第5章 樹液発電を用いた植物成育モニタリング システム
5.4 分割電源線型間欠電源変換回路の構成法
5.4.3 分割電源線型間欠電源変換回路のシミュレーション評価
分割電源線型間欠電源変換回路のシミュレーションモデルを図 5-7 に示 す.図5-7(a)に示した樹液発電デバイスの等価モデルは,定電流源(Ip),
及び,ダイオード接続された nMOSFET(M4),ゲート接地された nMOSFET
(M5),寄生容量(Cp)で構成される.Ipは0.1 Aとし,M4は電圧リミッ タとして働く.ゲート端子に定電圧(Vp)が接続された M5は,樹液発電デ バイスの内部抵抗の役割を担う.樹液発電デバイスの制限電圧を Vp の電圧 と同じにするために,Vpの電圧,及び,M4のしきい値電圧を2.5 Vとした.
また,M5の抵抗値を,樹液発電デバイスの内部抵抗値である 0.3 Mとする ために,ゲート長,及び,ゲート幅は,それぞれ 100 m,2.8 mとした.
分割電源線型間欠電源変換回路のモデルを図 5-7(b)に示す.ショット キーダイオード部分には,ダイオード接続された低しきい値の nMOSFET
(M3)を用いた.M3のしきい値は 0.1 V とし,その他の MOSFET のしき い値は,それぞれ,nMOSFETを0.5 V,pMOSFETを-0.5 Vとした.ま た,シミュレーション時間を短縮するために,Csの容量値を 100 nF,Cssの 容量値を5 nF,Cpの容量値を 1 nF,負荷抵抗を 200 kとした.
分割電源線型間欠電源変換回路の各ノードの電圧変化についてシミュレー ションを行った結果を図 5-8(a)に示す.また,シミュレーション時間の 1 秒から 1.1 秒の間を拡大したものを図 5-8(b)に示す.初期状態では,
Vin,及び,Vout,1 段目の電圧検出回路の出力電圧(Vcont1),2 段目の電圧 検出回路の出力電圧(Vcont2)は0 Vであり,パワースイッチトランジスタは OFF状態である.まず,樹液発電デバイスが発電を開始するとM1がON 状 態となり,M1を介して Csに電流が流れ込むことでキャパシタが充電される.
また,ダイオード接続された M3を介して Cssにも電流が流れ込む.この時,
2つのキャパシタの合成容量は容量の大きな Csに依存するため,それぞれの 充電スピードはゆっくりとなる.その結果,2 つの電圧検出回路の電源線で あるVin,及び,Vin’ が徐々に上昇する.Vinが0.75 Vに達すると,1段目の 電圧検出回路が Vcont1から Vinと同じ電圧を出力し,M1を OFF 状態にする ことでVinのノードとVoutのノードが切り離されて,Csへの充電が停止する.
この時,Csの容量値に比べて Cssの容量値は 2 桁小さく,Csが Vinのノード から切り離されたことによって合成容量が極端に小さくなるため,Css への 充電が加速され,Vin’ の電圧が急激に上昇する.Vin’ が 0.75 V に達すると,
2 段目の電圧検出回路が Vcont2から Vin’ と同じ電圧を出力し,パワースイッ チトランジスタをON 状態にする.この時,負荷(RL)がグランドと接続さ れるため,CsからRLへ電流が流れる.負荷を駆動することで Voutは減少し,
M2が ON 状態となるため Vin,及び,Vin’ はグランドレベルまで減少する.
その結果,回路にリセットがかかり,再びCs,及び,Cssの充電を開始する.
図5-8 分割電源線型間欠電源変換回路のシミュレーション結果(電圧変化)
(a)1 (b)1~1.1秒部分を拡大したグラフ
2 つの電圧検出回路が消費する電流をシミュレーションで求めた結果を図 5-9に示す.供給電圧が0.75 Vの時,それぞれ 20 nA の消費電流であるこ とが分かった.電圧検出回路全体の消費電流は,最大でも 40 nAであること が分かった.
図5-9 分割電源線型間欠電源変換回路のシミュレーション結果(電流変化)
(a)各ノードに流れる電流のグラフ (b)合計の消費電流のグラフ