• 検索結果がありません。

2.5 臨床に関する概括評価

2.5.5 安全性の概括評価

2.5.5.1 薬理学的に特徴的な有害事象

非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)はアラキドン酸をPG G/Hに変換するCOXを阻害し,PGE2 等の炎症メディエーター生成を抑制することにより抗炎症作用,鎮痛作用及び解熱作用を示し,

RA,OA等の炎症・疼痛性疾患に繁用されている.しかし,同時に胃・十二指腸等の上部消化

管,腎臓,血小板等において生理機能を維持するために必要な PG の生合成をも抑制し,上部 消化管障害,腎機能障害,血小板凝集阻害に伴う有害事象を誘発する可能性が指摘されている.

そこで,COX-2 を選択的に阻害して炎症部位における PGE2等の炎症メディエーター生成の みを抑制し,既存の NSAID と同等の消炎・鎮痛効果を有しながら,COX-1 を阻害しないこと により消化管障害等の副作用は既存のNSAIDよりも少ない薬剤の開発が期待されている.

セレコキシブは, COX-2 を選択的に阻害するコキシブ(COXIB)系消炎鎮痛剤であり,既

存のNSAIDと比較し上部消化管障害,腎機能障害及び血小板凝集阻害に伴う有害事象がより少

ない薬剤となり得ることが期待される.

本剤の患者における安全性は,RA,OA,腰痛症,肩関節周囲炎,頸肩腕症候群及び腱・腱 鞘炎の患者を対象とした国内12試験及び長期投与試験(外国)において検討した.国内で実施 した12試験に組み入れられた被験者数は4198例,そのうち被験薬を投与され安全性の解析対 象例となった被験者数は4000例(本剤2398例,プラセボ412例,ロキソプロフェンナトリウ ム1190例)であった.長期投与試験(外国)は非盲検で実施し,本剤を投与され安全性の解析 対象例となった被験者数は5157例であった.

本剤の安全性は有害事象,臨床検査,一部の試験においてバイタルサインを測定することに より評価した.また,本剤の特徴を検討するため,既存のNSAIDの安全性上の問題点である消 化管障害,腎機能障害及び血小板凝集阻害に伴う有害事象について,ロキソプロフェンナトリ ウム又はプラセボと比較し評価した.また,本剤の安全性を幅広く評価するため,心血管系事 象,肝機能障害,皮膚障害に伴う有害事象についても併せて評価した.

2.5.5.2 被験者集団の特徴及び曝露の程度

RA,OA,腰痛症,肩関節周囲炎,頸肩腕症候群及び腱・腱鞘炎の患者を対象とした試験に おいて,安全性確保の点から以下の患者は試験の対象から除外された.

・NSAID,スルホンアミドに対する薬物過敏症又はアスピリン喘息の既往・合併を有する患者

・消化管出血,消化管潰瘍を合併している患者

・重篤な肝・腎障害を有する患者

・妊娠,授乳中の患者,妊娠している可能性のある患者又は妊娠を希望する患者

これらの患者に対する本剤の安全性については検討されていないことと,類薬の添付文書を 参考に,本剤の成分又はスルホンアミドに対し過敏症の既往歴のある患者,アスピリン喘息又 はその既往歴のある患者,消化性潰瘍のある患者,重篤な肝障害又は腎障害のある患者を1.8.3

添付文書(案)の禁忌の項に記載し,妊婦等への投与に対する注意を使用上の注意に記載した.

また,妊娠末期の動物(マウス及びヒツジ)への投与により胎児の動脈管収縮が報告されてい ることから,禁忌の項に妊娠末期の患者を記載した.

本剤の国内短期投与10試験の1日投与量及び投与期間別曝露の状況は,推奨用法・用量であ る100-200mgBIDにて28日以上84日未満の投与を受けた被験者が1771例中775例と最も多かっ た(表2.7.4.1.11).

国内の長期投与試験では,6カ月(28週)を超えて200mgBID投与を受けた被験者が94例,

100mgBID投与を受けた被験者が45例であり,1年(52週)を超えて200mgBID投与を受けた 被験者が 21 例,100mgBID 投与を受けた被験者が 9 例であった.長期投与試験(外国)では 200mgBIDを52週間超えて投与を受けた被験者が1556例,100mgBIDを52週間超えて投与を 受けた被験者が334例であった(表2.7.4.1.12,表2.7.4.1.13).

