材付き中性子サーベイメータ(以下,レム カウンタ)について,改正法令における特性の変 化並びに再校正等の対応について検討した。 使用したレムカウンタは,以下の3種類であり, いずれも熱中性子を検出するガス比例計数管をポ リエチレン減速材で取り巻いた構造であり,減速 材内部にボロン化合物等によるエネルギー応答特 性改善用の熱中性子吸収層が配置されている。 ① Studsvik(Alnor)製2202D 型 円筒型 BF3比例計数管を利用した円筒形レムカウ ンタであり,重量約10kg,旧法令に基づく線量を 基準とした中性子感度は約0.33(cps perµSv/h) である。以前に Studsvik 社製として市販されてい たレムカウンタは,同型のもの が 現 在 は Alnor 社製として市販されている。 ② 富士電機株式会社製 NSN1型 球形3He 比例計数管を利用した球形レムカウンタ であり,重量が約7kg と比較的軽量であることが 特徴。旧法令での中性子感度は約5.0(cps perµSv /h)である。 ③ アロカ株式会社製 TPS‐451BS 型 円筒型3He 比例計数管を利用した円筒形レムカウ ンタであり,重量約9kg,旧法令での中性子感度 は約1.5(cps perµSv/h)である。 特性試験は,東海事業所の放射線計測機器校正 施設に設置されている中性子校正場で行った。本 校正場には,241Am‐Be,252Cf 線源を用 い た も の と,252Cf を中空円筒型の含鉛アクリルで取り巻い た減速場が準備されている。両線源ともに中性子 放出率が精度良く定量されており,また校正位置 における新旧法令での基準線量は,照射室内の室 内散乱成分の寄与も含めモンテカルロ計算と中性 子スペクトロメータによる実測によって精度良く 評価されている6) 表3に,新旧法令における1cm 線量当量の変化 を示す。表には上述した減速場のほか,MOX 燃料 施設内の実作業環境で測定した中性子スペクトル から評価した結果7) も示した。核分裂スペクトルが 含鉛アクリル等の含水素物質によって減速された 条件では,約20%弱程度,新法令での線量が高く なることが分かる。 表2 体幹部不均等被ばく時の部位別荷重係数 (括弧内は旧法令) 部 位 頭部及び頚部 胸部及び上腕部 腹部及び大腿部 最大の線量を 受ける部位 部位別 荷重係数 0.08 (0.05) 0.44 (0.33) 0.45 (0.32) 0.03 (0.30) 技 術 概 説

(7)

旧法令及び新法令における,前述したレムカウ ンタのレスポンス(指示値/照射した線量)をそ れぞれ図1,図2に示す。図では,252Cf に対する レスポンスを1に規格化している。エネルギー依 存性という観点では,新旧どちらの法令における 線量を基準にしても大差はなく,実務上は基準と する線量の変化分だけレムカウンタの校正定数を 変更することで,いずれのレムカウンタでも新法 令における1cm 線量当量を測定できることが分 かった。 4.個人被ばく線量の変化 前述したように,新法令において,外部被ばく による個人の線量が変化する条件は, ① 100keV 以下の低エネルギーγ線が存在する場 ② 中性子が存在する場 ③ 鉛エプロンの着用等によって体幹部が不均等 な被ばくを受ける場 のいずれかに該当する場合であるが,これらいず れの条件にも該当するのが東海事業所の MOX 燃料 施設である。 このため,MOX 燃料施設で作業を行った放射線 業務従事者が実際に着用していた個人線量計(TLD バッジ)の測定値から,新法令における線量を再 計算し,旧法令での線量と比較した。このとき, 場のエネルギー分布等の情報からあらかじめ TLD の校正定数等を再設定した。 一例として,1995年度のプルトニウム燃料工場 の放射線業務従事者の線量分布(個人の年間被ば く線量)を比較した結果8)を図3から図5に示す。 図3は,γ線による実効線量(ここでは,胸腹 部と頭頸部の1cm 線量当量の荷重平均に相当)の 分布である。MOX 燃料施設は,241Am による60keV のγ線が支配的であるため,それぞれの1cm 線量 当量の値そのものは10%程度増加するものの,部 位別荷重の変更によって旧法令での実効線量当量 に比べて実効線量がむしろ大きく下がることが図 から分かる。 図4は,中性子による実効線量(1cm 線量当量 に相当)の分布であり,この例では集団実効線量 が従来の値の1.3∼1.5倍程度に増加している。1 cm 線量当量の値の変化以上に集団実効線量が増え ているのは,従来,記録レベル未満(0.2mSv 未満) と評価されていた者のうち有意値として記録され る者の割合が増えるためである。 また,γ線と中性子線による実効線量を合計値 についての分布を図5に示す。上述したように, 放射線の線種別に見ると増減はあるものの,γ線 と中性子の合計では,従来と大きな変化はない。 5.おわりに 2001年4月から施行される法令において,外部 被ばくによる線量の測定・評価上問題となる事項 について事前に検討した。 まず,場のモニタリングに使用する中性子サー 表3 中性子に対する新旧1cm 線量当量の変化 線源 平均エネルギー 注) [MeV] 場のモニタリング 新H*(10)/旧H(10) 個人モニタリング 新Hp(10)/旧H*(10) 241Am-Be 3. 1.08 1.14 252Cf 1. 1.16 1.21 252Cf含鉛アク リル減速 0.97∼1.6 1.17 1.21 MOX燃料取扱グロ ーブボックス周辺 0.5∼1.0 1.19 1.24 注)室内散乱線を含めた平均エネルギー レスポンス 中性子エネルギー[MeV] 図1 旧法令における1cm 線量当量に対する種々のレム カウンタのレスポンス特性(252 Cf に対するレスポン スを1に規格化) レスポンス 中性子エネルギー[MeV] 図2 新法令における1cm 線量当量に対する種々のレム カウンタのレスポンス特性(252 Cf に対するレスポン スを1に規格化) 技 術 概 説

