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【Sheet1を貼付】

分 析 対 象 裁 判 例 の 整 理 表

整理解雇事案

請求原因等 限定性に関する当事者の主張

限定性に関 する明示の

有無

限定性の程度及び判断要素

解雇の効力に 関する判断枠組

限定性が解雇の効力の判断 に及ぼす影響の有無・程度

結論 備考

雇用契約 上の権利 を有する 地位にあ ることの確 認請求

・「Xは、遅くとも昭和39年以降 は立川基地中央民間人事局に おいて、従業員管理関係調整 職6等級として基地従業員の労 務管理業務に従事してきた」こ とについて、当事者間に争い はない。

(但し、Xは本件人員整理当時 横田基地に従業員管理関係調 整職、立川基地にクラーク・タ イピストの空席があったにもか かわらず、本件人員整理公告 の際空席表を添付しなかった ため本件人員整理は無効であ ると主張している。)

△(従業 員管理関 係調整職 6等級とし て基地従 業員の労 務管理業 務に従事)

「Xは、遅くとも昭和39年以 降は立川基地中央民間 人事局において、従業員 管理関係調整職6等級と して基地従業員の労務管 理業務に従事してきた。」

との認定あり。

本件解雇にX 主張のような 無効事由が存 するか否か。

(本件人員整理当時横田 基地に従業員管理関係調 整職、立川基地にクラー ク・タイピストの空席が あったにもかかわらず、本 件人員整理公告の際空 席表を添付しなかったた め本件人員整理は無効で あるとのXの主張に対し、

なお書きにおいて)「X主 張にかかる・・・配置転換 先が当時空席であったと してもその職種であるク ラーク・タイピストとXの職 種とは著しく異るからXを 右空席に就かせられるわ けのものではなく、従って 本件人員整理当時右空 席が仮にあったとしてもX が本件解雇を免れること は不可能であったからXの 右主張は理由がない。」

解雇有効

Xの主張に対 応して、「本件 人員整理の 必要性」およ び「解雇対象 者決定の公 正性」の観点 から、解雇権 濫用の有無 についても判 断している。

資料シNo.145

労働政策研究・研修機構(JILPT)

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【Sheet2を貼付】

地位保全 等仮処分

判例集では省略されているた め、不明。

△(入社 以来木型 作業に専 従)

「X1~X6は、いずれも入 社以来木型作業に専従し てきた。」との認定あり。

①企業が客観的 に高度の経営危 機下にあり、解雇 による人員削減が 必要やむを得ない ものであること。

②解雇に先立ち、

退職者の募集、出 向配置転換その 他余剰労働力吸 収のための努力 を尽くしたこと。

③整理基準の設 定およびその具体 的適用(人選)が いずれも客観性・

合理性に欠けるも のでないこと。

④経営危機の実 態、人員整理の必 要性、整理基準等 につき労働者側に 十分な説明を加 え、協議を尽くした こと。

→「もし、右要件に 欠けるところがあ れば、解雇権の濫 用としてその効力 は否定さるべきも のと考える。」

②につき

「Xら6名はいずれも若年 で入社し、直ちに木型工と して養成され、一貫して木 型部門で就労してきたも のであって、これは会社 の決定、指示に基くもので ある。また、右6 名は他の 基準類型にみられるよう な、個人的な態度、行動 等を問題にされているも のでもない。これらの点を 考えると、木型部門の廃 止により、直ちに無用のも のとして社外に排除するこ とは、Xらにとって苛酷に 過ぎるとの感を否定でき ない。年令等の点で困難 はあっても、再教育訓練 により職種転換をはかり、

仮に玉島製造所内に配置 が困難であれば他の事業 所に配転させてでも、雇傭 維持に努力するようY社に 期待すべきものと考え る。」

(X1~X6 につき)解 雇無効

資料シNo.145

労働政策研究・研修機構(JILPT)

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【Sheet3を貼付】

地位保全 等仮処分

使:アセチレン部門は川崎工場に しかなかったのであるから、同工 場の従業員を他の工場のアセチ レン部門に配置転換するというこ とは不可能であった。また、アセチ レン部門と酸素部門等の他の部 門とでは、作業工程が異なり、作 業技能の面において互換性が乏 しいため、アセチレン部門の従業 員をそのまま酸素部門その他の 部門に配置転換するということは 困難であった。

労:アセチレン部門の従業員とそ の他の部門の従業員との間に互 換性がないということはなく、昭和 45年以前にもアセチレン部門の従 業員でその他の部門に配置転換 を命ぜられた者が少なくない。

△(工場現 場の作業に 従事する現 業職)

「アセチレン部門の閉鎖当時 同部門に勤務していた従業 員(課長1名を除く)は、総員 47名で、その職種は、製造二 課管理係員一名が技術職で ある以外は、Xらを含むその 余の従業員46名はすべて工 場現場の作業に従事するい わゆる現業職であった。」と の認定あり。

(特定の事業部門の 閉鎖に伴い右事業 部門に勤務する従 業員を解雇するにつ いて、それが『やむ を得ない事業の都 合』によるものと言 い得るためには)

