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学生の学習行動に関する課題

6. 今後の課題

6.2. 学生の学習行動に関する課題

表 6 の結果から,反転授業を継続していくことで学生が学習習慣を身に付ける可能性は 高い。実際,学生からも「(映像について)気になる部分は,何度も聞き返す」という意見が 出ており,主体的な学習行動をとっていたことがわかっている。一方,「途中から義務的に 反転授業を行っていた」「自分が興味深くない科目だったら,反転授業に取り組まなかっ た」という意見も出ている。本研究では事前ノートテイキングと小テストを課しているた め,取り組まないという学生はほぼ皆無であったが,逆にこのことが義務的に感じさせて いる要因となっている。これは表 14,15 の結果からも推察できる。映像の質を向上させる とともに,授業内で行うアクティブ・ラーニングを精選し,より多くの学生が主体的に反 転授業を実施できる内容を検討する必要がある。

参考文献

文部科学省「高等学校学習指導要領解説特別活動編」,海文堂出版,2010 年 4 月

相原次男ほか「新しい時代の特別活動 個が生きる集団活動を創造する」,ミネルヴァ書 房,2010 年 5 月

宮地功ほか「e ラーニングからブレンディッドラーニングへ」,共立出版,2009 年 9 月 河合塾編「『学び』の質を保証するアクティブ・ラーニング ―3年間の全国大学調査から―」,

東信堂,2014 年 5 月

小林昭文「アクティブラーニング入門」,産業能率大学出版部,2015 年 4 月 上條晴夫「教師教育」,さくら社,2015 年 1 月

ジョナサン・バーグマンほか「反転授業」,オデッセイコミュニケーションズ,2014 年 5 月

(2015.7.21 受稿,2015.8.12 受理)

表 14 小テストなしの場合の学習行動 度数 パーセント

視聴した 23 63.9

視聴しなかった 13 36.1

合計 36 100.0

表15 事前ノートテイキングなしの場合の学習行動 度数 パーセント

視聴した 20 55.6

視聴しなかった 16 44.4

合計 36 100.0

〔抄 録〕

新しい時代の学習指導要領の基本的な考え方の一つは,アクティブ・ラーニングを充実 させることである。更に特別活動において,教員にさまざまなアクティブ・ラーニングを 主体的に実践し,集団内の人間関係づくりを進め,生徒の質的向上を促す力が求めている。

この力を育成するには実践を行うためのトレーニングが必要である。しかし,学生に対し て実践と知識習得を行うには時間確保が不十分である。本研究では,特別活動に関する授 業において反転授業を実践し,授業アンケートから学習効果を分析した。

その結果,学生はさまざまな情報端末を用い,映像を視聴していることが明らかになっ た。反転授業によって得られた効果としては,授業外学習時間の増加,授業外学習の習慣 化,映像の繰り返し視聴などが挙がった。課題としては,映像コンテンツの作成,教職課程 における教育目標の明確化,学生が主体的に反転授業を実施する内容,が挙げられている。

―Abstract―

OneofthebasicideasofnewCourseofstudyistoexpandactivelearning.And specialactivitiesdemandpowercalledpracticeofvariousactivelearningspontaneously, promotionofthemakingofhumanrelationsinthegroupandpowertopromotethe qualitativeimprovementofthestudentfromateacher.Trainingisnecessarytousethis power.Butthenormalclassdoesnothavetimetolearntheknowledgeacquisitionand topracticeit.Inthisstudy,wepracticedaflippedclassroomintheclassaboutspecial activitiesandanalyzedalearningeffectfromaclassquestionnaire.

ResultsrevealedthatthestudentwatchesmovieswithvariousICTterminals.Asa resultofhavingbeenprovidedbyaclass,itisthatincreaseofthelearningtimeoutof theclass,acustomofthelearningoutoftheclass,andrepetitionofthemovieseeing andhearing.Aproblemismakingofmoviecontents,clarificationoftheeducation target in the teacher-training course, and Decision of the contents of the flipped classroomthatastudentperformsitspontaneously.

