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吊り荷の昇降がロバスト性に及ぼす影響の検討

第 3 章 固有振動数の推定誤差に対するロバスト性向上手法 21

4.3 吊り荷の昇降がロバスト性に及ぼす影響の検討

36 (a) Case 1

(1) Case 2

Fig. 3.6 Simulation using V-D1ZF1 control for ν1.2.

37

れ細線および太線で示し,ε -0.05, 0, 0.05それぞれを一点鎖線,実線,破線で示している.

図3.7より,ε0の場合はいずれもEres 0と重なっており,推定誤差のない場合にはρTお よびρM に関わらず残留振動を完全に抑制できている.一方で,ε0.05およびε -0.05の 場合には残留振動が生じている.V-ZF1制御とV-D1ZF1制御を比較すると,図3.7(a)および

図3.7(1)はともに,V-D1ZF1制御は V-ZF1制御よりもEresが小さくなっており,ロバスト性

向上の効果が出ている.

次に,ρT 0.6, 1.0, 1.3およびρM 0.6, 1.0, 1.3の場合について,εに対するEresの変化を図 3.8に示す.図3.8(a)はCase 1,図3.8(1)はCase 2である.図3.8より,いずれの場合もV-D1ZF1 制御はV-ZF1制御よりもEresが小さく,高いロバスト性を示している.V-D1ZF1制御の異な るρTおよびρMを比較すると,図 3.8(a)および図3.8(1)はともにρTおよびρM が1.3の場合 にはε0でEresが他と比べて小さく,0.6の場合には逆にε0でEresが小さい傾向が見られ る.

(a) Case 1

(1) Case 2

Fig. 3.7 Effect of rope length variation on Eres for ν1.2.

0.5 1 1.5

0 0.05 0.1

ρT[-]

V-ZF1 V-D1ZF1 Eres[-]

ν = 1.2

ε= 0 Case 1

ε= 0.05

ε= -0.05

0.5 1 1.5

0 0.05 0.1

ρM[-]

Eres[-]

V-ZF1 V-D1ZF1 ν = 1.2

ε= 0 Case 2

ε= 0.05

ε= -0.05

38 (a) Case 1

(1) Case 2

Fig. 3.8 Effect of ε on Eres for ν1.2.

推定誤差がある場合の数値シミュレーションの具体例として,ν1.2の場合に V-ZF1 制 御およびV-D1ZF1制御を用いた数値シミュレーションの結果をそれぞれ図3.9および図3.10 に示す.結果はすべてε0.15の場合であり,図 3.9(a)および図 3.10(a)がCase 1,図 3.9(1)

および図3.10(1)がCase 2である.図3.9より,V-ZF1制御ではいずれの場合も大きな残留振

動が生じている.一方で,図3.10より,V-D1ZF1制御を図3.9のV-ZF1制御と比較すると,

1.0, 1.3

ρT  およびρM 1.0, 1.3では残留振動が小さくなっている.しかし,ρT 0.6および

M 0.6

ρ  ではわずかな減少しか見られない.

さらに,V-D2ZF1制御を用いた場合に,ロープ長の変化がない場合と同様にV-D1ZF1制御 からさらにロバスト性を向上させられるか検証する.図3.8と同様にν1.6の場合について,

εに対するEresの変化を図3.11および図3.12に示す.図3.11の太線はV-D1ZF1制御,図3.12 の太線はV-D2ZF1制御であり,細線はどちらの図もV-ZF1制御である.

Eres[-]

ε [-]

−0.1 0 0.1

0 0.1 0.2

V-ZF1 V-D1ZF1 ν = 1.2

ρΤ= 1.0 Case 1

ρΤ= 0.6

ρΤ= 1.3

ε [-]

Eres[-]

−0.1 0 0.1

0 0.1 0.2

V-ZF1 V-D1ZF1 ν = 1.2

ρΜ= 1.0 Case 2

ρΜ= 0.6

ρΜ= 1.3

39 (a) Case 1

(1) Case 2

Fig. 3.9 Simulation using V-ZF1 control for ν1.2 with estimation error (ε0.15).

