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1.学校制度及び教育課程の基準 

中華人民共和国は、国土面積 960 万平方キロメートル、人口約 13 億、全人口の 92%を占める 漢民族のほかに、1,550 万人のチワン族から2,300 余人のロッパ族を含む 55の少数民族を擁する 多民族国家である。行政形態は、22 省、5自治区、4直轄地(北京、天津、上海、重慶)、2特別行 政区(香港、マカオ)からなり、中央集権的体制を採っている。

(1)学校制度の概要 

中国の学校制度は図1に示すとおりである。1986年の九年制義務教育法の公布により、6・3・3・

4制となっている。

初 等 学 校 (小 学 校 )の開 始 年 齢 は6〜7歳 、就 学 期 間 は6年 、中 等 学 校 の前 期 を初 級 中 学 、後 期を高級中学とし、それぞれ日本の中学校と高等学校に対応する。

図1  中国の学校制度 

(文部科学省、2002、152)

ア.初等教育(小学校) 

中国の小学校の修業年限は6年である。秋に新学期が始まるので入学式は9月である。1年間は 前 ・後 期 の2学 期 に分 かれ、前 期 が春 節 という旧 暦 の正 月 前 まで続 き、約 1か月 半 の冬 休 みをはさ んで3月 の始 めから7月 の中 旬 までが後 期 である。1年 間 の内 、新 暦 の元 旦 ・国 際 児 童 節 (6月 1 日)・建軍節(8月1日)や建国記念日(10月1日)等が休みとなる。

2001年に国家教育発展研究中心が発布した『全国基本普及九年義務教育和基本掃除青壮年 文盲大事記』によると、2000年までに小学校の入学率は85%に達した。

イ.中等教育(中学校、高等学校) 

中等教育の構造は、人 材のヒエラルキー形成志 向を明確化 した複線型学校体系である。すなわ ち、小 学 校 修了 段 階で原則 として全員 が中 学 に進 級 するが、職 業 課 程に進 級 した者は、高 校も職 業課程にしか進級できない。

中 等 教 育 は、前 期 課 程 の初 級 中 学 (中 学 校 )と後 期 課 程 の高 級 中 学 (高 等 学 校 )とからなる。初 級 中 学 の修 業 年 限 は3年 間 が普 通 であるが、制 度 は全 国 一 律 ではなく、実 験 的 に4・3制 をとって いる地域もある。

(2)教育課程の基準の概要  ア.初等教育(小学校) 

小学 校では、思想 品 徳(道徳 )、語 文 (国 語)、数 学 、社 会 常 識 、自 然 常 識 、体 育 、音 楽、美 術、

実 践 活 動 等 の科 目 が課 せられている。条 件 の整 っている学 校 では外 国 語 が開 設 されている。小 学 校 教 育 の中 できわめて重 視 されているのは、思 想 品 徳 や政 治 思 想 に関 する道 徳 に関 連 した科 目 である。また、歴 史 、国 語 、地 理 等 の授 業 を通 じて愛 国 心 や共 産 党 の政 策 ・方 針 ・思 想 が教 えられ、

外国語の授業では愛国心と人格形成を養うことを教育目標としている。

イ.中等教育 

① 初級中学(中学校) 

教 育 課 程 は、政 治 思 想 、語 文 (国 語 )、数 学 、外 国 語 、歴 史 、地 理 、物 理 、化 学 、生 物 、体 育 、 音楽、美術、労働技術等の13科目から編成されているが、少数の条件の整っていない地区では外 国 語 教 育 は行 われていない。全 ての科 目 は必 修 科 目 として扱 われているが、条 件 の整 った学 校 で は、計算機(パソコン)の教育も行われている。課外活動が重視され、ほとんどの学校で部活動が行 われている。生徒への評価は絶対評価で、100 点満点の記入方法が採られている。学業成績は定 期試験の結果が中心となるが、授業中の学習状況も勘案される。成績の悪い生徒が「原級留置」と なる一方で、成績の優れた生徒は「飛び級」が認められる。12〜13 歳でも大学入学を認める「大学 少年クラス」が1978年以来、中国科学技術大学をはじめとするいくつかの大学で開設されている。

