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図 4.24 総人数による不寛容度の分布の違い

図 4.25 総人数による被協力率の違い

図 4.26 総人数による不寛容度の分布の違い (β=6)

図 4.27 総人数による被協力率の違い (β=6)

4.24

(β=5)の横軸が総人数,縦軸が総人数による不寛容度の分布,図

4.24

が 示すように,総人数が多くて

500

人でも,参加コストが少し大きくても(図

4.26,β

=6)完全寛容(𝑘=1)に支配され,他の𝑘と共存しない.図

4.25

と図

4.27

より,総 人数が

50

から

500

までの場合,総人数と関係なく協力が行われていることがわかる.

総人数が多くてもモデル

2

のような模倣の仕方では,様々な種類のkがモデル

1

と 比べて長くいられる.そうすると多様な模倣対象がいる中で,交流ゲームで高い利得 を得られやすい低い𝑘を持つエージェントが増え,その中で一番高い利得が得られる 可能性がある𝑘=1のエージェントが最終的には一番多くいることになる.

4.3.4 交流・包摂ゲーム回数の影響

4.28

が示すように,包摂ゲームのみ(横軸=0の点)では,弱者はまったく協力 されず,どのエージェントも協力行動をせず,間接互恵が成立していない.交流ゲー ムの回数が

1,包摂ゲームの回数が7未満,つまり交流ゲームの回数が少なすぎなけ

れば,協力が起きる.

図 4.28 ゲーム回数の比による弱者被協力率の違い

協力に影響しないパラメータ

本研究では,以下のパラメータについても観察したが,協力に影響を及ぼさないこ とが分かった.そのパラメータは,経験スコア𝑒の変化量,イメージスコア𝑖の変化量,

利得

𝑝

の変化量,経験スコアがどの程度反映されるかを決めるパラメータ

𝛼

及び,記憶 できるステップ数である.

参加確率は不寛容度𝑘と連動して,𝑘が小さいほど参加確率が高く,𝑘が大きいほど 参加確率が低い.交流ゲームには経験スコア

𝑒

やイメージスコア

𝑖

や利得と関係なく,

協力される比率 0 .0 0 .1 0 .2 0 .3 0 .4 0 .5 0 .6

交流ゲームの回 包摂ゲームの回

𝑘が小さければ交流ゲームに参加する.そして,交流ゲームで出会った人は𝑘が低い可

能性が大きい.包摂ゲームで𝑘が高い人と出会っても,交流ゲームの回数が多いので,

模倣をするときは小さな𝑘をまた模倣する可能性が大きい.交流ゲームに参加してい る𝑘が低い人たちはよく協力をし,𝑒の変化量と関係なく𝑒が相対的に高い.交流ゲー ムでは𝑘が低い同士が協力しあうことになる.包摂ゲームが終わったあとに𝑘の模倣を するので,交流ゲームであった人数が多いことから,低い

𝑘

を模倣する確率が高い.

包摂ゲームで

𝑖

と利得

𝑝

が変わっても,会った人の中で

𝑘

が低い人が多いことは変わら ない.

つまり,参加確率によってどのような

k

の人に会うかがおおよそ決まり,模倣の対 象が決まる.よって,経験スコア𝑒の変化量,イメージスコア𝑖の変化量,利得𝑝の変化 量は協力に影響しない.

議論

本章は,結果から得られたモデルに対する考察を述べ,現実の例を挙げその例がな ぜそうなっているのかの理由を解明する.さらに,制度設計のヒントを提示する.

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