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5.1 緒言

近 年 、 主 に 省 エ ネ ル ギ ー 化 の 観 点 か ら 永 久 磁 石 同 期 モ ー タ(PMSM:Permanent Magnet

Synchronous Motor)が、家電製品やハイブリッド自動車(HEV)等へ幅広く適用されるように

な っ て い る 。PMSM は 、 表 面 磁 石 型 同 期 モ ー タ(SPMSM:Surface Permanent Magnet Synchronous Motor)と永久磁石をロータ内部に埋め込んだ埋込磁石型同期モータ(IPMSM:

Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)に分類できるが、そのなかでも、IPMSM は磁 石トルクに加えてリラクタンストルクも利用できるため、可変速範囲の広い高効率モータ として様々な用途に適用範囲が拡がっている(43)

また、PMSMのステータ巻線は、分布巻方式と集中巻方式に大別できるが、コイルエン ド高さを小さくでき、銅量の削減やモータ長の短縮、巻線抵抗低減による銅損低減の利点 がある集中巻が適用される場合も多い(1)(43)。その場合、コイルを高密度に巻線するため、

および電磁鋼板の打ち抜き時の歩留り向上のために、ステータ鉄心を複数のブロックに分 割する工法、すなわち分割コアにする方法が用いられることも多い(11)(12)

無方向性電磁鋼板の磁気特性は通常、素材の圧延方向とその直角方向の試験片の平均値 で評価されている。そのため、一般にその使用に際しては、方向による磁気特性差がない ものとして、歩留り優先で打ち抜き方向が決定されることが多い。特に分割コアの場合、

ティース部とヨーク部で磁束の流れる方向が直交していることもあり、打ち抜き方向を規 制しないのが通常である(11)。しかし、実際の無方向性電磁鋼板は完全な等方性材料ではな く、ある程度の異方性を有している(4)(5)。したがって、分割コアモータの特性向上には、

圧延方向と圧延直角方向の磁気特性差を考慮して、打ち抜き方向を決めるのが良いと考え られるが、その特性に及ぼす素材磁気特性の影響について、圧延方向とその直角方向別の 磁気特性がモータ特性に及ぼす影響を検討した結果はほとんど報告されていない。ゆえに、

その観点での検討は、分割コアモータの特性向上指針のために非常に有益と考えられる。

本章では、12 極18 スロットの分割コア IPMSMの特性に及ぼす素材磁気特性の影響を、

特性の異なる種々の電磁鋼板を用い、ステータのティース径方向を素材の圧延方向に揃え

って、素材の圧延方向と圧延直角方向の磁気特性を個別に扱えば、打ち抜き形状がステー タ形状と同じである一体コアの場合と異なり、磁界解析計算にて懸念事項となり得る材料 異方性の影響に関する課題がほぼ解消できる。その利点を活用し、モータ鉄損の計算値と 実測値の乖 離の主因と 考えられる(44)(45)打ち抜 き時の磁気 特性劣化の 影響を考慮 した計算 を行う。

すなわち、電磁鋼板の磁気特性は、打ち抜き、かしめ、溶接、焼きばめ、圧入等のモー タ製造工程で付与される加工歪や応力歪により劣化することが知られている(46)(49)。特に、

通常、モータ鉄心は無方向性電磁鋼板を打ち抜き加工して製造されるため、焼きばめ、圧 入等を施さない場合、打ち抜きによって鋼板端部に生じた歪がモータ製造工程での磁気特 性劣化の主因と考えられている。したがって、打ち抜き加工やせん断加工による歪の残存 領域の磁束密度分布などが報告されており(50)(52)、それらによる鋼板端部の磁気特性劣化 の原因は塑性歪と残留応力の影響と考えられている(42)(49)

そのため、変形解析と電磁界解析を用いて打ち抜き・せん断加工による鉄損劣化を推定 する試みもなされているが(44)、鉄損と歪量の関係は実際の鉄損測定結果に基づいている。

