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出願

産業財産権 利益

(2) 意匠の保護対象

意匠とは物品(物品の部分を含む。)の形状・模様・色彩に関するデザインを指し、物 品の部分には、物品の操作の用に供される画面デザインも含まれる(意匠法第2条参照)。

意匠として認められるためには主に以下の2点を満たす必要がある。

図表 0-6-3 意匠登録の対象

①「視覚を通じて美観を起こさせる意匠」であること

分子構造のように肉眼で形態が捉えられないもの等は意匠法の保護対象とならない。

②工業上利用できる意匠(工業上の利用性)であること

工業的(機械的、手工業的いずれの手段でも)生産過程を経て反復生産され、量産しうる物 品のデザインである必要がある。

物品とは、有体物であり、動産であることが前提となる。いわゆる工業製品が含まれ、工芸 品でも反復生産されるものは保護対象となる。ただし、以下のものは工業上利用できないと認

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意匠登録にあたり、特許庁の審査官は以下の①~⑤点の要件を審査する(カッコ内には それぞれの略称について記載している)。特に留意すべき事項としては、意匠出願前に店 頭販売することや展示会に出展するほか、ブログ、SNS等のインターネット等、既に 公開した意匠は新規性が喪失されたとして、基本的に登録できない。なお、後述する第 4条第2項に基づく新規性喪失の例外規定を用いることで一定の要件によって登録する ことも可能である。

図表 0-6-4 意匠登録を受けるための要件

①今までにない新しい意匠であるか(新規性)

出願前にそれと同一又は類似の意匠が存在しないこと(たとえば、雑誌やカタログ等で類似 するものがないこと)、あるいは先に出願され登録された意匠権の一部と同一又は類似していな いこと、つまり新規性がある必要がある。

②容易に創作をすることができたものでないか(創作非容易性)

新規な意匠であっても、創作性が低いと判断される意匠は、意匠登録を受けることができな い。たとえば、ありふれた手法で、周知の形状を立体にしただけのものや、既に意匠登録され た形状を組み合わせただけの場合には容易に創作ができたものとみなされる。

③意匠登録を受けることができない意匠ではないか(不登録事由)

以下のような意匠は登録することができない。

一、公序良俗を害するおそれがある意匠

二、他人の業務に係る物品と混同を生ずるおそれがある意匠 三、物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠

④一つの出願に複数の意匠が表されていないか(一意匠一出願)

意匠登録出願は、一意匠ごとする必要がある。なお、複数の物品であっても、一定の要件を 満たしているものは「組物の意匠」として認められる場合がある。

⑤他人よりも早く出願したか

同一又は類似の意匠について二以上の出願があった場合、最先の意匠登録出願人の出願(同 日のものはいずれか一方)のみが登録となる。ただし、同人によって、同日の出願あるいは先 の出願の公報が発行されるまでに後の出願がされた場合には、先の出願を本意匠とし、これと 類似する意匠を関連意匠とすることで登録を受けることができる。

詳細は特許庁ウェブサイト「5.同人により同日又は異なった日にされた二以上の類似する 意匠登録出願の取り扱い」

<https://www.jpo.go.jp/torikumi/ibento/text/pdf/h19_isyouseido2/h19_07.pdf>

(2017/02/01アクセス)

資料)特許庁「意匠の登録制度の概要」<http://www.jpo.go.jp/seido/s_ishou/chizai06.htm>2017/02/01アクセ ス)を参考に一部加筆・修正して作成

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(3) 意匠権の権利の範囲

意匠権の権利範囲は、意匠法第23条に規定され、同一の場合のみならず類似の範囲ま で権利が及ぶことが特徴である。類似の範囲は「物品」と「形態」のそれぞれの観点から 共通性を判断している。

図表 0-6-5 意匠権の権利範囲(灰色のセル内が権利範囲)