①右事業部門を閉 鎖することが企業の 合理的運営上やむ をえない必要に基づ くものと認められる 場合であること。

②右事業部門に勤 務する従業員を同 一又は遠隔でない 他の事業場におけ る他の事業部門の 同一又は類似職種 に充当する余地がな い場合、あるいは右 配置転換を行っても なお全企業的に見 て剰員の発生が避 けられない場合で あって、解雇が特定 事業部門の閉鎖を 理由に使用者の恣 意によってなされる ものでないこと。

③具体的な解雇対 象者の選定が客観 的、合理的な基準に 基づくものであるこ と。

②につき

「アセチレン部門の閉鎖当時同部門 に勤務していた従業員(課長一名を 除く)は、総員47名で、その職種は、

製造二課管理係員一名が技術職で ある以外は、Xらを含むその余の従 業員46名はすべて工場現場の作業 に従事するいわゆる現業職であった ことが明らかであるから、Xら現業職 に属する従業員を他部門に配置転 換するとすれば、その対象となるべ き職種は、現業職及びこれと類似の 職種である特務職に限られるのが 相当ということができる。ところが、

他部門においては現業職及び特務 職は当時過員であり、近い将来欠員 が生ずる見込はない状態にあったこ とは前述のとおりである。右のよう に、他部門において労働力の需要 がなく、また、近い将来右需要の生 ずることも期待し得ない事情にあっ た以上、アセチレン部門の閉鎖によ り全企業的に見ても右部門の従業 員は剰員となったことが明らかであ るといわなければならない。」

②につき

(アセチレン部門の従業員を女子事 務員に退職者が生じた場合の補充 として暫定的に右職場に配置する等 の配慮をすべきであったとのXらの 主張に対して)Xらは現業職員であっ て、その従事している業務は女子事 務員の従事すべき業務と職種の代 替性のないことが明らかであ

(り)・・・右主張は・・・採用することが できない。」

解雇有効

・③について「Y 社が具体的な 解雇対象者と してXらを含む アセチレン部門 の従業員・・・

47名全員を選 定したことは、

一定の客観的 基準に基づく選 定であり、その 基準も合理性 を欠くものでは ないと認められ る。」と判断して いる。

・Y社が組合と 十分な協議を 尽くさなかった こと、およびY 社がアセチレン 部門の従業員 につき希望退 職者を募集し なかったことを もって、本件解 雇は信義則違 反または権利 濫用に当たると のXらの主張に ついても判断を 行っている。

資料シNo.145

労働政策研究・研修機構(JILPT)

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【Sheet4を貼付】

Y学園佐 伯高等学 校の教員 たる地位 を有するこ との確認 請求

使:Xらは教職員免許法第四条 により「工業」の教科について 高等学校免許状を有するけれ ども「数学」「理科」についての 免許を有しておらず又学歴も 電気に関する専門の工業大学 を卒業しているものでYも同人 らを電気科で電気に関する教 育を行なう教員として採用した ものである。

労:XらはY主張の通り数学科、

普通免許等を持っていないけ れども「工業」の普通免許を 持っているので必要な助教諭 免許は何時でもこれを取得し 得るものであり、又「工業」の前 記免許で担当可能な教科は他 に多数存在していたものであ る。

△(電気 科の専任 教員)

「X1は昭和41年3月東京電気 大学電気工学科を卒業する 際に高校の工業普通二級免 許を取得し、X2は同45年3月 福岡工業大学電子工学科を 卒業する際右X1と同種の免 許を取得し、いずれも佐伯高 校電気科の専任教員をして いた。」との認定あり。

①電気科廃科 の合理性

②電気科廃科 に伴いXらを余 剰人員として 整理解雇した ことの当否、そ の必要性

③本件解雇の 権利濫用性

②について

「Xらは電気科廃科に伴い同人 らの所有する『工業』の免許に よって授業活動をする余地はき わめて狭まり、かつ、また他の 免許を有していないことから当 然には他の教科担当に転用す ることは困難であって、余剰人 員となったものと認められる。」

③について

(Xらが佐伯高校で教育活動〔低 学力の生徒達に対する補習〕を なすべき余地は十分に存すると の主張に対して)「学力不足の 生徒に対する個別的な指導の 必要があり、かりにXらが独自の 補習によって多少の成果をあげ たとしても、そのことによってXら が免許を有しないまま数学の補 習を担当することを正当とするも のでもなく、Xらの余剰人員性を 否定するものではない。」

③について

(Yは経営者として当然なすべき 解雇を回避すべき努力を怠った との主張に対して)「Yとしては、

Xらに対して僅かの授業時間の 活用しか出来ないのにそのまま これを他の科に転用して新採用 を停止しなければならない当然 の義務を負うものではない。」

解雇有効

・③について、X らの人材を活用 するため他の科 に転用できるよう 新教科の免許取 得の措置を講ず べき義務がある との主張に対し て、「元来、新教 科の免許取得に ついてはその事 柄の性質上Xら の積極的熱意が 先行すべきもの であるから、Xら が新教科の免許 取得についてY 学園に積極的な 申出をしたのに 拘らず、Yがこれ を黙殺してなんら の努力をしな かったというなら ば格別、Yとして は、Xらからなん らの申出もない のに正規の免許 を取得するよう 指示ないし指導 すべき義務まで はない・・・。」と 判断している。

資料シNo.145

労働政策研究・研修機構(JILPT)

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