(8)

ベイメータ(レムカウンタ)については,新法令 での場のモニタリングにおける1cm 線量当量を基 準とした校正をあらかじめ行うことで,対応可能 である。レムカウンタの使用者は,新法令用に校 正済みであることを確認してさえいれば,指示値 をそのまま新法令での1cm 線量当量(率)と読み 取って差し支えない。 一方,個人の外部被ばくについては,MOX 燃料 を取扱う施設が最も大きな影響を受けるが,これ についても,個人モニタリングにおける1cm 線量 当量に対応した校正定数を設定することで対応可 能である。新法令での線量の変化は,事前の試算 によると,γ線と中性子線の合計では従来とほと んど変わらないことを確認している。ただし,γ 線と中性子の混在割合によっては,作業グループ 単位で増減がある可能性があり,またそれらの比 が大きく変わるので作業計画の立案の段階では注 意が必要であろう。 なお,「個人モニタリング」と「場のモニタリン グ」とが明確に区別された結果,全く同じ放射線 場であっても測定すべき線量の値に差が生じる可 能性がある。ただし,測定位置の違いや作業者の 動きなどを考慮すると,作業計画の立案段階ある いは放射線管理の実務においては,個人モニタリ ング量と場のモニタリング量の数値としての違い が線量の管理に支障をきたすようなケースはほと んどないと考えられる。このため,従来通り,サ ーベイメータで得られた1cm 線量当量等がその放 射線場で潜在的に個人が被ばくしうる線量の最大 値に相当するという考え方に基づいた管理を行え ば良いであろう。 参考文献

1)ICRP : ICRP Publication60(1990). 2)ICRP : ICRP Publication26(1977). 3)吉澤道夫:保健物理,33(1)(1998). 4)ICRP : ICRP Publication74(1996).

5)原子力安全技術センター:被ばく線量の測定・評価マニュ アル(2000). 6)辻村憲雄,他:原子力学会「2001年秋の大会」要旨集. 7)辻村憲雄,他:保健物理学会第35回研究発表会要旨集. 8)辻村憲雄,他:保健物理学会第34回研究発表会要旨集. 旧法令におけるγ線による実効線量当量 旧法令における実効線量当量 新法令における実効線量 新法令におけるγ線による実効線量 人数分布[%] 人数割合[%] γ線及び中性子による実効線量(当量)[mSv/年] γ線による実効線量(当量)[mSv/年] 図5 新旧法令におけるγ線及び中性子による合計の実効 線量並びに実効線量当量の分布の比較結果 図3 新旧法令におけるγ線による実効線量並びに実効線 量当量の分布の比較結果 MOX 燃料施設放射線業務従事者の例。太実線及び実線は, それぞれ新法令における実効線量,旧法令における実効線 量当量を表しており,図3及び図4に示した値の合計であ る。 MOX 燃料施設放射線業務従事者の例。太実線及び実線は, それぞれ新法令における実効線量,旧法令における実効線 量当量を表しており,共に鉛エプロン内外の個人線量計か ら得られた1cm 線量当量の荷重平均値である。 旧法令における中性子 による実効線量当量 新法令における中性子 による実効線量 人数分布[%] 中性子による実効線量(当量)[mSv/年] 図4 新旧法令における中性子による実効線量並びに実効 線量当量の分布の比較結果 MOX 燃料施設放射線業務従事者の例。太実線及び実線は, それぞれ新法令における実効線量,旧法令における実効線 量当量を表しており,共に1cm 線量当量と等価である。 技 術 概 説

(9)

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 敦賀本部 高速増殖炉もんじゅ建設所 *敦賀本部 技術企画部 宇佐美 鈴置 善郎 弟子丸剛英 中島 文明*

「もんじゅ」

のしゃへい性能試験結果

について

資 料 番 号 :11−2

Monju Construction Office, Tsuruga Head Office * Planning Division, Tsuruga Head Office

Shin USAMI Zenro SUZUOKI Takehide DESHIMARU Fumiaki NAKASHIMA*

Results of Shielding Characteristics Tests in Monju

In the prototype fast breeder reactor Monju, the shielding characteristics tests were made around the reactor core, the pri-mary heat transport system, and the fuel handling & storage system as a part of the system start-up tests from 0 % to 45 % of rated power from October 1993 through December 1995. The results of the measurements, analyses and evaluations in these tests validated the FBR shielding analysis methods and demonstrated that there was a safe shielding design margin in Monju. The important basic data for use in future FBR shielding design were successfully acquired. In order to obtain more substantial basic data and to improve the accuracy of the analyses, the next shielding measurements are planned for the pe-riod of the system start-up tests at the restart of Monju.