近年、高額 の学費 がかかる「貴 族学 校」(私立 学 校)に人 気 が集まっている。貴 族 学校では、多く の生 徒 が担 当 の教 師 と寝 食 を共 にしながら個 別 的 指 導 が受 けられる学 校 寮 に住 み、英 語 教 育 や パソコン教育を中心とした先端的な教育を受けている。

② 高級中学(高等学校) 

教 育 課 程 は、1990 年 に選 択 科 目 の増 加 や第 3学 年 のコース分 化 等 の多 様 化 を図 った。それに

より、第 1及 び第 2学 年 では、国 語 、数 学 (幾 何 と代 数 )、外 国 語 、政 治 、歴 史 、地 理 、物 理 、生 物 、 化 学 、計 算 機 (パソコン)が教 えられ、第 3学 年 のコース分 化 で、文 科 クラスでは国 語 、数 学 、外 国 語、政治、歴史が、理科クラスでは国語、数学、外国語、政治、物理、化学が教えられる。

高 校 段 階 では、「高 級 中 学 共 通 修 了 試 験 」受 験 が課 せられ、高 校 で履 修 する9科 目 (国 語 、数 学、外国語、政治、地理、歴史、物理、化学、生物)全てについて、各科目 修了ごとに行なわれる。

これに合 格 することが卒 業要 件となっている。試 験は3回 に分けて行われ、第1学年 末に地理 、第2 学 年 末 に化 学 、生 物 、歴 史 、物 理 、第 3学 年 末 に数 学 、外 国 語 、国 語 、政 治 の試 験 が行 われてい る。評価方法は、A、B、C、D の4段階に分けられ、D は不 合格である。その成績は大学入学者選 抜の際の参考にされる。なお、高校から大学への進学率は25%前後となっている。

中国の高校 は、これまで進学準 備教 育をする普 通教育 が中 心であったが、1995 年国家教 育 委 員会は、高等教育進学者が卒業者の4割という現状を考慮し、高校の将来の在り方として、進学準 備を主とする学校、進学 準備とともに就職準備をする学校、就職準備を主とする学校及び芸術 ・体 育・外国語等に特色を持つ学校という4つのタイプの高校を提示するに至っている。

1999 年 6月 に開 催 された全 国 教 育 工 作 会 議 では、受 験 偏 重 教 育 是 正 のために、資 質 教 育 を

「創造 性 の育成」を重 点として全 面的 に推進 することが決 定され、これを初 等、中 等教 育 だけでなく、

高等教育、成人教育等全ての教育段階・分野を通じた教育改革の原則としている。

2.「外国語(英語)」の教育課程上の位置付け 

中国は 1949 年、共産主義革命による中華人民共和国成立後、国家指導者育成のための教育 援 助 を旧 ソ連 邦 に求 めた。その結 果 、中 国 の中 等 教 育 ・高 等 教 育 においてロシア語 が第 1外 国 語 の地位を占めるに至った。1954 年以後、中学校では外国語科目の学習を中止したが、1957 年秋 から外国語科目は復活した。そして、ロシア語と英語が各 50%の比率で履修された。1959年にはロ シア語が 1/3 に減少し、英語と他の外国語が 2/3 を占めるようになり英語重視の傾向が定着した。

1963年には中学校段階で国語・数学・外国語を必修とすることを決めた。1964年に国務院で可決 された「外国語教育7か年計画綱要 」により、英 語を第1外国語とする大きな政策 転換が行われた。

