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トリパンブルー排除法を用いた細胞⽣存率の評価

ドキュメント内 美 浦 学 (ページ 94-97)

第 3 章 単層粒⼦膜を利用した細胞シートの作製

3.1 実験⽅法

3.2.7 トリパンブルー排除法を用いた細胞⽣存率の評価

を持った深⻘⾊の⾊素であり、タンパク質と強 く結合する。トリパンブルーには、⽣細胞内に は取り込まれないが死細胞内には取り込まれる という性質がある。これは死細胞の細胞膜が損傷

しているためにその物質透過性が⽣細胞と⽐較して⾼いためである。この性質を利用して死細胞のみを 染⾊することで、サンプル中の死細胞と⽣細胞を顕微鏡下で判別することが可能である。これがトリパ ンブルー排除法と呼ばれる細胞⽣存率の定量的評価法の原理である。この⽅法の利点はその操作の簡便 さにある。ただし⽣細胞であっても時間の経過と共にトリパンブルーによる染⾊が進⾏するため、正確 な測定には熟練を要する。

実際の実験操作を以下に⽰す。培養した細胞および細胞シートをトリプシン溶液によって再分散させ た。そして細胞懸濁液 20 μL とトリパンブルー溶液 20 μL を混合した後、混合溶液 20 μL を血球計算 盤に注⼊して細胞数を⼿動計測した。このとき⻘⾊に染⾊された細胞を死細胞としてカウントし、細胞

⽣存率を算出した。

Scheme 3.3 Trypan blue exclusion test of cell viability.

3.2.8 乳酸脱⽔素酵素(lactate dehydrogenase, LDH)アッセイによる細胞⽣存率の評価 乳酸脱⽔素酵素(LDH)は代謝経路の 1 つである解糖系における乳酸⇔ピルビン酸の酸化還元反応を 触媒する酵素であり、ほぼ全ての組織・臓器内に存在している。そのため LDH を定量することによっ て細胞数を算出する⼿法が広く用いられている。また、細胞が細胞膜に障害を受けると LDH が細胞外 に漏出するため、漏出 LDH 量を測定することによって死細胞数の定量を⾏うことも可能である。本実 験では市販の LDH アッセイキット(Colorimetric Cytotoxicity Assay Kit, Oxford Biomedical Research Inc., UK)を用いて細胞シートの細胞⽣存率の評価を⾏うことを試みた。これは①マイクロ ピペットによるピペッティング、②基板からの剥離という 2 つの過程において、物理的要因による細胞 死を定量的に評価することを目的としている。

cell viability (%)

number of dead cells

total number of cells ×100

= 1-

Figure 3.1 Structure of trypan blue.

この LDH アッセイキットの原理を以下に⽰す。まず、細胞から放出された LDH によって乳酸がピル ビン酸に酸化される。このときニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)が NADH に還元され る。テトラゾリウム塩である 2-(4-イオドフェニル)-3-(4-ニトロフェニル)-5-フェニルテトラゾリウム 塩酸塩(INT)は NADH によって直ちに還元されて赤⾊ホルマザンに変化する。⽣成した INT ホルマ ザンの 492 nm の吸光度を測定することによって細胞数を定量する。

NAD+ + 乳酸 → ピルビン酸 + NADH

NADH + INT → NAD+ + ホルマザン(赤⾊)

Figure 3.2 Structures of 2-(4-iodophenyl)-3-(4-nitrophenyl)-5-phenyltetrazolium chloride (INT) (a) and INT formazan (b).

具体的な実験操作は以下の通りである(Scheme 3.4)。培養したサンプルを 1wt% BSA-PBS 500 μL で 2 回洗浄した。ここから、ネガティブコントロール用サンプル、ポジティブコントロール用サンプル、

細胞シートサンプルの 3 種類についてそれぞれ異なる操作を⾏った。まずネガティブコントロール用サ ンプルでは、1wt% BSA-PBS 800 μL を添加し、37℃、5% CO2雰囲気下で 2 h 培養を⾏った。ポジ ティブコントロール用サンプルでは、細胞を溶解して内部の LDH を全て外液に漏出させるために、

1wt% BSA-PBS 780 μL および cell lysing reagent 20 μL を添加し、37℃、5% CO2雰囲気下で 2 h 培養を⾏った。細胞シートサンプルでは、あらかじめ 1wt% BSA-PBS 2.0 mL を加えた PS dish にサ ンプルを移動させ、その後マイクロピペットによるピペッティングによって細胞シートを剥離させた。

そして細胞シートが浮遊した状態のまま 37℃、5% CO2雰囲気下で 2 h 培養を⾏った。インキュベー ト後、溶液をマイクロチューブ(オートクレーブ滅菌済)に回収して遠⼼分離(2,000 rpm, 5 min)を

⾏い、上清 100 μL を 96 ⽳プレートに加えた。さらに各ウェルに substrate mixture(基質および発

⾊試薬の混合溶液)を 100 μL 添加し、室温で遮光下 20 min インキュベートした。サンプルの呈⾊を 確認後、マイクロプレートリーダー(MPR)で 492 nm におけるホルマザンの吸光度を測定し、測定値 から細胞シートにおける細胞⽣存率を算出した。

(a) (b)

Scheme 3.4 Detection of cell viability of a cell sheet by LDH cytotoxicity assay.

・⾼密度培養(2.0×105 cells/cm2, 未処理, 1 d)

・低密度培養(5.0×104 cells/cm2, FN1.2 μg/mL, 9 d)

1wt% BSA-PBS 800 μLを加える

1wt% BSA-PBS 780 μLおよび cell lysing reagent 20 μLを加える

培養(37℃, 5%

CO2, 2 h ) 1wt% BSA-PBS

500 μLで洗浄

1wt% BSA-PBS 2 mL を加えたPS dishにサ ンプルを移動

発⾊試薬を加えて遮光下 インキュベート(r.t., 20 min)

マイクロプレートリーダーで 492 nmの吸光度を測定

溶液を回収

遠⼼分離 (2,000 rpm, 5 min)

細胞シートを剥離

<ネガティブコントロール>

<ポジティブコントロール>

<細胞シートサンプル>

上清を96 ⽳プレートに加える

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