当該 債務 の履 行過 程に おけ る債 務者 の具 体的 な行 為の 不当 性は
、結 果の 不実 現の 中に 吸収 され
、明 示的 には これ を 債務 不履 行要 件と して 検討 の対 象と しな い、 とい うこ とに なる
。そ して 本稿 の取 り上 げる 表明 保証 条項 はま さに 債 務者 たる
画そ うと する
﹁重 要な 情報 のみ 保証 する
﹂旨 の規 定に つい ても
﹁重 要性
﹂の 解釈 問題 に両 当事 者の 主観 が含 まれ る。 その 結果
、契 約締 結時
・履 行時 の具 体的 な行 為の 認定 及び その 不当 性を 詳細 に認 定す る必 要性 は全 く排 除さ れ るわ けで はな い。 これ らの 場合
、﹁ 契約 条項 違反
﹂の 検討 の中 で売 主側 の具 体的 な行 為態 様の 不当 性を 考慮 する と いう 構成 とな るだ ろう が、 伝統 的枠 組み にお ける 債務 不履 行お よび 債務 者の 故意 過失 の有 無の 枠組 みに よる 構成 と それ ほど かけ 離れ たも のと は言 えな いだ ろう
。 それ では 買主 側の 認識 に関 する 紛争 はど のよ うに 位置 付け られ るだ ろう か。 In fi ni te la nd 事件 が指 摘し
、ま た平 成一 八年 判決 も示 唆し てい ると おり
、買 主の 認識 が売 主の 開示 を通 じて 形成 され てい る場 合、 問題 は二 段階 に分 か れる よう に思 われ る。 すな わち 売主 の契 約上 の開 示義 務が 尽く され てい るか とい う問 題と
、買 主の 認識 が表 明保 証 違反 責任 の追 及に 影響 を及 ぼす かと いう 問題 で
( )
ある
。
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前者 は東 京地 裁判 決の 事案 に引 きつ ける なら ば、 いわ ゆる 完全 開示 条項 の解 釈問 題で ある とも いえ る。 売主 が開 示を する にあ たっ てど の程 度の 義務 を負 って いる のか を考 える 必要 があ るだ ろう
。こ れが 全く の結 果債 務だ とす れ ば一 つで も情 報の 疎漏 があ れば 義務 違反 が惹 起さ れる こと にな るが
、そ うで ない とす れば 具体 的な 行為 態様 の妥 当 性・ 不当 性を 認定 しな けれ ばな らな い。 本件 の事 案に おい て売 主は 和解 債権 処理 の事 実を 買主 に伝 えな かっ たも の の、 和解 債権 を含 むタ ーゲ ット 企業 の取 引の 生デ ータ と営 業実 績推 移等 の資 料を 提示 して おり
、こ のデ ータ を見 れ ば和 解債 権処 理の 変更 を発 見で きた はず であ る旨 主張 した が、 判旨 は買 主側 のデ ュー ディ リジ ェン スの 手法 を詳 細 に認 定し た上 で、 生デ ータ の交 付で は本 件和 解債 権処 理を 開示 した とは 言え ない
、と して いる
。開 示に 関す る契 約 条項 の文 言解 釈か ら開 示義 務の 程度 を導 き出 した In fi ni te la nd 事件 とは 異な り、 本件 判旨 はか なり 事案 にお ける 行 為者 の具 体的 態様 を見 てい るた め、 安易 に一 般化 しに くい 構造 とな って いる
。 次に 情報 が開 示さ れ、 買主 に認 識が あっ た場 合の 処遇 につ いて 考え てみ る。 In fi ni te la nd 事件 の控 訴審 判決 にお
ける Ch ad wi ck 判事 は、 売主 の開 示義 務が 尽く され てい る以 上、 買主 が売 主の 開示 を受 け入 れ特 に何 らの 手当 もし ない 場合
、買 主は コマ ーシ ャル リス クを 引き 受け てい るの だと 述べ てい た。 この ロジ ック を平 成一 八年 判決 の事 案 に当 ては めれ ば、 売主 の開 示・ 買主 の認 識が 契約 書八 条七 項の 保証 内容 に影 響し
、本 件和 解債 権処 理が 保証 内容 か ら外 れて
、そ こか ら生 じる リス ク︵ 多額 の元 本償 却の 発生 によ って 次年 度の 利益 額を 圧迫 する リス ク︶ は買 主に 移転 し た、 とい うこ とに なろ うか
。も っと も本 件判 旨の 文章 から は契 約書 九条 に基 づく 責任 追及 を免 じる 要件 とし て﹁ 買 主の 悪意
・重 過失
