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第 6 章 COE プログラムの課題

6.2 実施上の課題

6.2.3 新規研修モジュールの追加

先に述べたように、現行のCOEプログラムのモジュールは、NRW、エネルギー効率化、SAK ETAPの3つである。SAK ETAPは、会計報告方法の習得が主な目的となっており、6.2.2で述べ たような実際の改善事業の立ち上げにつなげるための財務分析や資金調達の検討等は現行の研修 モジュールには含まれていない。

COEプログラムにおいてNRWやエネルギー効率化の研修モジュールで得られた知見を実際に 活かして、各PDAMが改善を具現化していくには、プロジェクト形成能力およびビジネスプラン 作成能力の向上を含む財務分析・管理の能力向上が必要であり、財務分析・管理の新たなモジュ ールを追加してこの分野の研修を充実させることが望まれる。

また、顧客管理については、上水道開発局および聞き取りしたPDAMからも要望が挙がってい たもので、顧客管理に対する意識の高まりもあり、新たな研修モジュールとしてニーズは高いと 認められる。

6.2.4

研修 研修テキストの改良 研修 研修 テキストの改良 テキストの改良 テキストの改良

NRWおよびエネルギー効率化の研修モジュールのテキストの内容については、さらに改善の余 地が認められる。

特に、NRWについては、現テキストではDMAと漏水探知に重点が置かれているが、より水道 システム全体を対象としてのNRW対策という観点から、配水圧コントロール、管施工技術、漏 水対策以外のNRW対策(見かけ上の損失も含めた)にもさらにページを割くべきと考えられる。

その際、過去の好事例についての紹介を含め、PDAMがDMA構築や地下漏水探知作業等に着手 する以前にも取り組める、あるいは取り組むべき事例等の紹介も必要である。

エネルギー効率化についても、ポンプ施設や電気設備の個々のプロセスの改善の議論だけでは なく、水道システム全体でのエネルギー効率改善といった視点をもっと増強すべきである。例え ば、効率をよく考慮した配水システムの適正な計画や管理についての内容も増強すべきと考える。

すなわち、水需要と水供給施設能力とがよく適合したシステム構築が効率化の基本となる点を充 実させる。

また、NRWやエネルギー効率化については、小規模PDAMと大規模PDAMでは施設やリソー スに格差があり、取りうる対策に違いもあることから、この点を意識した内容と構成に工夫が必 要である。

一方、新規のモジュールとして追加を提案する、「財務分析・管理」と「顧客管理」について は、新たなテキストの作成が必要となる。下表に既存テキストに追加すべき科目・および新たな モジュールのテキストの概案を示す。

表 表表

表 6.2.2 既存研修モジュールテキストへの追加内容(案)既存研修モジュールテキストへの追加内容(案)既存研修モジュールテキストへの追加内容(案) 既存研修モジュールテキストへの追加内容(案)

モジュール名 モジュール名 モジュール名

モジュール名 追加すべき科目追加すべき科目 追加すべき科目追加すべき科目 追加・改善の内容追加・改善の内容追加・改善の内容追加・改善の内容 既存

既存既存

既存 無収水対策

【既存研修内容】

・無収水の定義・指

・水損失のコントロ ール方法

・物理的水ロス(漏

無収水削減計画の策定

削減対策と年間予算の計上

人員配置(インセンティブ含む)

老朽管の把握と更新計画

費用対効果 見かけ損失対応策

メータ設置の徹底

適切なメータ設置

39 水)の探知技術

メータ検針・料金請求

顧客台帳整備 配水圧コントロール

適正水圧

水圧測定方法

配水コントロール 官種の選定、メータの選

管の種類・仕様と選定

メータの種類・仕様と選定 管施工・補修技術

配水管の敷設工事

給水管設置工事 漏水調査新技術

日本の漏水調査機器紹介等 既存

既存既存

既存 エネルギー効率化

【既存研修内容】

・エネルギー効率

(理論・監査)

・ポンプシステムの 計画と運転

・電気(力率・料金 等)

送・配水計画の策定

送配水管網図の作成・更新

管網解析(EPANET など)による既存システムの診断

送・配水システム改善計画 送・配水ポンプ場の診断と

改善計画 電力代低減と設備改善コストの比較ケーススタディ等

既存既存既存

既存 SAK ETAP

【既存研修内容】

・SAK ETAP の概要

・SAK ETAP の財務 諸表

・SAK ETAP による 財務諸表の作成演

(追加なし)

