第 4 章 2次元切削加工に基づく工具損耗のフラクタル性
4.2 結果及び考察
4.2.2 切削の進行に伴う D f の変化
図 4.2.2 切削の進行に伴うDfの推移
図 4.2.2 は,切削による Dfの変化 をグラフにしたものである.本研究ではテーラーの寿命
式 49)を参 考にして,加工の 経過には 切削時間を用いた.これ により切削の 進行で工具輪郭線 の Dfがどの様に推移したかがわかる .それぞれのグラフの最終の印点は,その後最大 1 分で 寿命に至ったことを示している.結果は 4 通りの切削条件であるが,全体的傾向としては切削 時間が増加すれば刃先は損耗により Dfは上下の変動を繰り返しながら徐 々に大きくなってい く.そして,切削前(新品)では Df = 1.03であったが,Df = 1.08~1.12の範囲に達すると,
ほぼ寿命に至った.
1.02 1.04 1.06 1.08 1.10 1.12 1.14 1.16
0 2 4 6 8 10 12 14
Df
切削時間(分)
120m/min / 0.05mm 120m/min / 0.10mm 160m/min / 0.05mm 160m/min / 0.10mm
A B D
C
E
F
48
図 4.2.3 刃先画像,抽出された切れ 刃輪郭線の推移(図 4.2.2 のA ~ F)
切削前
加工 時間
切削条件
切削速度V=120m/min 切込み量f=0.05mm
切削条件
切削速度 V=120m/min 切込み量f=0.10mm
切削条件
切削速度 V=160m/min 切込み量f=0.05mm
加工 時間 1min (B)
加工 時間 2min (C)
Df = 1.03
Df = 1.09 Df = 1.08 Df = 1.07
Df = 1.06 Df = 1.05 Df = 1.05
A
500μm
49
加工時間
切削条件
切削速度V=120m/min 切込み量f=0.05mm
切削条件
切削速度 V=120m/min 切込み量f=0.10mm
切削条件
切削速度 V=160m/min 切込み量f=0.05mm
加工 時間 5min (D)
加工 時間 9min (E)
加工 時間 14min (F)
Df = 1.08 Df = 1.09 Df = 1.08
Df = 1.09 Df = 1.11
Df = 1.12
図4.2.3 刃先画像,抽出された切れ 刃輪郭線の推移(図 4.2.2の A ~ F)
50
図 4.2.3 は図 4.2.2の切削前(A),加 工時間 1min (B),加工時間 2min (C),加工時間 5min
(D),加工時間 9min (E)と加工時間14min (F)の刃先画像および抽出された 切れ刃輪郭線と算
出された Dfの推移を示す.どの条件も開始1 分でDfが急上昇しているの が特徴的である.こ れは工具刃先にホーニング(丸み,面 取り)を施していないことがあり,切 削開始直後に切れ 先の比較的小さな欠けが数多く発生したと思われる.
(A)~(F)は切削の進行を示すが,こ れより工具切れ刃は開始直後欠けを発生し(A)→(B),そ
の後,平坦化する方向に働き,切れ刃 は安定状態になる.そして,再び(A)→(B)ほどではない が,部分的に微小な欠けが発生していく様である.この傾向は 4条件のうち図 4.2.3に示すよ うな 3 条件で示した.一番加工条件の厳しい,切削速度 V = 160 m/min, 切込み量 f = 0.1 mm ( )はDfが下がることな く,上昇し続け,寿命に達したことになる.
なお 4本の工具のうち,切削速度 V = 120 m/min, 切込み量 f = 0.1 mm ( )の工具 の寿命時の Dfは1.06であった.値の 低下は比較的大きな規模の破砕が起り,鋭い刃先が生じ たことを意味する 36).残りの 3 本の工具については大きく破壊または粉砕したため測定は不 能であった.さらに,切込み量の違いは寿命が早いか遅いかの違いであり Dfの値そのものの 大きな差はなかった.いずれにしても切削条件が変わっても寿命直前で共通の Dfレベルをも つことは興味深い結果である.
51
0200 400 600 800 1000
0 2 4 6 8 10 12 14
主分力N
切削時間(分)
120m/min / 0.05mm 120m/min / 0.10mm 160m/min / 0.05mm 160m/min / 0.10mm
0 200 400 600 800 1000
0 2 4 6 8 10 12 14
背分力N
切削時間(分)
120m/min / 0.05mm 120m/min / 0.10mm 160m/min / 0.05mm 160m/min / 0.10mm