• 検索結果がありません。

基礎技術 講座

ドキュメント内 単ページPDF用.indd (ページ 61-67)

た か ぎ

木 一

かずしげ

K

ey Word 土壌汚染対策法,土壌汚染状況調査,試料採取,土壌ガス調査,土壌調査,ボーリング

地盤環境エンジニアリング株式会社

基礎技術講座 土壌・地下水汚染調査における試料採取(その2)

すが,採取は 30 分以上放置した後におこない,放 置時間は地点ごとのばらつきをできる限り小さく します。保護管や採取地点の近くにタグや養生テー プ等を貼り,設置時間や地点名を記入しておけば,

採取時間や採取地点の確認や管理をすることがで きます。

 土壌ガスの採取法は減圧捕集瓶法・減圧捕集瓶 を用いた食塩水置換法・捕集バッグ法・捕集濃縮 管法の 4 種類がガイドラインに示されていますが,

採取に使用する器具や手順が比較的シンプルな捕 集バッグ法が一般的です2)

 捕集バッグ法では,保護管の中に採取管を差し 込み,気密容器に入れた捕集バッグと導管で接続 します。ポンプ等により機密容器を減圧すること で捕集バックに土壌ガスを採取します(図 -2)。

 採取管・導管はふっ素樹脂,捕集バッグは 1L ~ 3L の容量のふっ素樹脂や合成樹脂などを使用します。

 土壌ガス採取の際は,採取管内の空気の影響を 除去するため,採取管の容量の約 3 倍の土壌ガス をあらかじめ吸引した後に試料の採取をおこない ます。これには「とも洗い」の容量でガスを採取 して一旦放出する手順を 2 ~ 3 回ほど繰り返して から分析用の試料を採取する方法などがあります。

図 -3に捕集バッグ法によるガス採取状況の例を示 します。

④土壌ガスの分析

 土壌ガスの分析作業は専門の技術者あるいは分 析業者がおこないますが,分析には大きく分けて 現地分析と現地以外の分析室で行う分析がありま す。現地で分析をおこなう場合は採取から 24 時間 以内に,現地以外の分析室で分析をおこなう場合 には 48 時間以内に分析をおこなう必要があります。

 第一種特定有害物質は揮発性が高く,運搬や保 管中に濃度が減少する可能性があります。このた め,採取から分析まで時間を要する現地以外の分 析室で分析をおこなう場合には濃度の減少の程度 を評価して,20%以上の差がある場合は分析結果 を補正する必要があります。その方法は以下の通 りです。

◦ 既知の濃度の標準ガスを用意し,現地で土壌ガ スと同様の方法で捕集バッグに採取したテスト 用試料を 2 検体作成する

◦ テスト用試料を分析試料と同じ状態で運搬・保 管する

◦ テスト用試料を分析して標準ガス濃度と比較する

 したがって,現地分析をおこなわない場合でも 標準ガスボンベの用意が必要になります。

図 -1 ガス採取保護管の例

図 -2 捕集バッグ法3)に一部修正

図 -3 捕集バッグ法によるガス採取状況の例

3. ボーリングによる土壌溶出量調査

 土壌ガス調査で調査対象物質が検出された場合 はボーリングにより土壌を採取し,土壌溶出量調 査をおこないます。土壌汚染対策法では,ボーリ ングの調査対象物質は土壌ガスで検出された物質 だけをおこなえばよいことになっていますが,土 壌ガス調査で例えばテトラクロロエチレンのみ,

あるいはシス−1,2−ジクロロエチレンのみが検出さ れた場合でも,土壌の深層部や地下水には親物質 と分解生成物の両方や,1,1−ジクロロエチレンなど 他の分解生成物が検出される可能性もあることか ら,ガイドラインではこのような場合,地歴調査 で特定された親物質とその分解生成物のすべてを 対象として調査することが望ましいとしています。

 ボーリング調査地点は土壌ガス調査の結果,隣 接するすべての単位区画と比較して高い濃度のガ スが検出された地点を選ぶこととなっています。

すなわちガスが検出された一定の範囲ごとに相対 的高濃度部でボーリングをおこなうこととなりま す。ガス濃度の相対的高濃度部は対象物質ごとに 異なるため,調査対象物質ごとにガス濃度の分布 図を作成し,ボーリング地点を選定する必要があ ります。

