[あげる](他動詞)
構文フレーム:<ヒト>が<相手>に<抽象>をあげる。
共起例
<相手>
人:友達、子ども、~さん
<抽象>
猶予、時間、機会、チャンス
非共起例
<相手>
(誤)私、(誤)先生
参照:全体の用法解説(1)、(2)
<抽象>
(誤) 感謝、(誤)満足、(誤)権利
例文(作例)
1. どの子にも平等にチャンスをあげよう。
2. 彼に3日間の猶予をあげることにしました。
例文(コーパス)
1. あなたにもう一ヶ月だけ時間をあげましょう。
( 七瀬ざくろ著『かえで荘の朝』,2001,9文学)
2. ただ,あなたが許せるなら彼にチャンスをあげてもいいかも。
(Yahoo!知恵袋, 2005, 健康、美容とファッション)
3. 今日はルシンダに心の準備をさせる時間を上げたいんだ...フォーチュン家の人たちと 対面する前にね。
(村上あずさ『冷たい億万長者』,2004,9文学)
4. 周太郎の前に仁王立ちになって,美依子はそういい放った。「一か月猶予をあげるっ。
その間にどっちが好きか選んでよね!」
(山本文緒著『おひさまのブランケット』,1990,9文学)
個別の誤用解説 1
時間や機会に関わる語しか使えない。(誤)私たちはみんなに心から感謝をあげたいです。(誤)
先生は一生懸命教えて,学生に満足をあげました。
全体の用法解説 1
(1) 「あげる」は、自分側から相手側にものが受け渡されることを表す。そのため、〈相手〉に の部分に「私」や「私側の人」は使えない。
(誤)友達が私に時計をあげた。
(誤)友達が私の妹に時計をあげた。 相手側から自分側にものが受け渡されることを表す場 合は、「くれる」を使う。
(正)友達が私に時計をくれた。 (正)友達が私の妹に時計をくれた。
2
(2)「あげる」は、目上の相手にものを受け渡す場合に使うのが基本であったが、現在では対等 か目下の相手にしか使わない。
(誤)先生にプレゼントをあげた。 目上の相手の場合は、「差し上げる」を使う。
(正)先生にプレゼントを差し上げた。
3
(3)対等な相手や目下の相手,あるいは動植物にものを与える場合には「やる」を使うのが基本 であったが、現在では「あげる」が使われるようになり、「やる」を使うとぞんざいだと感じ る人が多くなっている。
(正)赤ちゃんにおっぱいをあげた。 (正)ペットに餌をあげた。
しかし、与える相手が動植物で、特に愛玩しているものでない場合は、「やる」を使ってもぞ んざいにならない。
(正)畑の野菜に水をやらないと枯れてしまう。(正)公園内の鳩に餌をやらないでください。
4
(4)「あげる」はものの移動とともに所有権も移動する。
(正)誕生日プレゼントに彼に時計をあげた。
「渡す」は、ものが移動するだけで、所有権については問題にしない。
(正)彼に時計を渡して、山田さんに届けてもらった
文法情報
1:
(誤)あげられる(受身)(誤)あげられる(尊敬)(?)あげさせる(使役)
2:
(1)●は主語「くれる」と「もらう」はモノの移動の起点、着点は同じだが、起点を主語に すると「くれる」、着点を主語にすると「もらう」。「あげる」に対応する着点を主語にする動 詞はない。
(2)「うち」は私の家族や会社の同僚など。ただし、これは相対的なもの。例えば、「友達が 私の妹にプレゼントをくれた。」では、妹は「うち」。「私の妹が私にプレゼントをくれた。」で は、妹は「うち」ではない。
関連語
類義語 やる、さしあげる、渡す、与える、くれる、もらう
6.9 【もらう】
アクセント:[LHH](活用:1型)<語幹:moraw->