1.目的 H.方法 1.被験者
2.模擬使用実験時期 3.実験方法
皿.結果及び考察 1.被験者の概要 2.映像のわかりやすさ 3,印象に残った映像 4.教材に対する評価 (1>教材の有効性 (2)教材の問題点 w.要約
第3章 学習者の評価による本教材の有効性の検討
1.目的
乳幼児と接する機会の少ない生徒に「乳幼児の発達」や生活を理解させ、関心を もたせるための学習の方法としてコンピュータ映像教材の開発に取り組んできた。
第1章では、「保育」学習に関連する教材の実態調査から教材に求められている条 件を明らかにした。第2章では、その条件を満たした教材の開発を行い、教材の効 果的な利用方法について検討した。開発した教材は、 「画面上で実際に乳幼児の動 く姿を見ることによって乳幼児と接する機会の少ない生徒に実感を持たせることが 可能である」 「基礎知識の少ない生徒にとっても理解しやすい内容である」 「難し いプログラムを組む必要もない」 「容易に内容を追加・削除できる」 「指導者が映 像を自由に選択し、構成することが可能である」などの特徴がある。しかしながら、
本教材の有効性は、実際に使用することによって、さらに検:証される必要がある。
そこで、本章では、開発した教材の模擬使用実験を行い、学習者側の評価から教 材の有効性を検討した。
H.方法
1.被験者
被験:者は兵庫教育大学の2年生男子71名、女子133名、合計204名である。
2.模擬使用実験時期
模擬使用実験は平成9年2月20日に行った。
3。実験方法
乳幼児の心身発達の6つの側面から、それぞれ3〜4の映像ファイルをランダムに 選び、合計20の映像ファイルを作成した(表1参照)。そして、それらをコンピュー
タ上で作動させ、作動中の画面をVTRに取り込んだ。数台のテレビが設置されて いる大講義室で、VTRを再生し、教材の調査を実施した。1場面ごとにVTRを 止め、各映像のわかりやすさを5段階で評価させた。すべての映像が終了した後、
印象に残った場面と教材について感じたことを自由記述させた。
皿.結果及び考察
1.被験者の概要
開発した教材を用いての模擬使用実験の被験者の概要を図1〜4に示す。有意差 の検定は、Z2検定を用いた。
被験者の男子学生は、中学校では70.4%が家庭科を学習しているが、高等学校 ではほとんどの学生が家庭科を学習してきていない(図1)。
中学校
学習した 学習していない 男子
女子
男子
女子 0
学習した
50
高等学校 学習していない
1.5
100%
p〈0.005
0 50
2.8
100%
p<0.005
図1 家庭科の学習経験
乳幼児と遊んだ経験は男女共に多く、有意な差はみられなかった(図2)。
男子
女子
ある ない
0
纏、
50 !00%
]口LS.
図2 乳幼児との遊びの経験
乳幼児への関心については、女子は8割近くの学生が関心を示しているが、男子 は約半数の学生しか関心を示しておらず、男女間で有意な差がみられた(図3)。
男子
女子
ある どちらでもない ない
0 50
4.5
100%
P<0.05
図3 乳幼児への関心
「発達の学習」への関心についても、女子は7割以上の学生が関心があると答え ているが、男子は6割以下であり、有意な差がみられた。しかし一方、 「発達の学 習」の重要性については男女共に多くの者が認めており、有意な差はみられなかっ た(図4)。
一43・
「発達の学習」への関心
ある どちらでもない ない 男子
女子
男子
女子 0
4.5
0
50 100%
P<0ρ5 「発達の学習」の重要度
重要である どちらでもない重要でない 雛雛,
127 1.4 雛霧
5.2
50 100%
n.S.