高速増殖原型炉「もんじゅ」では,零出力から45%出力までの性能試験の一環として,1993年10月から 1995年12月にかけて,「原子炉まわりしゃへい性能試験」,「1次主冷却系まわりしゃへい性能試験」及び 「燃料取扱設備及び貯蔵設備まわりしゃへい性能試験」を実施した。これらの試験における測定,解析 及び評価を通じて,高速炉しゃへい解析手法の妥当性が確認され,「もんじゅ」のしゃへい設計が十分な 設計裕度を有していることが実証された。また,将来の FBR のしゃへい設計に反映できる貴重な基礎デ ータを取得することができた。今後,「もんじゅ」再起動時の性能試験において,しゃへい測定をさらに 実施し,基礎データの充実及び解析精度の向上を図る計画である。 キーワード 「もんじゅ」,性能試験,しゃへい測定,しゃへい設計,高速炉しゃへい解析システム

Monju, System Start-up Test, Shielding Measurement, Shielding Design, FBR Shielding Analysis System

宇佐美 鈴置 善郎 弟子丸剛英 中島 文明 炉心・しゃへいチ ーム所属 副主任技術員 「もんじゅ」の炉心 ・しゃへい関連の 業務に従事 原子炉取扱主任者, 核燃料取扱主任者, 第1種放射線取扱 主任者 炉心・しゃへいチ ーム所属 チームリーダ 「もんじゅ」の炉心 ・しゃへい関連の 業務に従事 技術課長 「もんじゅ」の安全 確保に関する技術 的検討の統括,燃 料管理,炉心管理 及び開発試験に関 する業務に従事 原子炉取扱主任者, 核燃料取扱主任者, 第1種放射線取扱 主任者 FBR グループ所属 グループリーダ 「もんじゅ」の試験, 運転及び研究開発 に係る計画の立案 及び推進に関する 業務に従事 技 術 報 告

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図1 しゃへい性能試験工程(実績) 1.はじめに 「もんじゅ」では,初期炉心での性能試験の一環 として,臨界・炉物理試験(零出力)を1993年10 月∼1994年11月に,また,起動試験(2%∼45% 出力)を1995年2月∼同年12月に実施した。試験 工程を図1に示す。これらの性能試験期間中に, 『「もんじゅ」のしゃへい性能にかかわる設計裕度 の評価』と『しゃへい解析手法の妥当性の確認』 及び『将来の FBR 設計に反映できる基礎データの 取得』を目的として,以下のしゃへい性能試験を 実施した。 $ 原子炉まわりしゃへい性能試験 ① 炉心から炉内ラックにかけての炉内反応率 測定 ② 原子炉容器上部プレナム内の反応率測定 ③ 炉上部ピット室内の中性子及びγ線線量当量 率測定 % 1次主冷却系まわりしゃへい性能試験 ① 1次 Na の放射化量測定 ② 1次主冷却系室内の中性子線量当量率及び γ線照射線量率測定 & 燃料取扱設備及び貯蔵設備まわりしゃへい性 能試験 ① 炉内中継装置及び燃料出入機まわりの線量 当量率測定 ② 新燃料集合体1体及び新燃料貯蔵ラックま わりの線量当量率測定 本報告では,「もんじゅ」のしゃへい設計の主要 な特徴について概説するとともに,上記しゃへい 性能試験に係わる測定,解析及び評価結果につい て述べる。 2.「もんじゅ」のしゃへい設計 2.1 原子炉まわりのしゃへい設計1) 炉心は,198体の炉心燃料集合体とそれを取り巻 く172体の半径方向ブランケット燃料集合体及び316 体の中性子しゃへい体から構成されている。炉心 燃料集合体は,混合酸化物燃料ペレットを内包し た169本の燃料ピンを有し,燃料ピンの上・下部は, 劣化ウランペレットにより炉心の軸方向ブランケッ ト領域を構成している。ブランケット燃料集合体 は,劣化ウランペレットを内包した61本のピンを 有している。中性子しゃへい体は,ステンレス鋼 製で,半径方向ブランケット燃料集合体の外側に 装荷され,炉心からの中性子を反射し,その漏れ を防ぐとともに高速中性子やγ線をしゃへいし, その周囲の構造体を保護する。 原子炉まわりのしゃへい設計条件は,以下のと おりである。 ① 炉内構造物及び原子炉容器の中性子累積照射 量を制限することによって,それらの放射線損 傷を抑えること。すなわち,高速中性子累積照 射量の制限値を,炉心支持板,炉心槽及び原子 炉容器で5.0×1021n/cm以下,炉心上部機構で1. ×1021n/cm以下とする。ここで,設計上の設備 利用率及びプラント寿命を,それぞれ,80%及 び30年とした。 ! 原子炉運転中の炉上部ピットの線量当量率を, しゃへいプラグ及びペデスタルで500µSv/h 以下, しゃへいプラグから離れたペデスタル周辺の領 域で60µSv/h 以下に制限すること。 " 1次主冷却系室の2次 Na の放射化を防止する こと。 # 1次主冷却系室の遅発中性子法破損燃料検出 装置(DN 法 FFD)の感度を上げるために,中 性子バックグランドを極力小さくすること。 原子炉まわりのしゃへい構造を図2に示す。原 子炉まわりの主要なしゃへい構造は,半径方向の 原子炉容器室壁と上部軸方向のしゃへいプラグ及 びペデスタルである。原子炉容器室壁は,原子炉 容器を取囲む厚さ約2m の六角形状の鉄骨コンク リート構造物であり,コンクリートの材質は,普 通コンクリートである。しゃへいプラグは,原子 炉容器内の中性子,γ線及び熱のしゃへいを行う ため,ステンレス鋼,炭素鋼及びポリエチレン等 の層構造となっている。ペデスタルは,原子炉容 器室内の中性子及びγ線をしゃへいするため,耐 熱性を有する蛇紋岩コンクリート及び炭素鋼から 構成され,しゃへいプラグまわりの炉上部ピット を構成している。 放射線ストリーミングに対する対策には,以下 のものがある。 ① 炉心まわりの軸方向(及び半径方向)のステ 技 術 報 告

