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I 組  織

山口県医師会警察医会第 6 回研修会 回研修会

た。前全 5 回の研修会は山口県医師会 6 階会議 室で開催されたが、今回は本研修会が藤宮教授全 6 回の最後の研修会となるため、山口県医師会会 長木下先生のご高配で、ホテルで研修会を行い、

その後懇親会を行うことになったのである。本報 告はこの研修会の報告である。

【はじめに】

山口県医師会警察医会の設立の目的の一つに

「死体検案に際して必要な基礎知識の習得」がある。

本会天野会長が唱える、「医師であればいつなん どきでも死体検案に際して困らない、自信をもっ て死体検案ができる体制作り」は目的の一つを具 体的に表したものである。そのために山口大学医 学部法医学教室の藤宮龍也教授に、最低限知って おかねばならない法医学の基礎を中心に全 6 回 の講演をいただく計画を立てた。

全 6 回のタイトルは 1. 死体検案と死体現象論 2. 損傷論 1:生活反応

3. 損傷論 2:頭部外傷、交通事故 4. 窒息論

5. 異常環境、嬰児、中毒

6. 内因性急死(突然死)と死体検案書

である。今回は、6. 内因性急死(突然死)と死 体検案書について藤宮教授よりご講演をいただい た。

【研修会内容】

講演「死体検案とは」 その 6

―内因性急死(突然死)と死体検案書等―

山口大学大学院医学系研究科  法医・生体浸襲解析医学分野 

(法医学教室)教授 藤宮龍也先生

座長は山口県医師会警察医会天野会長が務め た。まず座長より藤宮教授のご紹介があった。

(紹介略)

講演・本文監修:山口大学大学院医学系研究科

        法医・生体浸襲解析医学分野(法医学教室)

        教授 藤宮龍也先生

報告:萩市医師会 山口県医師会警察医会副会長 松井 健

山口県医師会警察医会第 6 回研修会 山口県医師会警察医会第 6 回研修会

と き 平成 22 年 1 月 23 日(土)

と き 平成 22 年 1 月 23 日(土)

ところ ホテルニュータナカ 2F 平安の間 ( 山口市湯田温泉 ) ところ ホテルニュータナカ 2F 平安の間 ( 山口市湯田温泉 )

内因性急死というと教科書的には系統別の話 になるが、それだとほとんど皆様ご存知なので、

嗜好を変えて紹介する。

法医学というと通常外因死を思い浮かべるかも しれないが、内因死が結構多い。内因死なのであろ うが外因死の可能性がある場合、あるいは死因が分 からない場合には解剖に回される。

統計では、明確な内因死は 84%で、異状死体 として届けられるのが 16%である。この異状死 体の内の半分(8%)は内因死である。それから、

災害死、自殺、他殺の順番となる。

他殺は全体の 0.1%であり、症例的にはほとん どないのが実際である。法医学は他殺のみを対象 にしているのではないことが、これでよく分かっ てもらえると思う。

内因性急死の内訳は、心・血管系が 55%で最 も多く、脳血管系が 23%、以下、呼吸器系、消化 器系、青壮年急死、SIDS 、その他不詳の順番である。

一方、死因順位でみると、第一位は悪性腫瘍 であるが、悪性腫瘍が法医学の対象になる頻度は 少ない。

内因性急死の定義は、予期せぬ突然の内因死

で、発症後 24 時間以内の内因性死亡である。

異状死体の内因死の約 2/3 が循環器系・脳血管 疾患である。内因性急死は男性に多く、50 歳代にピー クがある。一方、女性は自宅で亡くなっていること が多く、80 歳代にピークがある。発症後 1 時間以 内の死亡が 84%で、1/3 は就眠中である。

内因性突然死の原因はストレスが多い。肉体 的激動や精神的興奮、他人から暴行を受けている 最中に急死することがある。

自分は最近このような症例を経験した。親子 喧嘩中に父親が心筋梗塞で亡くなった症例であ る。これ自体は病死になる。ストレスは誘引にな るが、これが因果関係があるかどうか鑑定する必 要がある。

死因決定のキーポイントは、身体所見、検査 所見はもちろんであるが、現場状況、病歴、予兆 の有無が重要である。現場状況や病歴に関する ことを現場で調査してくれるのが警察である。世 の中の人は警察がいなくても死因決定が可能だと 思っているが、現場状況や病歴で判断可能なこと もある。しかし、解剖しても困難な事例がある。

したがって、警察の検視官や医師が共同で検死を 行わないと誤診率は高くなるのである。判断がつ かない時は、解剖が必要である。

「Anderson Pathology」という病理学の本に非 常に分かりやすい突然死の分類が出ているので提 示する。これによると、内因性疾患を Class Ⅰか ら Class Ⅴに分類する。

Class Ⅰは、病理解剖をすると死因がすぐさま 分かるもの、例えば大動脈解離やくも膜下出血の ようなものが該当する。

Class Ⅱは、慢性的な病理所見があって、死 に至るまでの経過が分かっているもの、例えば 虚血性心疾患や肝硬変、癌の末期が該当する。

「Anderson Pathology」では 90%がこのクラスに 分類されるとあるが、自分の個人的な経験では大 体 2/3 位ではないかと思う。

Class Ⅲは、中等度の病理所見があって、病歴・

現場所見が軽度であるもの、典型的には老衰が該 当する。老衰死の症例は解剖を行っても率直に言っ て分からないことが多いが、経過からそれなりに 判断するしかない。虚血性心疾患がベースにある ような症例では虚血性心不全にすることもある。