国内全試験における疾患別の被験者の人口統計学的特性では,OA において高齢者の被験者 の割合が他の疾患に比べて高く,腰痛症を除く他の疾患では女性の割合が高かった.合併症を 有する被験者の割合は,RA及びOAで他の疾患に比べて高かった.RAの被験者では消化器系 疾患を合併している被験者の割合が他の疾患に比べて高かった.これは前治療薬としてNSAID 及び併用薬を使用している被験者の割合がRAの被験者に多いことから,RA患者ではNSAID,

DMARD 等の薬物治療を受けることにより,消化器系疾患を合併することが多いものと考えら

れる.OA 及び腰痛症の被験者では腎疾患を合併している被験者の割合が他の疾患に比べて高 かった.(表2.7.4.1.14).

国内及び外国の長期投与試験における被験者の基本的な人口統計学的特性では,体重の男女 平均値,男性60kg 以上,女性50kg以上の割合が国内に比べ外国で高かったが,その他の項目 では著しい違いは認められなかった(表2.7.4.1.15).

国内の長期投与試験における合併症及び併用薬に関する人口統計学的特性では,前治療

NSAIDあり及びステロイド併用ありの被験者の割合が,RAではOAに比べて高かったが,そ

れ以外の合併症及び併用薬に関しては,RA と OA の間に著しい違いは認められなかった(表 2.7.4.1.16).

長期投与試験(外国)における既往又は合併症及び併用薬に関する人口統計学的特性では,

併用薬のうちステロイドを併用している被験者の割合が,RAではOAに比べて高かったが,そ れ以外の既往又は合併症及び併用薬(通常 OA 患者に使用されないメトトレキサート及び DMARDを除く)に関しては,RAとOAの間に著しい違いは認められなかった(表2.7.4.1.17).

RA,OA,腰痛症,肩関節周囲炎,頸肩腕症候群及び腱・腱鞘炎の患者において,国内及び 外国において本剤が投与された7555例の被験者について安全性が検討されており,除外基準に より臨床試験において安全性が検討されなかった患者集団を除けば,以下に示す成績は本剤の

市販後の安全性予測を可能にするものと考えられる.

2.5.5.3 比較的よくみられる有害事象(症状及び身体徴候)

国内全試験における本剤の全有害事象の発現率は42.0%であり,発現率が5.0%以上の有害事 象は上気道感染(8.1%),腹痛(8.0%)の2種類であった(表2.7.4.2.1).

ロキソプロフェンナトリウム対照 3 試験における全有害事象の発現率は本剤46.2%,ロキソ プロフェンナトリウム49.4%であった.

ロキソプロフェンナトリウム対照 3試験において,本剤又はロキソプロフェンナトリウムの いずれかの群において1.0%以上発現した有害事象は21種類あり,このうち7種類が消化管障 害(腹痛,下痢,口内炎,鼓腸放屁,嘔気,消化不良,便秘)であった.消化管障害を含めす べての有害事象の発現率に,本剤とロキソプロフェンナトリウムの間で明らかな差は認められ なかった(表2.7.4.2.4).

プラセボ対照3試験における全有害事象の発現率は,本剤34.7%,プラセボ32.0%であった.

プラセボ対照3試験において,本剤又はプラセボのいずれかの群において1.0%以上発現した 有害事象は16種類あり,このうち7種類が消化管障害(腹痛,下痢,口内炎,鼓腸放屁,嘔気,

消化不良,便秘)であった.消化管障害を含めすべての有害事象の発現率に,本剤とプラセボ の間で明らかな差は認められなかった(表2.7.4.2.4).

ロキソプロフェンナトリウム対照3試験及びプラセボ対照3試験において器官別大分類ごと の有害事象の発現率を検討した.ロキソプロフェンナトリウム対照3試験において,浮腫を含 む一般的全身障害の発現率が本剤(5.5%)においてロキソプロフェンナトリウム(8.4%)に比べ低 く,統計学的に有意な差が認められた(p=0.006).また,呼吸器系障害の発現率も本剤(13.6%) においてロキソプロフェンナトリウム(17.1%)に比べ低く,統計学的に有意な差が認められた (p=0.020).一方,プラセボ対照3試験において,発疹,そう痒(症)を含む皮膚・皮膚付属器 障害の発現率が本剤(6.5%)においてプラセボ(2.2%)に比べ高く,統計学的に有意な差が認めら れた(p=0.001)(表2.7.4.2.22).