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ンレス鋼製中性子しゃへい体の設置 ! 鋼板と蛇紋岩コンクリートからなる厚さ約1 m の中間しゃへい床の設置 " しゃへいプラグとペデスタルにおける間隙部 の段付き構造の設置 # 間隙部における間隙を小さくするとともにしゃ へい体(普通コンクリート,蛇紋岩コンクリー ト及び B4C 等)を設置する。 2.2 1次主冷却系まわりのしゃへい設計1) 1次主冷却系まわりのしゃへい構造を図3に示 す。1次主冷却系は,3ループから構成されてお り,原子炉容器から出た1次 Na は,中間熱交換器 (IHX)及び1次主循環ポンプを経て原子炉容器に 戻る。 1次主冷却系まわりのしゃへい設計条件は,以 下のとおりである。 ① IHX 内を循環する2次 Na の放射化を防止する ため,IHX 表面における全中性子束を1×104n /cm2・s 以下とする。 ! DN 法 FFD の中性子バックグランドを抑える ため,原子炉容器室壁(生体しゃへい壁)での 全中性子束を,1次主冷却系室の第2貫通部出 口(図11参照)で1×104n/cm・s 以下,バルク しゃへい性能で1×103n/cm・s 以下に制限する。 また,1次主冷却系配管貫通部における放射線 ストリーミングを防止するため,以下の対策を行っ た。 ① 原子炉容器室と1次主冷却系室の間に1次主 冷却系配管しゃへい室を設ける。 ② 1次主冷却系配管の貫通孔をできるかぎり小 さくするとともに,貫通部の周囲に B4C 等のしゃ へい体を設置する。 2.3 燃料取扱設備及び貯蔵設備まわりのしゃへ い設計4) 炉内中継装置(IVTM)及び燃料出入機(EVTM) まわりのしゃへい設計条件を図4に示す。炉内中 継装置は,燃料交換機と燃料出入機との間の集合 体の移送に用い,燃料出入機は,炉外燃料貯蔵槽, 新燃料貯蔵設備及び使用済燃料取扱設備との間の 集合体の移送に用いる。炉内中継装置のしゃへい 構造は,炭素鋼,ステンレス鋼,鉛及びボロン含 図2 原子炉まわりのしゃへい構造 図3 1次主冷却系まわりのしゃへい構造 技 術 報 告

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図5 新燃料貯蔵ラックのしゃへい設計条件 有ポリエチレンによって構成されており,燃料出 入機のコフィンは,炭素鋼,ステンレス鋼及びボ ロン含有ポリエチレンのしゃへい材から構成され ている。これらの燃料取扱設備のしゃへい設計条 件は,燃料輸送容器にかかわる基準に準じ,装置 の表面で2000µSv/h 以下,表面から100cm 離れた 位置で100µSv/h 以下である。しかし,炉内中継装 置の上部案内筒に関しては,燃料集合体の移送中 に運転床上で人が接近できる最も近い位置,すな わち,炉内中継装置の中心から水平方向に約400cm 離れた位置(図4の評価点 A)で100µSv/h 以下を 設計条件としている。また,燃料出入機について も,人が接近できる最も近い位置を考慮して,燃 料出入機のコフィンの中心から水平方向に約560cm 離れた位置(電源供給装置表面から約100cm 離れ た位置,図4の評価点 B)で100µSv/h 以下を設計 条件としている。 一方,新燃料貯蔵ラックのしゃへい設計条件を 図5に示す。新燃料貯蔵ラックは,ステンレス鋼 製の50本の鉛直管(長さ:470cm,内径:15.1cm, 外径:16.52cm)から構成され,新燃料取扱室の床 下に,40cm のピッチで,13×3及び11×1で配列 されている。各ラックの入口位置には,厚さ10cm のステンレス鋼製のしゃへいプラグが取付けられ ており,また,新 燃 料 取 扱 室 の 床 は 厚 さ150cm のコンクリートからできている。新燃料貯蔵ラッ クに係わるしゃへい設計条件は,人が接近できる 区域の放射線線量当量率区分に基づいており,新 燃料取扱室の床レベルにある新燃料貯蔵ラック入 口点(図5参照)で10µSv/h 以下である。 3.高速炉しゃへい解析システム1) 「もんじゅ」のしゃへい性能試験の解析は,高速 炉しゃへい解析システム(図6参照)に基づき実 施した。中性子束分布及び2次γ線束分布を解析 するため,核データファイル JENDL‐2から無限希 釈断面積ライブラリー JSDJ2及び共鳴自己しゃへ い因子ライブラリー JFTJ2を求め,また,核デー タファイル ENDF/B‐4から2次γ線生成ライブラ リ NEW‐POPOP4を作成した。次に,しゃへい定 数計算コードRADHEAT‐V3を用いて,中性子100 群,γ線20群の実効巨視断面積を計算し,さらに, 図4 燃料取扱設備まわりのしゃへい設計条件 図6 高速炉しゃへい解析システム 技 術 報 告

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図8 Pu‐239核分裂率測定値(規格値)の炉心中心面上径 方向分布 1次元輸送計算コード ANISN により,これらの実 効巨視断面積を中性子21群,γ線7群に縮約した。 そして,2次元輸送計算コード DOT3.5及び DORT, 3次元輸送計算コード TORT により,中性子束分 布及び2次γ線束分布を求めた。なお,図6にお いて括弧内に示されている核データライブラリー は,1980年頃に行った設計計算で使用したもので ある。また,γ線線量当量率の計算では,3次元 点減衰核積分コード QAD を使用した。 この高速炉しゃへい解析システムの妥当性は, 「常陽」 の性能試験解析及び JASPER (日米共同 高速炉しゃへいベンチマーク実験)の実験解析2) 通じて確認されている。 4.原子炉まわりのしゃへい性能試験 4.1 炉心から炉内ラックにかけての炉内反応率 測定・評価1),3) ! 測定 異なる中性子エネルギー範囲で反応する4種類

