埼玉県スポーツ科学委員会第1 6回コーチングセミナー
が)。その代りに個人ごとの身長発育曲線を調べる ことにより、ある程度把握することが出来る。一般 に身長の伸びは、発育速度のピークがくる2〜3年 前からより増加し始める(前の年の伸びより)。そ の辺りから筋持久力や全身持久力のトレーニングを することが望ましい。
成長ホルモンは、トレーニング後と入眠後1〜2 時間後に分泌量が増す。成長ホルモンは、筋肥大の 要因の一つであるため、トレーニング直後や眠る前 に牛乳とかを飲んでおくと身体作りには良い。日々 のトレーニングを充実したものにするためには、睡 眠が重要であるが、よく眠るためには、朝日光を浴 びることが必要である。日光を浴びて14・15時間後 くらいに睡眠を促進するメラトニンがでてよく眠れ るようになる。従って、寝室に朝太陽光が入らない ような部屋は問題である。また、運動後に直ぐにグ リコーゲンを身体に蓄えることが大切であり、練習 後にバナナなどを軽くとることは重要である。こう いった地道な活動が最終的なトレーニング効果に大 きな差として表れてくる。スポーツ科学とは言って もやれることは身近なことで、魔法ではない。一見 大したことではないことを積み重ねることが最終的 な成果を生む。
<質疑・応答など>
○眠るために光を浴びるのは、どのくらいの時間が 必要か?日光でなければ駄目か?
→人間の体内時計は、25時間サイクルでセットされ ている。そのため朝日光を浴びて毎日リセットする 必要がある。日光にあたることが出来なければ、人 工的な強い光でも良い。何時間もあたらなくてはい けないようなものではない。
○フィギュアスケートには、プログラムを演技する ための持久力やジャンプ力、バランス能力が必要と 思うが、どのように付ければよいのだろうか。また、
教えるインストラクターもほとんど経験から教えて いるため、トレーニングに関しても考え方がバラバ ラである。
→この講演を頼まれてから、フィギュアスケートの
体力に関連する論文を探したが、あまり多くは見当 たらなかった。一般的には、ジャンプ能力を高める 指導の場合、筋力トレーニングである程度の筋量と 筋力を確保した後、より反動を使ったプライオメト リクストレーニングに進む。しかし、競技特性上か なり小さい時から、プライオメトリクス的なジャン プを既に練習の中でしているので、障害予防の観点 が必要になってくると感じる。(財)日本レスリン グ協会では、ナショナルチームのデータをフィット ネス測定をしながら集め、ジュニア選手のためのト レーニングに関するある程度の指針を示せるような 結果を得た。個々の指導者が頑張ることとナショナ ルチームでしか出来ないことは異なる。双方の役割 分担をすることが大切だと思う。
柔道においてもウエイトトレーニングしないメダリ ストがいる。ウエイトトレーニングではどうしても 余分な筋肉も付くため、階級制競技ではつらい面も ある。水泳でも身体を大きくすることが動きの阻害 になるといった議論もある。競技特性にあったトレ ーニングを長期的な視野で実施することが大切だと 思う。
○柔道でウエイトトレーニングをしない選手はどの ように強化しているのか。
→綱登りなどで強化している選手が多い。柔道に近 い動きのトレーニングであり、バーベルを持ってい ないだけで、レジスタンストレーニングであること に変わりはない。究極的には、柔道のような競技で は、得意技により左右の筋の発達が異なってくるこ とがある。ある限られた体重の範囲(階級の)でよ りパフォーマンスを高めるための身体づくりではそ ういったことが起きてくるであろう。
○小さいときからトレーニングをすると背が伸びな いという危険があるのではないか。
→筋力トレーニングで背が伸びなかったというデー タはない。やりすぎでなければ大丈夫である。但し、
日本では小学校や中学校から大きな大会があるため 練習をやりすぎる傾向がある。
○若い年齢で活躍する競技と、経験が必要な競技と 有るが発達に違いはあるのだろうか。また、技術に
体力を合わせていくために若い年齢でもトレーニン グは大丈夫か。
→生物学的には発達の差はない。技術優先かどうか でトレーニング内容をシフトすれば良い。ただ、早 く完成する競技には精神的ケアも必要だと思う。ま た、最近日本では子供の筋力トレーニングのガイド ラインを設けているが、その中でも負荷をかけたト レーニングが必要とされている。トレーニング時の 動作チェックは必要で、特に若いときに行う方が動 作習熟には良いとされる。強い負荷でなければ推奨 される。
○フィギュアスケートは強い選手には大腿四頭筋の 発達が顕著に見られるが、サージャントジャンプを 計れば発達具合が簡単に分かるだろうか。測定も良 い方法があるだろうか。
→サージャントジャンプ測定はどこでも出来る有用 な方法である。但し、壁タッチによる測定や腰に紐 を巻き付けて測定する方法など簡便な方法があるが、
より簡便に測定するのであれば、立ち幅跳びも良い 方法であると思う。垂直方向のジャンプと前方への ジャンプという違いはあるが。
○身の軽さやすばしこさをサイドステップテストで 見ることは出来るだろうか
→多くの種目のフィットネス測定で実施されている。
その他には足でのタッピングテストもこの手の能力 を見る方法として行われている。
○一般的なウエイトトレーニングの他に競技別の負 荷トレーニングもあると思うが、過去に共産圏では 腰にウエイトを付けて練習していたが、良い方法だ ろうか?
→共産圏のトレーニングは、一般受けするものが多 いが、レジスタンストレーニングであることに変わ りはない。そのトレーニングの狙いに合わせて選択 すべき。
○レスリングの持久力養成で走り込みをしているの だろうか。ジャンプ力養成でウエイトトレー二ング はしているのだろうか。
→試合時間をシミュレートして行うことはある。300 m ダッシュを繰り返すなどの方法である。ジャン
プ力は、あるに越したことはないが、特に重視して いない。
○競技とトレーニングの兼ね合いはレスリングでは どのようにしているのだろうか。
→スパーリング前にかなり負荷をかけたトレーニン グ(対人)をしてから本練習に入る。韓国ではウエ イトトレーニングをした後に少しの時間スパーリン グを入れるなどトレーニングがその競技パフォーマ ンスに結びつくような工夫をしているようである。
○今回参加した唯一の少年選手にアドバイスをお願 いしたい。
→日本では小さい時から競技成績に躍起になってし まう。選手生活後のセカンドキャリアのことも考え ると、学校の勉強を重視して欲しい。
以上で質疑・応答などを終わり閉会した。