はじめに,ぶどうの歴史と栽培条件について述べる。つぎに,加西市の気候やぶどう栽 培の様子について述べる。最後に,加西市のぶどう農家の谷川さんへの取材を中心に述べ
ていく。
1 ぶどうについて
(1)ぶどうの歴史
ぶどうは紀元前4,000〜3,000年と古く,古代エジプトの壁画にも栽培の様子が描か れている。今でも の い の一つと言われる。日本への渡米ルー
トは中近東地方から古代ヨーロッパ,その後シルクロードを横断して中国へ,そして 奈良時代に中国から日本に伝わったと言われる。
でのぶ ).の 立ま 川トぶ nが のム と言われ,718年行基が甲州(山 梨県)勝沼の大善寺に伝えたという伝説と1186年に勝沼に住む雨宮勘解由という人物 が見つけたとの説がある。江亘壁代を通して,徐々にぶどう栽培は広がっていたが,
現在のように盛んとなったきっかけは,盟治初物に欧州と米国から新しい品種が輸入 されたことによる。囲盒に入って欧米種と共に,科学的知見による栽培技術の導入と たゆまぬ研究により,, S ・こ て こさらに明治30年代にはボルドー液,
石灰硫黄剤が使われ,病害虫の駆除により,生産が安定するようになった。
この発展の原動力は,先覚者の情熱と研鎖,そして公的機関による研究開発があっ たためである。わが国で育成されたマスカット・ペリーA,ネオマスカットは目本の 主要品種の一角を占め,その後の品種改良の基礎となった。
「加西ゴールデンペリーA物語」より抜粋 ポイントは,ぶどうの原産地は砂漠であり,日本では甲州が始まりとされていることや 江戸時代から徐々に広がり,明治に入って飛躍的に生産が増えたことである。
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(2)栽培条件
ぶどうは原産地が砂漠であることから分かるように,雨が少なく,日照時間が長く,乾 燥した気候で良く育つ。農林水産省からは,果樹農業復興基本方針(平成22年7月12
日策定)の中で以下表1のように示している。
表1 栽培に適する自然的条件に関する基準1)(ぶどう抜粋〉
平均気温 年7℃以上
S月1日〜10月31目 14℃以上
冬季の最低気温 一20℃以上
「州種については一15℃以上 低温要求時間 巨峰については500時間以上
降水量
4月1日〜10月31日 1600㎜以下
「州種については1200mm以下
気象被害を防ぐための基準 枝枯れや樹の倒壊を防ぐため,凍害及び雪 Qを受けやすい北向きの傾斜地での植栽は
けること。
これより,気温についてはある程度の差が必要であると分かる。また,最低気温,降水 量について欧州種は別に基準が設けられていることも分かる。しかし,ぶどうは世界で生 産:量が1番多い果物2)であり,品種は8000種以上3)にも及ぶ。つまり,土地にあった 改良が繰り返された人々の努力を考慮しても,比較的育てやすい果物であると考えられる。
ここで,今回は加西市の特産品としてぶどうを扱う。特産品とは,特にその地方でつく られるものであり,地域の代表物とも言える。つまり,ぶどうは多くの地域でつくられて いるが,「特産品」として栽培するためのポイントを3つに設定する。
一つ目は気温である。年平均気温は10〜16℃となっている4)。二つ目は降雨量である。
乾燥地を好んでいるように,年間500㎜以下でも育つが,ここでは500〜900mと設 定する。三つ目は日照時間である。太陽に当たる時間は長い程よいが,ここでは具体的数 値として1300〜1500時間とする。尚,上記のポイントを「おいしく育つための条件」と
する。
※降雨量および日照時間については日本ソムリエ協会に問い合わせを行った。その中で,
一定の数値は決めているが,「地域の条件によっては必ずしも当てはまらない」と回答を得 た。また,文献やインターネットでの調査も行ったが,数値にはばらつきがあるため,以 上のような数値基準で今回の研究を進めることにする。
2 加西市のぶどうづくり
(1)加西市の地形・気候 「加西市ゴールデンペリーA物語」より抜粋
加西市は,兵庫県南部, 1 のほぼ に位置し,その立地条件を生かして稲・
麦を中心に,ぶどうをはじめとする果樹,野菜,花き,酪農等,多種多様な農業生産 を展開してきた。aLgElg1A!iwaQigllts(海抜300〜500m)が連なり,達幽 翌野は,鮮新世の大阪総群からなっている。北部山地を源とする豊光批互願圭 1・ lt が こ 1こム している。市内の中央を流れる万願 寺川の 1こま広 t ム が,酉llgLkgN!IZSil台地が広がり,播磨肉陸地量去 の遡となっている。南部は,中生代の火山活動で形成された凝灰岩類・流紋岩類
を母岩とする低遡也(海抜200〜250m)が連なっている。
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■ @ である。兵庫県内には約5万個のため池があり,その 数は全国一である。その中でも加西市を含む播磨地域は台地の卓越する地理的条件か
ら多数の農業用ため池が造られ利用されてきた。(加西市内には約900)また,それら は美しい景観を形成している。
気候的には瀬亘内遙四杢に属し,冬 7一 ま16℃前ノ
