表1一②
第4節 ④A・B・C合唱団とD合唱団との違いについて」より 団員が指導者に完全に依存してしまわないように、適度な距離
をはかりつつ、学習集団として、団員が歌うことを学ぶことである
と認識させる。
このような指導者が、合唱指導において有効であると考えられる。
以上のことから、稲田らの指導者像と本論文の指導者像を照らし合わせ、合
唱指導のあり方について、次のようにまとめてみた。
(1) まず、始めの段階は、集団内の親和性を高める活動から、集団凝集性を 高める。団員同士のみならず、指導者と団員間の関係をも深め、信頼関 係を築かせる。
(2) 次に、指導者は団員の能力や一人ひとりの個性を見極め、それに見合っ た指導方針や課題を提示し、それを団員に理解させなければならない。
そのために、指導者はつねに音楽的な素質を高めると同時に、子ども一 人ひとりの個性を見極める能力を養わなければならない。
(3) さらに、子どもたちに歌うことの喜びや様々な醍醐味を体験させられる ように、指導者と団員がともに課題を乗り越える経験を積み重ねること が必要である。
本論文の出発点となった疑問は、「集団の中でどのように個性を尊重させるこ とが集団と個人にとって有効であるか」ということだったが、本論文で使用し た質問紙のみでは、そのことを明らかにし、言及することが難しかった。
今回の調査において、観察者として各合唱団の指導者に持ったリーダーシッ プについての印象と、子どもたちが評定した指導者のリーダーシップとの間に、
予想に反した結果を得た合唱団がいくつか見られた。これは、様々な要因が考 えられる。例えば、C合唱団においては、現在2ヶ月ほど、児童が評定した指 導者ではなく他の指導者が練習を受け持っていた。また、今回は、A合唱団一
第4学年、B合唱団一第1〜6学年、C合唱団一第3〜6学年、D合唱団一第
1〜6学年と調査対象が統一されていない。調査時期(例:各対象合唱団が演 奏会前であるなど)によって、質問に対する回答もことなってくるだろう。本 論文では、三隅らの研究結果にもとづいて製作したものを使用した。しかし、
今回の調査では、質問項目のバランスが悪く、回答結果に偏りがあるなど問題 点が見出された。今後、質問紙に関しては、改善の余地があるのではないかと
思われる。
また、吉崎ら(1977)の研究では、教師のリーダーシップが指導者の担 任期間、また、指導者の年齢、性別によって異なることが報告されている。合 唱指導となると、それらのことに、指導者の音楽的な素質が密接に関わってく
るだろう。指導者の音楽性や音楽的能力は、合唱指導においてとても重要であ
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る。しかし、指導者の音楽的な素質を計るには、観察者の音楽性、音楽的能力 も必要となり、団員に対する質問紙などにも検討の余地がある。
さらに、本論文では、おもに、指導する側の立場から、リーダーシップにつ いて考えてきたが、今後は、学習者の立場に立って、指導やアプローチを考え る必要があると感じた。
本研究を通じて、児童の合唱活動において、指導者のリーダーシップのあり 方がいかに重要であるか、また、それが団員一人ひとりにいかに大きな影響を 与えるものかということが、改めて、痛切に感じられた。このような研究が継 続し、やがて合唱指導において、子どもたちのためになるよい指導のあり方と いうものが明らかになっていくことが望まれる。
謝辞
現在、自らが合唱指導に関わることとなり、子どもたちへの効果的なアプ ローチを模索していた際の、様々な合唱団への見学・アンケート等は、とても 勉強になるものでした。合唱団を訪れるたびに、各合唱団での子どもたちの生 き生きした歌声や表情に、いつも奮起させられ、合唱の素晴らしさを再確認す ることができました。と同時に、今後益々の研鎮を積むことの必要性を痛感し ました。大変拙い論文ではありますが、今後の合唱指導における1つの指針と なればと思い、取り組んできました。その際に各合唱団の先生方には多大な御 指導と御助力を賜り、この場を借りてご協力いただいた各合唱団の先生方、団 員の皆さんに感謝し、心から御礼申し上げたいと思います。
終わりにあたり、いつも温かく見守り、導いてくださった保坂先生と野本 先生には、言葉では語りつくせないほどの感謝の気持ちでいっぱいです。保坂 先生には、特に、声楽を通して、歌の楽しさ、素晴らしさを教えていただきま した。このことは、私が、現在、合唱指導に関わる大きな礎となっています。
野本先生には、論文指導はもちろんのこと、多岐に渡り、懇切丁寧に指導して くださり、本当に頭が上がりません。保坂先生、野本先生には、本当に心から 深く御礼申し上げたいと思います。と同時に、今後も温かく見守ってください ますようお願い申し上げます。
また、この大学院の2年問が、今までになく濃密で充実したものになった のは、様々な場面で私を支えてくれた友人の存在が大きく、この場を借りて感 謝の意を表させていただきます。
最後に、至らぬ私を支えてくださった、たくさんの人々に、心より感謝を し、この論文で学んだことを、少しでも今後の活動に生かすことができるよう に歩んで生きたいと思います。
平成17年12月20目
塩出 律
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