新規新規新規

新規 財務分析・管理 ビジネスプラン作成

短期アクションプランの策定

長期計画策定 経営モニタリング指標

独立採算性意識付け

財務分析

売掛金回収

債務減免

財務諸表読み方 水道料金算定

水道料金算定実務 新規

新規新規

新規 顧客管理 顧客台帳の整備

GIS の活用 料金徴収

料金未納者対応

料金支払い方法の多様化・利便性向上

メータ検針員技能向上

優良料金支払い者優遇制度等 苦情処理

コールセンター、カスタマーセンター

苦情対応フロー構築 広報・住民啓発

盗水予防策・キャンペーン

節水キャンペーン

水道教室開催等の広報手法 出典:調査団作成

40

6.2.5 BINTEK

研修 研修 研修 研修参加者のレベル分けの必要性 参加者のレベル分けの必要性 参加者のレベル分けの必要性 参加者のレベル分けの必要性

BINTEK研修の参加者のバックグランドは、オペレーターからディヴィジョン・ヘッドまでが

含まれる。このように、BINTEK研修が対象とする参加者は、より幅広い層を対象とすることか ら、研修を初級・中級・上級などのレベル分けをし、より細かな指導ができるようにすることも 今後において考慮すべき点と思料される。

また、地方の小規模PDAMでは、PDAMの間でも状況が異なる。たとえば、小規模PDAMで は、既存配管の図面もなく管敷設位置がわからないところも多く、漏水発見以前に管の位置すら わかっていないPDAMも少なくない。こうしたPDAMにDMA設立や高度な漏水探知技術等を教 えるよりも、まず基礎的な無収水対策を徹底するよう指導した方が効率的で即効性があると考え られ、無収水対策モジュールについては、下表のような基礎コースと上級コースの2つのコース に分けて実施することを提案する。

エネルギー効率化と財務管理モジュールについては、基礎コースと応用コースの2つとし、応 用コースでは基礎コースの修了者を対象として、ケーススタディを取り上げ、より実際的な能力 を身につけさせることを狙いとしたコース分けをすることを提案する。

表 表 表

表 6.2.3 研修モジュールのレベル分け研修モジュールのレベル分け研修モジュールのレベル分け 研修モジュールのレベル分け モジュール

モジュールモジュール

モジュール コース分け(重点項目)コース分け(重点項目) コース分け(重点項目)コース分け(重点項目)

無収水対策 【基礎コース】

無収水の定義、無収水量の把握、管路図面 の整備、地上漏水早期発見修理、適切なメ ータ検針と盗水発見、メータ交換、給水管施 工技術向上、管材やメータ仕様の改善、無 収水対策の人員や体制、予算確保等々

【上級コース】

地下漏水探知、DMA、配水圧コントロール、管 更新計画、無収水削減年次計画策定

エネルギー効率化 【基礎コース】

現状のエネルギー消費量・電気代の把握 現状のエネルギー効率の評価方法

(力率改善、ポンプ設備の効率)

【応用コース】

ケーススタディを取り上げ、エネルギー効率改 善計画の策定を行う。

(水理解析を含む送配水改善事例を含む)

財務分析・管理 【基礎コース】

ビジネスプラン・テンプレートの理解 経営モニタリング指標

水道料金算定実務

【応用コース】

ケーススタディを取り上げ、ビジネスプランを作 成する。

顧客管理 コース分けはしない。

出典:調査団作成

一方、教材については、基礎と上級(応用)コース用と区別せずに、基礎から上級まですべて の項目を含むものを一式として備え、両コースで使用することが望ましいと考える。それにより、

将来的にも研修内容の一貫性、テキスト内容の改善、情報の散逸防止等が図りやすくなる。また、

基礎コース研修参加者も上級の内容を含めたテキストを配布することで、研修参加者の将来の事 故啓発のために使用することも可能となる。

基礎コースでは、各州におけるBINTEK参加者のレベルに合わせて、Provincialトレーナーがテ キストの中から講習すべき必要な事項を選別して使用するようにし(都度、参加者の状況に応じ 上級の内容も加えることが可能)、上級コースでは、テキスト全般について基礎から上級の内容 を扱うが、当然ながら上級の内容に重点を置くというようにする。このようにレベルの違う研修 参加者の間で同一のテキストを使用することで、将来的には、同じPDAM内部でレベルの違う研 修に参加した職員間で研修内容が共有でき、OJTにも活用されるなどの副次的効果も期待される。

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