①スタート間もないファンドの課題
(1)案件の発掘
(2)利害関係の調整
(3)ファンド、専門家、地域金融機関との業務連携
(4)計画の策定
(5)債務者の意識改革
(6)投資の社会的意義と経済合理性のバランス確保
(7)公平性の確保
第5章と致しまして、地域再生ファンドの課題と将来について探ってみたいと思います。
まず、スタート間もないファンドの課題についてです。
スタート間もないファンドの課題と致しましては、まず案件の発掘、これが極めて重要かと思い ます。案件を発掘し案件化していくということが、まず地域再生ファンドとしての問われるべき 意義でございまして、これは極めて重要かというふうに思います。発掘した後、案件化ですね、
いわゆる案件として形を作っていく中での苦労と致しましては、やはり利害関係の調整があろう かと思います。これにつきまして地域案件ならではのいろんな課題、ということについては先程 ご説明したところでございます。併せてファンド専門家、あるいは地域金融機関との業務連携の 課題でございます。これもまた既にご説明したとおりこれらの連携無しでは、なかなか課題は解 決されない、克服できないという問題が多くなっておりますので、これもファンドの課題そのも のでございます。4番目と致しまして計画の策定、これは通常のものでございますけれども、こ れもまた地域案件ならではのいろんな練り上げるプロセスが必要かと思います。5番目と致しま して、債務者の意識改革です。意識改革についてなかなか難しいというのは、これはなかなか苦 労する問題でございますが、こらは各地域の債務者がですね、破綻処理であるとか、あるいは再 生手法に対する知識が不足しているということがありまして、なかなか専門家、弁護士であると か、あるいは公認会計士であるとかといった、その道の専門家から説明を受けてもですね、なか なか十分な理解ができないで、懐疑的に受け止めているということが多いというのが原因の一つ でございまして、これにつきましても、やはり地域再生ファンドといたしましては、直接コンタ クトした上で、そういった懐疑的な障壁を取り除いて、極力合理的な判断に至ると、いう努力が 必要かと思います。6番目、7番目はやや類似の問題でありますが、投資の社会的意義と経済合 理性とのバランスの確保、さらに、公平性の確保の問題でございます。経済合理性の追求のみで は、なかなか割り切れない案件が多いというのは事実でございますけれども、一方で一定の合理 性というのは当然に求められるべきであろうと思います。また検討の過程での中立性あるいは公 平性というのは必須であろうと思います。これらのバランスをとっていくということ自体が、複 数の参加者によって地域再生ファンドを構成している、その中で構成者の中での協議によって会 を見いだしていく、ということそのものでございまして、この辺に地域再生ファンドの意義があ るというふうに考えております。
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5. 地域再生ファンドの課題と将来
②支援案件の取上げが軌道に乗った後のファンドの課題
(1)取上げ(案件化)後が本番 (2)モニタリング体制の構築 (3)支援対象先の企業価値の向上 (4)出口(エグジット)戦略
次に、支援案件の取上げが軌道に乗った後のファンドの課題です。
初期段階に立ち上がった地域再生ファンドというのは、すでに一年、ないし二年の経過を辿っと りまして、各ファンドから案件取上げ後のいろんな課題、あるいは悩みといったものが聞こえて きます。これらの克服の方向について触れたいと思います。いずれのファンドもですね、私共が 関与しているファンドもそうですが、取上げた後、いわゆる案件化の後が、いよいよ本番であり ます。ひとつにはモニタリング体制の構築、そして如何に支援対象先の企業価値を向上させてい くか、その上で出口、エグジットをどのように考えるかという問題でございます。4つ掲げてお りますが、一言で申し上げると、如何に適切にモニタリングして、如何に企業価値を高めていく かという努力の過程であります。そもそもモニタリング体制と申しましても、なかなか地域の中 堅以下の企業というのは、管理的な経営に慣れておりませんので、そういった会社を如何に指導 して、適切に報告していただくかということがたちまち重要になると思います。その中で企業価 値を上げていく、企業価値を上げながら出口を探していく、あるいは出口を探すマーケティング をしていく、あるいはその逆にですね、出口探しのマーケティングをその会社のモニタリングに 反映させてなにがアピールするかという点を見いだしていくといったような、なかなかタフな仕 事が待っております。こういった試行錯誤の中で、やはりファンドとして少しでも企業価値を高 めて対外的にもアピールしていくということが重要であるというふうに考えております。
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5. 地域再生ファンドの課題と将来
③課題克服のキーワード
(1) ファンド投資家をコアとして地方自治体、地方金融機関等との 強力なアライアンス
(2)アライアンスをより強固にする為のファンド参加者の構成は どうあるべきか(2号ファンドの立上げ等)
(3) 成功事例の確立、その応用によるビジネスモデルの確立
(4) 地域ファンドならではの多様な出口(エグジット):MBO、
従業員持ち株会、応援ファンド組成等・・・
