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国立大学法人 神戸大学(拠点設置国:インドネシア)

5. 各研究拠点における評価

5.7. 国立大学法人 神戸大学(拠点設置国:インドネシア)

代表責任者:林 祥剛(神戸大学大学院医学研究科附属感染症センター教授)

海外拠点長:山岡 政興(神戸大学大学院医学研究科附属感染症センター特命准教授)

(単位:千円)

年度 H22 H23 H24 H25 H26 総額

予算額 111,554 102,500 88,000 302,054

5.7.1. 拠点の概要

インドネシアに形成した神戸大学新興・再興感染症国際共同研究拠点において、日本人研 究者を常駐させ、BSL3施設を稼働し、下記の研究課題についてインドネシアとの共同研究を 推進し、更に国内外の多機関が利用できる拠点として発展させる。

研究拠点設置国機関等と連携については、採用した日本人研究者のうち3名は海外拠点に 常勤配置して、相手国研究機関との研究を実施している。当該活動がインドネシア政府に評 価され、本プログラムで設立したBSL3施設とは別に、インドネシア保健省の支援により新た なBSL3施設(ABSL3施設)及び熱帯病専門病院がインドネシア拠点大学に設立されるととも に 、 イ ン ド ネ シ ア 科 学 技 術 省 が 、 ア イ ル ラ ン ガ 大 学 熱 帯 病 研 究 所 をCOE(Center of Excellence)に選定した。

他の拠点との連携として、神戸大学インドネシア拠点に配置されていた准教授が大阪大学 へ、大阪大学タイ拠点に配置されていた特任教授が神戸大学へ異動し、神戸大学、インドネ シア拠点、大阪大学、タイ拠点での拠点間の連携を深めるとともに、大阪大学タイ拠点との 連携による日本、インドネシア、タイ3国間国際共同感染症研究を推進するため、3か国の Joint Forumを開催し、現在、

デング出血熱

、HIV/AIDSの共同研究の協定締結を目指してい る。

同拠点における研究事業では、鳥インフルエンザ、B型、C型及びE型肝炎、デング出血熱、

感染性下痢症、小児HBV感染症に関する研究を実施している。例えば、鳥インフルエンザに 関する研究では、現地獣医師との連携により、斃死または瀕死の野鳥や家禽を対象に、ウイ ルス学的検索をおこない、平成22~23年に掛けて合計16株のH5ウイルスを分離し、ジ ャワ島には、平成19年に多くの人に感染した系統のウイルスが家禽や野鳥に蔓延している ことを明らかにした。また、C型肝炎に関する研究では、ジョグジャカルタの透析患者にC型 肝炎ウイルス感染が高率(約80%)に認められ、透析期間と輸血回数に相関していること より、施設内感染である可能性が示唆され、ジョグジャカルタ保健局及び市内医療機関とで 対策について協議し、透析患者のみならず透析施設とその感染症対策について調査すべく現 在準備を進めている。蚊媒介疾患に関する研究では、ため水に銅繊維を入れておくことで殺 虫効果が認められたことから、これを使用する媒介蚊コントロール活動を計画し、現在アイ ルランガ大学倫理委員会の承認へ向けた申請書の準備中である。

その他、J-GRIDで横断的に実施している「蚊媒介感染症のコンソーシアムによる地域横断

的研究」「アジア諸国での急性下痢症の積極的動向調査」にも参画しているところである。

また、これらの成果を元に、インドネシア、スラバヤ市で在留邦人及びを対象にした公開 講義・授業を実施するとともに、相手国でインドネシア人(学生、医療従事者、研究者)を 対象にした講演会、地域住民を対象にしたデング熱の啓蒙活動を実施した。

人材育成については、第2期において、日本側10名(特命准教授:1名、特命助教:2 名、技術補佐員:7名)、インドネシア側12名(技術補佐員:12名)を採用した。また、

福井大学医学部医学科3年生が、3週間、インドネシア拠点で感染症に関する研修を行った

(平成23年度1名、平成24年度2名予定)。

キャリアパスについては、本大学内における昇任のほか、大阪大学及びインドネシアの大 学への移動・昇任(計4名)が行われるとともに、さらに大阪大学でJ-GRIDに関係していた 者を招へいすることも行っている。また、若手研究協力者が、インドネシア共和国国立保健 研究開発研究所の主催する研究グラントのResearch and Development in Medical and Technology Sciences部門の研究資金を獲得している。

5.7.2. 評価結果

①研究拠点設置の目的について

東南アジアにおいて人口規模が多く、多様性にも富むインドネシアと協力し、かつ、イ ンドネシアで問題な疾患(デング、H5N1、肝炎、インフルエンザウイルス、下痢性疾患)

に的を絞り研究を実施するため、アイルランガ大学熱帯病研究所に神戸大学新興・再興感 染症国際共同研究拠点を設置した目的は、現地との関係も良好に進んでいることも含め、

極めて妥当である。

②拠点における実績

研究拠点設置国機関等と連携については、疫学調査に関わる病院等、複数の国内協力機 関が多く活発なネットワーク活動のハブ機能を果たしており、十分な連携が図られている と評価できる。特に、海外拠点のアイルランガ大学がインドネシア科学技術省によりCOE

(Center of Excellence)に指定されたことは特筆すべきことである。また、J-GRIDのタ イ・インド拠点などとの交流も評価できる。

研究拠点を活用した研究の推進については、インドネシア国内の5連携拠点と研究協力 を進める体制を整え、ヒトの季節性、新型鳥インフルエンザに関する研究を進め、若手研 究者に対するワークショップも開催している。B、C型ウイルスの特徴解析やHBVに対する ワクチン接種の効果検証、デング出血熱の疫学調査、媒介蚊コントロール研究、感染性下 痢症の研究など、現地との協力による研究が如実に示される成果が得られている。また、

一部の課題については、現地での現状把握に貢献しており、今後、公衆衛生への対策に生 かされることが期待できる。

一方、一部の研究では日本での成果が載せられていること、社会・公衆衛生への貢献は 限定的であり、自己の研究推進が目的との印象を受けたとの意見もあった。

資金調達については、抗HCV物質の同定及びHCV、デングワクチンの開発に(独)科学 技術振興機構との研究費を総額1.7億円得ており、大型公的資金を獲得しているといえ る。

しかしながら、民間資金は獲得していないことから、積極的に努力すべきとの意見もあ った。

人材育成について、小規模の研究費の割りには、アイルランガ大学との連携により多く の人材を国内、国外に投入しており、また、活発な人事異動が進んでいることから、人材 育成に配慮した拠点活動がされていると評価できる。

一方、中堅研究者の人材育成は実績を挙げているが、若手研究者、大学院生を巻き込ん だ積極的な活動が少ない、拠点関係者の昇任・異動のみが本趣旨に沿った人材育成とは考 え難いのでは、インドネシア側の人材育成が、やや少なめであり、日本の感染症に興味が ある研究者等の育成にどれだけ貢献しているのか不明との意見もあった。

5.7.3. 総評

本拠点については、全体的に現地との連携の下に成果が出ており、継続が妥当である。今 後、設置国政府との連携を強化することにより、研究成果が、実際に社会・公衆衛生へ貢献 していくことを期待する。

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