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第 4 章 搬送機械の位置決め制御への非定常スライディングモード制御手法

4.2 制御対象のモデル化

制御対象とする実験装置の写真をFig. 4-1に示し,Fig. 4-2には実験装置の図解を示す.

本実験装置は主に二本のマストと搬送物を搭載するフォークを有するリフト台で構成され る.リフト台はマストに取り付けられたチェーンを介して吊り下げられており,各マスト の下部に据え付けられたサーボモータの駆動によって昇降する.この二つのサーボモータ には速度指令に追従するために必要なトルクを発生するコントローラが組まれている.実 験に用いたサーボモータの緒元をTable 4-1に示す.

また,制御対象の状態を観測するために,フォーク先端に加速度センサ(共和電業製 AS-5GB)とリフト台に絶対変位センサ(村田機械製)が設置されている.センサ情報の計測お よび制御系実装用ハードウェアには,PC に搭載された dSpace 社製の DSP(Digital Signal

Processor)DS1103 を用いる.DSP に制御系を実装するソフトウェアは MathWorks 社製

Simulinkを用いる.

ここでは,フォークが昇降動作している間はフォークに載せた負荷重量が 160kg で一定 であることを想定してモデル化および制御系の設計を行う.このとき,実験装置には主に3 つのモードが存在し,1次モードは3Hz付近のフォーク先端の振動,2次モードは6Hz付近 のフォーク後端の振動,3次モードは12Hz付近のリフト台を支えるチェーンの固有モード であり,チェーンの振動がリフト台全体に上下振動を生じさせる.これら 3 つの固有モー ドのうち,3Hz付近の1次モードが最も支配的である.

Table 4-1 Specifications of servo motor

Rated electric power 1.5 kW

Rated (Max) torque 7.16(21.6) Nm

Rated (Max) motor speed 2000(3000) rpm Rated (Max) electric current 9(27)A

mast chain

acceleration sensor

displacement sensor

platform fork

servo motor Fig. 4-1 Controlled object

platform fork

mast chain

servo motor x

x1

Fig. 4-2 Illustration of controlled object

4.2.2 制御対象モデルの構築

前述した実験装置をFig. 4-3に示す数式モデルで表現する[54].本実験装置はフォークの昇 降運動にともないフォークに振動が発生する.リフト台は剛体 m および剛体の中央部とピ ンで留められた質点m3から構成し,mとm3k3,c3で結合する.フォークの等価質量と負 荷質量の合計をm1とし,このm1およびk1,c1によりフォークの1次の弾性振動を表現する.

さらに,リフト台と速度指令u(t)を与えるサーボモータは質点m2を介してk2,c2およびk4,c4

により接続する.mの重心位置は絶対座標xで表現し,このmからm1, m2までの相対変位 をそれぞれx1,x2,m2から入力位置までの相対変位をx3,さらにmの回転角を

とする.

本研究ではフォークの絶対変位xを指令通りに高速で制御することを目的とする.前項で述 べたとおり,本実験装置は主に 3 つの固有モードを有しているが,装置の物理的構造,お よびモータのダイナミクスを考慮し5自由度系で表現している.

このとき,制御対象の運動方程式は以下の通りとなる.

     

c tc tc tuudfr

 

Mx Kx Cx f f (4-1)

           

   

1 2 3

0 0 0 0 , 0 0 0 0

T c

T T

u u d u

t x t x t t x t x t

a a

  

  

x

f f

1 1 1 1 1

3 1 1 1 2

2 2

1 1 1 1 3 3

2 2 2 4

0 0 0 0 0 0

0 0 0 0 0 0

,

0 0 0 0 0 0 0

0 0 0 0 0 0

0 1 0 1 1 0 0 0 0 0

m m k k l

m m k k l k

I k l k l k l

m m k k

   

      

   

   

  

   

    

   

   

M K

1 1 1

1 1 1 2

2 2

1 1 1 1 3 3

2 4

0 0 0

0 0

0 0 0

0 0 0

0 u 0 u u

c c l

c c l c

c l c l c l

c c

a a a

 

   

 

 

 

  

 

 

 

C

m3

m, I

u(t)

x3(t)

x2(t)

k4 c4

k2

c2

k3 c3

k1 c1

x1(t)

m1

m2

l3 l1

x(t)

θ(t)

m3

m, I

u(t)

x3(t)

x2(t)

k4 c4

k2

c2

k3 c3

k1 c1

x1(t)

m1

m2

l3 l1

x(t)

θ(t)

Fig. 4-3 Mathematical model of controlled object

ここで,式中のfrは速度指令値と逆向きに,制御動作を阻害するように働く外乱あり,ク ーロン摩擦を想定している.入力を打ち消す方向に作用する外乱である.さらに,auはサ ーボモータに入力する指令速度u(t)からモータ指令位置y(t)=x(t)+x2(t)+x3(t)までの伝達関数,

   

  

u

m

u

Y s a

G s

U s s s a

 

(4-2)

のパラメータであり,au 2f で与えられる.fはモータの特性をローパスフィルタの伝達 関数で近似したときのカットオフ周波数である.式(4-1)より,制御対象の状態方程式は次 のように与えられる.

 

t

 

tu t

 

fr

x Ax B D (4-3)

   

 

1 1

1 1 , ,

c c

u d

t t

t

 

  

 

   

 

      

x x

x

0 0

0 I

A B D

M f M f

M K M C

Table 4-2に実験装置の数式モデルに用いたパラメータを示す.この数式モデルは3Hzに1 次モード,6Hzに2次モード,12Hzに3次モード,16Hzに4次モードをもつ.モデルは5 自由度で表現しているが x3はモータの特性を表現したものであるため,振動モードとして は4次までとなる.実験装置の主な固有モードは前項で述べた3Hz,6Hz,12Hzの3つで あり,本モデルで 3 次までの固有周波数が表現できており,さらに最も支配的なモードで ある 1 次モードに関しては振動の位相まで合うようにモデル化している.本モデルは位相 まで合わせるために,本来は存在しない4 次モードを含めているが,この 4 次モードは他 のモードに比べて非常に振幅が小さく制御器を設計する際に性能に悪影響を与える可能性 は低いと考えられる.

Table 4-2 Specifications of control object

m 1.7×102kg k1 1.4×105N/m

m1 1.9×102kg k2 6.0×105N/m

m2 3.0×102kg k3 7.8×105N/m

m3 5.0×101kg k4 5.7×105N/m

I 2.3×101kgm2 c1 2.0×103Ns/m l1 5.0×10-1m c2 3.0×102Ns/m l3 5.0×10-1m c3 5.5×102Ns/m au 230 rad/s c4 1.0×103Ns/m

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