9月12日 強流域で大きく成長したアカモク
図6−7 平成27年1月21日に親縄から成長した養殖アカモク 2月6日最大9.12mに生長
図6−8 アカモク種苗の生長5〜9月 本養殖(種挿し)後のアカモクの成長10〜3月
[担当者] 企画資源部 荻野隆太
g ハバノリ養殖試験
[試験研究期間]平成24年度〜26年度
[目 的]地域で高価な海藻として取引されているハバノリについて、従来のワカメ養殖筏での養殖 の可能性を検討し、相模湾での新たな海藻養殖対象種としての導入を図るため、神奈川県産ハバノ リのフリー配偶体種苗生産技術を確立するための試験を行った。
[方 法]
○フリー配偶体養殖試験
平成26年10月24日に鳥羽市水産研究所より入手したフリー配偶体15g及び平成25年度に当場 で培養した神奈川県産のフリー配偶体5gをミキサーで裁断し、親綱となる6㎜ロープ(20m:10 本)が漬かる程度の海水を入れた桶に親綱と裁断した配偶体を入れ、半日間採苗を実施した。
採苗後の親綱を海水を入れた60cm水槽2基に収容し、水温20℃、照度3000〜4000lux、12時間 となるようにヒーター、蛍光灯とタイマーをセットし、24日間培養を行った(図6−9)。培 養した親綱は、湯河原町福浦沖に設置したワカメ養殖用筏に沖出し、設置し、養殖を行った。
今年度は、親綱を200m(20m×10本)に増やし、収穫量の増大を試みた。収穫サイズとなった ハバノリを回収し、収量(湿重量、製品数(枚数))の測定を行った。
○天然ハバノリ配偶子採取試験
天然ハバノリから配偶子採取試験は、小田原市、真鶴町、湯河原町の地先等のハバノリ母藻 を暗所で1日寝かせ、殺菌海水を入れたシャーレ内、照度3000lux下で、放出した配偶子をパス ツールピペットで吸引し、配偶子の採取を行った。採取した配偶子は、別のシャーレに収容し て恒温装置内(室温20℃、照度3000〜4000lux、12時間)で培養を行い、2週間後に濃褐色に色 づいたフリー配偶体(糸状体)を滅菌海水を満たした三角フラスコ(1ℓ)に収容し、栄養剤(E SI溶液)0.5%を添加し、引き続き高温装置内で培養した。
0 5 10 15 20 25 30 35 40
5月 6月 7月 8月 9月
(cm) 最大
平均
0 2 4 6 8 10
10月 11月 12月 1月 2月 3月
(m) 最大
平均
[結 果]
○フリー配偶体養殖試験
培養開始14日目(平成26年11月10日)には、検鏡用に取り付けたクレモナ糸の一部を切り取 り、顕微鏡で確認したところ、葉状体を確認し、培養が成功したことを確認した。
培養開始24日目(11月20日)、培養した親綱を湯河原町福浦沖に設置したワカメ用養殖筏に 設置し、沖出しした。
沖出し後30日目(12月20日)の成長測定を実施、平均約10㎜に成長したハバノリを確認、沖 出し後36日目(12月26日)の確認では、約100㎜に成長している株がある一方、全く生えていな い箇所が多い状況を確認した。
沖出し後74日目(平成27年2月2日)には、一部が平均約150㎜にハバノリが成長しており、
第1回目の収穫を実施、収量は、湿重量で約4.5kg、製品で18枚を作製した。しかし、収穫した 親綱以外は、ほとんどが生えていない状況。
沖出し後106日目(3月6日)に第2回の収穫を実施、平均約170mmに成長し、湿重量で約6.0 kgを収量、製品で24枚を作製できたが、生えている株がほとんどなく、時期も過ぎていること から、第3回目以降の収穫は行わなかった。
今回の試験は、種付けを筏設置約2週間前に実施し、11 月中に筏の設置及び沖だしをすること ができた。しかし、今年度は、ハバノリの成長が悪く、親綱に付いた株も少なかったため、年内 の収穫はできなかった。また、収穫の回数も昨年の4回から2回と大きく減り、それに伴い、収 量も湿重量で約 10.5kg、製品で 42 枚となり、昨年の湿重量約 22.2kg、製品 122 枚から大きく減 る形となった。
原因として、親綱への種付けの際、使用したフリー配偶体の量が少なかったことや沖だしで、
ボラやメジナ等の藻類食の魚類の食害にあった可能性があり、その対策が今後の課題となる。
○天然ハバノリ配偶子採取試験
ハバノリのフリー配偶体採取は、平成27年1月15日、16日、20日、22日、27日、30日、2月 2日、3日、4日、6日、9日、10日、12日、18日、25日及び3月4日、12日、13日、24日、2 5日に小田原、真鶴、湯河原の各地先等の磯根において入手したハバノリを母藻として用いて、
配偶子を採取し、恒温器内で培養中である。
ハバノリが生えていない親綱 沖出し後 36 日目のハバノリ
採苗後 14 日目に確認した葉状体 親綱への採苗作業
[担当者]相模湾試験場 中川 研
(イ)平成26年度水産業普及指導員研修会
[開催時期] 平成26年8月27日〜29日
[開催地]滋賀県大津市 滋賀県立県民交流センター、沖島漁協(滋賀県近江八幡市)
[出席者]全国の普及指導員
[研修内容]1日目は、水産庁企画課の千代谷京制度係長から「魚の国のしあわせプロジェクトにつ いて」、水産庁加工流通課の上田勝彦課長補佐から「魚食普及・復興の目的と方向性」、鮮魚の達 人協会山根博信理事長から「〜消費者と漁業者を近づけるために〜鮮魚の達人の取り組み」と題し た講義及び(独)水産総合研究センター開発調査センター堀川博史副所長から「沿岸域における漁 船漁業ビジネスモデル実証化事業の課題募集について」、同センター水産工学研究所漁業生産工学 部川田忠広主幹研究員から「漁船のバルバスバウについて〜その機能を発揮させるために〜」と題 した情報提供等を受講した。