したがって、素材の Si量や結晶粒径、板厚などの材料因子が、打ち抜き・せん断加工時の 鉄損劣化に及ぼす影響を明らかにすることは非常に重要である。従来の研究では、結晶粒 径の大きい高 Si材料の場合にせん断時の鉄損劣化が大きく(47)、更に結晶粒径とSi 量の影 響を比較すると、結晶粒径の影響の方が大きいと報告されている(51)。しかしながら、打ち 抜き・せん断加工時の鉄損劣化に及ぼす鋼板板厚の影響に関する研究例は報告されていな い。近年、高周波鉄損低減のために従来の 0.35mm 厚材より板厚の薄い材料の適用が拡大 しつつある。したがって、板厚に着目して上記検討を行うことは、最適な材料利用による モータ特性向上の観点から非常に有益と考えられる。

そこで、ステータ鉄心材料として板厚が 0.20、0.25、0.30、0.35、0.50mm 厚の無方向性 電磁鋼板を用い、打ち抜き・せん断加工時の鉄損劣化に及ぼす電磁鋼板の板厚の影響につ いて検討する。また、通常、電磁鋼板素材の磁気特性は、幅 30mm、長さ280mmのエプス タイン試験片にせん断して測定、評価するが、本章では、モータのティースやヨーク幅と ほぼ同等幅 (10、5mm)にせん断した試験片を測定して得た素材の磁気特性を用いてモータ 鉄損を計算し、モータ鉄損の測定値や上述の通常磁気測定で得られる値を用いた計算値と 比較する。

5.2 モデル分割コアIPMSMの仕様および実験方法

分割コア IPMSM は、市販されている HEV のモータ形状と特性を考慮し(53)(54)、その小

型モデルとなるように設計した。供試モータの諸元を表 5.1に示す。ロータ 12極、ステー タ 18スロットで、埋込磁石には希土類磁石を用い、巻線方式は集中巻である。ロータの外 観写真を図 5.1 に示す。鉄心素材がモータ特性に及ぼす影響を明確にするために、ロータ はすべての測定を通じて同一のものを用いた。ステータ分割コアの模式図を図 5.2、外観 写真を図 5.3に示す。分割コアについては、素材の圧延方向(L 方向)がティース径方向と一 致するように、供試材の電磁鋼板を打ち抜いて使用した。表 5.2 に用いた材料の圧延方向 (L 方向)、表5.3に圧延直角方向(C方向)の磁気特性を示す。0.20、0.25、0.30、0.35、0.50mm 厚の無方向性電磁鋼板を計 7種類用意した。

モータ特性の測定は、ステータの温度を40℃にした後、以下の 3条件で行った。

条件A (登坂走行模擬):1000min-1、8.4Nm

条件B (市街地[JC08]走行模擬):1000min-1、2.5Nm 条件C (高速[120km/h]走行模擬):2500min-1、1.0Nm

測定装置のブロック図は、第2章で示した図 2.2 と同様である。なお、駆動方法は 120 度通電矩形波であり、電流位相の進角が 15(電気角)になるように制御した。

モータ損失の分離については、1 次巻線抵抗と電流値からジュール損失を求めて銅損と し、全損失から銅損と機械損(風損を含む)を減じて鉄損とした。なお、機械損は無着磁の 磁石を用いたロータを別途用意し、澤畑らの方法(9)にしたがって求めた。

表5.1 供試IPMSMの諸元

Item Specification

Stator outer diameter 156 mm Stator iner diameter 105.2 mm

Stator teeth width 10 mm Stator y oke width 5.4 mm Rotor outer diameter 104.6 mm Rotor inner diameter 40 mm

Air gap 0.3 mm

Stack length 25 mm

Winding 3φstar-connection

図 5.1 供試IPMSMのロータ外観

図 5.2 ステータ分割コアの模式図

(a) 巻線前 (b) 巻線後 図 5.3 ステータ分割コアの外観写真

表5.2 ステータ鉄心材料の圧延方向(L方向)の磁気特性 Teeth

Teeth tip

yoke Teeth root yoke

Radial direction Teeth

Teeth tip

yoke Teeth root yoke

Radial direction

M aterial Thickness (mm) W15/50-L (W/kg) W10/400-L (W/kg) B50-L (T)

A 0.20 1.80 10.0 1.714

B 0.25 1.72 11.9 1.728

C 0.30 1.83 13.3 1.733

D 0.35 1.99 15.1 1.704

E 0.35 1.87 14.8 1.745

F 0.35 1.68 14.8 1.788

G 0.50 2.26 23.6 1.766

(Tests were conducted by using Ep stein samp les [L] as sheared.)

