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今後の課題

ドキュメント内 第 4 章 シミュレーション解析と感度解析 (ページ 53-61)

第 5 章 結論

5.2 今後の課題

5.1 本論文の総括

本論文では,大断面横架材である差鴨居の有無,配置高さをパラメータとして,1スパン 試験体2体と,2スパン試験体2体(差鴨居を対称配置した架構,段違い配置した架構)に ついて静的水平加力実験を実施した先行研究の概要を示し,差鴨居配置や接合部形状が架 構全体の力学特性や破壊性状へ与える影響を把握した。また,嵌合型接合部を簡易な解析モ デルで表し,MATLAB を用いたシミュレーションを通じて精度検証を行い,差鴨居の配置 に着目した感度解析を行った。さらに,提案した解析モデルを他の解析コードで解く際の課 題を明確化するため,弾塑性解析が可能なSNAPで解析を実施し,解析結果を比較した。最 後に,込栓のせん断力について,初期剛性に対する2次剛性の比が架構の復元力に与える影 響を把握した。

得られた成果を以下に示す。

a) 2スパン架構では,1スパン架構よりも側柱の変形量が増加し,柱-横架材接合部におい

て柱の折損など致命的な損傷が生じやすい。また,耐力要素配置や接合部形状が異なる ことによる非対称性に起因して,加力方向によってせん断力に差が生じた。

b) 2スパン架構は,柱差鴨居接合部の断面欠損部で柱が折損した。対称架構の中柱は,両差

鴨居から与えられる突張力によって部分圧縮が生じたことで折損に至ったと考えられる。

段違い架構の後柱は,込栓穴から生じた割裂と差鴨居の突張力による部分圧縮に起因し て折損したと考えられる。

c) 対称架構では,加力方向先頭の柱がせん断力を多く負担したが,段違い架構では加力方 向最後尾の柱でもせん断力を多く負担する場合がある。本論の試験体では,正側加力時 に側柱,負側加力時に中柱がせん断力を多く負担した。

d) 大断面横架材を有する架構の復元力を表現可能な解析モデルを構築した。数値解析ソフ

トウェア MATLAB を用いたシミュレーションでは,概ね精度よく再現できることを確

認した。また,感度解析より,1 スパン架構の復元力は差鴨居の配置高さに依らないこ と,2 スパン段違い架構の差鴨居の配置高さ間隔を狭めると,加力方向による復元力の 差が減少することを明らかにした。

e) 同様のシミュレーションを任意形状立体フレームの弾塑性解析が可能なSNAPで行う場 合,大変形時に復元力が実験値と大きく乖離した。既存の解析手法では,大変形領域に おいて架構の復元力を過大評価している可能性がある。

f) 込栓せん断力の初期剛性に対する2次剛性の比αとして,α = 0α = 1/10の両者を比較 すると,差鴨居試験体では復元力に大きな差が生じた。

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-5.2 今後の課題

前節の成果を踏まえ,今後の課題を以下に示す。

[1] 他の仕様の接合部に関しても,提案手法で構築した解析モデルで架構復元力が評価可 能か検証するため,本論とは異なる架構についても検証する必要がある。

[2] 大変形領域における架構の復元力をより精度良く評価するため,各抵抗力について,抵 抗バネ特性の与え方や降伏後の初期剛性に対する 2 次剛性の比などを詳細に検証する 必要がある。

[3] 柱の折損やほぞの折損が評価可能となるよう,提案手法で構築した解析モデルを修正 する必要がある。

[4] 既存の解析ソフトを,大変形領域における架構の復元力が再現可能となるよう,バネ特 性や幾何学的非線形の与え方を再考する必要がある。

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-1) 文化庁:伝統的建造物群保存地区,(参照2017 / 01 / 16) http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/hozonchiku/

2) 建設省建築研究所:平成7年度兵庫県南部地震被害調査最終報告書,1996.3.

3) 河合直人 : 2007 年能登半島・新潟県中越沖地震関連報告 木造建築物の被害と対策,

BRI-H19講演会テキスト,2007.11.

4) 槌本敬大,鈴木修治,河合直人,山口修由,中川貴文,杉本健一,村上智徳:平成19年 能登半島地震による木造建築物の被害状況,日本建築学会大会学術講演梗概集,C-1,

pp.5-6,2007.7.

5) 桑原悠記,押切誠,野村佳亮,横内基,國分直輝,大島隆一,大橋好光 : 栃木市に現存 する伝統的建造物の地震被害および耐震性に関する研究 その2東北地方太平洋沖地震 による建造物の被害状況,学術講演梗概集 2012(構造Ⅲ),pp.141-142,2012.9.

6) 多幾山法子,南部恭弘,渡辺千明,林康裕:斜め貫接合部を有する木造軸組架構の力学 特性と耐震性評価,日本建築学会構造系論文集,第79巻,第701号,pp.961-968,2014.7.

7) 木造軸組構法建物の耐震設計マニュアル編集委員会:伝統構法を生かす木造耐震設計 マニュアル-限界耐力計算による耐震設計・耐震補強設計法,学芸出版社,2008.12.