2日目は、滋賀県農政水産部水産課三枝仁服主幹から「滋賀県における魚食普及の取組」、全国 水産業改良普及職員協議会坂本樹則会長から「水産業普及指導事業について」、合同会社アースボ イスプロジェクト榎田竜路代表「情報運用が創る海食文化の未来」と題した講義を受講した。その 後、講義全般に関する意見及び情報交換を兼ねてパネルディスカッションを行った。
3日目は、沖島漁協で現場研修会が行われた。当研修会を通じて他県普及指導員との連携及び情 報交換が図られた。
[担当者]相模湾試験場 中川 研
(ウ) 東北・北海道ブロック並びに関東・東海ブロック水産業普及指導員集団研修会
[開催時期]平成26年9月25〜26日
[開催地]茨城県土浦合同庁舎、茨城県霞ヶ浦環境科学センター
[出席者] 水産庁研究指導課(講師)、水産総合研究センター(講師)、香川海区漁業調整委員会
(講師)、北海道、青森県、秋田県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県、静岡県、三重県、
滋賀県、神奈川県
[研修内容] 1日目は、水産庁研究指導課の筒井大輔係長から「水産業改良普及事業の現状と課題」、
(独)水産総合研究センター開発調査センターの清水弘文情報調査役から「漁船漁業の新たなビジネ スモデルの構築について」、(独)水産総合研究センター中央水産研究所経営経済研究センターの田 坂行男センター長より「水産業改良普及事業と経営経済研究について」と題した講演があった。そ の後各県の普及活動に関する意見及び情報交換を行った。
2日目は、霞ヶ浦環境科学センターで現地研修会が行われ、霞ヶ浦の環境とセンターの業務内容 について講義を受けた。当研修会を通じて各県普及指導員の連携と情報の共有化が図られた。
[担当者]相模湾試験場 加藤充宏
(エ)県外研修
新奇有毒プランクトン研修会
[研修時期]平成26年11月17〜20日
[研修場所](独)水産総合研究センター瀬戸内海区水産研究所
ハバノリの母藻から放出された配偶子 培養中のハバノリフリー配偶体
図6−9 ハバノリ養殖試験の写真
[研修内容]赤潮プランクトン及び有害プランクトンの生理・生態の基礎知識を学ぶとともに、赤潮・
有害プランクトンの生きた栄養株を観察して動きや、鎧板などの特徴について学んだ。
プランクトンの同定の基礎を習得することができ、今後の貝毒プランクトンのモニタリングに役 立てていきたい。
[担当者]企画資源部 石井 洋
(オ)県外先進地視察
[課 題]マグロ養殖技術、漁具の強度や網成り等及び大型の19トン型漁船の建造について
[視察年月日]平成26年6月11、12日
[視察場所](独)水産総合研究センターの西海区水産研究所まぐろ飼育研究施設、㈲柏木造船所及 びニチモウ㈱研究開発室
[視察グループ]小田原市漁協青年部員 18名
[概 要]最近、相模湾内で多く漁獲されるようになってきたマグロ類について、資源動向や種苗生 産技術、漁船や漁網やロープ等の資材の最新情報の収集を目的として、(独)水産総合研究センタ ー西海区水産研究所まぐろ飼育研究施設、ヨット等に使用される最新素材を使った19トン型漁船を 建造している㈲柏木造船所及び漁具(ロープ)の破断強度や網の網成りなどの研究開発を行ってい るニチモウ㈱研究開発室の視察を行った。
西海区水産研究所まぐろ飼育研究施設では、最新の陸上水槽とコントロールシステムを見学し、
マグロ人工採卵及び養殖技術の実際を学んだ。
㈲柏木造船所では、レース用ヨットやパワーボートに使われる軽量で丈夫なガラス繊維素材を使 用した全長30m・19トン型漁船の素材や構造等を学んだ。
ニチモウ㈱では、米神漁場で長年使用した綱と新品の綱の強度比較試験を実際に行い、ロープ交 換の必要性を学んだ。研究開発室では、実験水槽を用いて、しらす船曳網(2艘引き)の網成り等 を目で確かめることもでき、定置網、一本釣り、刺網等の各漁業者に有意義な視察研修となった。
[担当者]相模湾試験場 中川 研
ウ その他の活動
(ア)普及調整会議
普及指導員相互の情報及び県水産課普及担当者との連絡調整を図るため、4月17日、9月30日、
3月11日の年3回、普及調整会議を開催し、年間普及活動計画、関東東海ブロック漁業士及び普及 員集団研修会の開催、漁業者交流大会等について協議を行った。
(イ)「漁況情報・浜の話題」の発行
水産業普及指導員が普及活動の折に、現場で得た漁模様や浜の動き等の情報を月の前半と後半ご とにA4版1枚にとりまとめ、ファックス等を介して漁業協同組合、行政機関など55ヶ所へ情報提 供を行った。なお、当センターのホームページでも公開している。
水産技術センター浜の話題掲載ページ http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f430693/p785468.html
(ウ)新規就業者調査(平成26年4月1日〜平成27年3月31日)
漁業後継者の実態を把握するため新規就業者調査を実施した。平成26年度の新規就業者は、26 名であった(表6−1)。