第 6 章 高圧水素ガスを用いた試験
6.3 高圧水素ガスを用いた段階的な試験実施
6.3.2 第 2 回高圧水素ガスを用いた膨張タービン回転試験
膨張タービン式高圧水素充填システムの開発研究
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運転開始と同時に膨張タービン入口圧力が低下した問題の原因は水素ガスの供給ボンベから膨張ター ビン試験設備入口までの外部仮設配管の内径過少と判明した。
Fig.6.11においてタービン出口温度が入口よりも下がっていることは、膨張タービンによる断熱膨
張の効果を示しているが、回転が不十分であったため、意図した温度降下量までは得られていない。
Fig.6.10 膨張タービン回転時の前後圧力計測値(元圧33MPa(G))
Fig.6.11 膨張タービン回転時の前後温度計測値(元圧33MPa(G))
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これらの計測された膨張タービン回転中の入口および出口の温度、圧力数値から、各時間帯のエン タルピーを算出し、膨張タービン回転中の入口と出口の水素の熱落差、および、質量流量と掛け合わ せた寒冷発生量を評価した結果をFig.6.12に示す。
Fig.6.12 膨張タービン回転時の発生熱落差と寒冷量
この試験では、前述の如く膨張タービンへのガス供給と同時に、膨張タービンの入口圧が高く維持 できなかったため、膨張タービン前後の圧力差が確保できず、熱落差もピークで80kJ/kg、寒冷発生量 も 720W 程度に留まった。ピーク時刻以降は、二次側(充填タンク側)圧力の増加に伴い、膨張タービ ン熱落差は下降し、それに呼応して寒冷発生量も減少している。結果として、膨張タービン本来の回 転領域には至っていない。
同時に、これらの得られた数値から、膨張タービンの断熱効率ηを試算した結果をFig.6.13に示す。
断熱効率ηの算出は(6.1)式による。
𝜂 = ℎ𝑖𝑛− ℎ𝑜𝑢𝑡
ℎ𝑖𝑛− ℎ𝑜𝑢𝑡 (6.1)
hthは膨張タービンの入口状態の比エントロピーから求めた出口圧力における等エントロピー膨張 点の比エンタルピーを示す。今回は、本来の運転状態までには持っていけなったものの、運転の結果、
膨張タービンの評価断熱効率は約42〜44%であったことが判明した。
一般に、膨張タービンの断熱効率はインペラ周速 U[m/s]とノズルから流入する絶対噴流速度 C0[m/s]の比U/C0のU/C0が0.6~0.7 を最高点とした2次関数で与えられる[33]。U/C0と本膨張ター ビンの設計効率の関係をFig.6.14に示す。本膨張タービンは、充填システムとして運用するため、運 転範囲が通常の一定回転運転のタービンよりも広い U/C0(=0.1~0.7)の範囲での運転となる。今回の 試験条件から得られた、膨張タービン入口、出口の温度圧力の値からC0を求め、この値とFig.6.13で 評価した効率ηから膨張タービンインペラーの周速を逆算すると、U=76m/s程度となる。これから推
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定した膨張タービンの回転数は約18万rpmとなった。これは設計定格点の設計回転数の約6分の一 に留まっている。原因は今回の試験条件(入口圧力が維持できなかった)の不適によるものである。
Fig.6.13 膨張タービン断熱効率評価結果
Fig. 6.14 U/C0に対する膨張タービンの設計効率([33])
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第2回の試験後の膨張タービンの分解写真をFig6.15およびFig.6.16に示す。今回はスラスト軸受 面の損傷は確認されず、新たに設けた均圧管の効果により、膨張タービン起動時のスラスト力が適正 にバランスされたものと推測される。
Fig.6.15 膨張タービン 試験後の分解写真(タービン側軸受)
Fig.6.16 膨張タービン 試験後の分解写真(コンプレッサー側軸受)
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