1978 年 には『全 日 制 五 年 制 小 学 教 学 計 画 試 行 草 案 (修 訂 草 案 )』で、外 国 語 授 業 は小 学 校 3年 生 から開 設 することが可能 となったが、1981 年 に小 学 校 の外 国 語 授 業 は選 択 科 目 とされた。1988 年 に国 家 教 育 委 員 会 が『九 年 制 義 務 教 育 小 学 和 初 級 中 学 教 学 計 画 (試 行 草 案 )』を制 定 し、小 学 校 の外 国 語 は選 択 科 目 、中 学 校 の外 国 語 は必 修 としたが、2001 年 教 育 部 は、小 学 校 3年 から 英語教育実施を決定した。

(1)初等教育(小学校)と外国語(英語)教育 

2001 年2月 から中 華 人 民共 和 国 教 育部 の指 令 により、小 学 校3年 次 から英語 教 育 導 入を推進 している。北京の条件の整った学校では、1年次から開始している学校もある。

導入形態は、教科として独立させ、週4時間を充てている。授業時間は原則40分であるが、学習 内容により20分で行うことも認められている。

週4時間の英語教育を実施している公立小学校は大都市で約4割となっている。2001 年度末現 在 、北 京 、天 津 、上 海 、南 京 では3年 次 から英 語 教 育 が導 入 されているが、上 海 では1年 次 から導 入している小学校も急増している。

担当教員はほぼ全員が中国人で、全てフルタイムの教員となっている。

教員の内訳は、

ア  3年制 vocational school及び3年制 junior collegeを卒業した者の内、英語免許状を有す る者

イ  英語教員免許状を有する社会人 となっている。

小学校の英語教育では、

ア  筆記試験による評価は行わない イ  文法は教えない

ウ  国定教科書はないが、使用教材は教育部に提出して認可を受けなければならない ことを教育部の基本方針としている。

教育部は現在教育改革推進策として、

ア  優秀な教員の「経験談」をテレビで放映 イ  模範授業をテレビで放映

ウ  模範授業の音声テープを、テープレコーダーと共に全国的に配布 の3点を実施している。(石田, 2003)

2001 年に教育部が決定した小学校における英語教育の指針となる「小学英語課程教学基本要 求(試行)」の概要は以下の通りである。

① 目標

小 学 生 の生 理 的 、心 理 的 特 徴 及 び発 達 段 階 のニーズに合 わせ、小 学 校 段 階 において英 語 学 習 の興 味 を引 き出 し、積極 的 な学 習態 度 を育 成し、英 語 学 習 に自 信 を持 たせることを目 的 とする。

さらに、生 徒 に英 語 のリズムやイントネーションに慣 れ親 しませ、自 然 な発 音 を身 に付 けさせ、英 語 による日常コミュニケーション能力を養成する。

② 開始の学年とカリキュラム

小 学 校 の英 語 授 業 は3年 生 より開 設 する。指 導 の効 果 という観 点 から、英 語 授 業 はショウト・タイ ム(20分 )とロング・タイム(40分)の組み合 わせ、あるいはいずれかだけの授 業 とする。さらに、毎 週 4回以上の学習活動とし、3、4年生の場合、ショウト・タイムがメーンであるが、5、6年生は、ショウト・

タイムとロング・タイムの組み合わせ、その内ロング・タイムは毎週2コマ以上とする。

③ 指導目標と内容

小学校英語指導の目標は次の2つとする:小学校3、4年生の目標は一級、5、6年生は二級とす る。地域の実情に応じ、二級以上となることを認め、また各省の教育部から許可を求めた上で、その 目標を下げることも可能とする。

④ 学習指導上の留意点

小 学 生 の学 習 の特 徴 を踏 まえて、英 語 指 導 は活 動 を中 心 に展 開 させるパターンとする。指 導 上 の重 点 は、生 徒 の言 語 による実 践 的 コミュニケーション能 力 の育 成 とする。小 学 校 英 語 教 育 では、

特に構 文を教えることはしない。教学 資源を充 分 に活用 し、聞くこと、動 かすこと、話 すこと、歌うこと、

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