の核分裂箔 (Pu‐239,U‐235,U‐238,Np‐237)

と7種類の放射化箔(Au,Ni,Ti,Fe,Co,Sc, Na)を用いて,箔放射化法により,炉内の反応率 分布を測定した。これらの箔は,標準燃料集合体 と同じ大きさの試験用集合体内に配置して,炉心 領域,ブランケット領域,中性子しゃへい体領域 及び炉内ラックの代表的な位置に装荷し,0.02∼ 0.16%出力及び温度200℃において,6回の測定ケ ースで照射した。試験用集合体の構造を図7に示 す。そして,照射した箔のγ線エネルギースペク トルを高純度 Ge 半導体検出器で測定し,照射履歴 及び測定条件等を考慮して,各反応率を求めた。 反応率分布測定値の一例として,炉心中心面上の Pu‐239核分裂率測定値の半径方向相対分布を図8 に示す。炉心から炉内ラックにかけての Pu‐239核 分裂率分布相対値の誤差は,0.7∼2.2%の範囲で あった。 " 解析 炉体まわりの計算では,炉心中心を中心軸とし た2次元 RZ 体系計算と炉心高さに着目した2次元 XY 体系計算を DORT コード(非等方散乱近似: P3近似,角度分点:対称 S48分点)を用いて行い, 両計算を組み合わせて中性子束の3次元空間分布 を評価した。RZ 体系モデルは,半径方向が炉心中 心から原子炉容器室壁まで,軸方向が原子炉容器 の下方からペデスタル部までを評価対象範囲とし ている。XY 体系モデルは,炉心高さ領域に着目し て,炉心から炉心槽外側のナトリウムプレナムま でを計算対象としている。この中性子束と箔の実 効断面積(JENDL‐2ベース)から,箔装荷位置に おける反応率を計算した。Ni‐58(n,p)反応率及 び Pu‐239核分裂率(規格値)の C/E 値(計算値 C と測定値 E の比)の炉心中心面上径方向分布を 図9に示す。炉心及び半径方向ブランケット領域 では,それらの反応率規格値の C/E 値は0.97から 1.17であり,計算値と測定値は,20%以内で一致 した。半径方向中性子しゃへい体領域においては, C/E 値は0.69から1.19であり,ファクター2以内 で一致した。炉心中心における反応率比 Ni‐58(n, p)/Pu‐239(n,f)の C/E 値は1.01であった。 炉内ラックの計算では,外側炉心用試験用集合 体と試験用しゃへい体の各1体を炉内ラックに装 荷して試験を行ったことから,DORT コードによ 図7 試験用集合体の構造 技 術 報 告

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表1 炉内構造物及び原子炉容器の高速中性子照射量 評価位置 (図2参照) 高速中性子照射量(n/cm2* D/E 測定評価値 (E) 設計値 (D) 炉心支持板 1.9×1021 5.0×1021 2. 炉心槽 5.3×1020 5.0×1021 9. 炉心上部機構 5.3×1019 1.0×1021 19 原子炉容器 2.5×1018 5.0×1021 2000設計の設備利用率80%,30年運転で評価 る以下の3つの2次元体系計算(P3近似,対称 S 48分点)を実施した。すなわち, ① 外側炉心用試験用集合体の中心を中心軸とし た2次元 RZ 体系計算で,炉心からの漏えい中性 子を境界線源として,燃料部分での中性子増倍 を考慮した計算 ② 試験用しゃへい体の中心を中心軸とした2次 元 RZ 体系計算で,炉心からの漏えい中性子を境 界線源とした計算 ③ 炉内ラック配置を考慮してモデル化を行い, 中性子増倍を考慮した2次元 Rθ(360°)体系計 算である。そして,外側炉心用試験用集合体を 装荷した炉内ラックまわりの3次元反応率分布 は,①と③を組み合わせることによって求めた。 これにより,11種類の箔に対して,炉心中心面 位置での反応率の C/E 値は0.62∼1.24であり, 計算値と測定値とはファクター2以内で一致し た。同様に,②と③の組合せにより,試験用しゃ へい体を装荷した炉内ラックまわりの反応率分 布計算を行った。その結果,炉心中心面位置で の反応率の C/E 値は,高速中性子のしきいエネ ルギーで反応するしきい反応(Ni‐58(n,p)反 応,U‐238(n,f)反応等)を除いて0.40∼0.9 8であったが,しきい反応については1を大き く下回る結果となった。 # 評価 炉内構造物及び原子炉容器の高速中性子累積照 射量にかかわるしゃへい設計裕度を評価するため, 高燃焼度平衡炉心末期の高速中性子束(≧0.1MeV) を計算し,Ni‐58(n,p)反応率の C/E 値を乗じ て,高速中性子累積照射量を求めた。炉心支持板, 炉心槽,炉上部機構及び原子炉容器における高速 中性子累積照射量の評価結果を表1に示す。高速 中性子累積照射量制限値に対する設計裕度は,炉 心支持板で2.6,炉心槽で9.4,炉心上部機構では 19であった。また,原子炉容器については,制限 値に対して十分な設計裕度のあることが確認でき た。 4.2 原子炉容器上部プレナム内の反応率測定・ 評価1),3) ! 測定 本測定は,ステンレス鋼製の燃料装荷系中性子 検出器案内管を用いて実施した。測定位置を図17 に示す。この案内管は,炉心中心軸から半径方向 に約270cm に位置し,炉心中心面付近からしゃへ いプラグまで貫通している。この案内管の中に B ‐10比例計数管や Au,Fe,Co の放射化箔を挿入し, 炉心中心面から Na 液面付近までの約800cm の範囲 にわたって反応率を測定した。測定条件としての Na 温度は約200℃,原子炉出力は定格出力の約0.03 %(B‐10比例計数管使用時)及び約0.16%(放射 化箔使用時)であった。また,反応率に対する熱 中性子の寄与を評価するため,B‐10比例計数管及 び箔に Cd カバーを施した測定も実施した。 " 解析 炉心中心を中心軸とした DOT3.5コードによる 2次元 RZ 体系計算(P3近似,対称 S59分点)を 実施した。計算範囲は,半径方向が炉心中心から 原子炉容器室壁まで,軸方向が炉心中心面下方350 cm からペデスタル部までであり,原子炉容器室内 の中間しゃへい床をモデル化により考慮した。反 応率の C/E 値を図10に示す。B‐10(n,α),Au ‐197(n,γ),Fe‐58(n,γ)及び Co‐59(n,γ) の反応率の C/E 値は0.4∼1.3であった。 # 評価 原子炉容器上部プレナム内の反応率の設計値(D) と測定値(E)とを比較した結果を図10に示す。D /E 値は,炉心中心面近傍でファクター約3,ナト 図9 反応率(規格値)の C/E 値の炉心中心面上径方向分 技 術 報 告

