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1.学校制度及び教育課程の基準の概要

(1)学校制度の概要

台 湾 の教 育 制 度 は図 1に示 す通 りである。日 本 と同 じように6−3−3制 の教 育 制 度 をとる。学 年 度は9月に始まり、2学期制をとっている。

図1  台湾の学校制度 

ア.国民教育(国民小学及び国民中学) 

国 民 教 育 と呼 ばれる義 務 教 育 課 程 は、6年 間 の国 民 小 学 と、3年 間 の国 民 中 学 を合 わせたもの である。これらはそれぞれ初等 教 育 課 程と前 期 中 等教 育 課 程を指 す。本 来ならば、この2つの機 関 は別々に扱われるべきであるが、近年の「9年一貫課程綱要」の構成に倣い、本報告書では国民教 育として一括する。

イ.高級中等教育

高 級 中 等 教 育 には高 級 中 学 と高 級 職 業 学 校 及 び5年 制 の専 科 学 校 に分 けられる。高 級 中 学 と

高 級 職 業 学 校 を併 せた綜 合 高 級 中 学 や、国 民 中 学 と高 級 中 学 を併 設 した学 校 もあり、多 様 な教 育形態の機関が見られる。

(2)教育課程の基準の概要 

ア.教育課程の基準の性格及び基準の範囲 

台湾の教育行政システムは従来から中央集権型をとり、「課程標準」を示すことによって、教育部

(日本の文部科学省に相当)が学校教育をトップダウン式に統轄するシステムをとってきた。この「課 程 標 準 」は国 民 小 学 、国 民 中 学 、高 級 中 学 、高 級 職 業 中 学 等 学 校 種 別 ごとに公 布 され、授 業 時 間 数等 の枠 組みを含むものである。1949 年に国 民党 政 府 が大陸 から台 湾に移って以 来 、国 民中 学の課程標準は7回の改訂(1952、1962、1968、1972、1983、1985、1994)を重ね、2001 年には国 民小学校課程と統合された形で国民中小学9年一貫課程綱要として新生した。一方、高級中学の 課程標準は6回の改訂(1952、1962、1964、1971、1983、1995)を重ねており、現在新課程を「課程 綱 要 」の形 で改 訂 中 である。新 課 程 は国 民 教 育 9年 一 貫 課 程 からの連 結 を構 築 しようとするもので あり、その施行は 2005年か 2006年になる予定である。草案は公開されているが未施行のため、本 報 告 書 ではその内 容 については触 れずに、現 在 適 用 されている課 程 標 準 (教 育 部, 1996)につい て取り扱うことにする。

課 程 標 準 や課 程 綱 要 に含 まれる基 準 の範 囲 は、教 育 目 標 、科 目 と週 時 間 数 をはじめ、実 施 通 則 として、課程 の編 成 に関 する根 拠、教 材 の編纂 に関 すること、指 導 方法 、評 価 方法 等 を含 む。ま た、教科によって特有の必要事項が含まれることもある。たとえば、英語については、参考語彙表等 が付されている。

イ.最近のカリキュラムの改訂

1998 年に行政 院によって出された「教育 改革 行動 方案」を基に、これまでの教 育 を大幅 に見 直 している。その具 体 的 な施 策 のひとつが、これまで示 してきた「課 程 標 準 」(カリキュラム・スタンダー ド)を「課程綱要」(カリキュラム・ガイドライン)に変更したことである。これは教育部の指針を提示しな がら地 方 教 育 局 や学 校 の独 自 性 を尊 重 しようとする中 央 管 理 体 制 の緩 和 を意 味 するものである。

ガイドラインを示 しながら、現 場 独 自 の方 針 を認 める、いわば「中 央 集 権 的 地 方 分 権 」が最 近 のカリ キュラム改 訂 の最 大 の特 徴 であるといえる。本 報 告 書 で扱 う英 語 教 育 についても、地 方 により様 々 な政 策 の違 いが現 れている(たとえば、呂 ほか(2002)に、小 学 校 英 語 の公 式 開 始 時 期 における各 地方別取り組みについて詳しい現況報告がなされている)。

現 在 の国 民 教 育 における新 課 程 のカリキュラムは、『国 民 中 小 学 九 年 一 貫 課 程 綱 要 』(2001 年 に暫行版、2003年に正式版)を根拠としている。この政策の特色は、国民小学と国民中学の合計9 年 間 の教 育 内 容 の「統 合 化 」、「弾 力 化 」そして「連 続 化 」をキーワードとして考 えることができる。統 合化とは、義務教育における全ての科目を学習分野の関連性により7つの学習領域(語文、健康と 体 育 、数 学 、社 会 、芸 術と人 文 、自然 と生 活 科学 技 術 、総合 活 動 )として整 理 したことである。弾 力 化とは、学習領域の週時間数を明確に提示せず、比率で示すことによって学校地域に応じたカリキ ュラムを推 進 することや、学 校 の特 色 を活 かせる弾 性 学 習 時 間 (学 習 内 容 を自 由 に設 定 できる時 間)を設けたこと等が挙げられる。そして連 続 化とは、それぞれの科 目 における最 長9年 間の課 程を 領 域 や科 目 の性 質 に応 じて2〜4段 階 に区 切 り、それぞれの学 習 段 階 ごとの能 力 的 内 容 指 標 をガ イドライン化することで、継続的な到達目標を提示していることである。

これまでの「課程標準」は、全教科を含めて学校種別ごとにそれぞれ1冊であったが、9年一貫課

程 綱 要 は、それぞれの学 習 領 域 ごとに1冊 分 を出 版 している。総 則 の構 成 は改 訂 の背 景 、基 本 理 念、課程目標、基本能力、学習領域、実施要点を含み、さらに領域ごとの綱要が続いている。