﹂を 設定 する よう であ り、 残念 なが ら何 故悪 意な らば 表明 保証 責任 を免 れる こと にな るの かは 明 確に は指 摘さ れて いな い。 買主 の重 過失 に関 する 問題 の判 旨
( )
部分 には
﹁公 平の 見地
﹂と いう 表現 がで てく るが
、こ
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れは 重過 失を 悪意 と同 視さ せる ため のロ ジッ クに すぎ ない
。 仮に 本件 判旨 が契 約書 九条 の解 釈と して およ そ悪 意の 買主 は一 切の 救済 を受 けら れな いと 考え てい ると する と、 表明 保証 条項 違反 の事 実を 知っ てい た買 主が
、特 に何 の手 当て もし なか った こと を非 難す るこ とに なり
、C ha d -wi ck 判事 のリ スク 移転 の議 論に 限り なく 近く なる よう に思 われ る。 この 議論 は、 売主 の十 分な 情報 提供 のあ る環 境で は ca ve at em pt er 原則 が価 値基 準と して 今も 存在 する こと を感 じさ せる もの があ るが
、こ の価 値観 が日 本も 同 じだ と言 い切 って よい かた めら われ ると ころ であ る。 筆者 とし ては 表明 保証 条項 にせ よ開 示や 調査 のあ り方 にせ よ、 事案 によ り千 差万 別で あり
、一 般的
・総 論的 に買 主の 認識 があ れば 表明 保証 違反 の救 済を 受け られ ない とい う よう なリ ンク のさ せ方 はむ しろ 難し いの では ない かと の感 を抱 く。 先に 述べ たと おり
、場 合に よっ ては 買主 が土 壌 汚染 や製 造物 責任 など の潜 在的
・偶 発的 な事 象の 端緒 につ いて 明ら かに 認識 して いる 場合 でも
、売 主に なに がし か の負 担を 求め て保 証し ても らう こと も
( )
あり
、逆 にど んな 買主 の認 識や 対応 も後 の救 済に 影響 しな いと いう のも 禁反
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言原 則や 損害 軽減 義務 の発 想か ら承 伏し かね る場 合が ある よう に思 われ る。 ただ し個 別の 事情 や表 明保 証の 内容 に 応じ て、 買主 の認 識ゆ えに
、あ るい は買 主の 具体 的な 行為 態様 ゆえ に、 表明 保証 違反 に基 づく 救済 を受 ける のが 相
当で ない 場合 があ るこ とも 否定 でき ない
。そ のよ うな 具体 的事 情に 応じ た検 証を 可能 にす る法 律構 成自 体は 必要 で あろ う。 そし て本 件判 旨は その よう な意 図で
﹁悪 意・ 重過 失﹂ を持 ち出 した ので はな かろ うか
。 繰り 返し にな るが
、本 件判 旨は 上記 の点 を買 主の 受け よう とす る救 済を 阻止 する 売主 側の 抗弁 とし て構 成し てい る。 買主 側の 事情 を斟 酌す る手 法と して 民法 上明 確に 規定 され てい るも のは 過失 相殺 の制 度︵ 民四 一八 で︶ あり
、 現に 株式 譲渡 契約 にお ける 保証 条項 につ いて 買主 の主 観を 理由 に過 失相 殺の 主張 をし た事 例も
( )
ある
。不 実表 示に 関
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する 不法 行為 訴訟
、例 えば 金融 商品 の不 当勧 誘の よう な事 例で も、 買主 側の 不注 意に つい て業 者側 の不 法行 為︵ 説 明義 務違 反︶ を認 めた 上で の過 失相 殺す る手 法は 一般 的と いえ る。 とこ ろが 本件 判旨 は、 無論 当事 者か らそ のよ う な主 張が なか った せい では ある が、 過失 相殺 によ る調 整か らさ らに 踏み 込ん で買 主側 の主 観的 態様 が売 主の 表明 保 証違 反の 免責 事由 とな るか
、と いう 問題 の建 て方 をし てい るよ うで ある
。 もっ とも
、伝 統的 な債 務不 履行 の枠 組み でも
、債 務者 の帰 責性 を考 える 際に
、債 権者 側の 具体 的な 行為 態様 との 比較 の視 点も 組み 込ま れ、 債権 者の 具体 的行 為態 様は 事実 上検 討対 象と なっ てい たと の指 摘が
( )
ある
。他 方で 純粋 な