8) 日本建築構造技術者協会関東支部:伝統的な軸組構法を主体とした木造住宅・建築物の 耐震性能評価・耐震補強マニュアル(追補改訂版),2011.3.

9) 日本建築学会:大振幅地震動と建築物の耐震性評価 -巨大海溝型地震・内陸地震に備 えて-,pp.244-251,2013.9.

10) 岩本いづみ,前野将輝,大西功人,後藤正美,鈴木祥之:単位木造フレームを用いた動 的・静的実験による木造軸組の耐震性能評価:その9:差鴨居を有する伝統木造軸組の 曲げモーメント分布,日本建築学会大会学術講演梗概集,C-1,構造III,木質構造,鉄 骨構造,鉄骨鉄筋コンクリート構造,pp.123-124,2003.7.

11) 大西功人,山田真澄,岩本いづみ,後藤正美,鈴木祥之:単位木造フレームを用いた動 的・静的実験による木造軸組の耐震性能評価:その8:差鴨居を有する伝統木造軸組の 耐震性能評価,日本建築学会大会学術講演梗概集,C-1,構造III,木質構造,鉄骨構造,

鉄骨鉄筋コンクリート構造,pp.121-122,2003.7.

12) 松本拓也,多幾山法子,林康裕:柱―差鴨居接合部の力学特性に関する実験的研究,日 本建築学会構造系論文集,第77巻,第675号,pp.747-754,2012.5.

13) 横田治貴,中川敦嗣,多幾山法子,林康裕:京町家の柱梁接合部における復元力特性評 価に関する実験的研究,日本建築学会近畿支部研究報告集 構造系,第 53 号,pp.233-236,2013.5.

14) 佐藤弘美,藤田香織:伝統的木造接合部の構造性能評価:柱-差鴨居接合部の要素実験,

日本建築学会大会学術講演梗概集,C-1,構造III,pp.9-10, 2008.7

Traditional Wooden Frames with Fitting-type Joint, Proceeding of the ASEA-AEC-3, Kuching, Sarawak, Malaysia, November, 2016

17) 日本建築学会:木質構造設計規準・同解説-許容応力度・許容耐力設計法-第 4 版,

2006.12.

18) 南部恭広,焦鍵,多幾山法子,渡辺千明,林康裕:伝統木造住宅における構造的特徴の 地域性,構造工学論文集,Vol.59B,pp.585-592,2013.3.

19) 森井雄史,宮本慎宏,高橋遥希,林康裕:PΔ効果が木造軸組架構の変形性能に及ぼす 影響,日本建築学会構造系論文集,第75巻,第650号,pp.849-857,2010.4.

20) 多幾山法子,石塚悠伍,大西良広,神吉紀世子,林康裕:2006年ジャワ島中部地震で被 災したインドネシア伝統木造建築物の耐震性能評価,日本建築学会構造系論文集 77(675),pp.739-746,2012.5.

21) 佐久間譲,春山聡子,後藤正美,西村督,稲山正弘,鈴木祥之 : 木材の特性を考慮した 木造軸組構法のほぞ差し接合部解析モデルの提案(その2)実験と解析との比較,日本 建築学会北陸支部研究報告集(51),pp.129-132,2008.7.

22) 日本建築学会:木質構造接合部設計マニュアル,2009.11.

23) 河野博紀,早崎洋一,小森谷誠,荘所直哉,三芳紀美子,大橋好光:差鴨居構法の強度 性能に関する研究 その16 ほぞ差し込栓止め接合部の引張実験,日本建築学会学術講 演梗概集(関東),構造Ⅲ,pp.445-446,2015.9.

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謝辞

本論文は,筆者が首都大学東京大学院都市環境科学研究科建築学域博士前期課程に在籍 中の研究成果をまとめたものです。本研究を遂行するにあたり,多くの方々からご指導,ご 支援を賜りました。心より感謝致します。

特に,筆者が首都大学東京都市環境学部建築都市コースの 4 年次から指導教員を務めて 頂きました多幾山法子准教授(首都大学東京大学院 都市環境科学研究科 建築学域)には,

研究室に所属した当初から 3 年間親身にご指導頂きました。筆者が建築学域博士前期課程 に在籍中,解析プログラムの作成,論文執筆など,忙しい中でも時間を割いて丁寧かつ熱心 にご指導して下さったことには感謝の念を禁じえません。ここに深く感謝の意を表します。

研究室の皆様には,忙しい中でも実験や研究の相談など,多大なご協力いただきました。

また,筆者が有意義な研究室生活を送ることができたのも研究室の方々の日々の支えに依 るところが大きく,改めて感謝いたします。

最後に,日頃から支えて下さった両親のおかげで本論文を書き終えることができました。

ここに感謝の意を記し,謝辞とさせていただきます。

2017年2月

ドキュメント内 第 4 章 シミュレーション解析と感度解析 (ページ 53-61)

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