0 1 2

0 1

0 1 2

−0.3 0 0.3

0 1 2

0 1

0 1 2

−500 0 500

ξ [-] θ[rad]

ξc[-]

τ[-] τ[-]

τ[-]

σξ[-]

τ[-]

ν = 1.2 ε= 0.15 ρT= 0.6 ρT= 1.0 ρT= 1.3 Case 1

V-ZF1

0 1 2

0 1

0 1 2

−0.3 0 0.3

0 1 2

0 1

0 1 2

−500 0 500

ξ [-] θ[rad]

ξc[-]

τ[-] τ[-]

τ[-]

σξ[-]

τ[-]

ν = 1.2 ε= 0.15 ρM= 0.6 ρM= 1.0 ρM= 1.3 Case 2

V-ZF1

50 (a) Case 1

(1) Case 2

Fig. 3.10 Simulation using V-D1ZF1 control for ν1.2 with estimation error (ε0.15).

図3.11より,ρT 1.0, 1.3およびρM 1.0, 1.3の場合はV-D1ZF1制御はどのεでもV-ZF1制 御よりも残留振動が小さくなっている.しかし,ρT 0.6およびρM 0.6の場合はεが正に 大きくなるとV-D1ZF1制御の残留振動がV-ZF1制御よりも大きくなっている.

図3.12より,V-D2ZF1制御を用いた場合は,Case 1のρT 0.6の場合を除いて,V-ZF1制 御および図3.11に示したV-D1ZF1制御よりも残留振動を小さくすることができている.一 方で,Case 1 のρT 0.6の場合には,V-ZF1 制御と比べるとεが正に大きくなったときに V-D2ZF1制御の方が残留振動が大きくなり,V-D1ZF1制御と比べるとεが0から0.1程度の 範囲でのみ V-D2ZF1 制御の方がわずかに小さくなっているものの,その範囲を除けば V-D2ZF1制御の方が残留振動が大きくなっている.

0 1 2

0 1

0 1 2

−0.3 0 0.3

0 1 2

0 1

0 1 2

−500 0 500

ξ [-] θ[rad]

ξc[-]

τ[-] τ[-]

τ[-]

σξ[-]

τ[-]

ν = 1.2 ε= 0.15 ρT= 0.6 ρT= 1.0 ρT= 1.3 Case 1

V-D1ZF1

ξ [-] θ[rad]

ξc[-]

τ[-] τ[-]

τ[-]

σξ[-]

τ[-]

ν = 1.2 ε= 0.15 ρM= 0.6 ρM= 1.0 ρM= 1.3 Case 2

V-ZF1

0 1 2

0 1

0 1 2

−0.3 0 0.3

0 1 2

0 1

0 1 2

−500 0 500

51 (a) Case 1

(1) Case 2

Fig. 3.11 Effect of ε on Eres for ν1.6.

(a) Case 1

(1) Case 2

Fig. 3.12 Effect of ε on Eres for ν1.6. Eres[-]

ε [-]

V-ZF1 V-D1ZF1 ν = 1.6

ρΤ= 1.0 Case 1

ρΤ= 0.6

ρΤ= 1.3

−0.1 0 0.1

0 0.1 0.2

ε [-]

Eres[-] V-ZF1 V-D1ZF1

ν = 1.6

ρΜ= 1.0 Case 2

ρΜ= 0.6

ρΜ= 1.3

−0.1 0 0.1

0 0.1 0.2

Eres[-]

ε [-]

V-ZF1 V-D2ZF1 ν = 1.6

ρΤ= 1.0 Case 1

ρΤ= 0.6

ρΤ= 1.3

−0.1 0 0.1

0 0.1 0.2

ε [-]

Eres[-] V-ZF1 V-D2ZF1

ν = 1.6

ρΜ= 1.0 Case 2

ρΜ= 0.6

ρΜ= 1.3

−0.1 0 0.1

0 0.1 0.2

52

以上より,ロープ長が搬送中に変化する場合でも,多くの場合で V-D1ZF1 制御および V-D2ZF1制御はV-ZF1制御よりも固有振動数の推定誤差に対して高いロバスト性を示すこと がわかった.一方で,V-D1ZF1制御およびV-D2ZF1制御はロープ長の変化の仕方により推定 誤差に対するEresの変化に違いが表れており,場合によってはεが大きいときに残留振動が 大きくなっていた.