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基本的なシステム構成

第3章 設備管理技術を取り巻く動向

3.2 経営戦略的な設備管理

3.2.2 基本的なシステム構成

CMMS/EAM(Computerized Maintenance Management System/ Enterprise Asset Management)等の保全業務の PDCA サイクルを実行するためのシステムや仕組みが存在

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することを前提として、それらのシステムから保全データを取り込んで評価し、戦略化す るというより大きなPDCAを行うことによって新たな戦略システムとすることが必要とさ れている。

企業資産管理システムEAMは設備管理コンピュ-タシステムCMMSが進化したもので あるが、これに予知保全(CBM:Condition Based Maintenance)コンピュ-タシステムが 進化したプラント資産管理システムPAMを連結させて設備管理システムが構成される。こ の設備管理システムが生産管理システムおよびライン制御システムとつながることによっ て、生産ラインの全体の管理システムとなる。設備管理システムと生産システムとの関係 を概念的に図3.2.1に示す。

図 3.2.1 設備管理システムと生産との関係7)

戦略的な PDCAを構築するための基本的なシステム例として、Meridium 社の「戦略化

-実施-評価(S-E-E)サイクル」を示す。

図 3.2.2 経営戦略的なシステム例8)

保全作業を計画・実行し、履歴を記録して次回保全の計画を立てるという一連のワークフ ローを「実施」(Execute)という。これに他のシステムのデータを捉え、保全の実施内容を「評 価」(Evaluate)するための機能と、何らかの意思決定がなされて「戦略化」(Strategize)し、保 全計画を見直すための機能とを併せ持っている。

図 3.2.3 経営戦略的なシステムのワークフローの例8)

この経営戦略的なシステムの目的には、①設備の生産性を高める業務を継続的に行うこ と、②設備の生産性を予測可能にすること、③過去の履歴を事実として把握すること、④ データを部門横断的に活用することなどがあげられている。事後的ではなく予測的な保全 業務の実現であり、そのためのデータを揃え、理論的裏付けを作ることが必要となる。保 全コストの削減という限られた視点ではなく、故障・事故というリスク管理を企業レベルで 行い、設備の生産性を中心にした保全業務の最適化を図ることである。

(2) TPM/MOSMS

社団法人日本プラントメンテナンス協会が提案しているものに、MOSMS がある。これ は、1960年代から TPMを提案して日本の中で多くの実績をあげたが、その中に位置づけ られるサブシステムといったものである。但し、コンピュータ・システムではなく、考え 方を示したものである。保全には網羅性、重点性、経済性の技術的な 3 要素と、不確実性 に対処するためのマネジメント要素を機能的に組み合わせることを提唱している。

保全の最終目的はステイクホルダーの利益の最大化であり、経営と保全が同じ土俵に立 ち「保全グランドデザイン」を描くこと、「計画主導」で保全が実行されること、経営のPDCA サイクルと保全のPDCAサイクルを連動させること、個々の既存技術を資源として活用し、

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「それら資源の多様性、変化・進歩を、構造を変えずに取り込む」ことを基本的なコンセ プトとしている。

図 3.2.4 設備管理の経営への取り込み9)

保全の戦略-保全計画/保全データ管理-保全実行-保全教育・訓練の各フェーズに分 けた実践的なシステムである。

図 3.2.5 MOSMS における設備保全の実施フロー9)