図4 「発達の学習」への関心・重要度
2.映像のわかりやすさ
本教材を構成する各映像についてのわかりやすさの評価結果を図5に示す。
すべての映像について、男女ともに「非常にわかった」 「ややわかった」が70〜
80%を占めており、わかりやすい映像であったことがわかる。
その中で、 「わからなかった」と答えた学生の割合が20〜30%を占めている映像 は、「その場跳びができる」 「指先を使ってのりつけができる」 「アーアーという 母音が連なった簡単な音をマネする」という映像であった。
非常に
團
わかった
ハイハイ 階段を登る その場跳び
とび降りる すべり台
團
翻舘。た □
どちらでもない.團四囲岡岬同町
躍麗なかった閣愚なかった
團圃即興國興野・<α・・
團團自薦翻駄・・
圏團團瞬1躍[%.・<0・05
團麗團圏圃凱・・
二二二二二二.焦・・
知覚・巧緻運動
液体を注ぐ おもちゃを 取る
のりつけを する
言語
アーアー いらない
指図に従う
.團圏團麟羅[出品
..國園圃羅[%圏
圏幽幽獲麟焦・・
留圏圏國山影蟹・・
・團国璽国璽彫籍・・
n.S.
情緒・社会性
親、い人。手幽幽幽幽醗欝欝翔
を差し出す「
家事を.まねる
反抗的
哺乳ビンを 持つ スプーンを 使う 皿や茶碗を 洗う グループで
画
遊ぶ 集団遊び ジャンケン
.團團圏薩翻籔コ麺
顯團■圏圏翻コ翅
團團國圏翻・<α05 国璽團團國國・…
二二二三・<0・05 國翻圏圏國焦・・
團國團團囲・<0・05
圏■團團國…
團圏圏團麟且・・
國團團畷翻=閣几・・
囲國團國翻凱・・
0 20 40 60 80 100% 0 20 40 60 80 100%
図5 映像のわかりやすさ
これらの映像がわかりにくかった原因について、今後検討する必要がある。今回 の模擬使用実験では20の映像を順に見せただけで、それぞれの映像については何の 説明も加えていない。説明を加えれば、学習者の理解は増すと思われる。現場にお いても、 「発達」に関する基礎知識の少ない中学・高校生に、1つ1つの乳幼児の 行動について、指導者が説明を加えながら見せることが、乳幼児の発達の理解につ ながると思われる。この点については、第1章で明らかになったように、家庭科教 諭もVTR教材の課題としてとらえている。本教材は、映像ごとに説明を加えなが
ら見せたり、説明を加えた後映像を何度でも繰り返し見せることが容易にでき、生 徒の実態からもかなり有効であるといえる。
「1つの入れものから他の入れ物へ液体を注ぐ」「指先を使ってのりつけができ る」については、小さい動作であったり、細かい指先の作業であったため、わかり にくかったと思われる。幼児の手元に注目させるような映像にする必要がある。実 際の授業ではコンピュータ画面上の幼児の手の動きを指導者が示すことにより、生 徒に理解しやすくさせることも可能と考える。
男女間で映像のわかりやすさに有意な差がみられたのは、 「おなかを床につけた ままハイハイをする」 「その場跳びができる」 「親しくしている人に抱かれようと して手を差し出す」 「反抗的になる」「スプーンを使ってこぼさずに1人で食べる ことができる」であり、すべて女子の方がわかりやすさは高かった。中学校・高等 学校で家庭科を学んでこなかった男子学生にとって、乳児の姿は女子以上に見慣れ
ないものであり、幼児に反抗期があるという知識も少ない。そこで、これらの子ど もの姿が理解できなかったとも考えられる。
次に各映像のわかりやすさが、学習者の状況によって異なるか否か、検:討を行っ た。「中学校での家庭科の学習経験」の有無、 「乳幼児と遊んだ経験」の有無、
「乳幼児への関心」の有無、「「発達の学習」への関心」の有無での有意差検定の 結果を表1に示す。
表1 学習者の概要とわかりやすさの関係(Z2検定の結果)
映像 男女差 中学校で
