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図 4.1 参加コストによる不寛容度の分布の違い

図 4.2 参加コストによる被協力率の違い

図 4.3 不寛容度の分布の時間変化

図 4.4 被協力率の分布の時間変化

図 4.5 不寛容度の分布の時間変化

(β=5.05)

図 4.6 被協力率の分布の時間変化(β=5.05)

ここでの参加コストは交流のコミュニティを維持するために参加者が支払うべき 費用と考え,便益を享受できるコミュニティを維持できる設計を検討するために,ま ず参加コストに対する依存性を確認した.

その結果,交流ゲームに参加するコストの影響が参加から得られる利益より小さい と,包摂ゲームでの協力がうまくいく.

4.1

は横軸に参加コスト𝛽をとり,各𝛽において各不寛容度𝑘の値(𝑘 = 1~11)を 取るエージェントがどの比率で安定になるかを示す.

𝛽 ≤ 5で全員が完全寛容の𝑘 = 1

になる協力的な社会になる.逆にコストがこれより大きいと多くのエージェントが完 全不寛容𝑘 = 11になるため,交流ゲームにはほとんど誰も参加しない.𝛽 = 5という 閾値は,交流ゲームに参加することで利益が得られる最小の値である(eが初期値の

6,不寛容度 𝑘 = 1

とすると,参加コスト

𝛽 = 5

で利得が

0

となる).

包摂ゲームにおいて弱者がどの程度協力されているかを「弱者被協力率」とする.

この参加コストによる違いを図

4.2

に示した.赤の線が交流ゲームで一般人の被協力 率,青の線が弱者の交流ゲームでの被協力率,黄色の線が包摂ゲームで一般人の被協 力率,紫の線が包摂ゲームで弱者の被協力率.一番注目すべきなのは,包摂的なコミ ュニティで協力が必要とする弱者が実際に協力された比率(紫の線)である.以降被 協力率の分布の図の説明は同じく.

4.3

と図

4.4

は図

4.1

の参加コストが

5

の時の不寛容度の分布の時間変化と被協 力率の分布の時間変化を示し,全エージェントがすぐに

k=1になり(図 4.3)

,協力

も起こっている(図

4.4)

.図

4.5

と図

4.6

は図

4.1

の参加コストが

5.05

の時の不寛 容度の分布の時間変化と被協力率の分布の時間変化を示し,k=1 のエージェントが しばらく一番多いが,最終的には

k=11

が多くなり

k=1

も少し共存する(図

4.5)

, 協力が起こっている状態から段々減っていき,最終的には弱者の被協力率はほぼ

0

に なる(図

4.6)

交流ゲームに参加するコストが参加から得られる利益より小さいと,包摂ゲームで は弱者は協力してもらえる.コストが高く交流ゲームに参加しない状況では弱者被協 力率もほぼ

0

になる.弱者被協力率が

0.5

程度に留まるのは,ランダムに提供者・受 容者が決まるため,提供者も弱者である可能性が半分あるからである.

今のモデルは町内会のような排他的コミュニティ,個人の便益と関係なくコミュニ ティに参加することが求められる.“みんなのためになるので町内会活動に行く”と いうことは,個人にとっては利益がなく,むしろマイナスとなってしまう.規範意識 が高い人は行くことになるが,規範意識が低い人は行かずに,フリーライダーとして 存在することになる

今回のモデル(←モデル1?)では,コミュニティカフェなど人が出入りするよう な場合をモデリングの対象としていない.一度でも損する場合,あるいは面白くない と思った場合は,かなり大きなメリットがないと参加しなくなる.

また,つまらなく不便益だとしても行くというのは古典的な町内会活動である.完 全寛容な人(k=1)は,たとえ参加することの利得が低く個人的に不利益を得るとし ても,集団の利益が高まると考えて行く人のことである.

そして,参加から得られる利益が参加コストより上回ると,参加の動機付けになる.

自分が想定している交流のコミュニティでは,利得が低いから行かないという設定 はないが,交流ゲームに何回も利得がマイナスの場合,もう交流ゲームに参加しない という形式にすると,出入りの自由度が高いコミュニティカフェのモデルとして考え ることができる.

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