既存のNSAIDの安全性上の問題点である上部消化管障害,腎機能障害及び血小板凝集阻害等

の有害事象について検討し,更に本剤の安全性を幅広く評価するために,以下の有害事象に関 して,本剤の安全性をロキソプロフェンナトリウム及びプラセボと比較し検討した.

① 消化管障害

② 消化管潰瘍及び出血性事象[胃潰瘍,十二指腸潰瘍,出血性胃潰瘍,胃腸出血,出血性胃 炎及びメレナ]

③ 腎機能障害[泌尿器系障害,自律神経系障害の高血圧及び高血圧悪化,血管(心臓外)障 害の脳血管障害,一般的全身障害の浮腫,末梢性浮腫,顔面浮腫及び全身浮腫]

④ 浮腫事象[一般的全身障害の浮腫,末梢性浮腫,顔面浮腫及び全身浮腫]

⑤ 肝臓・胆管系障害

⑥ 心血管系事象[出血凝血障害{血小板・出血凝血障害,赤血球障害及び血管(心臓外)障 害},心臓障害{心・血管障害(一般),心筋・心内膜・心膜・弁膜障害及び心拍数・心 リズム障害}]

⑦ 皮膚・皮膚付属器障害

ロキソプロフェンナトリウム対照3試験における消化管障害の発現率は本剤(22.6%)とロキ ソプロフェンナトリウム(23.1%)で同程度であった(表 2.7.4.2.23).消化管障害のうち NSAID 投与により誘発される可能性がある重要な消化管潰瘍及び出血性事象の発現率は,本剤(0.3%) においてロキソプロフェンナトリウム(0.8%)に比べ低かったが,統計学的に有意な差は認められ なかった(p=0.145)(表2.7.4.2.25).

ロキソプロフェンナトリウム対照3試験における腎機能障害の発現率は本剤(2.4%)において ロキソプロフェンナトリウム(5.7%)に比べ低く,統計学的に有意な差が認められた(p<0.001)

(表 2.7.4.2.29).この発現率の差は,主に浮腫事象によるものであり,その発現率は本剤(1.2%)

においてロキソプロフェンナトリウム(3.8%)に比べ低く,統計学的に有意な差が認められた (p<0.001)(表 2.7.4.2.31).これは既存のCOX-2非選択性の阻害作用を持つ NSAIDが,腎臓の PGの生合成を抑制し,腎血流量を低下させるために生じた水分貯留が原因と考えられた.

ロキソプロフェンナトリウム対照3試験及びプラセボ対照 3試験における肝臓・胆管系障害 の発現率は,本剤及びロキソプロフェンナトリウムいずれにおいても低率(0.3%以下)であり,

プラセボ群と同程度であった(表2.7.4.2.32).

ロキソプロフェンナトリウム対照3試験における心血管系事象の発現率は,本剤(1.2%)と ロキソプロフェンナトリウム(1.4%)で同程度であった(表2.7.4.2.34).

ロキソプロフェンナトリウム対照3試験及びプラセボ対照3試験における血小板凝集阻害作 用が関連すると考えられる出血凝血障害の各有害事象及び心臓障害の各有害事象の発現率は,

本剤及びロキソプロフェンナトリウムいずれにおいても低率(0.3%以下)であり,プラセボ群と 同程度であった(表2.7.4.2.39 ,表2.7.4.2.41).

ロキソプロフェンナトリウム対照3試験及びプラセボ対照3試験において,本剤はプラセボ及 びロキソプロフェンナトリウムに比べ皮膚・皮膚付属器障害の有害事象の発現率が高く,プラ セボとの比較において両群間に統計学的に有意な差が認められた(p=0.001)ものの,ロキソプ ロフェンナトリウムとの比較においては,両群間に統計学的に有意な差は認められなかった (p=0.065)(表 2.7.4.2.42).また,国内全試験のいずれの群においても,生命を脅かすような皮 膚疾患(スティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症など)の発現は認められなかっ た(付録 表2.7.4.7.4).

本剤群に発現した有害事象の程度別の発現率は,国内短期投与試験において軽度 24.8%,中 等度9.9%,高度2.8%,国内長期投与試験において軽度41.6%,中等度40.7%,高度3.6%であり,

高度と判定されたものは少なかった(表2.7.4.2.5).

関連したドキュメント