フ学習
遊んだ経
@験
乳幼児への
@関心
1発達の学習」
ヨの関心 おなかを床につけたまま、腹這いをし
ト自ら前に進む P<0.05 n.S n.S n.S n.S 階段を四つ足で登る n.S n。S P<0.05 P<0.05 n.S
全身
^動 その場跳びができる P<0.05 n.S n,S n.S n。S
両足をそろえて台からとび降りる n.S n.S n.S P<0.05 n.S すべり台をうつ伏せに寝てすべったり
オて変化を楽しむ n。S P<0.05 n.S 難.S P<0.005 1つの入れ物から他の入れ物へ液体を
高ョ n。S n.S n.S n。S n.S
知覚
I緻
^動
おもちゃ箱ごとひっくりかえして、そ
フ中から好きな物を取り出す n.S n.S P<0.05 n.S n.S 指先を使ってのりつけができる n.S n.S P<0.05 n。S n。S
母音と子音が連なった簡単な音をマネ
キる n.S n.S n.S n。S n。S
言語 「いらない」の言葉を理解して正しく
gう n.S n.S 簸.S n.S n.S
言葉でだされた指図に従う n.S P<0.05 P〈0.005 a.S n.S
親しくしている人に抱かれようとして、
閧 差し出す P<0.05 n.S n.S P<0,05 n.S
情緒
ミ会 ォ
家事動作をまねる n.S n,S n.S 且。S n.S反抗的になる P〈0.05 n.S n.S n。S n.S
飲むために1人で哺乳ビンを持つ n。S n。S n.S n.S n,S
生活
K慣
スプーンを使って、こぼさずに1人で
Hべることができる P<0.05 且.S P<0.005 P<0.005 P<0.005 お皿やお茶碗を上手に洗える n.S n。S n。S n。S n.S
いくつかのグループに分かれて遊ぶ n.S n.S n.S n.S n。S
遊び 遊びが集団的になる n.S P〈0.05 n。S n.S n.S じゃんけんのルールを理解する n.S n。S 1}.S n。S n.S
中学校での家庭科の学習経験がある学生とない学生でわかりやすさが有意に異なっ た映像は、 「すべり台をうつ伏せに寝てすべったりして、変化を楽しむ」 「言葉で だされた指図に従う」「遊びが集団的になる」であり、20の映像のうち3映像であっ
た。
乳幼児と遊んだ経験の有無では、「階段を四つ這いで登る」「おもちゃ箱ごとひつ くり返して、その中から好きな物を取り出す」 「指先をつかって、のりつけができ る」 「言葉でだされた指図に従う」 「スプーンを使って、こぼさずに一人で食べる」
の5映像で映像のわかりやすさに有意差がみられた。
次に、乳幼児への関心の有無で有意な差がみられた映像は、 「階段を四つ這いで 登る」 「両足をそろえて台からとび降りる」 「親しくしている人に抱かれようとし て、手を差し出す」 「スプーンを使って、こぼさずに一人で食べる」の4映像であっ た。しかし、「非常にわかりにくい」と解答した学生は全くみられなかった。
「発達の学習」への関心の有無によって有意な差がみられた映像は、「すべり台 をうつ伏せに寝てすべったりして、変化を楽しむ」 「スプーンを使って、こぼさず に一人で食べる」という2映像であった。
以上、学習者の状態に応じて、映像のわかりやすさが異なるか否かについて検討 した結果、有意な差がみられた映像は全体的に少なかった。このことは、学習経験、
乳幼児との遊びの経験、乳幼児や「発達の学習」に対する関心の違いによっても映 像のわかりやすさはあまり変わらないことを示唆している。
教材は、どのような生徒にとってもわかりやすいことが重要であり、その点から みても本教材は適切といえよう。
3.印象に残った映像
印象に残った映像があれば記入しなさい、という質問に対する結果を図6に示す。