上記している中でポイントとなるのは,加西市は播磨内陸地最大の平坦地となっている ことや,気候についてである。(下線部参照)また,兵庫県はため池の数が多く,加西市に も900あまりのため池が存在している。図1からは,加西市が兵庫県南部のほぼ中央に 位置していることが分かる。また,図2に示すように,加西市は11の校区に分かれてい
る。北部は山地,南部は平野が広がり,市の中心地は工場や市役所,商店などが集まって
いる。
図1 加西市の位置5) 図2 加西市の拡大図6)
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(2)加西市のぶどう栽培
加西市においては,昭和30年,『ペリー』と『マスカット・ハンブルク』との間に 昭 6 こ こマス ・ ・べ!一A を谷野定信さんたちのグループが栽培
されたのがはじまりである。この『マスカット・ペリーA』は,昭025 に で
mp,やがて兵庫県の奨励品種に選ばれた。特徴として・心止
、 VSt ま VStで し 7 い・ ・ い }tf い・
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の い ということである。
17haに ぶ「 、 パ ロ・ フ 一一ムが完成し,その後,「新 農村建設」,「国営農地開発」,「農業改造改善」等の事業により,加西市内に次々とぶ どうを栽培する団地が造成された。昭和40年,9月10日のこと,瞬間最大風速52m という強風の台風23号が加西市を襲った。ぶどうが栽培されていた棚商は,ほとんど が倒され,樹も裂けたり,折れたり,無残な姿になってしまった。そのため,これを 機に気象災害を避けるため,成熟の早い品種に全面的に魚種してはどうか,ぶどう栽 培自体をやめようかといった意見が出た。しかし,最終的には品種の改正は行わず,
棚を復旧して安定生産技術を確立していくことに決定した。生産者の努力により苦難 を乗り越え,各団地も復興してきた頃,ジベレ1ン を導入し,『マスカット・ペリ ーA』の t して
スカ・ ・べ1−A
め 皿
ne1が心した。種鋤工エ
tつたため tしべ1−A と呼ばれるようになったが,鍵…,この名前では立と上汁できないということで,最終的にはゴール thン・
ベ1−A こ
当時,広島県・岡山県の「ペリーA」,香川県の「クイーンペリーA」が有名だった が,加西市の『ゴールデン・ペリーA』は果粒が大きく,とてもおいしいということ が評判となり,こうした人気を受け,加西市内の栽培団地が拡大し,市内に約60haの 団地をもつ一大産地となった。さらに,・・。、}ポ1一 ふ kt 立力量 無 力 立 ハ ス 立等,よりょく し 口 の高いぶ 頴 生 こめの
独且壁友迭が次々と考案され,『ゴールデン・ペリーA』の栽培はますます安定し
てきた。
このような様々な生産者の努力がみを結び,いつの間にか「加西市と言えば ぶど う , ぶどう といえば加西市」と言われるようになり,『ゴールデン・ペリーA』は 加西市が自慢できる特産品として, のシンボル となっている。
「加西市ゴールデンペリーA物語」より抜粋 上記している中のポイントは,国の政策として「桑原田近代化パイロットファーム」等 の畑が広がってきたことである。また,ジベレリン処理を導入したことにより,「ゴールデ ンペリーA」のブランド化に成功した点である。
(3)ブランド化や特許の取得 「加西市ゴールデンペリーA物語」を基に編集
○「ひょうご安心ブランド」の認定を受ける。
ひょうご安心ブランドとは「安全で安心できる農産物を食べたい」という消費者の 声に答えるとともに,「県民の皆さんに地元兵庫の安全・安心な農産物を届けたい」,「人
と環境にやさしい農産物をつくる取り組みを正しく伝えたい」という生産者の思いか ら,平成13年に誕生したものである。ひょうご安心ブランド農産物の特徴は①人と環 境に安心な栽培方法で育てた一化学肥料,科学農薬の使用を極力削減し,健康な土づ
くりを行っている。②検査(自主検査)により安心を確認している一農薬を使用した 場合,その残留農薬が国家基準の1!10以下であることを確認している。③安心が見え る一栽培方法を記載した生産日誌,残留農薬検査結果などを公開している。
○「加西ゴールデン・ペリーA」が特許庁の地域団体商標を習得。
平成19年に兵庫県の農産物では唯一となる地域団体商標を習得した。地域団体商標と は,地域名と商品名からなる商標が,より早い段階で商標登録を受けられるようにす ることで,地域ブランドの育成を目的にした制度である。
(4)加工品の製造
加西市のブドウは加工品としても流通,販売されている。図3のワインは長野県安曇野 ワイナリーで作られ,2010年から販売されている。図4のジュースは中国自動車道下り SA限定で販売されている100%ジュースである。図5の菓子パンは,コンビニエンスス
トアとの連携により2010年に販売されたものである。 ・
鈎囲鰹
図3 ロゼワイン「RAKAN」7〕
,轟』
図4 加西ゴールデンペリーAぶどうジュース8) 図5 加西市産ぶどうのちぎりフランス9}
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