全教科を通じ、国民教育の目指す基本能力として、以下の10項目がある。これらは義務教育課 程の大テーマとして考えられる。

1)自我の認識と潜在能力の高揚 2)鑑賞力と表現力と創造性 3)生涯計画と生涯学習

4)表現伝達力、コミュニケーションと分かち合い 5)尊重、おもいやりと団体行動

6)文化学習と国際理解 7)計画、組織と実践 8)科学技術と情報の運用 9)探索と研究の主動 10)独立思考と問題解決力

2.「外国語」の教育課程上の位置付け  

(1)概要 

国 民 教 育 の9年 一 貫 課 程 綱 要 における「英 語 」は「語 文 学 習 領 域 」という分 野 の中 に、「本 国 語 文」とともに併記されている。「本国語文」とは、公用語である国語(マンダリン)とそれぞれのエスニシ ティにおける母語 、総じて郷土 言 語(閩南 語 、客 家語 、原住 民言 語)のことを示 す。また、英語 以 外 の外国語(科目名は「第二外国語」)については、校区内外の資源状況を見て開設することもできる。

ただし、その教 員 の招 聘 、内 容 や教 材 は各 学 校 が独 自 に企 画 することになる。旧 の国 民 中 学 課 程 標 準 では選 択 科 目 として、日 本 語 、ドイツ語 、フランス語 に関 わる詳 細 事 項 が明 記 されていたが、9 年一貫課程綱要には特定の言語名を挙げた記述はない。

高級中学においては、「語文学科」の範疇に「国文」及び「英文」が必修として併記されている。ま た、選 択 必修 としての科目 「英 語 会話 」、「英 語聴 講 」、「英文 作 文 」、「英 文 文 法 」があり、さらに「第 二 外 国 語 」が課 程 に組 み込 まれている。ただし、第 2外 国 語 について具 体 的 な言 語 は課 程 標 準 の 中 に挙 げられていない。しかし、第 2外 国 語 を選 択 必 修 科 目 として開 設 することを教 育 部 は推 進 し ており、1999 年には高級中学の第2外国語教育を推進する5年計画を開始した(教育部, 1998)。

具体的には、第2外国語を開設する学校に対し、補助予算を出すシステムである。言語については

「日本語、フランス語、ドイツ語、スペイン語とその他の言語」としている(教育部, 2002a)。1)

(2)配置学年

国 民 教 育 においては、小 学 校 で2年 間 と中 学 校 で3年 間 (5〜9年 )で「英 語 」が配 置 されている

(表1参照)。小学校の英語は9年一貫課程が導入された 2001 年度から5年生を開始学年とし、正 式な科目として始められている。ただし、2005 年度から小学3年生まで開始学年が早期化される予 定である(表1は2003年度現在のものである)。

高 級 中 学 においては1〜3年 に「英 文 」が、また、選 択 必 修 科 目 である「英 語 会 話 」「英 語 聴 講 」

「英文作文」「英文文法」や「第二外国語」が2〜3年に配置されている。

(3)配当授業時数

国 民 教 育 では、語 文 学 習 領 域 (国 語 、郷 土 言 語 、英 語 )全 体 に対 して、占 有 率 を示 すことで時 間 数 のガイドラインが示 されている。表 2で示 すように、各 学 年 とも領 域 学 習 時 間 数 (5・6年 は 27、

7・8年は28、9年は30)の内、語文領域は20〜30%を充当することになる2)。語文以外の領域は各

10〜15%という割合で指定されている。1年2学期制をとり、毎学期は20週で構成される。国民小学

段階と国民中学段階はそれぞれ原則として 40分と 45分授業、高級中学では 50分である。

高級中学では、英文は3学年を通して週5時間とし、選択必修系英語は週2時間配当される。第 2外 国 語 は週 2〜4時 間の配 当 である。表 3は、高 級 中 学 における科 目 、学 年 、週 時 間 数 を一 覧化 したものである。

表1  国民教育9年一貫課程における学年別学習領域

      学 年 学 習 領 域

1 2 3 4 5 6 7 8 9

本国 語文

本国 語文

本国 語文

本国 語文

本国 語文 語文 本国

語文

本国 語文

本国 語文

本国

語文 英語 英語 英語 英語 英語 健康と

体育

健康と 体育

健康と 体育

健康と 体育

健康と 体育

健康と 体育

健康と 体育

健康と 体育

健康と 体育

健康と 体育

社会 社会 社会 社会 社会 社会 社会 社会

芸術と 人文

芸術と 人文

芸術と 人文

芸術と 人文

芸術と 人文

芸術と 人文

芸術と 人文

芸術と 人文 自然と

生活科 学技術

生活

自然と 生活科 学技術

自然と 生活科 学技術

自然と 生活科 学技術

自然と 生活科 学技術

自然と 生活科 学技術

自然と 生活科 学技術

自然と 生活科 学技術 数学 数学 数学 数学 数学 数学 数学 数学 数学 数学 総合

活動

総合 活動

総合 活動

総合 活動

総合 活動

総合 活動

総合 活動

総合 活動

総合 活動

総合 活動

(教育部, 2003a, p.9、太線枠は相川による)

注)太線枠は学習段階の区分け(この区分けにより学習内容の指標が組まれている)

(4)履修の方法

国民教育の英語は必修科目に定められている。第2外国語については、学校の状況に応じて選 択科目として導入することができる。

高 級 中 学 課 程 における「英 文 」は必修 である。「英 語 会 話 」「英 語 聴 講 」「英 文 作 文 」「英 文 文 法」

及び「第二外国語」は選択必修科目であり、約 55科目の選択科目から2年次に0〜6時間、3年次 に17〜19時間を選択するよう指示されている。

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