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リウム液面近傍でファクター約100であった。D/ E 値と C/E 値の間に大きな差が見られる理由とし て,以下の2点が考えられる。すなわち,第1は, 「保守的な設計を行う観点から,設計値には裕度 が考慮されており,それは,おおむね全中性子束 計算値の1桁の減衰に対して30%程度であること」, そして,第2は,「設計値が高燃焼度平衡炉心末期 の中性子束に基づき算出した値であるのに対し, 計算値は,初装荷炉心初期の中性子束に基づく値 であること」である。これらの要因の寄与につい ては,今後,確認していく必要がある。 4.3 炉上部ピット室内の中性子及びγ線線量当 量率測定・評価1),4) ! 測定 原子炉上部のしゃへい性能を評価するため,39 %出力等において,炉上部ピット室内の中性子及 びγ線線量当量率を測定した。中性子線量当量率 の測定には,レムカウンタ,熱ルミネッセンス線 量計(TLD),固体飛跡検出器(SSTD)及び B‐10 比例計数管を用い,また,γ線線量当量率測定に は,NaI シンチレーションカウンタ,TLD 及び電 離箱サーベイメータを使用した。しかし,中性子 及びγ線線量当量率の測定値はきわめて小さく, それらはすべて,検出器の検出下限値未満であっ た。そこで,炉上部ピット室内の線量当量率の設 計評価を行うため,ここでは,暫定的に,レムカ ウンタの中性子検出下限値(1µSv/h)と NaI シン チレーションカウンタのγ線検出下限値(0.1µSv /h)を適用し,定格出力時の炉上部ピット室内の 線量当量率(測定外挿値)を保守的に2.8µSv/h (=(1+0.1)×100/39)と設定した。なお,こ の値は,今後の出力上昇時の測定によって,更に 小さくなると考えられる。 " 解析 中間しゃへい床を含む原子炉容器上部プレナム 内の計算で得られたしゃへいプラグ及びペデスタ ル下面の中性子束及びγ線束を境界線源として用 い,DOT3.5コードによる RZ 体系計算により,炉 上部ピット室内の中性子及びγ線線量当量率分布 を求めた。これより,しゃへいプラグ及びペデス タルの上面における線量当量率の計算値は,バル ク体系計算(P3近似,対称 S48分点)で4×10−4 µSv/h,ストリーミング体系計算(P3近似,上方 非対称 S168分点)で2×10−2µSv/h であった。 # 評価 保守的評価の観点から,定格出力時における炉 上部ピット室内の線量当量率の測定外挿値として, 検出器の検出下限値に基づく値(2.8µSv/h)を設 定した。この測定外挿値に対し,1%燃料破損に よる FP ガスを含む Ar カバーガスからのγ線をも 考慮して設計評価値を算出した結果,しゃへいプ ラグ及びペデスタル上の線量当量率の評価値は, 設計条件(500µSv/h 以下)を十分に満足すること が確認された。 5.1次主冷却系まわりのしゃへい性能試験 5.1 1次 Na の放射化量測定・評価1),4) ! 測定 1次 Na の放射化によって生成する Na‐24及び Na‐22は,1次主冷却系まわりの壁厚の設計やメン テナンス作業時の被ばく線量当量率評価において 考慮しなければならない重要な核種である。起動 試験時の1次 Na 放射化量測定では,1次 Na 純化 系ラインからサンプリングした Na の放射能を Ge 半導体検出器で測定した。Na‐24の半減期(15時間) は比較的短いため,Na‐24の放射能の測定値を,オ ーバーフロータンクとコールドトラップからなる 瞬時完全混合モデルで補正した。また,Na‐22(半 減期:2.6年)に関しては,サンプリングによって 得られた測定値を使用した。そして,起動試験中 の出力履歴を考慮し,計画している運転サイクル に基づき測定値の外挿を行うことにより,定格出 力時の放射平衡状態における1次 Na の放射化量を 求めた。その結果,定格出力時の放射平衡状態に おける Na‐24及び Na‐22の放射能は,それぞれ, C/E 又は D/E 図10 原子炉容器上部プレナム内の反応率の C/E 値及び D/E 値(初期炉心,200℃) 技 術 報 告