英米帝国の成立および維持に関する社会モデル分析

―比較経済社会学の観点から―

渕 元   哲

1.はじめに

本稿は,18 世紀および 19 世紀におけるイギリス,および 20 世紀初頭から今日における アメリカ合衆国といった近代史上の二つの覇権国の基盤となった「帝国」の空間(1)を経済 社会学の観点から,理論的に比較分析することを目的としている。

英米両国は,ともにアングロ・サクソン国家であるという理由もあって,共通点が指摘 されることの方が多い。たとえば,版図の拡大を志向した歴史上の多くの「大陸帝国」とは 異なり,両国の覇権は,海の支配を志向する「海洋帝国」という基盤の上に成立したもので ある,などとよく言われる(2)。しかしながら,イギリス帝国は,インド他多くの植民地を保 持していた「大陸帝国」の特徴も併せ持っていたのであって,その点で,植民地をほとんど 保有しなかったアメリカ合衆国とは大きく異なっているのもまた事実なのである。

さらにイギリスには,領土を拡大するよりも,自由貿易体制の構築を通じて,経済的に 支配する領域を拡大した「非公式帝国」の側面と,従前,典型的にみられた帝国と同様に領 土獲得を志向した「公式帝国」の側面という,異なる性格を持った「帝国」の歴史が存在し ている。つまり,イギリスは領土ではなく貿易を志向する「海洋帝国」であるという図式に おさまりきれない歴史を持っているのである。

さて,このような違いが生まれる理由は一体どこにあるのだろうか。両国が「帝国」を形 成し,覇権を担った時代の制約から来る違い―具体的には主要産業の違いや,国際環境の 違い,技術水準の違い―は大きな理由になるであろうし,他にも両国国民のエートスの違 いは大きな理由となるであろう。つまり,上記のような「個別事情」から説明することは十 分に可能であり,実際,そのような視点に立って,今日まで多くの研究,とくに史家たちに よる優れた実証分析が積み重ねられてきた。しかしながら,本稿では,史家の厳密な実証 研究に大きく依拠しつつも,それらとは異なる立場からの分析,すなわち理論的な立場か らの分析を行う。また,本稿の理論分析は,既存の分析枠組を援用するのではなく,この分 析のために一定の立場から構成した分析枠組を使用して行われる。そして本研究は,この ような作業を通じて,一般的な適用可能性を持った研究たらんことを企図している。

(1) 「帝国」の定義については百家争鳴であるが,本稿では,「異民族を支配する政治的および経済的システム」と 定義しておく。なお,帝国の定義に関する諸学説を整理した文献として山本(2003:3-30)を参照。

(2) 帝国を大陸帝国と海洋帝国とに区分けして , 検討するというアイデアを示した古典的な著作としては,

Schmitt(1981)がある。邦書では,山本(2003:19-24)を参照。

〔論 説〕

2.英米帝国の形成および維持に関する先行研究のレヴュー

本章では,まず本題に先だって,本研究の分析に必要な限りの英米の「帝国」形成およ び維持に関する先行研究をレヴューしていきたいと思う。ただし断っておくべきこととし て,帝国が形成された理由には,「ライバル国の失敗」といった対外的「幸運」や国内におけ る技術革新の成功といった偶発的要因も関係してくるが,このような点には,本稿では触 れられない。本稿は,あくまで帝国を形成・維持しようとした合理的な動機(3)に限定して 論を展開していく。また,英米帝国に関する先行研究は,歴史学や国際関係論など,多くの 学問領域にまたがっており,かつ研究史も長い。そのため,先行研究は膨大な数にのぼる。

当然のことながら,それらを網羅的にレヴューすることなどは不可能である。ゆえに,紙 幅の都合もあり,ここでは,本研究の問題関心に関連する先行研究のうち,特に著名な学 説を限定的に取り上げるにとどめる。また,学説というほどではないが,一般に周知され ているような歴史的解釈についても,本研究の問題関心に関わる論点であれば,取り上げ ることとする。