表 5.3 ステータ鉄心材料の圧延直角方向(C方向)の磁気特性

5.3 分割コアIPMSMの特性に及ぼす無方向性電磁鋼板の磁気特性の影響

条件 A(登坂走行模擬)でのトルク定数に及ぼす素材磁束密度 B50の影響を図 5.4 に示す。

素材圧延方向(L 方向)の磁束密度 B50-L の影響は大きいが、圧延直角方向(C 方向)の磁束密 度 B50-Cの影響はほとんどないことがわかる。銅損に及ぼすB50-Lと B50-Cの影響を図5.5 に示すが、ステータのティース径方向の磁束密度(B50-L)が高いほど、銅損は低減している ことがわかる。高トルクを必要とするモータ動作条件(登坂走行条件)では銅損が支配的で ある。したがって、分割コア IPMSM では、ティース径方向に磁束密度の高い材料を用い ることが、モータ特性の向上に効果的と言える。

条件 B(市街地[JC08]走行模擬)でのモータ鉄損に及ぼす素材鉄損 W15/50と W10/400の影響

を L、C方向別に図5.6と図5.7に示す。本条件(1000min-1)での同期周波数は100Hz である が、第 2章と第 4章での結果と同様、モータ鉄損は従来の素材鉄損指標 W15/50よりも素材 高周波鉄損をあらわす W10/400と良い相関を示している。図 5.8にモータ効率に及ぼす素材 圧延方向(L 方向)鉄損 W10/400-L、圧延直角方向(C 方向)鉄損 W10/400-C の影響を示すが、両 者ともに非常に良い相関を呈していることがわかる。

M aterial Thickness (mm) W15/50-C (W/kg) W10/400-C (W/kg) B50-C (T)

A 0.20 2.14 12.6 1.668

B 0.25 2.03 13.6 1.664

C 0.30 2.29 16.8 1.659

D 0.35 2.43 18.2 1.663

E 0.35 2.42 19.1 1.674

F 0.35 2.41 20.2 1.656

G 0.50 2.89 27.0 1.667

(Tests were conducted by using Ep stein samples [C] as sheared.)

(a) 圧延方向の磁束密度B50-Lの影響 (b) 圧延直角方向の磁束密度B50-Cの影響 図5.4 トルク定数に及ぼす素材磁束密度B50の影響 (条件 A:登坂走行模擬)

(a) 圧延方向の磁束密度B50-Lの影響 (b) 圧延直角方向の磁束密度B50-Cの影響

図5.5 銅損に及ぼす素材磁束密度B50の影響 (条件 A:登坂走行模擬)

(a) 鉄損 W15/50-Lの影響 (b) 鉄損W10/400-Lの影響

図5.6 モータ鉄損に及ぼす素材の圧延方向鉄損の影響 (条件 B:市街地走行模擬) R2 = 0.92

0.465 0.466 0.467 0.468 0.469 0.470

1.68 1.72 1.76 1.80

B50-L (T)

Torque constant (Nm/A)

B50-L (T) R2 = 0.92

0.465 0.466 0.467 0.468 0.469 0.470

1.68 1.72 1.76 1.80

B50-L (T)

Torque constant (Nm/A)

B50-L (T)

R2 = 0.06

0.465 0.466 0.467 0.468 0.469 0.470

1.65 1.66 1.67 1.68

B50-C (T)

Torque constant (Nm/A)

B50-C (T)

R2 = 0.06

0.465 0.466 0.467 0.468 0.469 0.470

1.65 1.66 1.67 1.68

B50-C (T)

Torque constant (Nm/A)

B50-C (T)

R2 = 0.90

88.0 88.5 89.0 89.5 90.0

1.68 1.72 1.76 1.80

B50-L (T)

Copper loss (W)

B50-L (T)

R2 = 0.90

88.0 88.5 89.0 89.5 90.0

1.68 1.72 1.76 1.80

B50-L (T)

Copper loss (W)

B50-L (T)

R2 = 0.08

88.0 88.5 89.0 89.5 90.0

1.65 1.66 1.67 1.68

B50-C (T)

Copper loss (W)

B50-C (T)

R2 = 0.08

88.0 88.5 89.0 89.5 90.0

1.65 1.66 1.67 1.68

B50-C (T)

Copper loss (W)

B50-C (T)

y = 0.40x + 2.51 R2 = 0.99

4 6 8 10 12 14

5 10 15 20 25

W10/400-L (T)

Motor iron loss (W)

