巴 /
4.4 具体例
本手法の有効性を検討するため計算機シミュレーションを行った.以下,シミュ レーション条件 結果について述べる.
4 . 4 . 1 シミュレーション条件
‑シミュレーションのためのモデルとしてチャネル数が2である閃 4.1のシステ ムを用いた.
‑入)j信 号
l l ( l ) ( k )
として1)向色信号 :平 均 値 零 , 分 散 (1/12)の正規乱数.
2)有 色 信 号 :1)の信号を次式で、与えられるフィルタ
表 4.4:演算量の比較 (N二 500,M =4)
ァ= 500 T二 250 ァ=1 27114x1011
I
6.6082x1010 12.0342x10、 I64419 X 108 I 1.6051 x 10 1.0 0.8
に通した出力信号.
H ( z )
二[ F ( z ) ] 1
但し,
F( z) = 1
+
0.445z‑1+
0.202z‑2十0.0907z‑3 +0.0408z‑4+
0.0183z‑5を用いた.
‑入 力 信 号 は 2チ ャ ネ ル と し , チ ャ ネ ル の 入)J信 号 聞 に は 次 の よ う な 関 係 が あ る.
x~)(k)
= 0 . 9 x 日 ) ( k ‑
1)‑未知系,推定系の次数は,ともに 19次
( N =
20)のFIR型フィルタを用いた.・未知系のインパルス応符 ω
日
1)は,次の周波数特性A(ω)
=
1 + 0.5 cos(0.5ω) 0.5(π2ω2)ァ(ω)ニ l十 一 一 一
7r
をIDFTしたものを月jいた.但し ,A(ω), T(ω)はそれぞれ振│悩特性,群遅延 特性である また, uJ31)は ω
日
1)の値を無作為に 8点変えたものを用いたn E
QU QU O
TU
n r A
R
G UO
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R
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で ' 悼
式次
p
一 戸
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細 川
=
開 山 口
2 2 P U T
‑
ム 日 且
E
件よ
a
→h•
‑結 呆 は す べ て 10回の試行を行い その平均を示した.
4 . 4 . 2 シミュレーション結果
図4.2,図4.3は,入力信号に白色信号を用い, SN比20dB,40dBの雑音をそれぞ れ付 加したものである.両 結 果 共 に 本 手 法 (r二 10)が, M C‑APAに対しては 30dB 程 度,LMSに対しては 10dB程度推定精度が高いことが分かる.また,2チャネル の場合,M C‑APAは一般逆行列の演算を 1回の更新で3回行うことから付加雑音の 影響を受けやすいと考えられる.図4.4,図4.5は,入力信号に有色信号を用い, SN
比
20dB,40dBの雑音をそれぞれ付加したものである.これらの場合も傾向は(‑1色 信号入力時とほぼ同様である.このように本手法γ(=10) は,いずれの場合においても L:vIS や ~C-APA に比 べ推定精度が高く高速である.本手法ア 二 1 は L:vIS に対して有色信号人 )J 時に ~'f 干高速で、あるがほぼ同等の収束特性である.これは γ=1の場介 両アルゴリズム の演算量が同等であり,かつ入刈信号ベクトル 1と2が ぺ )(人・)二0.9.r
日
)(k‑1)な る関係を作しているため,本手法‑の全人λ j
イ言号空間探索の利点が発悔しづらい条f ‑ t
であったことが原伏│である.ノド手法は, ?寅算量を重視するならば γ 二 1 ,演す)~泣は 多くても高速かつ高精度な収束特性が得たい場合には γ 二 10 というように使 J~ す る者の要求にフレキシブルに対応できる汎用性の向い手法である.その反│古I,LMS
や MC‑APAと同様に収束してからの安定性については必ずしも良好であるとはい えず,今後検討すべき事項である.
関4.6は, 500サンプルで未知1系を変動させた結果である.人力イri号には有色イパサ を用い, SN比40dBの雑音を付加している.凶 4.6より本手法は,非常に優れたill 従性をもっていることが分かる.この良好な追従性は,他の幾つかの入)J信 号 に 対
しでも同機であることを確認している.
また,本手法はブロック信号処埋により実行することも可能で、ある.このブロッ ク処理を適用することで演算量を 1/γに軽減することができる. 1~14.7 にブロック処 理を行った場令の本手法の収束特性を示す.人)]信号には,ドl色,有色信号をそれ ぞれ用い,両者とも SN比 20dBの雑音を付加している.白色イr;うす人力H寺では,ブ ロック処理を行わない場合とほぼ同様な特性が得られるが,布色イ言サの場合では特 性が大幅に劣化する.これについてはブロック長を小さくすることである程度改持 は可能で、あるが,それでは演算量との兼ね合いから必ずしも有効で、あるとはいえな い.従って,人力信号が白色信号,もしくは有色度の低い信号である場介には,ブ ロック処理を行うことが望ましい.
