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制約と問題点

ドキュメント内 自然現象の写実的表現モデルの研究 (ページ 35-38)

第 3 章 大気光学現象の再現手法 16

3.5 結果

3.5.4 制約と問題点

本項では提案手法の制約と問題点について議論する. 提案手法の現在の実装には 画像正確性に関する制約と,隣接ドメイン間での不連続性に関する問題がある.

正確性の制御

本手法の現在の実装における光束追跡処理は,シーンオブジェクトの性質やドメ インサイズによっては不正確な結果を生成しうる.

新谷らのオリジナルのペンシルトレーシング法[23]と異なり,現在の実装では,レ ンダリングのためのドメインサイズを固定している. オリジナルの手法では,ドメ インサイズは結果画像の任意の正確性要求に基づいて解析的に決定している.つま り,画像を初期的なドメインサイズに分割し,光束追跡処理中にドメインの光束広 がり角が,事前定義された画像正確性を満たさないほどに増加することを検出した 場合に,ドメインをより小さなドメインに分割する,という方法を採っている. そ のような解析には物体表面の性質に起因する,真の光路からの誤差の推定が必要だ が,本手法で導入した摂動オブジェクトに対してそのような誤差推定を行うことは 困難である. なぜなら本手法のノイズ因子の挙動は乱数的に生成されたものであり,

その挙動を解析的に推定することはできないためである.

このことは,現在の実装における光束追跡処理ではドメインのサイズよりも小さ な物体を見失いうることを意味している. これは文献[23]の節4.1(1)で言及されて いるのと同じ問題である. 図3.12はこの問題に起因するうまくいかない結果の例 である. このシーンでは,球がおおよそ各ドメインの軸レイの隙間に位置するよう に格子状に配置されている. このシーン設定とレンダリングパラメータの詳細につ

いては3.7.2項を参照せよ. 図3.13は,図3.12の赤枠で囲った部分を拡大したもの

である.

図3.12(a)-図3.13(a)は,通常のレイトレーシング法で生成したものであり,図

3.12(b)-図3.13(b)は提案手法で生成したものである. この例が示すように,いくつ

かの球が本手法による結果画像では隠れてしまっている.

(a)

(b)

図 3.12: レンダリング結果に欠落が生じる例

(a)

(b)

図 3.13: レンダリング結果に欠落が生じる例(拡大)

これら問題を解決するには,シーンの幾何特性にもとづいて適切なドメインサイ ズを決定したり,摂動オブジェクトに対して誤差推定を行う何らかの方法が必要で あると考えられる.

隣接ドメインとの接続性

提案手法には隣接するドメイン間で不連続性が現れうる問題がある.

ペンシルトレーシングでは,画像中の領域はレイの束を追跡することによって描 画するため,軸レイを変化させた摂動オブジェクトによる影響は,すべての周辺の 近軸レイへ伝搬される. そのため摂動効果は領域ごとに異なる. 結果として,こ の挙動は不連続な外観を生じる. 図3.13(b)はこの問題に起因するうまくいかない 結果の例である. この画像の水色のグリッドは,ドメイン境界を示している. こ の例が示すとおり,ドメイン内部では連続性が保たれているが隣接ドメイン間では そうなっていない. 大きなドメインサイズを用いると,この欠陥は顕著になる. 四 角い太陽蜃気楼のような,物体表面の模様が重要ではないシーンでは,この欠陥は 問題にならないと考えられる. しかしそのようなシーンはむしろ一般的ではなく,

それゆえこれは解決すべき重要な課題である.

この問題を解決するためには,隣接領域間での何らかの補間が必要となると考え られる.

ドキュメント内 自然現象の写実的表現モデルの研究 (ページ 35-38)

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