W10/400-L (W/kg) y = 0.40x + 2.51

R2 = 0.99

4 6 8 10 12 14

5 10 15 20 25

W10/400-L (T)

Motor iron loss (W)

W10/400-L (W/kg) y = 7.65x - 5.86

R2 = 0.73

4 6 8 10 12 14

1.0 1.5 2.0 2.5

W15/50-L (W/kg)

Motor iron loss (W)

W15/50-L (W/kg) y = 7.65x - 5.86

R2 = 0.73

4 6 8 10 12 14

1.0 1.5 2.0 2.5

W15/50-L (W/kg)

Motor iron loss (W)

W15/50-L (W/kg)

(a) 鉄損 W15/50-Cの影響 (b) 鉄損 W10/400-Cの影響

図5.7 モータ鉄損に及ぼす素材の圧延直角方向鉄損の影響 (条件 B:市街地走行模擬)

(a) 鉄損 W10/400-Lの影響 (b) 鉄損 W10/400-Cの影響

図5.8 モータ効率に及ぼす素材高周波鉄損の影響 (条件B:市街地走行模擬)

条件C(高速[120km/h]走行模擬)でのモータ鉄損に及ぼす素材鉄損W15/50とW10/400の影響 を L、C方向別に図5.9と図5.10に示す。本条件(同期周波数:250Hz)でも、モータ鉄損は 従来の素材鉄損指標 W15/50よりも素材高周波鉄損をあらわす W10/400と良い相関を示した。

図 5.11 にモータ効率に及ぼす素材圧延方向(L 方向)鉄損 W10/400-L、圧延直角方向(C 方向)

鉄損 W10/400-Cの影響を示すが、両者ともに非常に良い相関を呈している。

なお、図 5.6(b)と図5.7(b)の比較、図5.8(a)と(b)の比較、図 5.9(b)と図5.10(b)の比較、図 5.11(a)と(b)の比較から、鉄損変化がモータ鉄損とモータ効率に及ぼす影響は、圧延方向鉄

損 W10/400-L の方が圧延直角方向鉄損 W10/400-C より大きく、特に鉄損がより支配的と考え

られる条件 Cではその傾向が顕著なことがわかる。

以上の結果から、本検討に用いたモータのティース幅とヨーク幅の比率(約2)に近い形状 の分割コア IPMSM の場合、モータ特性に及ぼす影響はティース径方向の磁気特性の方が

y = 0.36x + 1.97 R2 = 0.95

4 6 8 10 12 14

10 15 20 25 30

W10/400-C (T)

Motor iron loss (W)

W10/400-C (W/kg) y = 0.36x + 1.97

R2 = 0.95

4 6 8 10 12 14

10 15 20 25 30

W10/400-C (T)

Motor iron loss (W)

W10/400-C (W/kg)

y = -0.14x + 95.67 R2 = 0.98

92 93 94 95

5 10 15 20 25

W10/400-L (T)

Motor efficiency (%)

W10/400-L (W/kg) y = -0.14x + 95.67

R2 = 0.98

92 93 94 95

5 10 15 20 25

W10/400-L (T)

Motor efficiency (%)

W10/400-L (W/kg)

y = -0.13x + 95.87 R2 = 0.96

92 93 94 95

10 15 20 25 30

W10/400-C (T)

Motor efficiency (%)

W10/400-C (W/kg) y = -0.13x + 95.87

R2 = 0.96

92 93 94 95

10 15 20 25 30

W10/400-C (T)

Motor efficiency (%)

W10/400-C (W/kg) y = 6.24x - 6.29

R2 = 0.94

4 6 8 10 12 14

1.5 2.0 2.5 3.0

W15/50-C (W/kg)

Motor iron loss (W)

W15/50-C (W/kg) y = 6.24x - 6.29

R2 = 0.94

4 6 8 10 12 14

1.5 2.0 2.5 3.0

W15/50-C (W/kg)

Motor iron loss (W)

W15/50-C (W/kg)

に電磁鋼板を用いるのがよいと考えられる。

(a) 鉄損 W15/50-Lの影響 (b) 鉄損 W10/400-Lの影響

図5.9 モータ鉄損に及ぼす素材の圧延方向鉄損の影響 (条件 C:高速走行模擬)