4.5 むすび
本章では,従来のマルチチャネルエコーキャンセリングアルゴリズムの収束特性に 関する簡単な定性的考察を行い,その結果に基づいて任意の aチャネルに対応する エコーパス推定に全チャネルの入力信号ベクトル空間を探索する 新しいアルゴリ ズムを提案した.次いで,計算機シミュレーションにより,従来法と比較して良好な 収束特性が得られることを検証した.さらに,演算量についても従来法 (MC‑APA) のそれよりも大幅に減少することも確認した.
今回提案した手法は, 一般逆行列演算に Grcvilleの手法を適用したが, ‑‑l叶の係
数更新ごとにその手法を用いる必要性があるため, 十分に演算 量の低減が行われた とは言い難い.従って今後は一般逆行列を逐次的に史新する手法を含んだ,より少な い演算 量で本方式を実行するアルゴリズムについて検討する予定である.また,収 束後の安定化を阿る方法についても併せて考察を加えたい.
[dB] 100
80
60
2 4 0 w
20
。
‑20
.¥ノ; I J・I
ぜ :
。
一 一 一 一 一
LMS一一一
MC‑APA‑‑‑Proposed(r= 1 )
‑‑ 一 ‑
Proposed(戸 10)200 400 600 800 1000
Number of Samples
図4.2:11又束特性(白色, SNR=20dB)
[dB] 100
LMS
一一一
MC‑APA̲̲̲̲̲̲r可 】 ー ー ー 一 ‑ ̲j(
̲ . 、
80
60
E
z
tu 40
20
。
‑20
。
200 400 600 8001000
Number of Samples
図
4 . 3 :
収束特性(白色,SNR = 4 0 d B )
[dB] 100
80
60
出
凶巴 4020
。
‑20
。
200 400 600 800 1000Number of Samples
図4.4:収束特性(有色, SNR=20dB)
[dB] 100
80
60
40
20
。
一20
。
1¥ 1
、 ・
1¥. '
I・) I ¥'¥.' ~
1111y¥fyi f
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.
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•• ••
••
...••
• .•
︐ ・ ・
一一一
MC‑APA‑‑‑‑‑. Proposed(r=l)
200 400 600
Number of Samples
800 1000
刈
4
,5 :
収束特性(有色,SNR = 4 0 d B )
[dB] 100
80
60
40
20
。 一 一 一 ー 一
MC‑APA一一一
Proposed(r=1 )‑. Proposed(戸 10)
‑20
。
200 400 600 800 1000Number of Samples
刈4.6:未知系変動に対する追従性
[d8] 100
80
60
B
当
L 4020
。
‑20
。
一 一 ー ー
Proposed(戸 10,白色)一一一
Proposed(戸 10,有色.)200 400 600
Number of Samples
800
図4.7:ブロック処理を適用した場合の収束特性
1000
第 5 章
有色信号入力時におけるステレオエ コーキャンセラの係数収束特性
5 . 1 まえが、き
前章では,高速な収束速度を持つマルチチャネルエコーキャンセリングアルゴリ ズムの提案を行った. しかしながら,前章でいう収束とは出力誤差に対する収束で ありフィルタ係数に対する収束ではない.線形結合形エコーキャンセラでは,その 構成上,出力誤差がOであるからといっても必ずしもフィルタ係数誤差が Oになる わけではない.このように,適応フィルタ係数が求めるべきエコーパスのインパル ス応答と一致しないという線形結合形エコーキャンセラ特有の問題は 係数の不定 性"と呼ばれている [59].
係数の不定性による主な問題点は 適応フィルタの係数とエコーパスのインパル ス応答が等しくなくてもエコーは消去出来るが,エコーパスが変動せず a定である 場合でも入力信号の特性が変化するだけでエコー消去量が著しく劣化する点にある.
この問題の原因は各チャネルの入力信号聞の強い相関によるものであり,改善千法 が幾っか提案されているが根本的な解決はなされていない [55][59].
平野と小 池は,係数の不定性の問題に関連して係数収束性を解析的に/式している
[60].解析では,入力信号を白色信号とし,チャネル間に強い相関が存在する基本的 なモデルとして A方のチャネルの入力信号が他庁の入力信号を遅延させ定数倍(減 衰)したものとし,かつエコーキャンセラの係数更新に LMSアルゴリズムを用いる ことを仮定している.さらにエコーキャンセラの係数収束値が,入力信号の拡大共 分散行列の非正則性により,エコーパスのインパルス応答と 一致せず入力信号の遅 延,減衰の量,係数の初期値に依存する別の値に収束することを示している.
しかしながら, 一般に入力信号は,音声を代表とするような有色信号であり, [1
,
色信号を仮定したて]z野らの解析 [60]は」般性に乏しい.
本章では,平野らと
i
同司線の線形結合型ステレオエコ一キヤンセラでの係数4
収χ末v
を,入力信号が有色である場合について考察する.人力信号の拡大共分散行列の)1: 正則性が円色信号入力時と同様で、あることを示し,係数の誤差が 一般には Oになら ないことをぷす.また,拡大共分散行列の階数の仁限についても述べる.