形態

同一 類似 非類似

物品

同一 ○同一 ○類似 ×非類似

類似 ○類似 ○類似 ×非類似

非類似 ×非類似 ×非類似 ×非類似

形態の類似については、需要者の視覚を通じた美感に基づき、全体として得られる美 的創作の印象(視覚的効果)が共通しているものと解される。

物品の類似については、一般的に用途及び機能が共通していることを指す。たとえば、

シャープペンとボールペン、万年筆等は基本的な用途が共通し物品としてそれぞれ類似 といえる。他方で、自動車とミニカーは用途が異なり、機能も異なるため、非類似とさ れる。

図表 0-6-6 一般的な判断手法

① 需要者の判断を基準とする

② 全体観察により総合判断される

③ 見易い部分は重要視される

④ ありふれた部分は、軽視される

⑤ 外観で判断し、観念は見ない

⑥ 大小の違いは通常軽視される

⑦ 材質の違いは軽視される

⑧ 機能、構造、精度、質感は外観に現れない限り無視される

⑨ 色彩の違いは通常軽視される

資料)東京都知的財産総合センター(2016)「中小企業経営者のための意匠マニュアル」

< https://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/manual/isho/index.html>2017/02/01アクセス)より引用

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(4) 意匠権の活用方法

意匠権の活用方法は、「①模倣品・類似品対策」、「②他社の意匠権侵害を回避」、「③ 新規事業展開の確保 事業安定性の確保」「④ブランド力強化」、「⑤技術保護との相乗 効果」を中心に活用されているが、それ以外にも以下の一覧のとおり様々な活用方法があ る。とりわけ、中小企業のグローバル展開や、インターネット等不特定多数との取引が 増加している現在において、自社の製品やブランドを保護する上でも役立つことが期待 される権利である。

換言すると、意匠権を取得していなかったために模倣品・類似品が流通してしまう、

あるいは模倣品・類似品を止める手段が無く、本来ならば得られた収益が他社のものに なってしまった事例も多くみられる。意匠権を取得することは安全にビジネスを展開し ていく上で重要な手段であるといえる。

図表 0-6-7 意匠権の活用方法

カテゴリ 概要

①模倣品・類似品対策 ・他社の模倣品や類似製品の排除

②他社の意匠権侵害を回避 ・自社による他社の意匠権侵害を回避

③新規事業展開の確保 事業安定性の確保

・発注元会社が他社に発注することを防ぐ

・他社の製品デザインを侵害していないことを確かめることができる

④ブランド力強化 ・自社製品のデザインを独占し、シリーズ化することでブランド力が高 められる

⑤技術保護との相乗効果 ・形態となって現れた技術を保護することができる

⑥取引先に対する信頼性の 向上

・取引先が第三者から警告を受けるリスクや、模倣品や類似製品が現れ ることを排除することができる

⑦他社へのライセンス ・意匠権を他社にライセンスすることで直接収入を得ることができる

⑧融資などの資金調達 ・意匠権を担保にして金融機関から事業資金の融資を受けることができ る

⑨従業員の意識啓発の促進 ・従業員の中で自社のデザインや知的財産権の重要性の認識が高まる

・自社デザイナーが意匠権を取得することでモチベーションが高まる

⑩デザイン力・技術力のア ピール

・強みを明確に示すことができる

・コンプライアンスの対応など、しっかりした企業という評価に繋がる

⑪社会的評価の向上 ・意匠公報を通じて自社の強みが世界に発信できる

資料)特許庁(2008)「~地域の中小企業の取組事例が導く~ ものづくり中小企業のための「意匠権活用マニュ アル」<https://www.jpo.go.jp/torikumi/chushou/mono_manual.htm>2017/02/01アクセス)を参考に 一部加筆・修正して作成

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(5) 他の知的財産権との違い

意匠権は知的財産権、そして産業財産権のひとつである。意匠権はそのうち製品デザ インを保護するところに強みを持つ権利である。

図表 0-6-8 知的財産権の関係性

知的財産法

広く知的財産の保護に関する法律

知的財産権法

知的財産の権利を認めた上で保護する法律

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