 図 -4にボーリング深度ならびに試料採取深度の 例を示します。ボーリングの深度は原則として地 表から 10m です。ただし,地表がコンクリートや アスファルト,砕石等で被覆されている場合はこ れらを除去した面を地表とみなします。したがっ て地表から 50cm までアスファルトや砕石がある場 合にはボーリング深度は GL-10.5m までとなります。

 分析をおこなう試料の採取は原則として,表層,

深度 0.5m,深度 1.0m,以降は 1m ごとに採取します。

ただし,汚染のおそれが生じた場所の位置が地表 面よりも深いところにあったり,複数あったりす

図 -4 ボーリング調査の試料採取深度例1)

基礎技術講座 土壌・地下水汚染調査における試料採取(その2)

る場合はその深度とそこから 50cm の深度の試料も 採取します。

 なお,汚染物質の濃度は汚染源から一様に低く なりながら広がるのではなく,地中に浸透する過 程で地下水面や粘土・シルト層の上部などで停滞 して濃度が高くなっている場合があります。した がって,このような地層が確認された場合や,臭 気により高濃度の汚染物質の存在が予想される場 合には 1m ごとの試料採取にこだわらず,適宜追加 の採取をおこなうことが汚染状況を的確に把握す るためには重要であり,ガイドラインでも追加の 試料採取をおこなうことが望ましいとしています。

 ボーリングの方法については一般の地質調査に 用いるロータリー式ボーリングマシンやサンプ ラーを使用することも認められていますが,汚染 調査用の振動式・打撃式等のボーリングマシンや ツールスは回転摩擦熱による試料の変質を防いだ り,土壌試料が孔内の土壌や地下水と接触しない ようにしてコアの二次汚染を防いだりといった工 夫がされていますので,可能な限り汚染調査用のマ シンやサンプラーを使用することが望ましいです。

4.土壌調査

 第二種・第三種特定有害物質の調査を対象とし た土壌調査では,汚染のおそれが生じた場所の位 置に応じてそれぞれの深さで試料採取をおこなう 必要があることを前回説明しました。図 -5に土壌 調査の試料採取深度の例を示します。

 試料採取をおこなう単位区画において,汚染の

おそれが生じた場所の位置が地表面(または不明)

の場合は表層の土壌(深さ 0 ~ 5cm)と 5 ~ 50cm までの土壌を別々に採取して,重量が均等になる ように混合してから分析をおこないます。地表面 がアスファルト・コンクリートで被覆されている 場合は,舗装や砕石を除去した土壌表面を採取深 度の基準とします。

 また,汚染のおそれが生じた場所の位置が地表 面より深い場合は,その深度から 50cm 区間の土壌 を採取します。したがって,深度 2m 程度までなら ば手掘でも対応できますが,それ以上の深度では ボーリングマシン等の機械による掘削が必要なこ ともあります。

 対象区画の表層の土壌(0 ~ 5cm)と 5 ~ 50cm の土壌を均等に混合する作業や,一部対象区画に おける 5 地点均等混合法の 5 試料を混合する作業 はラボでおこないますので,現地で土壌を混ぜな いように注意してください。したがって,5 地点均 等混合法による分析が 1 検体の場合も,最大で容器 10 個の試料を採取してラボに送ることとなります。

 分析に必要な土壌試料の量は,ガイドラインの Appendix 11 に目安として記載されています。土 壌溶出量調査では 1 項目につき 50 ~ 100g,第二 種全項目で 200g,第三種全項目で 100g,土壌含有 量調査では 1 項目につき 6 ~ 10g とされています。

ただし,土壌試料はラボで風乾した上,礫や草根 など 2mm 以上の粒子を除去して分析をおこないま すので,現地で採取した土壌のうち実際に分析に 使用できる土壌は大幅に減量される可能性もあり ます。また,5 地点均等混合法による分析で基準を

図 -5 土壌調査の試料採取深度例1)

超過した試料は,引き続き地点ごとに個別分析を おこなうこととなりますので,その分も見込んで 十分な量の試料を採取しておく必要があります。

 冒頭でも述べましたが,第二種・第三種特定有 害物質については土壌調査の結果をもって汚染の 濃度と平面的な範囲(基準を超過した単位区画)