Class Ⅳは、病理所見が乏しく、病歴は軽度で あるものをいう。例えばてんかんや不整脈、急性 心機能不全等で亡くなった症例は、解剖しても所 見としては分からないことが多い。むしろ、病理 所見がないのが特徴である。このクラスでは除外 診断と経験則が重要になる。

Class Ⅴは SIDS が典型的であるが、乏しい病 理所見、病歴・現場状況も少ないものをいう。よ く分からない突然死というのが実際に存在するの である。青壮年急死症候群、いわゆる「ぽっくり病」

であるが、山口県内でも毎年何人かみられる。こ のクラスは解剖しても分からないことが多いが、

それでは解剖しなくても良いかと言われれば解剖 しないと分からないこともあるので、解剖を行い、

除外診断を行い初めて「ぽっくり病」と診断がつ くのである。

Class Ⅰである。このクラスは致死的病理所見 がある。このクラスは特徴的な病理所見があるの で CT 検査(いわゆる Autopsy imaging (Ai))が 有効である。ここで注意しなくてはならないのは、

CT 検査を行ったら何でも分かるという幻想があ る。「Anderson Pathology」では突然死の 5%位 と言われている。CT 検査をしても慢性的な病変 や軽微な病変は画像上確認できても、死因が分か らないことは多い。マスコミ等ではこの Ai を行っ たらほとんどすべてが分かるというように言われ ているが、病歴、現場周辺状況、中毒検査等、経 験則、除外診断ではじめて分かることもあるので、

あまり Ai にとらわれないようにすることが重要 である。

突然死(発症 1 時間以内)を来す主な疾患と しては、心疾患が大半を占め、内訳としては致死 性不整脈、冠動脈疾患、心筋症、心筋炎、弁膜症、

先天性心疾患がある。その他、動脈瘤破裂や解離 性大動脈瘤などの大血管疾患、呼吸器系、腹部・

消化管疾患、中枢神経疾患、原因不明の突然死が ある。

症例提示 72 歳、女性。自宅でうつ伏せになっ て死亡しているのを発見された。外部身体所見は 異常を認めなかった。脳は表面的には異常所見は ないが、脳の割面を視てみると橋の出血が認めら れた。ここで始めて死因が特定できた。この症例 は CT 検査を施行すれば診断できた可能性はある が、橋は骨の影響で CT 検査で解りづらいことが あるので困難であったかもしれない。このような 事例もある。

症例提示 52 歳、男性。県内のホテルで異常行 動をとっていて、その後死亡しているのを発見さ れた。先程の症例と同じく橋出血であるが、本症 例は血液が表面に漏れている。これ位の出血なら ば CT 検査で診断できた可能性は高い。

症例提示 腐乱死体であるが、解剖すると大動脈 瘤破裂による心タンポナーデを起こしていた。解 剖が非常に有効であった症例である。

症例提示 87 歳、男性。医療機関にかかったこ とがほとんどなかったようである。独居で死亡し ているのを発見された。解剖してみると、胃にボー ルマンⅢ型の胃癌を認めた。胃癌に関連した死亡 と診断した。

症例提示 生後 3 か月、男児。第 1 病日の午後 8 時頃、40 度の熱を出し、第 2 病日に小児科医 院を受診し風邪と診断を受けて帰宅した。その後、

熱は下がった。午後 7 時 30 分頃、ミルク 160cc を与え、坐薬を挿入して布団に仰向けで寝かせた。

午後 10 時頃、母親が添え寝をした。第 3 病日午 前 2 時頃、母親が偶然目を覚まし子どもを見た ら息をしていなかった。救急車で病院搬送するも 心肺停止状態であった。死因が不明なため司法解 剖となった。

解剖してみると肺には軽度の気管支肺炎と心 外膜炎が認められた。副腎に出血が認められた。

脳は化膿性髄膜炎が認められた。髄膜炎と副腎出 血というと、Waterhouse-Friderichsen 症候群で ある。この病気は 1 日、2 日の急性の経過で死に 至るので児の経過と合致する。自分も何年かに 1 回は経験するのであるが、診断がついても救命が 困難な疾患である。家族には、死因がこのように 稀な疾患であったことを説明し理解を得た。

以上で Class Ⅰの説明を終わるが、このクラス は病理学所見が非常にはっきりしており解剖が有 効である。ただ、自分の経験ではこのクラスは頻 度が少ない。

Class Ⅱは慢性的な病理所見を認め、有意な病歴 や現場状況もあるが、決定的な所見が乏しく、急 性の所見がないものをいう。虚血性心疾患が典型 例といえる。その他、肝硬変もそうである。肝硬 変があって肝不全で死亡する時はおそらく黄疸の 出現を認めているであろうが、黄疸はないような 症例が該当する。どうしてこの日に肝硬変で死亡 したのかが分からない、このような症例が Class Ⅱ である。特徴的な病歴があって、現場の状況も矛 盾がない。Ai を行えば肝硬変が認められるだろう。

それでは、これ位の程度の肝硬変があればだれで も死亡するのかと言われれば、そうとも言えない。

やはり、検死経験からみて病死でも矛盾はないだ ろうと判断できて初めて診断できるのである。

Class Ⅱは生活習慣病を有することが多い。ス ライドに生活習慣病 12 疾患が出ているので見 てほしい。

症例提示 44 歳、男性。夕方、ゴルフ中に気分 が悪いと言い、一人帰宅の途についた。普通乗用

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