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周波数可変 ESR/EDMR 系の構築

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94 第5章 waveguide window装着によるキャビティを用いた周波数可変のESR/EDMR測定系の構築

3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5

60 70 80 90 100 110 120 130

resonance frequency [ GHz ]

height of cavity (d) [ mm ] TE 012

Figure 5.7: The change of resonance frequency of cavity with variable height. Blue open circles show resonance frequency with respect to cavity lengthd. Closed circles stand for resonance frequency for practical measurements using the cavity with WWs.

て、式5.1により予測された周波数よりも低かった。これは、実際のキャビティにおける、

アイリス、試料挿入用の穴、キャビティ内のMM用のヘルムホルツコイルによる影響と 考えられる。

Qディップの深さはWWの厚みごとに異なるが、周波数に対する規則性は見出され なかった。WWによりサーキューレータからスライドスクリューチューナを含むキャビ ティまでの導波管長を変化させたところ、Qディップとキャビティ内のマイクロ波強度が 変化した。これは、キャビティへのマイクロ波導入に最適な導波管長が周波数ごとに異な ることを示している。この導波管長の調整にもWWが使用可能なことが確認された。こ れはつまり、導波管型の位相器を挿入したのと同様の機能を示している。

(a) (b)

Figure 5.8: The fabricated waveguide window(WW) with thickness of 3 mm (a) and the mounted cavity. The cavity was constructed from the main body and two WWs with thickness of 10 mm at both ends of the cavity (b). The Teflon iris tuner and leads and BNC connectors for EDMR and magnetic field modulation are also shown.

0

4.2 4.5 4.8 5.1 5.4 5.7

voltage detected microwave power reflection [ a. u. ] microwave frequency [ GHz ]

height of cavity (d) [ mm ]

105 91 85 71 65

Figure 5.9: The observed Q dips of the WWs-equipped cavity. The fair Q dips were obtained with respect to height of cavity.

96 第5章 waveguide window装着によるキャビティを用いた周波数可変のESR/EDMR測定系の構築 アンプ(AVE-3W-83+, Mini-circuits)によりマイクロ波を増幅した。マイクロ波はサー キュレータ(PE8402, Pasternack, CA, U.S.A.)を通過後、スライドスクリューチュー ナ(G870A, Hewlett Packard, CA, U.S.A)によりキャビティに導入されやすいように歪 められ、アルミ製の自作のキャビティに印加される。キャビティから反射されたマイク ロ波は、予期しないマイクロ波の反射を防ぐためにアイソレータ(4080-2, Aercom, CA,

U.S.A.)を通過させた。マイクロ波を変調信号を含んだDCに変換するために、クリス

タルディテクタ(8472B, Agilent)をマイクロ波検出器として使用した。検波された信号 は、位相検出のためにそれぞれのロックインアンプへと導かれた。磁場変調と周波数変 調のロックインアンプは、それぞれSR844(Stanford Research Systems)とLI-575(NF Corp., Yokohama, Japan)を使用した。オシロスコープ(54616B, Agilent)をFM信号 のロックインアンプの出力をアナログ/デジタル変換機として使用した。MMとAMの信 号は、それぞれのロックインアンプによりデジタル化された。デジタル化された信号は、

PCへGPIBボード(PCI-4301, Interface Corporation, Hiroshima, Japan)を介して転 送された。GPIBは、装置の制御にも用いられている。

マイクロ波周波数変調は、マイクロ波発生源の周波数変調機能により行われた。マイク ロ波発生装置は、FMのロックインアンプへリファレンス信号を送ってもいる。

磁場変調を印加する部分は、以下の構成になっている。信号発生器(3325A, Hewlett Packard)から340 kHzのサイン波信号が十分な磁場変調強度とするために増幅器

(ZHL-1A, Mini-circuits)に投入される。磁場変調用の信号発生器からは、磁場変調用のロック

インアンプへと参照信号も送信している。増幅器により増強された磁場変調信号は、イン ピーダンスマッチングを取るためにtunning boxを経由し、キャビティ内に設置されて いるヘルムホルツ型の磁場変調コイルに印加され、試料へと変調磁場を印加する。

このキャビティを含んだ自作のスペクトルメータが周波数可変のESR/EDMR装置と して機能するかを検証するため、1N4007(Fairchild Semiconductor)とその近傍にガラス 管に封入したスピン数9.0×1017のDPPHを設置した。この試料を自作したキャビティ 内に設置した1N4007は、pn接合界面におけるShockley-Read-Hall再結合過程[13, 14]

を元にしたスピン依存再結合過程、Kaplan-Solomon-Mott(KSM)理論に基づき共鳴に 伴い抵抗値が低下する試料である。このとき、静磁場とマイクロ波磁場に対してシリコン ダイオードの長軸の向きを平行とした。

pn接合のシリコンダイオードである1N4007は、Satoらの定電流回路[11]を用いて電 圧の変化を観測した。電圧変化により観測されるEDMR信号は、信号雑音比を改善する ために、µAM変調をかけられ、µAMのロックインアンプにより記録された。

DPPHのMF-ESRの結果をFig. 5.10(a)に示す。Fig. 5.10(a)におけるねずみ色の 線は、DPPHのg値、g= 2.0036を用いて共鳴条件、hf =gµBH を元に引いたマイク ロ波周波数と共鳴磁場の比例関係を示している。ここで、h、ν、µBは、それぞれプラン ク定数、マイクロ波周波数、ボーア磁子である。磁場変調によるDPPHの微分系のESR スペクトルの中心、共鳴磁場がねずみ色の直線に乗っており、C-bandの周波数範囲にお

けるMF-ESRの成功を示している。

MF-EDMRの結果をFig. 5.10(b)に示す。Fig. 5.10(b)においても、Fig. 5.10(a)と 同様に1N4007のg値[11, 12]に対応した共鳴条件を示すねずみ色の直線を引いた。ここ で、EDMRスペクトルは、µAMにより得られるため積分形であり、共鳴磁場は、積分形 スペクトルのピーク磁場として得られる。その共鳴磁場が、共鳴条件に従ったことから、

MF-EDMR測定も成功していると結論づけた。これは、WWによる周波数可変の手法が ESRのみならず、今回のEDMRを一例とした他のESRの手法、FI-ESRやODMRへ の適用可能性を示した。

WWを装着していないd= 65 mmと比較して片側2つ以上WWを連結したd= 91、

105 mmにおけるQディップ、ESR、EDMRは観測を妨げる程の大きな差異は見られな

かった。そのため、異なる厚みのWWを組み合わせることによって多くの共振周波数に おいてESRやEDMRが測定可能と考えられる。

今回の周波数可変の範囲は、おおよそ4-6 GHzと変化割合は小さい[3,5,9]。しかし、ス ペクトル密度関数を得るために必要な周波数帯域は、試料に依存すると考えられる[3,15]。 むしろ、今回の周波数可変の手法は、C-bandというGHz帯域をキャビティを用いて測 定しながら、細かい周波数間隔にて測定可能なため、正確なスペクトル密度関数の取得さ れ、関数型の特定や緩和時間の高精度な見積が可能と期待される[16]。これは、強磁性体 共鳴における複雑な磁場依存性を測定する場合においても、有利に働くと考えられる。

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