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図11 1次主冷却系室内の中性子照射線量率の測定位置

2.9×108Bq/cm及び3.3×1Bq/cmであった。

" 解析

2次元輸送計算コード DOT3.5により,炉心を

含む原子炉容器内の中性子束を計算し,これと Na

‐23(n,γ)Na‐24及び Na‐23(n,2n)Na‐22の

反応断面積から Na‐24及び Na‐22の生成量及び放 射能を評価した。炉心,ブランケット及び制御棒 からなる領域での Na‐24及び Na‐22の生成割合は, それぞれ,原子炉容器内全領域の約75%及び約100 %であった。これは,Na‐24の生成は2.8keV の共 鳴反応,Na‐22の生成は12MeV 以上のしきい反応 が支配的であることによる。また,定格出力時の 放射平衡状態における Na‐24及び Na‐22の放射能 を計算した結果,それぞれ,4.5×108Bq/cm(C /E=1.5)及び3.8×104Bq/cm(C/E=1.2)が得 られた。 # 評価 定格出力時の放射平衡状態における1次 Na の放 射化量の設計値は,Na‐24で9.6×108Bq/cm,Na ‐22で5.6×104Bq/cmであるので,設計値は測定外 挿値に対して Na‐24でファクタ−3.3,Na‐22で70 %の設計裕度を有していることがわかる。これは, 設計では,設計計算値に対して約2倍の不確かさ を見込んでいたこと等の理由によるものである。 5.2 1次主冷却系室内の中性子線量当量率測定 ・評価1),6) ! 測定 通常運転時における1次主冷却系室内の中性子 源は,設計上,以下の3種類が想定されている。 第1は,炉心からの漏えい中性子であり,第2は, コンクリート,特に,含水量の多いパーライトコ ンクリート中の重水素と1次 Na 中の Na‐24の高エ ネルギーγ線(2.75MeV)との(γ,n)反応によっ て発生する光中性子である。そして,第3は,1 次 Na 中の不純物ウランの核分裂生成物によって生 ずる遅発中性子である。性能試験では,1次主冷 却系配管しゃへい室及び1次主冷却系室に Co,Au, Ni 箔を設置し,その反応率を測定した。また,中 性子線量当量率(50keV 以上の中性子)を測定す るため,固体飛跡検出器を1次主冷却系室の壁に 取り付けた。さらに,DN 法 FFD で中性子計数率 を測定した。これらの測定箇所を図11に示す。そ の結果,1次主冷却系配管しゃへい室の第1貫通 部出口における Co‐59(n,γ)Co‐60反応率の定 格出力状態への測定外挿値として,4.6×10−22 re-actions/s・atom が得られた。それ以外の Co 箔及 び Au,Ni 箔については,検出下限値未満であった。 また,1次主冷却系室壁での中性子線量当量率(固 体飛跡検出器による50keV 以上の中性子)及び DN 法 FFD の計数率の測定外挿値(定格出力時)は, それぞれ,0.4∼2.0µSv/h 及び1cps であった。 " 解析 炉心からの漏えい中性子を評価するため,原子 炉容器上部プレナム(中間床を含む)内の計算か ら得られた原子炉容器室内の中性子束を等方で一 様な入射線束として用い,輸送計算コード DOT 3.5及び JSD100断面積ライブラリーにより,1次 主冷却系配管しゃへい室内の RZ 計算(P3近似, S80分点)を実施した。また,1次主冷却系室にお ける光中性子束分布を評価するため,定格出力時 放射平衡状態の Na‐24の放射能として2.9×108Bq /cm3(前述の5.1!参照)を用い,DOT3.5コー ド に よ る RZ 計 算(JSDJ2ベ ー ス,P5近 似,S 96分点)及び QAD コードの計算により1次主冷却 系室壁でのγ線束分布を求めて,同壁面上の光中 性子源分布を評価した。そして,3次元輸送計算 コ ー ド TORT に よ る XYZ 計 算(JSDJ2ベ ー ス, P5近似,S192分点)により,1次主冷却系室内の 光中性子束分布を求めた。定格出力時における1 次主冷却系室内の中性子線量当量率の測定外挿値, 計算値及び設計値を表2に示す。 # 評価

Co 箔の Co‐59(n,γ)Co‐60反応率の C/E 値

(約120)から,全中性子束の評価値として,1次 主冷却系配管しゃへい室の第1貫通部出口で4× 101n/cm・s,1次主冷却系室の第2貫通部出口で 8×10−2n/cm・s が得られた。このような計算の 過大評価は,原子炉容器室内の中間しゃへい床に ある種々の切り欠き部が3次元的に複雑な形状を しており,2次元 RZ 体系のモデルでは十分に模擬 できなかったためであると考えられる。したがっ 技 術 報 告