(5) 支援対象企業との関係にとどまらない地域での経済活動 (6) 一定の説明責任
次に、課題を克服するキーワードを並べてみました。
まず第一に、ファンド投資家をコアとして地方自治体、地方の金融機関と強力なアライアンスと、
これがキーワードかと思います。次に、そのアライアンスをより強固にする為、ファンドの参加 者の構成はどうあるべきかという、既にご説明した問題にも逆にまた繋がっていくと、いうふう に考えております。それから、成功事例の確立、あるいはその成功事例の応用によるビジネスモ デルの確立であります。それから地域ファンドならではの多様な出口、エグジットがキーワード かと思います。これにつきましても地域案件ならではのエグジットのやりようについては、ご説 明したとおりであります。それから、支援対象企業との関係に留まらない地域での経済活動、こ れも大事なキーワードであろうと思います。個々の案件をとおして、地域経済に貢献するという のは当然のことでありますけれども、個々の企業との付き合いだけでは、なかなかモニタリング の体制であるとか、あるいは企業価値の向上といったものは難しくなってきます。そういった意 味でも、それらの会社との関係に留まらない経済活動ということが課題克服のキーワードとして は大事であろうというふうに考えております。それから最後に一定の説明責任でございます。先 程の課題のところでもご説明したとおり、中立性、あるいは公平性、その辺のバランスの確保と いうのは極めて大事ですので、やはり守秘義務の範囲の中ではありましょうが、一定の説明責任 を地域に対して果していくということも、地域から地域全体から応援していただく上では、大変 大事なことであろうかというふうに思います。以上のとおりですが、これもまた地方の中堅企業、
あるいは中小企業ならではの問題ばかりでございまして、これは解決するということはファンド の存在意義に他ならないわけですので、地域再生ファンドにとっては、いわばこういった課題の 克服というのは、生みの苦しみのようなものだというふうに考えるべきだろうというふうに考え ております。
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5. 地域再生ファンドの課題と将来
④地域再生ファンドの将来を占うキーワード
(1)支援意義のある企業に対し、実現性のある再生計画による投資 の積上げが出来るか
(2)支援対象企業に対し適切なモニタリング、経営指導を行うこと により、如何に再生に導くか
(3)企業再生を実現することによってのみ、地域経済への貢献が 果たせる
(4)地域金融機関の不良債権処理が一段落した後の、或いは産業再 生機構や整理回収機構が業務終了した後の、地域再生ファンド の将来は如何なるものか
次に、地域再生ファンドの将来を占うキーワードについて並べてみました。地域再生ファンドに 対する評価は、件数あるいは金額などの投資実績、これがどうなっていくかという事は、まだま だ1年あるいは2年待たないといけないと思っております。あるいは、その結果として企業再生 にどの様に寄与していくか、あるいはその投資採算がどうかという問題については、更にその後 の1年2年を待たねばならないというふうに考えております。現在は地域再生ファンドに対する 期待感もございますし、その逆、一部シニカルな見方というのもあると思っておりますが、いず れにしましても今現在は各ファンドについての成果を云々する段階には無いと考えております。
従いまして今から申し上げるような視点からですね、今後地域再生ファンドに対する評価が適切 にされていくであろうというふうに考えます。まず、最初に掲げましたのは、支援意義のある企 業に対し実現性のある再生計画による投資の積み上げが出来るかどうかという事が、まさに問わ れているというふうに思います。次に支援対象企業に対し、適切なモニタリング・経営指導を行 う事が、これらによっていかに再生に導いていくかという事も大事かと思われます。次に企業再 生を実現させる事によってのみ、やはり地域経済への貢献が果たせるわけですから、やはり案件 取り上げを適切な管理指導を行う事によって企業再生の実現というゴールが極めて重要であると いうふうに考えます。最後に別の視点の事を記載しております。地域金融機関の不良債権処理と いうのが、今盛んに進んでいるところでありますけれども、これらが一段落したらどうなるか、
あるいは産業再生機構、あるいは整理再生機構は業務終了した後の地域再生ファンドというのは、
どの様になっていくかというのも、将来を予測する上では大事な要素であろうと思います。これ につきましてはいろんな見方があると思いますけれども、いわゆる完成ファンドあるいは大手地 銀の不良債権処理、これらが一段落した後で、また別の意味で地域単位の地域再生ビジネスとい うのが、本格化して行くのではないだろうかというふうに私は考えております。現在金融機関で 行われている不良債権処理というのは、これはバランスシート面での調整、これが最優先で処理 されているのはご承知のところです。従いまして、その視点はですね地域としての必要性である とか、あるいはミクロ単位での必要性の議論とは、また別のところで進んであるというふうに思っ ておりまして、従いまして今のステージが一段落した後にはですね、また地域としての必要性で あるとかミクロ単位でのいろんな必要性の議論、こういった意味合いからの案件というのが出て くるのではなかろうかと、そういった局面がやはり本格化してくるのではないかというふうに考 えております。