(a) 鉄損 W15/50-Cの影響 (b) 鉄損 W10/400-Cの影響

図5.10 モータ鉄損に及ぼす素材の圧延直角方向鉄損の影響 (条件 C:高速走行模擬)

(a) 鉄損 W10/400-Lの影響 (b) 鉄損 W10/400-Cの影響

図5.11 モータ効率に及ぼす素材高周波鉄損の影響 (条件 C:高速走行模擬)

R2 = 0.73

10 20 30 40 50

1.0 1.5 2.0 2.5

W15/50-L (T)

Motor iron loss (W)

W15/50-L (W/kg) R2 = 0.73

10 20 30 40 50

1.0 1.5 2.0 2.5

W15/50-L (T)

Motor iron loss (W)

W15/50-L (W/kg)

y = 2.13x - 1.16 R2 = 0.99

10 20 30 40 50

5 10 15 20 25

W10/400-L (T)

Motor iron loss (W)

W10/400-L (W/kg) y = 2.13x - 1.16

R2 = 0.99

10 20 30 40 50

5 10 15 20 25

W10/400-L (T)

Motor iron loss (W)

W10/400-L (W/kg)

R2 = 0.94

10 20 30 40 50

1.5 2.0 2.5 3.0

W15/50-C (T)

Motor iron loss (W)

W15/50-C (W/kg) R2 = 0.94

10 20 30 40 50

1.5 2.0 2.5 3.0

W15/50-C (T)

Motor iron loss (W)

W15/50-C (W/kg)

y = 1.88x - 4.00 R2 = 0.96

10 20 30 40 50

10 15 20 25 30

W10/400-C (T)

Motor iron loss (W)

W10/400-C (W/kg) y = 1.88x - 4.00

R2 = 0.96

10 20 30 40 50

10 15 20 25 30

W10/400-C (T)

Motor iron loss (W)

W10/400-C (W/kg)

y = -0.64x + 98.61 R2 = 0.99

82 86 90 94

5 10 15 20 25

W10/400-L (T)

Motor efficiency (%)

W10/400-L (W/kg) y = -0.64x + 98.61

R2 = 0.99

82 86 90 94

5 10 15 20 25

W10/400-L (T)

Motor efficiency (%)

W10/400-L (W/kg)

y = -0.57x + 99.53 R2 = 0.96

82 86 90 94

10 15 20 25 30

W10/400-C (T)

Motor efficiency (%)

W10/400-C (W/kg) y = -0.57x + 99.53

R2 = 0.96

82 86 90 94

10 15 20 25 30

W10/400-C (T)

Motor efficiency (%)

W10/400-C (W/kg)

5.4 無方向性電磁鋼板のせん断時鉄損劣化に及ぼす板厚の影響

5.4.1 実験方法

モータ鉄心の加工は一般的に打ち抜きで行われるが、本検討では簡便に試料幅を変化さ せるため、せん断機を用いたせん断加工によって試料を作製した。材料は表 5.2 と表 5.3 に示した 7種類の無方向性電磁鋼板である。なお、これらの材料はほぼ同じ Si量、結晶粒 径(約90μm前後)であるため、せん断時の鉄損劣化に及ぼす材料因子としては、板厚の影響 のみを考慮できる。

幅を変化させた試料は、幅 30mm、長さ 280mm のエプスタイン試験片を、図 5.12 に示

す要領で 5、7.5、10、15mm 幅に分割して用意した。分割後の磁気特性は分割前と同じ配

置になるようにセロハンテープで張り合わせて 30mm幅にし、エプスタイン試験器によっ て磁気特性を測定した。なお、用いたせん断機のクリアランスは 15μmとした。

せん断による鉄損劣化量 ΔWiは、幅 30mm のエプスタイン試験片の鉄損値 W0を基準に し、短冊状態にせん断した後の鉄損を Wiとするとき、ΔWi = Wi―W0として算出した。ΔWi

の評価は、従来鉄損指標の W15/50と PMSM や SRMの鉄心材料選択時の指標として有効と 考えられる W10/400について行った。

図5.12 せん断加工による試料分割の模式図

2 divisions width:15 mm Original size width:30 mm

Strain region due to shearing

3 divisions width:10 mm 4 divisions width:7.5 mm 6 divisions width:5 mm 2 divisions width:15 mm Original size width:30 mm

Strain region due to shearing

3 divisions width:10 mm 4 divisions width:7.5 mm 6 divisions width:5 mm

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