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第 4 章 大規模問題への量子アニーリングマシンの適用 28

4.5 埋め込み性能の評価

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図 4.8: Gpathに含まれる完全2部グラフの例

のアルゴリズムでは重複割当てを許容しているため,変数が割当てられたqubitも含めて ハードウェアグラフ全体で最短経路を探索する必要がある.一方で,提案したアルゴリズ ムでは重複割当てを拒否するため,最短経路を探索するグラフGpathは未使用qubitのみ で構成すれば十分である.図4.8に示すように,Gpathは利用済みのqubitを含む完全2部 グラフ(青色)と,それらに隣接する完全2部グラフ(赤色)のみで構成すれば良い.利用 済みのqubitGpathから除かれることを考慮すると,Gpathの頂点数|Vpath|とエッジの|Epath|は赤色のセルに含まれるものが支配的であり,

|Vpath| ∼O(|Vq|1/2), (4.5)

|Epath| ∼O(|Vpath|), (4.6) となる.ダイクストラ法の計算時間が式(4.1)で与えられ,キメラグラフのエッジ数が式

(4.2)で与えられることを考慮すると,最短経路の計算時間だけを見てもCaiのアルゴリ

ズムに対して約1/√

|Vq|に減少する.

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ϯϬϬ

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㒊ศၥ㢟䛾 ᇙ䜑㎸䜏

図4.9: 最短経路の探索回数と部分問題サイズのqubit数依存性の評価方法

問題を埋め込む.また,各qubit数のキメラグラフに対して100回部分問題の埋め込みを 実施し,平均と分散を評価した上で平均±標準偏差をエラーバー付きでプロットする.最 短経路の探索回数Npathの評価結果が図4.10に示してある.問題グラフが正方格子と完全 グラフの場合のNpathのqubit依存性を線形近似により求めると

Npath(grid)∼O(Nq1.27), (4.7)

Npath(complete) ∼O(Nq0.84), (4.8) が得られる.ここで,Nqはqubit数を表す.一般的に実時間アルゴリズムはNq3以下が望 ましいと言われることを考えると,提案アルゴリズムにおける経路探索回数のqubit数依 存性は十分小さいと言える.図4.11にはNsubのqubit数依存性を示す.問題グラフが正 方格子と完全グラフの場合のNsubのqubit数依存性を線形近似により求めると

Nsub(grid)∼O(Nq0.90), (4.9)

Nsub(complete) ∼O(Nq0.50), (4.10) が得られる.完全グラフに対しては,理論的に埋め込み可能な最大の部分問題サイズを埋 め込めている.正方格子では,理論的に埋め込み可能な部分問題サイズはO(Nq1.0)である のに対して,評価結果ではO(Nq0.9)と近い依存性を示している.ここで重要なのは,完全 グラフの埋め込み方法[92]を用いた場合は,問題グラフが正方格子であってもO(Nq0.5)の 部分問題しか埋め込めないのに対して,提案アルゴリズムを用いることでO(Nq0.9)の大き な部分問題を埋め込めるということである.以上の評価結果から,最短経路の探索回数と 部分問題サイズのqubit数依存性は問題ないと言える.

次に,任意の2変数間に対してランダムに相互作用を発生させたグラフ(Erd˝os-R´enyi

graph)を問題グラフとしたときに,2048qubitのキメラグラフに埋め込まれる部分問題の

サイズを確認する.ここでは,問題グラフ上で相互作用を発生させる確率Pbondを変化さ

102 103 104 105 106 107

102 103 104 105

Npath

The number of qubits: Nq Grid graph

Complete graph Linear fits

図4.10: 最短経路の探索回数Npathqubit数依存性

101 102 103 104 105

102 103 104 105

Nsub

The number of qubits: Nq Grid graph

Complete graph Linear fits

図4.11: 部分問題サイズNsubのqubit数依存性

50 100 150 200 250 300 350

0.01 0.1 1

Nsub

Edge probability: Pbond

図4.12: 部分問題サイズNsubのqubit数依存性

せて,キメラグラフに埋め込まれる部分問題サイズNsubを評価する.各Pbondに対して 1個の問題グラフを生成し,部分問題を100回埋め込んだときの平均と分散を評価した上 で,平均±標準偏差をエラーバー付きでプロットする.問題グラフの相互作用密度Pbond の減少に伴って部分問題サイズNsubは大きくなっており,問題グラフの相互作用をラン ダムに発生させた場合でも,問題グラフに合わせて大きな部分問題を埋め込めていること が分かる.

最後に,100×100変数の正方格子の問題グラフに提案アルゴリズムを適用したとき に,2,048qubitのキメラグラフ上に埋め込まれた部分問題の例を図4.134.14に示す.

100×100の各グリッドが2値変数を表しており,部分問題としてキメラグラフ上に埋め 込まれた変数を黒く塗りつぶしてある.本章の第4.2節で説明したように,部分問題のグ ラフは木構造になっていないことが好ましいが,提案アルゴリズムによって埋め込まれた 部分問題は閉ループを多く含む構造になっていることが分かる.

以上の評価結果によって,提案アルゴリズムが期待通りの動作をしていることを確認で きたと言える.