5 . 2 LMS を用いた線形結合型ステレオエコーキャンセラ
本章で議論の対象となる線形結合形エコーキャンセラの構成は前章と同機である が,議論の都合 I~ ,表記を以ドポすように改める.
線形結介I日ステ レオエコーキャンセラの構成を肉 5.1に示す.イIJ.し,凶5.1では
J i
チャネルマイクへの経路に対してのみ示している.ここでは, Bルームのエコーに 着目する.
Bルームには,左チャネルスピーカから左チャネルマイクへのエコーパスWLL,イi チャネルスピーカから左チャネルマイクへのエコーパスWRLのように一つのマイク に対して 2系統のエコーパスがある.右チャネルマイクについても同機であるので 計4経路のエコーパスが存花する.但し以下では,前章と同様にそれぞれのエコー パスは N次の FIR塑フィルタとし ,Nは既知で、あるとする.線形結合型エコーキャ ンセラは,それぞれのエコーパスに対応した4個の適応フィルタからなっており,そ れらによりそれぞれのエコーパスを同定する.
まず,2N次入力信号ベクトル x(k)を次式で定義する.
I
xL(k)I
z(k)=1 1
l
xR(k)I
(5.1)但し,kは時刻,xL(k), xR(k)共に N次列ベク トルで,時刻 k,k ‑1,・・・,k‑N+1 での X L,X Rの値を投べたものである.また,添字の L (R)は 左 (イj)チャネルマ イクからの信号を表す.
次にエコーパスのそれぞれの係数ベク トルを、並べた係数行列 防r(2N x 2行列), 同様に推定係数ベク トルをI並べた推定係数行列 H (2N x 2行列)をそれぞれ
W 二
[ : ; ; ; ; ; l
(5.2)H(k)
二 [ ; ; ; ( ; ; 土 問 l
(5.3)Aルーム Bルーム XL
③ ̲ ̲ ̲ ̲ ̲ ̲ ̲ ̲ I
X Rr
「 上 下‑ ‑ ‑ ‑ 1 ③
+
凶 5.1:線形結合形 ス テ レオ エ コ ー キ ャ ン セ ラ
と定 義する.但し, ω,
h
は全てN次 列 ベ ク ト ル で あ り,添字のLL( LR )
は庄チャ ネルス ピー カ から左(右)マイクへの経路,RL (RR)は右チ ャ ネ ル スピーカから 左(右)マ イ ク へ の 経 路に対 応 す る.こ の と き 時 刻 kでの 2次元 誤 走ベ ク ト ル e(k)は
I cL(k) I
e(k) =
I
~L>lv~I
I
cR(k)I
= φ(k)T x(k)
で表せる.但し, φ
( k )
は φ(k)=
W ‑H(k)で,推 定 係 数 の誤 差行 列 で あ る.
以上の量を用いると LMSの 係 数更新 式 は 次 式 で表せる.
(5.4)
(5.5)
H(k
+
1)=
H(k)+
μx(k){e(k)T+
り(k)T} (5.6) ここで, μはステ ップサイズ, り(k)は2次元付 加 雑音 ベクトルでありI
vL(k)I
り(k ) =
I
~ L >)V ~I (
5. 7)I
vR(k)I
であり ,v(k)はx(k)と独立であると仮定する.
5 . 3 係数誤差の収束特性
本章では拡大共分散行列が非正則であることを示し,従って係数誤差の期待イl責が 般には0にならないことを示す.
入力信号を次のように仮定する.
仮 定 5.1 xL(k)はn個以内のデータ聞に相関を有する有色信号向 =0の場合は l'1
色信号jである.すなわち
xL(k)二 [xL(k),XL(k‑1),... ,xL(k ‑N
+
l)]T(5.8)
︑︑﹄ ︐
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一 一
¥l/ .41d
+
L Z
L 1
1JJ
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J
の シ ﹂
(5.9)
但し
,
i={k‑N+1,
k‑N+2,
・・.,k} j = {O, 1,2,・.,2N ‑1}Ao > Al > ・・・> Aη>0
である.
仮 定5.2入力信号xR(k)はxL(k)をα倍しァだ、け遅延したものである.すなわち, xR(k) =αxL(k ‑T) {O三 ア く N} (5.10)
である.
仮 定5.2は文献 [60]と同じである.文 献 [60]では,仮 定 5.1で
n =O
の場合を仮定 しており,従って本章では[60]を大幅に一般化することになる.さて, 式 (5.4),(5.5), (5.6)より係数誤差の更新式 φ(k
+
1) =φ(k) ‑μx(k)x(k)Tφ(k) ‑μx(k)v(k)T︑︑ESF〆11ムーー ム v hd
︐︐︐
at︑
が得られる.更に式 (5.11)の期待値をとると