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図12 45%出力からの原子炉トリップ時の DN 法 FFD の計 数率変化 図14 1次主冷却系室内のγ線照射線量率の定格出力状態 への測定外挿値及び計算値 図13 1次主冷却系室内のγ線照射線量率の測定位置 て,上述の全中性子束の評価値から,1次主冷却 系室内の生体しゃへい壁での全中性子束は,しゃ へい設計条件(第2貫通部出口で1×104n/cm・s 以下,バルクしゃへい性能で1×103n/cm・s 以下) を十分に満足することが確認された。一方,45% 出力での原子炉トリップ時の DN 法 FFD の計数率 の変化を図12に示す。これより,DN 法 FFD の計 数率の減衰曲線の半減期は,光中性子を生成する Na‐24の半減期(15hr)とほとんど同じであること が分かる。また,Ar カバーガス中の Xe 及び Kr の放射能の測定結果から,1次 Na 中の不純物ウラ ンから生ずる遅発中性子の寄与は無視できると判 断された。したがって,1次主冷却系室における 大部分の中性子は光中性子であることが明らかと なった。 5.3 1次主冷却系室内のγ線照射線量率測定・ 評価1),4) ! 測定 本測定では,コバルトガラス線量計,アラニン 線量計及びフィルム線量計等を1次主冷却系室内 の代表的な位置に配置し,起動試験時に積算出力 約40EFPD に相当する照射を行った。一例として, γ線検出器によるγ線照射線量率の測定位置を図 13に,また,1次主冷却系室内γ線照射線量率の 定格出力状態への測定外挿値を図14に示す。 " 解析 1次主冷却系室内のγ線照射線量率の計算は, Na‐24(2.9×108Bq/cm)及び Na‐(3.3×1Bq /cm3)のγ線源を内包する1次系配管,中間熱交 換器,循環ポンプ,循環ポンプオーバフローカラ ムの他に,中間熱交換器ガードベッセル,循環ポ ンプガードベッセル,DN 法 FFD 及び小口径配管 等を一括して3次元的にモデル化し,それらの構 造物と線量率測定点の3次元配置を考慮して QAD コードにより行った。計算結果を図14に示す。 # 評価 定格出力時の放射平衡状態における1次主冷却 系室内主要位置のγ線照射線量率に関して,測定 表2 1次主冷却系室内の中性子線量当量率等の測定外挿 値,計算値及び設計値 評価項目 測定外挿 値(E)* 計算値 (C) 設計値 (D) C/E D/E 検出器 場所 単位 Co 箔 1次主冷却 系配管 しゃへい室 reactions s・atom 4.6×10−22 5.3×10−20 2.4×10−18 120 5200 固体飛跡 検出器 1次主 冷却系 室 µSv/h 0.4∼2.0 2.8 16 1.4∼7.0 8∼40 DN法FFD cps 1 0.21 24 0.21 24 *定格出力状態へ外挿した値 技 術 報 告

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表3 1次主冷却系室内のγ線照射線量率の測定外挿値, 計算値及び設計値 評価点 γ線照射線量率(R/h)* C/E D/E 測定外挿値 (平均)** (E) 計算値 (C) 設計値 (D) ホットレグ 配管表面 5.4×10 3 1.5×104.0×102. 7. コールドレグ 配管表面 4.0×10 3 1.1×103.2×102. 8. 中間熱交換機 表面 2.8×10 3 8.1×103.1×102.9 11.定格出力状態に外挿した時の A 系及び B 系の平均値 **3種類の検出器による測定外挿値の平均値 外挿値,計算値及び設計値を表3に示す。ここで, 設計値は,対象機器に使用されている電気機器及 びケーブル類の使用期間中の耐放射線損傷の基準 によるものである。これより,計算値は測定外挿 値を約3倍過大評価していること,及び設計値は 測定外挿値に対してファクタ−7∼11の設計裕度 を有していることがわかる。 6.燃料取扱設備及び貯蔵設備まわりのしゃへい 性能試験 6.1 炉内中継装置及び燃料出入機まわりの線量 当量率測定・評価1),5) ! 測定 本測定は,使用済燃料集合体(図4参照)の代 わりに中性子源集合体を用いて実施した。中性子 源は Cf‐252であり,その線源強度は6.5×109n/s である。炉内中継装置(IVTM)の上部案内管及び 燃料出入機(EVTM)のコフィン‐A のまわりの線 量当量率を測定するために,中性子検出用にレム カウンタを,γ線検出用に電離箱サーベイメータ を用いた。炉内中継装置まわりの測定点及び測定 値を図15及び表4に,また,燃料出入機まわりの 測定点及び測定値を図16及び表5に示す。 " 解析 高速炉しゃへい解析手法に基づき,輸送計算コ ー ド DOT3.5に よ る RZ 計 算(IVTM:P3近 似, S96分点,EVTM:P5近似,S70分点)により,中 性子束及びγ線束を求めた。なお,中性子源(Cf ‐252)はほぼ点線源であるので,レイエフェクト (ray effect) 低減のため,1次散乱源計算コード GRTUNCL による1回散乱計算により得られた線 源分布を使用した。炉内中継装置及び燃料出入機 まわりの線量当量率の計算結果を表4及び表5に 示す。同表より,炉内中継装置まわりの中性子線 表4 炉内中継装置まわりの中性子線量当量率 測定点 (図15参照) 中性子線量当量率(µSv/h) C/E 測定値(E) 計算値(C) ① 2.1 2.5 1.2 ② 1.3 0.1 0.1 ③ 52 54 1.0 表5 燃料出入機まわりの線量当量率 測定点 (図16参照) 放射線 線量当量率 (µSv/h) C/E 測定値(E) 計算値(C) ① 中性子 7.0 2.5 0.4 γ線 3.3 4.7 1.4 ② 中性子 2.5 0.82 0.3 γ線 179 102 0.6 図15 炉内中継装置まわりの測定点 図16 燃料出入機のコフィン A まわりの測定点 技 術 報 告

図 1 参加者の属性東京 10%20% (3)原子力関連の学科・業種の経験者の割合40%60%80%100%仙 台東京 2大 阪福 岡73%(171名)19%(44名)8%(19名)56%(90名)40%(64名)70%(70名)20%(20名)61%(30名)29%(14名)44%(24名)40%(22名)10%(5名)10%(10名)4%(3名)16%(9名) 経験者 未経験者無回答東京 10%20%(1)男女の割合40%60%80%100%男性仙 台東京 2大 阪福 岡82%(191名)14%(33名

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