が特定されますので,土壌汚染対策法の「基本と なる調査」では深度分布を把握するためのボーリ ング調査は求められていません。ただし自然由来 の汚染のおそれがある場合など特例の調査や,措 置(浄化対策)をおこなうための詳細調査ではボー リング調査をおこないます。また,自治体によって は条例で第二種・第三種特定有害物質についての深 度方向の調査を義務付けている場合もあります。

 この際の調査深度や試料採取深度の考え方は基 本的に図 -5に示した第一種特定有害物質を対象と したボーリング調査と同様です。ただし,汚染の おそれが生じた場所の位置が地表よりも深い場合,

第一種特定有害物質を対象とした調査では,その 深度とそこから 50cm の深度の 2 深度で試料を採取 しますが,第二種特定有害物質を対象とした場合 は汚染のおそれが生じた場所から 50cm 区間の土壌 を均等に採取して 1 試料としますので注意してく ださい。

5.試料採取時の注意点

 土壌汚染対策法の目的の一つに,「適時適切に土 壌汚染の状況を把握すること」があります。した がって土壌汚染状況調査では,汚染が存在する場 合はこれを見逃すことなく確実に捉えることが大 切です。また,試料の二次汚染により本来ないは ずのものを汚染と判断したり,調査により汚染を 拡散したりすることは防がねばなりません。

 汚染物質の濃度の評価には 0.1ppm,0.01mg/L などの値が用いられますが,これらは 1000 万分の 1 や 1 億分の 1 の量を表すものであり,非常にわず かな量です。このため,採取した試料の取り扱い によっては汚染物質の量が変化して,汚染の有無 の判断に大きく影響することもあり得ますので注 意が必要です。

5.1 第一種特定有害物質を対象とした試料採取の 注意点

 第一種特定有害物質はテトラクロロエチレン,

トリクロロエチレン,ベンゼンなど揮発性の高い 物質です。このため高温や日照により容易に試料 から揮発してしまいます。ボーリングにより採取

した土壌コアはサンプラーから取り出したらただ ちに分析用の試料を採取するようにします。こ れはコア箱に何メートル分もコアが並んだ状態で いっぺんに土壌試料を採取することで,隣り合う,

深度として 1m(またはそれ以上)離れた土壌が飛 散して二次汚染を引き起こすことを予防する意味 でも重要です。

 土壌ガスは結露しないよう暗所で,土壌・地下 水試料は冷暗所で保管し,出来る限り迅速に分析 することが望ましいです。

 特に土壌・地下水は採取後すぐにガラス容器等 に隙間なく(地下水の場合は満水まで)採取・密 封し,氷や保冷剤を入れたクーラーボックス等の 0

~ 4℃の冷暗所で保管・運搬します。最近では保冷 状態で配送する宅配便のサービスがありますので,

ラボに送る際は利用するとよいでしょう。

 高濃度の汚染が存在する場合には二次汚染のリ スクもより高くなります。したがって,ガス採取 器具,ボーリングのツールス,試料を容器に詰め るスプーン等は交換したり,よく洗浄したりする 必要があります。また,試料を扱う際はホームセ ンター等で購入できる使い捨ての手袋を使用して,

地点や深度ごとに交換することをお勧めします。

 なお,対象物質がベンゼンである場合は,我々 が調査現場に持ち込むことの多い,発電機等の燃 料のガソリンに対象物質が含まれていることがあ りますので,二次汚染に特に注意が必要です。現 場でガソリンをこぼしたなどというのはもっての ほかですが,ガス採取をしている傍で給油をおこ なったり,油の付いた手で土壌やサンプリングの 道具に触れたりしただけで試料が汚染される可能 性があります。

5.2 第二種・第三種特定有害物質を対象とした試 料採取の注意点

 第二種・第三種特定有害物質は鉛や砒素などの 重金属類や PCB など化学的に安定した物質であり,

第一種特定有害物質ほど試料の保管に神経質にな らなくてもよいという面があります。しかしなが ら,器具の洗浄や使い捨て手袋の使用など二次汚 染に対する注意は第一種特定有害物質と同様に必 要です。

 また,六価クロムや砒素など例外もありますが,

第二種・第三種特定有害物質は地表付近など汚染 が発生した土壌に吸着し,とどまりやすい性質が あるとされています。このため,土壌調査の試料 採取などで,深度方向に掘り進める時に,地表付 近から孔底に崩れた土をそのまま採取すると分析

ドキュメント内 単ページPDF用.indd (ページ 61-67)

関連したドキュメント