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結果 債務 の不 履行 にお いて
、債 務者 側の 故意 過失 が結 果不 発生 の中 に吸 収さ れて しま うと 考え ると
、そ のよ うな 債 権者 側の 事情 を加 味す る場 所が 失わ れて しま う。 そこ で独 立の 免責 事由 とし て債 権者 側の 行為 態様 を持 ち出 すと い う構 成は 十分 あり 得、 現に その よう な法 制も 存在
( )
する
。し かし 我が 国の 現状 では 明示 的に その よう な構 成を 取る こ
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とが でき るの かあ まり 明ら かで はな い。 以上 をま とめ ると
、本 件判 旨の 構成 は、 表明 保証 条項 違反 の検 討を 伝統 的な 債務 不履 行構 成で 行う こと がで きな くな った 結果
、そ れま で事 実上 検討 対象 にす るこ とが でき た債 権者 側の 行為 態様 につ いて の取 り扱 いに 窮し たた め に生 じた ので はな いか と思 われ るの であ る。 契約 書中 にも
、デ フォ ルト
・ル ール にも 一見 明ら かで はな い買 主の 主 観と いう あら たな 要件 が実 体的 な保 証表 明違 反の 有無 に影 響す るか のよ うに 突然 登場 した ので ある から
、い きお
い、 本件 の判 例評 釈に おい て批 判的 な考 察が 加え られ るこ とに なっ たの では なか ろう か。
અ
﹁重 過失
﹂の 位置 付け 以上 のよ うな 整理 を前 提に
、今 度は
﹁重 過失
﹂問 題が どの よう に位 置付 けら れる か検 討し てみ る。 本件 は特 に赤 字を 見越 して 和解 債権 処理 を期 中に 変更 して おり 意図 的な 会計 原則 違反 を感 じさ せる が、 仮に この 点を ひと まず お くと し
( )
よう
。和 解債 権の 充当 を受 取利 息と して 計上 して いる とい う元 のデ ータ の積 極的 な開 示が あり
、そ れら の数
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値自 体は 真正 であ ると いう 状況 の下 では
、そ のよ うな 和解 債権 処理 から 生ず るリ スク
、す なわ ち後 に元 本の 回収 不 能が 顕在 化し て多 額の 債権 の償 却を 余儀 なく され
、そ の年 の利 益額 によ って は一 気に 債務 超過 に陥 るリ スク は特 に 買主 が留 保し ない 限り 買主 に移 転し てい る、 とす るな らば
、そ れは In fi ni te la nd 事件 同様
、開 示の 十分 性と リス ク 移転 の有 無の 問題 に吸 収で きる よう に思 われ る。 しか も﹁ 悪意
﹂で はな い以 上、 単な る情 報の 知・ 不知 以外 の開 示・ 調査 手続 にお ける 当事 者の 具体 的な 行為 態様 が検 討対 象と され るこ とに なる だろ う。 株式 譲渡 契約 の中 には
、 ごく 限ら れた 時間 の中 で迅 速に 契約 を締 結・ 履行 しな けれ ばな らな い場 合も あり
、一 つ一 つ慎 重に 契約 条件 を詰 め るこ とを せず
、と りあ えず 売主 の表 明保 証を 広く 取っ てお いて
、問 題が 顕在 化し てか ら調 整す る手 法と して
、表 明 保証 を利 用す るこ とも ある
。大 量の 元デ ータ を扱 いき れな いこ とも ある だろ う。 逆に 売主 側と して は開 示し て知 ら せた つも りだ と言 いた い場 合も ある だろ う。 これ らの 事情 は、 調査 を担 当し た専 門家 の態 様を 含め た当 事者 の具 体 的な 行為 態様 とい える が、 これ を検 討し 法律 論に 乗せ る場 とし て﹁ 重過 失﹂ を利 用す るこ とは 当事 者の 意に 沿う 法 律構 成と いえ るだ ろう か。 買主 によ る情 報の 知・ 不知 を第 一義 的な 問題 とし てい るよ うに 見え る﹁ 悪意
・重 過失
﹂ の枠 組み では
、検 討対 象の 多様 性を 正当 化し にく いば かり か、 ドラ フテ ィン グ実 務を いた ずら に混 乱さ せる よう に 思わ れる
。実 質的 には 同じ こと では ある が、 当事 者の 具体 的行 為態 様を 見る 必要 があ るの は、 あく まで 契約 内容 の